ビニールハウスを設置した次の日
明後日には台風が来るとのことで外は雨が降っている
台風のときに比べれば弱いがそれでもそこそこの量の雨が降っていて外からはザーザーと大きな雨音が聞こえて来る
俺はその日は中で鍛錬をして
それを終えて軽く汗を流したのちに学校に向かう準備をしている時だった
俺の部屋の扉にノックがなる
「はい、どうぞ」
そういうと中に入ってきたのは鉄心さんだった
「邪魔するぞい」
「どうしたんですか?」
「昨日の聞いた件についてじゃ」
昨日の件
俺が風呂から出たあとに鉄心さんに小雪のことを話したのだ
もしかしたら虐待にあっているかもしれないこと、でなければ学校にて何かしらの問題があるかもしれないので
できれば彼女の身辺を調べて欲しいと、彼女の見た目や性格などの細かいことを伝えたら
「わかったぞい」と二つ返事で了承してくれた
おそらくはその件についてだが…早すぎないか?
「調べてみたんじゃが、学校のほうはどうやら大分前から休んでいるようじゃ…担任の教師が家に連絡を入れても繋がらないらしいのじゃが」
真面目な顔つきで話してくる鉄心さん
俺は話の内容に集中することにした
「学校はうちの学校ですか?」
「いや、隣の区の学校じゃ。距離としてはそんなに離れてはおらんようじゃがな、家庭のほうではだいぶ前に両親が離婚をして母親のほうにひき取られたようじゃが…それ以来学校に来る時に同じ服装でくることが続いたそうじゃ」
「……つまりは家庭での育児放棄、最悪は幼児虐待…ですか」
俺が眉間を寄せていうと同じように苦虫を潰したような顔をする鉄心さん
「そのようじゃの…この件についてじゃが今の時点ではわしら大人は手を出すことができんのじゃ、大人の事情というやつでのぉ」
「それなら、彼女が助けを求めてきた場合は?」
「その場合はこちらで保護ができるの」
「そうですか・・・すいませんが小雪の住所、教えてもらえないですか?」
俺がそういうと驚いたよう顔をする鉄心さん
「・・・・・・助けに行くのか?」
「違いますよ、俺はただ彼女の家に遊びに行くだけですよ」
俺は笑いながら言う
そう、俺はただ友達の家に遊びに行くだけだ・・・その過程で虐待の現場に出くわしてしまったのなら仕方のないことだよな?
「…ふぉっふぉっふぉ、そうかそうか、遊びに行くだけなら仕方ないのぉーじゃが、学校はどうするのじゃ?」
鉄心さんは俺の話を聞くと笑ってそう聞き返してきた
「今日は休みます、たまにはいいでしょう・・・そんな日があったって」
俺がそういうと笑っていた顔がさらに深まり嬉しそうな顔になる
「そうじゃな、教育者としては止めるべきなのじゃろうが・・・今おわしはただの孫の友達のジジィじゃからの止める権利はないの」
そう言って鉄心さんは懐から紙とペンを取りだしてサラサラと書いていく
そして書き終えた紙を俺に差し出す
「ほれ、この紙に書いてある住所じゃ…わかるかの?」
「はい、大丈夫です・・・それじゃあちょっと行ってきますね?」
俺は紙をしまい準備していた学校道具を片して部屋を出ようとする
その時、鉄心さんに呼び止められた
「待ちなさい」
「・・・どうしたんですか?」
「これを持っていくと良い」
そう言って携帯を差し出してくる鉄心さん
「これは・・・携帯ですか?」
「うむ、何かあったら電話するのじゃ・・・それには録音の機能もある、何かあった時はそれも使うといい」
録音機能・・・もしもの場合ってことか
俺は携帯を受け取るとそれを懐にしまいお礼を言う
「ありがとうございます、それでは・・・」
「気をつけるのじゃよ」
「はい」
そう言って俺は川神院を後にした
ちなみに百代たちには鉄心さんから先に言っておいてくれと伝えてもらうように言ってあるので大丈夫だ
外では雨が降っているので俺は傘をさして外にでる
その時に俺は鉄心さんにもらった紙に書いてある住所を確認する
ここからは歩いて30分ほどの距離だ、結構近い距離にあるようだ
俺は住所の場所に向かって歩き出す
そしてしばらく歩いて
傘に当たる雨音をBGMにして目的の場所まで歩きそして…
「ここか…」
目的の場所に着いた
その家の外観は少し年季の入った普通の一軒家だった
しかし、一目見ただけでわかる…
「…なんて淀んだ気の流れだ」
家を取り巻く気の流れそのものが全て淀んでいて陰の気が充満している
これは地脈そのものが乱れてしまっていて此処の家の周辺に陰の気の吹き溜まりのようになっている
そのせいで気の流れが淀み、そのせいで陰の気が溜まるの悪循環が起こってしまっている…
「こんなところに人が住んでいたら心も体も病んでしまう…」
そう、陰の気というのは陰陽の気が拮抗して初めて成り立つものであって
陰があれば陽があり、陽があれば陰ができる
二つが拮抗して初めて通常の気が成り立つのだ
それを片方のみが充満している…
俺は中の気を探ろうとするが陰の気が大きすぎててうまく探ることができない
仕方なく俺は家のチャイムを鳴らすことにした
家のチャイムを鳴らすと中から何かが動いている気配を感じ取れた
この気は…小雪ではないな
そして扉から出てきたのは大分やつれた女性が出てきた
「……何かしら?いたずらなら帰ってちょうだい」
その女の人からは家の中にある陰の気を溜め込んでいるのか負の気配を感じる…
「小雪さんの友達の櫛灘隼人と言います、今日は小雪さんに用事があって家の方を訪ねたのですが・・・」
「……そう、小雪は中にいるわ中に入って頂戴」
そう言ってドアを開けっぱなしにして中に入っていく女性
俺はお言葉に甘えて中に入っていく
家の中には大量のゴミ袋や洗っていない食器、洗濯していない衣類などが散らばっていた
そして俺は中を進んでいくとリビングに寝っ転がっている小雪を見つけた
「小雪?」
俺は小雪に呼びかける
しかし反応が返ってこない…
俺は小雪に近づき小雪の様子を見ると
「小雪!?」
小雪は頭から血を流していた
おそらく何かしらの鈍器で頭を殴ったのであろう跡がある…殴られたショックで気絶しているようだ
そして俺は後ろから殺気を感じ小雪を抱えて飛び退くと俺のいた場所に先ほどの女性が酒瓶で殴りかかってきた
「っち!避けてるんじゃないわよ!ガキのくせに生意気ね…」
そう言って親の仇でも見るような顔で俺を睨む
おそらくのこの女性が小雪を殴ったのだろう…今持っている酒瓶で
俺は抱えていた小雪を後ろに下ろして女性から守るよう構える
「あんたが小雪を殴ったのか?」
俺は懐に入れた携帯の録音機能をこっそり起動する
「そうよ…わたしが殴ったのよ」
「なぜこんな事を!そんなもので殴ればどうなるか大人のあんたならわかるだろ!」
俺がそう叫ぶと女の顔がさらに歪む
「わかってるわよ…ギャーギャー叫ばないで頂戴、うるさいガキだわ…大体、殺す気じゃなきゃこんなのでなぐるわけないじゃない」
そう言って気持ち悪い笑を浮かべる女性
「そうよ、こんな子死んでしまえばいいのよ!私があの人に捨てられて悲しんでいるというのに!なのにこの子は!自分はお友達と遊んできたぁ?楽しかった?ふざけるんじゃないわよ!!」
そう言って近くにあったゴミを蹴り飛ばす
完全に精神的に参っているな…
「もうね、何もかもがどうでもいい……だから全て壊して、私も死んで、それでお終いよ」
そう言うや否俺に向かって歩いてくる
「まずは小雪を…そしてこの家を…最後は私を…全て壊して終わりにするのぉ」
その顔はもう言い表せないほど狂ってしまっている
俺は携帯の録音を止めて彼女に言う
「あまりにも、醜いな…そして身勝手だ」
「…何?」
彼女は足を止めてまた俺を睨む
「あんたが小雪の母親なのは話を聞いて理解した…だが、あんたは親として、人としての道を踏み外してしまった」
「……何が言いたいの」
「あんたが勝手に死のうが何しようがは俺には知った事ではない、俺とあんたは無関係だからな」
「……」
俺は彼女の目をしっかりと見据えて言う
「だが!小雪は出会ったばかりでも、俺の仲間だ!だから俺は、小雪が危ない目にあっているのならば命に代えても助けなければならない!」
そう言って俺は構えを取る
それを見て完全に頭に血が上ったのか彼女が走って俺に向かって酒瓶を振り上げる
「うるさいうるさいうるさいぃぃぃぃ!!!!」
「……とりあえずは、小雪の痛みを思い知っておけ!」
襲い掛かってきた彼女の腕を取り床に叩きつける
その際死なないようには加減したが思わず痛みで気絶してしまったようだ
「…彼女もおそらくは母親としてちゃんとしていた時もあったのだろうな」
そう言って俺は小雪の母親の腕を離す
俺は小雪の応急手当を施し急いで鉄心さんに電話をして小雪の治療と彼女の保護を訴えて小雪の一件は幕を下ろしたのであった…
そして後日…
「うわ〜これが竜舌蘭かぁ」
小雪がそう言って竜舌蘭を見上げる
彼女の傷は幸いにも額を少し切ってしまい血が流れていただけで
大きなコブこそできていたが問題はなかったそうだ
あの後、彼女の母親は俺が録音していた携帯の音声を証拠に幼児虐待と殺人未遂…そして家の中からは薬物も見つかりその全ての罪で現行犯逮捕となった
彼女は精神的にも参ってしまっていてまともに会話をすることもままならないと言う症状らしく
今は精神治療を施したのちに正式に裁判で裁かれることになった
小雪はその後親戚の人が訪れてその人たちが引き取ることになり
榊原という性に変更し、榊原小雪という名前小雪は変わった
本人は母親が逮捕されたことなどを説明されると悲しそうな顔で「…そうですか」といったそうだ
どれだけ虐待されようとも小雪にとってあの人は母親だったのだろう…
そして彼女は本来ならもう少し病院で入院していなければいけなかったのだが
俺が竜舌蘭の話をすると「見たい!」といったので病院側に掛け合って OKをもらってきたのだ
そして台風が過ぎ、綺麗な快晴のもと俺たち風間ファミリーは集まり竜舌蘭をみんなで見ていたのだった
「それにしても…」
みんなが竜舌蘭を見上げている中で百代がつぶやく
そのつぶやきにみんなが注目すると
「あんまり綺麗じゃないな」
「言っちゃったよ!みんな思っていたけど口にしなかったこと平気でいったよ!」
百代のつぶやきにモロがおもいっきりツッコミを入れる
確かに、綺麗か綺麗でないかで言えば綺麗ではないな…
大きな茎に黄色いブロッコリーが咲いているみたいだ
「まぁでも、みんなで見ることに意味があるんだよきっと」
大和がフォローを入れる
確かに、それが一番大事なのかもな
「それにしても、いきなり学校を休んだかと思えばそんな事件が起きてたなんてな…一言私たちにも言ってくれればよかったものを」
百代が言う
このあいだの事件は風間ファミリーのみんなには伝えておいたのだ
ことのあらましからどうやって対処したのかまで
それを聞いたキャップは「俺たちにも言ってくれればよかったのによぉ!水臭いぜ!」と言って拗ねられたがこんかいのことで小雪の心配をみんなでしてくれてそれを聞いた小雪は思わず
『みんな…ありがとう…』
泣き出してしまった
それをワン子や千影が慰めてということが先ほど起こった
「すまない、でも今回の件は危険があるかもしれないと思ってな…それにことを急がなければいけないかったからな」
「それでもだ、次こんなことがあったら私たちの誰かしらに声をかけろよ?」
百代はそういうと俺の肩を軽く小突く
「あぁ、次からはみんなにも相談するさ」
それを笑って受ける俺
本当に、バカみたいに暖かい奴らばっかりだ…
すると麗子さんがカメラを持ち出して
「あんた達、記念写真撮るから並んで並んで!」
そう言って俺たちを竜舌蘭の前に並ばせる
「いえい!ピースピース!」
「あ、ずるい私もー!」
キャップとワン子が前に出て騒ぎ他のみんなもそれぞれがポーズを取る
そして最終位置が決まり
「じゃあ取るよ!はい、チーズ!」
パシャ!
カメラのシャッター音が聞こえて取れたことがわかる
そしてみんながカメラの写真を確認しに行く中で小雪が俺のもとに来て話しかけてくる
「ねぇ隼人」
「どうした?」
小雪が少し上目気味に話す
「その…ありがとう」
「今回の件か?それなら別に気にしなくても…」
「それもだけど!その…えっと」
もじもじしながら言う小雪
俺はその様子に頭の上にはてなマークを浮かべる
「ボクを風間ファミリーに誘ってくれたでしょ?そのおかげでボク今こんなに楽しい気持ちで一杯だから!」
「…そうか、それならよかった」
小雪が顔を赤くしながら言ってきたことに俺はそれを笑いながら返事をする
「うん!だからね、隼人…」
「なんだ・・・」
小雪が俺が喋りきる前にマシュマロを口にいれる
「これはボクの気持ちだよーあはは!」
そう言って小雪もみんなと一緒に写真を見に行った
俺は口に入れられたマシュマロを咀嚼して味わう
「…甘いな」
口に含んだマシュマロが雪解けのように溶けてその甘みが口一杯に広がる
それを飲み込み俺はみんなと一緒に笑い合っている小雪を見る
「良かったな、小雪」
そう呟き俺もみんなが見ている写真を見に向かうのだった…
どうも、ミスターキシドーです!
今回はリュゼツランと小雪編です!
前々から京のポジションに小雪を差し替えて出したらいいんじゃないかなぁ?
何て思って今回一緒にして書いてみました
と言ってもリュウゼツランはあんまり多くは触れなかったですけど…
今の時点ではまだ好感度の高いだけで小雪ちゃんはほの字まで行ってませんね
今後の進行の進み具合で小雪ちゃんの好感度アップ回を予定してます
なので小雪ちゃん好きの方、安心してください小雪ちゃんのヒロインは確定ですよ
それと、そろそろ更新ペースが落ちるかもしれないです
いや、できる限りは頑張って書くんですけど今までみたいに毎日更新並みのペースは難しいかもですね
もともと亀更新のタグがついてるんですけどねw
それではそろそろこの辺りで…ノシ