俺たちは道場に集まって模擬試合を行うことにした
対戦の組み合は俺と由紀江だ
先ほどは話し合いですこし間をとってしまったが今度はしっかりと気持ちを引き締める
道場の真ん中で俺と由紀江が向かい合う
それを少し離れた位置で見る師匠たち
開始の合図を出しに大成さんが前に出る
「それでは、これより櫛灘 隼人対黛 由紀江の試合を行う」
俺たちの空気がすこし張り詰める
緊張した雰囲気が道場中に伝わる
こうしてお互い向かい合って初めてわかる…彼女は強い
百代ほどではないが千影といい勝負の才を持っているのだろう
これは、すこし真面目にいかなければならないかもしれないな…
そして試合が大成さんの最後の言葉で始まる
「試合…始め!」
そのかけ声と共に由紀江は光速とも言っていいほどの速さで抜刀術を俺に向けて放つ
俺はほぼ反射的に体が反応しその抜刀を下にしゃがみ避ける
しかし、それは悪手だったらしくすかさず由紀江が俺に向けて鞘で追撃を行う
それを手でガードするが衝撃を殺しきれず思わず後ろにすこしよろけてしまう
その隙を逃さす手に持った鞘を捨て刀で斬りかかる由紀江
「はぁ!」
懇親とも言える一撃を俺は
「くっ!」
真剣白刃取りでなんとか受け止める
あとすこし、それこそ0コンマ1秒の世界の差で直撃をもらうところだった…
俺はすかさず白刃取りした刀を由紀江の手から奪うようにねじる
だが由紀江もそれを受け入れるわけもなく力の抜けるほんの一瞬のうちに刀を俺の手から引き抜く
そして初期の位置にまで戻り構える
俺もすかさず距離をとり構える
ここまでの流れに5秒も経っていない…しかし、今の攻防は俺の神経をだいぶすり減らしたようだ
俺の額に冷や汗が流れたのを感じた、まさかここまでとは…
そんな俺の様子を見て由紀江が言った
「すごいです、今の一撃で決めるつもりでしたのに…まさか避けられるだなんて」
「こっちこそ驚いたさ、まさか最初から決めにかかるだなんて…しかもここ最近受けた攻撃の中で一番早い攻撃だった」
俺等の顔はおそらくお互い真剣そのものになっているであろう
お互いが今の一瞬で相手の力量が理解できたことは明白だ
ならば今度は…
「小手調なんて可愛いものじゃない、本気の本気で来るってことだな由紀江」
「えぇ、事前に父上から隼人さんのことはある程度聞いてました…そして初めて見たときから決めてました」
由紀江はさらに気を静かに、けれども強く高める
「隼人さんを相手にするときは、全力でいくと!」
そう言って刀の構えを上段にあげる
…来る!
「はぁ!!」
由紀江の太刀筋は先程よりも鋭く早い
だが、俺は今度はしっかりと攻撃に合わせて由紀江の懐に入り込み由紀江の腕を掴み武器を持つ手を捻る
その拍子に由紀江は手に持っていた刀を手放してしまう
「くぁ!」
由紀江はその痛みに顔を歪める
すかさず俺は由紀江をそのまま押さえ込みそのまま肩固めを決める
そこに
「そこまで!この試合、櫛灘流櫛灘隼人の勝ち!」
そう大成さんの声により試合は終えた
俺は決めていた肩固めを解き由紀江に手を差し出す
「いい試合だった、一歩間違えていたら俺が負けていたかもしれない」
俺がそう言うと慌てたように由紀江は俺に手を掴み言った
「い、いえ!こちらこそです!私も最後は完璧に斬りかかりを避けられてしまった挙句に技をかけ返されてしまいました…」
そう言ってすこし落ち込む由紀江
俺は由紀江の手を引っ張り立ち上がらせて言った
「いや今のはこちらに余裕ができていたからな、構える余裕と心の余裕があってこそだ」
「でしたら最初の時点で決められなかったのは本当に残念です…」
「そうだな、そこで場合によっては俺は負けていたかもしれないな」
あの時は日頃から鍛えていた反射行動が役に立った
もし本当に一瞬でも遅かったらあの最初の一撃で終わっていた
そしてそんな話し合う俺たちに師匠等が近づいてきて話しかけてくる
「見事の試合だった、久しぶりに胸が熱くなったよ二人とも」
大成さんがそう言って嬉しそうにする
師匠もそれに同意するかのように軽く頷いて言った
「うむ、特に最後の無刀取りは見事だったぞ隼人」
「あぁ、あれは完璧なタイミングでできていたな」
師匠等がそういって俺に話しかけてくる
『無刀取り』
かつての天才剣士と言われた柳生三厳こと、柳生十兵衛や柳生連也斎などを輩出した柳生一族の流派
柳生新陰流の代表的な柔術だ
相手の刀の斬りかかりに合わせて相手の懐に入り相手の刀を持つ手を両手で挟みこんで捻ると言う技で
一説には必ずしも相手の刀を取る、奪う事ではなく、自分が無刀の時に相手を制する技とも言われている
「以前から対武器相手に覚えていたんです」
前々から師匠が技の概要と扱うタイミングを教えてくれていたのだ
ただ、今まで試す機会が全くなかったので実戦で使ったのは今のが初めてだが
「あれは私も完璧に腕を取られてしまいました…」
「そうだな由紀江、今度は無刀取りに対する対処を教えておくとしよう」
「はい!是非!」
あちらはもうリベンジに燃えているのか無刀取りの対処法を学ぶようだ
そのあとはお互いそれぞれアドバイスをすこしもらい今日の鍛錬は終わりとなった
そして夕方になった
「紹介しよう、この子は末の娘の沙也佳だ」
「初めまして、黛 沙也佳と言います」
そう言ってお辞儀をする彼女
彼女は由紀江の妹の黛沙也佳というらしいが今まで友達と遊びに行っていていなかったようだ
そして先ほど帰ってきて今俺たちに自己紹介をしている
「初めまして、俺は櫛灘 隼人だ」
「わしは隼人の母親兼師匠の櫛灘 美雲じゃ」
俺たちも自己紹介をする
「お二人がお父さんが言っていた今日くるお客さんですね、すいません挨拶が遅れてしまって…」
そう言って申し訳なさそうにする紗也佳
どうやらこの子は年の割に精神年齢が高いのかしっかりとしている
「いや、かまわないよ。友達との約束も大事だと思うしな」
「そう言っていただけると助かります」
そう言ってにっこりと笑う
ふむ…姉妹の割には顔は似ていても性格はあまり似ていないようだな
どちらかというと妹の方が社交的にうかがえる
そう思っていると奥から家政婦さんがきてどうやら夕飯の準備ができたようなので伝えに来たと
俺たちは自己紹介もほどほどに夕飯をご馳走になることにした
夕飯の時
目の前に並ぶのは和食の定番とも言える米、魚、煮物、漬物、味噌汁など様々な料理が並んでいる
中でも鯛の刺身はその中でもひときわ目立つ
「今日は歓迎のつもりで豪勢にと頼んだのだ、さぁ北陸の海の幸を堪能してくれ…無論美雲の分は事前に聞いたものだけを並べているから安心してくれ」
「うむ、すまないの」
美雲師匠の前には俺たちとは少々内容が異なったものが置かれている
櫛灘流には不老不死の法と言ったものがあり通常は食べるものや量などは決まっている
途中に電車での駅弁でも必要最低限のものを摂取してあとは残していたのだ
なので今回の料理も事前に師匠は大成さんに伝えておいたのだろう
だが、そのことを知らない由紀江や沙也佳は疑問を持つ
「え?なんで美雲さんの料理だけ違うんですか?」
「うん、私も気になる」
そう二人は言う
その様子に俺と師匠は思わず顔を合わせて苦笑してしまう
そして師匠が大成さんに言った
「なんだ大成、わしのことを二人には教えておらんかったのか」
「うむ、そういえばすっかり忘れていたな」
そう言って大成さんも笑う
その様子を見た由紀江と沙也佳は頭にハテナマークを浮かべている
そして師匠は二人に説明を始めた
「そうじゃなぁ…ぬしらはわしがいくつに見えるか?」
師匠がそう聞くと二人はう〜んと悩み始めた
そして先に答えたのは由紀江だった
「25くらいでしょうか?隼人さんの年齢から考えて…」
「ハズレじゃ」
「違うんですか?」
そう言ってまた悩み始める由紀江
由紀江の回答に対して俺は
「ちなみにだが、俺と師匠は実の親子ではない。俺は養子だから俺の年齢と師匠の年齢は関係ないぞ」
俺がそういうと二人はすこしバツの悪そうな顔をする
しまったな、軽く言うことではないか…
そう思い俺はフォローをする
「気にしなくていい、血のつながりだけが絆ではないからな」
「隼人さん…」
そういうと二人はすこし気が楽になったのかまた考え始めた
そして次は沙也佳が答えた
「お父さんお昔の友人って言ってたからお父さんと同じくらいの40代とか?」
「ハズレじゃ、だがさっきよりは近いの」
そう言ってまた悩み始める二人
しかし答えが出ないのかだめだと二人は諦める
「すいません、わからないです…」
「全然わからないよ美雲さん」
「そうか、実際わしの年齢はとうに90を超えておる」
「「えぇ!?」」
そういうと二人は驚いたような顔をする
そしてすかさず言った
「またまたご冗談を…」
「そうですよ、どう見ても美雲さんは20代か言っても30代じゃないですか」
普通は二人の反応が正しいのだろうな
だが櫛灘流を知っている人間ならこの反応はしない
そのあと美雲師匠は二人に櫛灘流のことを話すと二人は驚いたようにしていた
そして師匠の料理についても理由がわかったようだ
「まさかそんなものがあるなんて…」
「ビックリだねお姉ちゃん…」
「はっはっは、世の中にはまだまだ色々な不思議が存在するもんだよ二人とも」
そう言ってニコニコ優しい笑みを浮かべる大成さん
娘二人の反応が面白かったのだろうな
その後は二人は師匠の話に興味があるのか師匠とずっと話をしていた
俺は逆に大成さんと二人で話しをしていた
「そういえば大成さん、奥さんは何処に?」
「あぁ、妻なら今は旅行に行っていてね。なんでも婦人会の友達たちと温泉に行ってくると…ほら写真だ」
そう言って携帯の写真を見せてくれる大成さん
そこには由紀江や沙也佳に似て丸い目で優しそうな印象のする清楚な印象がする女性が映っていた
「この人が…由紀江や沙也佳にそっくりですね」
「うむ、二人も将来妻に似て美人になるさ」
そう言って奥さんや娘のことを話し出す大成さん
どうやら黛家が家族仲は円満のようだ…
その後、夕食も終えて俺は部屋に戻り持ってきた荷物を整理していると部屋の戸をコンコンと叩く音が聞こえた
「あぁ、入って大丈夫だよ」
「失礼します」
そう言って入ってきたのは由紀江だった
「どうしたんだ由紀江?」
「いえ、その…」
「?」
何か言いたげな由紀江
なにやら歯切れが悪いが…
「どうしたんだ?何か用事か?」
「えっと…隼人さんに聞きたいことがありまして」
「俺に?」
「はい」
そういうと由紀江は俺の顔をまっすぐに見て言った
「隼人さんはどうして武術を習っているんですか?」
「武術を習っている理由?どうしたんだ急に…」
「いえ、私最近思っていることがありまして…」
そう言ってうつむく由紀江
どうやら何か悩みがあるようだな…しかし武術を習う理由か
初めは役に立つから、なんて気持ちだった
でも最近は…
「そうだな、いざという時に後悔したくないから」
「後悔…ですか?」
「あぁそうだ、初めはそれこそ自分の身を守るのに役に立つから程度に考えていた…だが、今は守りたい人たちができた」
そういって思い浮かべる千影や風間ファミリーのメンバーたち
「だから、いざという時に力が足らなくて守れないなんて…後悔はしたくないからな」
そう言って俺は自分の拳を強く握る
「本当に怖いのは、死ぬことよりもいざと言う時に何もできないことだからな」
俺のはそう言って由紀江を見る
俺の言葉に何かを感じたのか目をつぶって何かを考えている
そして静かに語り始めた
「私は父が始めて見せてくれた一太刀があまりにも綺麗で剣術を習い始めたんです」
そう言って手に持った刀を見つめる由紀江
「毎日毎日、辛くて苦しい鍛錬をこなしてきました…けれど辛くはありません、私がやりたいと決めたことですから」
刀から目をそらして窓から見える月を見る由紀江
「けれど、私はこの剣術を習っているせいで周りから怖がられてしまいます…守るべきの術を学んでも、守るべきものができない…それも守る術のせいで」
由紀江は悲しそうに月を見つめる
おそらく何かしらの過去のことを思い出しているのだろう
「最近、わからなくなってきたんです…なんのために剣術を学んでいるのか」
そういうと俺の方を向く由紀江
そして俺に向かって言った
「守るべきものがない私の剣は一体なんなんでしょか?」
そう言って今にも泣き出しそうな顔をする由紀江
おそらく今までこんなことを話せる相手がいなかったのだろう
なにせ周りに友達はおらず、妹は堅実を習っていない
ましてや父や母には言い出しずらかったのだろう
そこに来て初めての友達として俺が現れて、しかも俺は由紀江と同じように武術を習っている
だから俺に聞いたのだろう
だが…由紀江の考えは一つ間違っている
「由紀江」
「…はい」
俺はしっかりと由紀江の目を見て言う
「自分の意味を他人に聞いても意味はないぞ」
「え?」
「自分の学ぶことや自分の行動に一々他人が関係するのは結局は自分の答えじゃなく他の人間の答えだ…だから、武術に他人を求めるのは間違っている」
「…それならば隼人さんはどうなんですか」
「俺は俺のために武術を習っている、自分が守りたいから、自分が後悔したくないから強くなりたいと願っている…最終的には自分本意の理由だ。だけどな、俺はきちんと自分で決めた、自分の理由は他人じゃなく自分で決めなければいけない」
「なぜ…ですか?」
由紀江は真剣な目で俺を見る
「自分の心に自信を持たせるため、何より自分の心の剣がまっすぐ伸びるようにするためだ」
そう言って俺は自分の胸を叩く
その言葉に由紀江は目を丸くする
「自分の…自分の心の剣をまっすぐ伸びるようにするため…ですか」
「そうだ…それと間違えてはいけない」
俺は由紀江の目を見て優しく微笑む
「最終的に自分の心を救えるのは自分だけだ…由紀江が胸を張って言える現実だけが由紀江を由紀江にしてやれる…俺にできるのは後押しだけだ」
そう言って由紀江の頭を撫でて俺は部屋を出ようとする
「すこし、何にも兎らわれずに考えてみな…意外と簡単に見つかるかもしれないぞ」
そう言って俺は部屋を出た
その後俺は庭に出てぼんやり月を眺めているとしばらくして由紀江がやってきた
その顔は先ほどの俺に話しかけていた顔ではなく
晴れ晴れとした顔になっていた
そして由紀江は言った
「ありがとうございます」
俺に頭をさげる由紀江
「自分なりの答えが見つかったのか?」
「はい、考えてみてわかりました」
そう言って笑いながら由紀江は言った
「唯あの日の父のように、綺麗な一太刀ができるようになりたい…ただそれだけでした」
「それが由紀江の武術をやる理由か?」
「はい、深く考えずにただ自分がどうしたいかを考えたらこう結論づいたんです」
「そうか、いいんじゃないか?単純でわかりやすくて」
俺はそう言った
それに対して由紀江は
「そうですね、すごく単純でした…単純だから見えないものもあるんですね」
「そんなものさ」
そういって俺と由紀江は月を見上げる
その後は特に会話もなく時間が流れてそろそろ部屋に戻って寝るかと思い俺は言った
「そろそろ戻るか」
「そうですね」
そういって俺は立ち上がり部屋に戻ろうとした時
「隼人さん」
「ん?どうした」
由紀江に呼び止められた
そして由紀江は俺に言った
「もし…また何かあったら後押しをしてくれますか?」
そういってすこし頰を赤らめて上目遣い気味に言う由紀江
それにたいして俺は
「あぁ、いつでも押してやるよ」
そういって俺は後手に手を上げて部屋に戻った
こうして黛家に来ての1日目が終わったのだった…
どうも、ミスターキシドーです!
深夜の投稿だーーー!
なんか急に書き始めたら止まらなくなって一気に6000文字を書き上げました
まぁ、最後の方を見てわかるかもですけど…まゆっちはヒロインですよ?
真剣恋の中でも私が結婚したいキャラナンバーワンです!
ちなみに恋人にしたいキャラは燕さんが一位です
かわいいですよね〜まゆっち、後藤さんボイスで、料理も出来て、気立ても良くて、おまけにナイスバディ!
完璧です!
とまぁ、まゆっち談義はほどほどにして…
最近の近況をすこし
ここのところ暑い夏が終わってやっと秋に向けてだんだんと涼しさが見えてくるようになりましたね
私は最近は学校も夏休みで課題もなく部活もなくで…なんかニートの気分です
ずっと家の部屋でごろごろしてスマホゲームをする毎日ですね
え?それなら続きを書いて投稿しろ?…ナンノコトヤラサッパリダナー
でも、私iフォンなんですけど…最近リリースされたfateのアプリにはまってしまい
さいきんはずっとそればっかりですね
あ、フレンド募集してますからもしよろしければツイッターの方に送ってください
まだ私は弱いので誰か強い人が力になってくれないかなーなんて チラチラ
あ、あと別に他のことでもメッセージなど募集してますから自由に送ってください
できる限り返信はしますので
あとは普通にこちらでの感想と評価を募集してますので何とぞ宜しくお願いします
それでは長くなりましたのでここいらでノシ