どらン猫が使い魔   作:一匹犬

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2話「交流」

ジュニアを追って、気がつけば目の前には見慣れん奴らがおった。チエちゃん達とは違う髪の毛とか見ると……こいつらは外人か?

一番近くにいた桃髪のガキはパッと見チエちゃんの1、2歳くらい上か? 青髪のちいちゃいのんはチエちゃんくらい、黒いのんは成人辺りか。んで、青髪がまたがってるんは……なんやあれは!? トカゲ!?

 

「きゅい!(! 目を覚ましたのね!)」

 

!? 幻聴か? 今トカゲがしゃべった様な……ないか。疲れとるんやなワシも。

 

「い、今この猫しゃべらなかった? ねぇ、アンタ!」

 

あ、しゃべってもうてたか、迂闊やったなぁ。

 

「にゃ、にゃーご」

 

あかん。鳴くの久しぶりやからぎこちなくなってもうた。

 

「もう遅いわよ! アンタは何者なの!? どこか高名なメイジの使い魔じゃないわよね?」

 

明治? いや、違うな……メイジか。なんやそら。

 

「ワシはただの猫や。そういうお前さんらはアメリカ人か? それともヨーロッパのもんか?」

 

桃髪のガキに聞く。こういう髪色の奴らは白人ちゅうて日本人とは違う人種やったはずや。……まぁいうても白人なんてアメリカとかイギリスくらいしか分からんけど。グラマン元帥なら詳しそうやが。

 

「アメリカ? ヨーロッパ? 何を言ってるの?」

 

違うんかい。……いや、そもそもなんで日本語がペラペラなんや? 片言やのうて立派な日本語に聞こえる。十年、何十年と日本で暮らしてな無理やろここまで流暢に話すんは。

……あ! そういやジュニアがなんか言っとったな。日本人があーいう奇抜な姿に扮装するパーティー?があるって。えーと……なんちゅうたかな〜 こ、こ、こすぷれーやったか?

 

「その格好はこすぷれーちゅうやつか? ちゅうかここはどこや? 大阪……やないわな」

 

「こすぷれーとかおーさかって何よ。ここはトリステイン……ハルケギニアよ」

 

桃髪のガキが怪訝な顔で答えよる。大阪を知らん? やっぱ外人か? いや、外人でも東京、大阪くらいは知っとるはずやろ。

……それにこいつが言った地名。全く聞いた事ないな……日本国内なら旅したから分かるんやが外国には詳しないからなぁ……参った。

 

「何黙ってるの? ねぇいい加減名前教えてよ」

 

「……雷蔵や」

 

親しないやつに今の名前で呼ばれたないしな。これでええか。

 

「ライゾウ? 変な名前」

 

外人からしたらそうかもしれへんけど、大スターなんやけどな由来になった人は。……ん? 黒いのんが近づい……ってジュニアやないか!

 

「ねぇヴァリエール、なにもたもたしてるの?」

 

ジュニアが黒いのんの二つの胸に挟まれとる。窒息するぞ。

 

「そこの黒いの、そいつを離したってくれ」

 

「黒いのって私の事!? んもう! 失礼しちゃうわね、私はキュルケ……」

 

なんか長々としゃべっとるがまさか全部名前か?ちゅう事はやっぱ外人かこいつら。

……とにかくジュニアは暑苦しい黒いの……キュルケから解放された。

 

「おい、起きんかい」

 

ジュニアの頭をけっ飛ばす。こいつの石頭ぶりは親譲りなんでこんぐらいせんとびくともせん。

 

「ちょ、ちょっと乱暴にしないでよ私の猫ちゃんに!」

 

私のて……百合根はんにしばかれるぞ。

 

「んが!? ……むにゃむにゃ……親父、父さんのお経は10時間はやりすぎや〜」

 

まだ寝ぼけとるな。ちゅうかアントニオの法事は流石に夢に見るわなぁ。ワシも巻き添え喰らった時はかなわんかったし。

 

「しっかりせえ」

 

虚ろな目をしとるジュニアの横っ面をはたく。ノイローゼの真っ只中やから効果ないかもしれんが。

 

「……」

 

お、意識戻ったな。けど腑抜けたままや。今はなんの助けにもならんな……

 

「うわっ! 誰やこいつら! すげぇ! 小鉄! 外人やで外人!」

 

辺りを見回した後、いきなり大はしゃぎしよるジュニア。……あっさり治りよったな。

 

「猫ちゃん、ちょっといい?」

 

キュルケとかいうやつがジュニアに話し掛ける。

 

「!? なんや外人のデカイねーちゃんが日本語しゃべっとる!」

 

デカイ? 背はそんな言うほど高いとは思わんが……

とにかく、しばらく大騒ぎしてたジュニアに事情を話す。でかいトカゲ……ドラゴン言うらしいな。それとか見てファンタジーとかなんとか叫んでめっちゃ興奮しとる。

 

「すごいな。テレビでやってた冒険物みたいや」

 

テレビで? ワシはコタツが出てる冬以外滅多に見んし、見るとしても歌謡曲や漫才くらいやなぁ。

 

「ファンタジーってやつやで小鉄! 男のロマンの一つや。不思議な世界でヒーローになるんは」

 

ファンタジー……ねぇ。ワシはそういうのはよう分からん。

しかし……日本やない全く別の世界か……実感がわかんのう。パッと見変なもんは見えへんし、どっかの自然公園て言われてもおかしないで。

 

「ちょっと! コテツって何? あんたライゾウって名前じゃないの!?」

 

桃髪のガキの……ルイズとかいうんが詰め寄ってきた。全く……ジュニアに言うの忘れとったわ。言う暇もなかったけど。

 

「気にせんでええよ。猫間のあだなみたいなもんや。ワシの事は雷蔵でええから」

 

「小鉄、雷蔵て何の……むが」

 

これ以上ややこしぃしたないのでジュニアの口をふさぐ。

 

「まぁ、こんなとこでいつまでもしゃべってるのもつまらないし私の部屋でお話しない? ……えーと私の方の猫ちゃんのお名前は?」

 

「オレの事か? アントニオJr.や。ジュニアでええででっかいねーちゃん」

 

「でっかいってこの胸の事かしら? あらあら意外とお盛んなのかしらねジュニアちゃんは」

 

この黒いねーちゃん……キュルケやったか。こいつからはアントニオと同じ匂いがするなぁ。……おそらく、いや、間違いなく好色やろなぁ……ジュニアは父親が好色やからそういうのはお腹いっぱいでゲンナリしてるんやろ。

 

「あぁ、まぁ、うん、そうね……」

 

ゲンナリしてるジュニアがキュルケに返す。

 

「ライゾウちゃんも来る?」

 

「ルイズ……やったか? お前さんも来るんか?」

 

「冗談じゃないわ! なんでツェルプストーなんかと! それと私の事は御主人様と呼びなさいライゾウ!」

 

「あぁ、気が向いたらな」

 

ワシは誰かの飼い犬になるつもりはないけどな。

 

「そうは言うてもチエちゃんちにずっとおるやないか。あとオレらは猫やで」

 

言葉の綾や。ま、それよりも……早急に情報は欲しい。それをキュルケが教えてくれるんなら迷わずついていくべきやな。最悪このガキはほっといても構わんやろ。

 

「ワシも状況を把握したいからな。ついていくわ。お前さんも来た方がええやろ。手間が省けるやろし」

 

「むむむ……しょうがないわね。ツェルプストーと馴れ馴れしくするのは嫌だけどまずはあんたと交流しないとね」

 

やっと折れてくれたか。頑固やけどどうしようもないほど融通が利かんって訳でもないんやな。

 

 

 

その後ワシら4人とドラゴン……シルフィードを使い魔専用厩舎に預けたタバサもついてきて、5人で食堂で食う事になった。しかし……

 

「なんじゃこのでたらめに広いとこは」

 

ざっと二、三百人は入れそうやぞ。

 

「トリステイン魔法学院が誇るアルヴィーズ大食堂よ。貴族は衣食住全てを充実させてこそ貴族たりえるの」

 

ふーん……うちの店よりはるかに広いけどなんか息苦しい気がするけどなぁ。

 

「夕食までまだまだだし人はまばらね。私達は軽めに取るつもりだけど猫ちゃん達お腹はどう?」

 

「そういや腹減ってるなぁ〜 オレにも頼むわ〜」

 

ジュニアが気楽にご馳走になるつもりやな。う〜ん……ま、色々考えてもしゃあないか。とりあえずは腹を満たさんとな。

 

「好き嫌いはある?」

 

「なんでもいけるよ。適当でええ」

 

ワシが答える前にジュニアが答える。まぁ好き嫌い多かったら野良生活なんて出来んしな。

 

「! ……フムフム」

 

ちっちゃいの……タバサが何やら頷き店員?に注文しとる。

 

「見たか小鉄、あれメイドやでメイド」

 

? メイドっちゅうたら金持ちの所で働いてる女中やったか?

 

「テレビでメイド喫茶やっとったけどまさか自分が体験するとはなぁ〜」

 

なんかジュニアが浮かれとるが……思ったよりテレビ見とるんやなこいつ。

 

……で、目の前には豪勢な料理が。

 

「今更やけど動物に人間の料理やってええんか?」

 

「別に問題ないでしょ。使い魔になったらメイジの家族みたいなものだし誰も文句言わないわよ」

 

キュルケがジュニアを抱っこしながらワシの疑問に答える。ジュニア……

 

「まぁワシらは最悪自炊出来るからな」

 

外では鮒の塩漬け、人間のとこならジュニアはお好み焼き、ワシはホルモン焼きが出来るし。……いや、ここに調理機具なさそうやし厳しいか。

まぁとにかくワシも用意された子供用の椅子に腰掛け食べる事にする。

 

「……今更だけど、猫って二足歩行だったかしら」

 

ホントに今更やな。飼い猫はどうか知らんが野良生活で育ったもんは大抵二足歩行や。

 

「…………」

 

ワシの言葉を聞いて絶句しとるな。ここの奴らは違うんか?

 

「おぉ! うまいなこの魚!」

 

一方ジュニアは勢い良く食いもんをかっくらってご満悦やな。……パッと見何の魚か分からんが問題はないやろ。多分。

 

「そういえば二人が言ってたニホンってどこにあるの?」

 

「ここがどこら辺か分からんから答えようないな。ここがヨーロッパ辺りならずーっと東なんやけど」

 

「東!? あなた達ロバ・アル・カリイエから来たの!?」

 

「驢馬借り家? なんのことやねん」

 

その後驢馬なんとかの事やら地理の話をしたがいまいちピンとこんな。

 

「じゃ、いよいよ本題であるメイジと使い魔の関係について話しましょうか」

お、やっと本題かい。さて……どうなるんやろな。

 

 

 

 

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