そしてまた冬が来た。鷹志は想像力をふくらませながら大好きな白い空を見上げていた。
【鷹志】
「…………ん?」
【鷹志】
「ああ、そういえばまだ君がいたんだっけ」
【鷹志】
「ここまで付き合ってくれて本当にありがとう」
【鷹志】
「やっぱり君だけは特別だったのかもね」
【鷹志】
「これで僕の物語はおしまい」
【鷹志】
「なんて言うと素っ気無い気がするから、ちょっとだけ今の近況報告をさせてもらおうと思う」
【鷹志】
「まず今は、病気の治療が終わって将来のためにやりたい仕事を見つけて努力している。渡来さん、じゃなかった明日香さんとは羽田家で同棲をしている」
【鷹志】
「それは少しでも僕の傍にいたいという彼女の願いを叶えてあげるためだ」
【鷹志】
「叔父さんたちは新しい家族が増えて嬉しいと言ってくれたし、僕自身も彼女と一緒に暮らせてすごく嬉しいんだ」
【鷹志】
「羽田家のいつもの食卓に新しい食器が並べられている光景はなんだか微笑ましく新しい家族が増えたことに高揚感を覚える」
【鷹志】
「彼女がいてくれたからこそ僕はこの世界でも生きていけるんだ。明日香さんには何度お礼を言っても言い足りない」
【鷹志】
「これからも大好きな彼女と一緒に生きていこうと思う」
【鷹志】
「あ、そうだ。前に書いていた小説の件なんだけど祥玄社さんから文庫本にしたいという話が来たんだ」
【鷹志】
「編集の米田さんや玉泉さんから色々とアドバイスをもらいながらやっていこうかなとも考えている」
【鷹志】
「本になればたくさんの人たちに僕が書いた僕たちの物語を読んでもらえることになりそうだ」
【鷹志】
「退院してしばらくは書けないけど今後は本格的に始めようと思ってるんだ」
【鷹志】
「本になったら君にも読んで欲しいなあ」
【鷹志】
「今は僕にできる事を精一杯やりたいながら毎日忙しく過ごしているよ」
【鷹志】
「そして僕は、カウンセラーになるために勉強を頑張っている」
【鷹志】
「この仕事を選んだ理由はたくさんの同じように悩んでいるひとたちの力になりたいと考えたからだ。明日香さんや叔父さんたちも僕の夢を応援してくれている」
【鷹志】
「皆の幸せを願いながら、充実した毎日を過ごしながら、いつもと変わらない空を何度も見上げているよ」
【鷹志】
「千歳くんの好きだった夕暮れの茜色の空、成田くんがよく見上げていた真夜中の群青色の空、色々な色を描き出す空が僕は大好きだ」
【鷹志】
「病気も治ったしこの素晴らしい人生を楽しんでいこうと思う」
【鷹志】
「きっとこの空はかけがえのない未来につながっているんだ──」
【鷹志】
「──僕たちには翼はないけど未来へ向かって羽ばたいていくことはできるんだ」
【鷹志】
「そして僕たちの幸せな物語は、これからもささやかに続いていくんだ」
【鷹志】
「ありがとう。またいつか会える日を」
【鷹志】
「世界が平和でありますように」