ある日の鷹志と蔵人
Episode:Takashi
羽田鷹志 編
Chapter:Takashi Haneda
Wing of Hawk
Collection Of Short Stories
【鷹志】
「おはようございます針生さん」
【蔵人】
「ああ」
僕は針生さんに挨拶をして二人でゲームショップまで行く。
今日は針生さんに一日付き合うことになっているからその後の予定は入れていない。
最近だとこうやって二人だけで色々なところに出かけることが増えてきた
【鷹志】
「今日はこの店にしましょう」
店についてさっそくアドベンチャーゲームが並んでいる棚に移動する。
この店の品揃えは割といい方でレトロなゲームも置いてあったりして案外掘り出し物も見つかったりするかもしれない。
【蔵人】
「おい、羽田これはなんだァ?」
【鷹志】
「ああ、それは『SHUFFLE! ON THE STAGE』ですよ」
【蔵人】
「『SHUFFLE!』ならもう攻略したんだがこれは何が違うんだ?」
【鷹志】
「これは麻弓=タイムとカレハが攻略できるようになったんです。ほら、パッケージのヒロインが増えてるでしょ?」
【蔵人】
「なるほどな。攻略できるヒロインを増やすことで物語を紡いで行くわけか」
【鷹志】
「そうです! あ、ちなみにおれが一番好きなヒロインはー」
【蔵人】
「これとあと、何本か買っていくか」
【鷹志】
「じゃあ、俺はこの辺りにいるので何かあったら声をかけてくださいね」
僕は針生さんが見ている棚と別の棚に移動して携帯ゲームソフトを見ておこう。
携帯ゲームのコーナーに行くと目の前にある大きなコーナーのゲームが目に留まる
【鷹志】
「『月に寄りそう乙女の作法 〜ひだまりの日々〜』かあ。これは面白そうだな」
なんだか面白そうなゲームだ。
僕はこれにしようかな。
メーカーさんも僕が好きなメーカーで『SHUFFLE!』を作っているブランドのゲームみたいだ。
【鷹志】
「ん?」
ゲームを買おうとしているとあるものが目に入る。
【鷹志】
「あ、あれは!」
僕はすぐさまワゴンの中にあったそのCDを手に取る。
ああ、実はこのお店はゲームショップなんだけど中古のCDとかもワゴンで売ってるんだ。
【鷹志】
「『SHUFFLE! ドラマシリーズ』?」
パッケージに惹かれて見てみるとどうやら『SHUFFLE!』のドラマCDのようだ。
【鷹志】
「ということは」
CDの並んでいる棚を見てるとすぐにお目当てのCDを見つけることができた。
SHUFFLE! ドラマシリーズ FILE.03 芙蓉楓。
これだ、パッケージには僕の好きなキャラも楓のイラストが載っている。
どうしよう? これを買うべきなのか…………?
【蔵人】
「羽田、ちょっといいか」
【鷹志】
「なんですか?」
【蔵人】
「ソフトは買ったんだがゲーム機の本体を持ってないんだが」
【鷹志】
「なるほど。ハードの方ならこっちにありますよ」
僕たちはゲーム機本体が売っている場所に移動する。僕も新しいやつを買おうかな?
財布の中には四万ほどあるから本体を買ってさっきのソフトとCDを買ってちょうどいいくらいかな。
【鷹志】
「針生さんの買ってたソフトならこのハードがいいですよ」
僕は棚から安売りされた据え置きゲーム機を取る。
うわあ、このゲーム機こんなに安かったんだあ。
僕が買った時は発売当初と言うことでなかなか値段が落なかった。
今は発売して結構な時間が経っているから安く買うことができるんだろう。
【蔵人】
「お前は何を買ったんだ?」
【鷹志】
「おれはこれです」
僕はソフトの入った紙袋の中身を針生さんに見せる。
【蔵人】
「さすがはギャルゲーマイスター」
【鷹志】
「いやだなあ。マイスターだなんて、おれはひとよりも少しだけ詳しいだけですよ」
【蔵人】
「だが、俺にとっては羽田はギャルゲーマーの先輩だ」
いつもロックでかっこいい針生さんの先輩だなんてなんだか変な気もするけれど悪くないと感じる。
【鷹志】
「ギャルゲーは普通のゲームよりも奥が深いジャンルですよね」
【蔵人】
「そうだなァ。生半可な気持ちで極められるような浅はかなものじゃねェ」
【鷹志】
「針生さんおれと一緒に理想の世界の極地を目指しましょう!」
【蔵人】
「理想の世界だと!? そいつはどこにあるんだ?」
【鷹志】
「ギャルゲーをやっていたらきっと見つかりますよ!」
【蔵人】
「探索に行ってくるか」
【鷹志】
「ええ、おれももちろん行きますよ!」
【蔵人】
「行くぞ! 羽田!」
【鷹志】
「はいっ!」
僕は大きな返事をして針生さんと握手する。
そうだ、針生さんはギャルゲーマー仲間だ、針生さんとなら僕も理想の世界に飛び立つことができる。
そこには一体どんなものが待っているんだろう? ワクワクするなあ。
【鷹志】
「針生さん次のお店に行きましょう!」
僕たちは次のゲームショップへと急いだ。
休日はまだまだ時間がある。今日で回れるだけのゲームショップを回ろう。
【鷹志】
「次はこの店です。ここは掘り出し物がたくさんありますよ」
僕たちはネットで評判のゲームショップにやってきた。
ここは昔のギャルゲーとかがたくさんあってきっと自分に合うソフトを見つけることができるだろう。
早速店の中に入る。だけど針生さんはギャルゲーコーナーとは別の方向に歩き出した。
【鷹志】
「針生さんギャルゲーコーナーはそっちじゃないですよ」
【蔵人】
「あれを見ろ羽田」
【鷹志】
「あれは!!」
針生さんの指差す先にあるのはいかにもなひとたちがたくさんいそうな怪しいコーナーだった。
【鷹志】
「ここはギャルゲーのフェアがやっている場所みたいですね」
カートのワゴンの中には格安の値段設定のゲームがたくさん入れられている。
お一人様、5本まで!
【鷹志】
「これはお買い得ですよ! 針生さん」
1本500円もしない格安のゲームが買えるなんてラッキーだ。
僕はワゴンの中にあるゲームから自分がプレイしたことないものを選定する。
【蔵人】
「俺はこれだ」
針生さんはまるで音楽の調律者のような華麗さでソフトを次々にカゴに入れていく。
【鷹志】
「おれだって負けませんよ!」
ワゴンの前は僕たち二人だけの異様な空間が漂っている。
【蔵人】
「これで5本」
針生さんはあっという間に5本のソフトをカゴの中に入れレジへと向かう。
【鷹志】
「おれも5本です」
僕も5本のソフトをカゴに入れてレジに急ぐ。
【蔵人】
「急げ羽田! 理想の世界が俺たちを待っているんだ」
【鷹志】
「待ってください針生さん。おれもすぐにそっちに向かいます」
二人ほぼ同時にレジの前にたどり着く。
レジの中にいる店員が驚いた表情をしていたけどすぐに商品のバーコードを読み取っていく。
【店員】
「5本で1500円です」
【蔵人】
「イァーハー!」
針生さんは財布から勢いよくお金を取り出しちょうどぴったりの額をレジの上に叩きつけた。
店員さんはその迫力に圧倒される。
【店員】
「1500円ちょうどお預かりします」
ピッピッとレジに金額を打ち込んでソフトを袋に入れていく。
【蔵人】
「急いでくれ! 俺たちには時間がないんだ」
針生さんからの催促を受けて店員は萎縮しているが仕事はきっちりとこなしている。冷静だ!
【店員】
「それではレシートを──」
【店員】
「──お客様?」
早い!
針生さんはお会計を済ませるとすぐさま踵を返してギャルゲーコーナーへと床を滑っていく。
【鷹志】
「針生さん!」
【蔵人】
「羽田お前も会計を終わらせてすぐにこっちまで来い!」
【鷹志】
「おれはそんなに焦る必要はないんですよ」
ニヤリ! 僕は針生さんの言葉にほくそ笑んで答える。
【蔵人】
「ま、まさか!? お前」
【鷹志】
「そうです!」
僕は最初に買った5本のソフトと一緒に別のソフトをレジの上に置く。
【鷹志】
「おれはあの時にこの5本とは別にソフトをカゴに入れていたんです!」
【蔵人】
「何!?」
【鷹志】
「悪いですがおれの勝ちみたいですね。針生さん」
【鷹志】
「ギャルゲーマーはいかなる時だって常に先を事を読んで行動するんです」
僕が話をしているうちに店員が商品のバーコードを読み終えて金額がディスプレイに表示される。
【店員】
「10本で3500円になります」
僕はちょうどの金額を店員に渡して後ろを振り返る。
【蔵人】
「羽田、さすがだな」
針生さんのカゴには数本のソフトが入れられているこれからもう一度レジで会計を済ませるみたいだ。
【鷹志】
「じゃあ、おれは終わるまで待っているので終わったら声をかけてください」
針生さんの会計が終わるまで店の入口近くで待つことにしよう。
【鷹志】
「お目当てのソフトは見つかりましたか?」
【蔵人】
「あァ」
【鷹志】
「おれはこれから家に帰ってこのゲームをプレイするつもりですが針生さんはどうします?」
【蔵人】
「俺もそうさせてもらうよ。ギャルゲーの果てにある理想の世界を早く見てみたいからな」
僕たちは夕方になった柳木原をあとにして家路に着く。
【鷹志】
「ただいま」
幸い今日は家に誰もいない。思う存分ゲームをやることができる。
【鷹志】
「さあ! ゲームスタート」
ゲーム機の電源を入れてディスクが読み込まれている間下に降りて飲み物を準備してこよう。
今日は長丁場になりそうだ。
渡来さんという彼女がいながら美少女ゲームをやるのはどうかなとも思うんだけど、別にいいよねこれくらいは。
僕は新しいヒロインとの出会いを待ち焦がれながらゲームを進めていくのだった。
僕はコントローラーを握りヒロインを攻略する──
【鷹志】
「──楽しいなあ」
夜はまだまだ更ける気配はなかった。その日僕が寝不足になったのは言うまでもない。
今回はショートストーリーを書いてみました。
ショートストーリーは3000~5000文字程度で仕上げていきたいと考えています
それでは次の更新をお楽しみに!