Winter Trivial  Story   作:南雲悠介

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 久しぶりに家でのんびりと過ごす鷹志。小鳩は吉川を家に連れて来て遊んでいるのを見てとても微笑ましく思うのだった。


鷹志の日常 ~アフターデイ~

 Episode:Takashi

 

 羽田鷹志 編

 

 Chapter:Takashi Haneda

 

 Wing of Hawk

 

 Collection Of Short Stories

 

 

【鷹志】

「今日はこの辺かな」

 

 ノートを閉じて小休止。今日は一日家でのんびりと過ごすことになっている。

 

 渡来さんと電話でたまにはお互いに一人でいる時間を大切にしようと話をした。

 

 確かにその通りだなと思う。

 

 渡来さんといるのはすごく楽しいんだ。

 

 だけど、彼女も僕だけに構っているわけにもいかないだろうし、一人も好きな彼女にとって自分の時間が何よりも必要だったりすることもあるだろう。

 

 僕はいつも一人でいることが多かったからそういうのには慣れてる。

 

 パソコンを立ち上げてネットで話題のニュースを見て掲示板を巡回する。

 

 最近ではコミュニティサイトとかにも顔を出してネット内の知り合いもそれなりにできた。

 

 知り合いは多い方がいいからね。

 

 オフ会に誘ってもらえるのはすごく嬉しい。今度参加してみたいとも考えているんだ。

 

 喉が渇いたから下で何かを飲んでこよう。部屋を出てすぐに小鳩のことが気になった。

 

【鷹志】

「おはよう。小鳩は起きてるかい?」

 

 小鳩の部屋の外から呼びかけてみる。もう起きているかもしれない。

 

【小鳩】

「タカシお兄ちゃんおはよう。今日はどうしたの?」

 

【鷹志】

「今日おれは一日家にいるんだけど、小鳩はどこかに出かけたりする予定はあるの?」

 

【小鳩】

「うーん、そういうのはないかな」

 

【鷹志】

「そう、でもおれが家にいると友達とかを呼びづらいんじゃないの?」

 

【小鳩】

「それはないかなー」

 

【鷹志】

「だったら家に友達を呼んで来なよ。その方が楽しいと思うんだ」

 

【小鳩】

「えっ……いいの?」

 

【鷹志】

「うん。別に僕に遠慮することはないよ。小鳩には楽しんでほしいんだ」

 

【小鳩】

「じゃあ、吉川さんを呼ぼうかな」

 

 吉川さん。小鳩の友達で一番仲がいい女の子だ。

 

 いつも仲良くしてくれているから会った時にお礼を言おうと思う。

 

 僕は下から飲み物とコップを持って自分の部屋に戻った。

 

 

【鷹志】

「ふう」

 

 時計を見ながら今日のスケジュールを立てていく。午後まで勉強してそれからはゆっくりと過ごそう。

 

 入院する日も日に日に近くなってきている。それまでにできるだけのことはやっておきたいんだ。

 

 カレンダーには卒業式の日に丸を付けてある。

 

 前まではカレンダーなんて気にしたことはなかったのだけれど、叔父さんたちが余っている分を僕にくれた。

 

 学生生活は色々あった気もするけれど思い出がたくさんある。

 

 この部屋にカレンダー一つあっても殺風景な気もするんだけどね。

 

 僕は再び机に向かってノートを広げた。

 

 

【鷹志】

「今日はこの辺にしておこう」

 

 区切りのいい所で勉強を終えてさっき持ってきたコップを流しに置いてこよう。

 

【小鳩】

「あ」

 

【鷹志】

「?」

 

【吉川】

「お、お邪魔してます!」

 

【鷹志】

「やあ、吉川さん。いらっしゃい」

 

 小鳩は友達の吉川さんを連れてきたみたいだ。吉川さんはいつも小鳩と仲良くしてくれてる。

 

【鷹志】

「吉川さん。いつも小鳩と仲良くしてくれて本当にありがとう!」

 

【吉川】

「い、いえ、私の方こそいつも羽田さんにはお世話になっています」

 

 すごく礼儀正しい子だなあ。きっといい所のお嬢さんなのかもしれない。

 

【鷹志】

「二人の邪魔をしたら悪いね。それじゃあおれは部屋に戻るよ」

 

【吉川】

「お邪魔なんてそんな! 私、いつか羽田さんのお兄さんとお話してみたいと思っていたんです」

 

【小鳩】

「私たちこれから居間でお話しようと思ってたの」

 

【鷹志】

「そうなんだ。おれは勉強が今一段落したからゆっくりと過ごそうかなと」

 

【吉川】

「あ、あのっ!」

 

【鷹志】

「何かな?」

 

【吉川】

「良かったらお兄さんも私たちの話に加わってくれませんか?」

 

【鷹志】

「えっ……? でも女の子同士の話に僕が入っても大丈夫なのかな」

 

【小鳩】

「別に平気だと思うよ」

 

 小鳩と一緒に過ごすのも悪くない気がする。

 

 思えば最近は忙しさにかまけて小鳩に構って挙げられていなかった気がする。

 

 お兄ちゃんとして小鳩にできることは何でもやってあげたい。

 

 それが僕なりの優しさだろうから。

 

【鷹志】

「それじゃあ、午後は三人で過ごそうか」

 

【吉川】

「やったね!」

 

【鷹志】

「なるほど。吉川さんはいつも小鳩と仲良くしてくれてるんだね」

 

【鷹志】

「昨日買っておいたジュースがあるんだ。ちょっと持ってくるよ」

 

【吉川】

「あ、お構いなく」

 

【鷹志】

「お客さんが来たんだからそのくらいのことはしないとね」

 

 僕は立ち上がって台所に行って三人分のコップを用意してジュースを注ぐ。

 

 まあ、一人でも飲みきれる量だけど皆に飲んでもらうのも悪くない。

 

 

【鷹志】

「おまたせ」

 

【小鳩】

「お兄ちゃんありがとう」

 

【吉川】

「ありがとうございます」

 

【鷹志】

「どういたしまして」

 

 小鳩と吉川さんの前にコップを置いてから僕は座布団に座る。

 

 吉川さんは座布団に正座をする。育ちの良さを感じることができた。

 

【吉川】

「今度はお兄さんの事を聞かせてもらえませんか?」

 

【小鳩】

「それだったら私から聞けばいいよ吉川さん」

 

【吉川】

「羽田さんから聞くのも良いんだけど私はお兄さんに直接聞いてみたいなー」

 

【小鳩】

「そうなんだ」

 

【鷹志】

「うーん。何から話したらいいんだろう」

 

【小鳩】

「なんでもいいと思うよ」

 

【鷹志】

「それだったらおれの周りにいる素敵な人たちについて話をしようかな」

 

【鷹志】

「これはおれの周りにいる人たちの話なんだけどね──」

 

 ──僕は自分の周りにいるとても愉快で素敵な人たちのことを話すことにした。

 

【吉川】

「お兄さんのお話とっても面白いです」

 

【鷹志】

「そう? それなら良かったよ」

 

 僕は三人分のジュースをいれるために台所に向かう。

 

 冷蔵庫には僕が買っておいたジュースがまだ残っている。

 

 一人じゃ飲みきれなかったから丁度いいや。

 

【鷹志】

「おまたせ」

 

【小鳩】

「ありがとう」

 

【吉川】

「ありがとうございます!」

 

【鷹志】

「ちょっと酸っぱいと思うけどね」

 

【鷹志】

「おれは炭酸のジュースは苦手なんだ」

 

 あ、そういえばネットで見たんだけど、ジュースっていうのは果汁が100パーセントのものを言うみたいなんだ。

 

 コーラやサイダーなんかの炭酸飲料は清涼飲料水と呼ばれることがある。

 

 飲み物ひとつでも様々な分類があって面白いなと思う。

 

【小鳩】

「私も炭酸はあんまり好きじゃないかな」

 

【吉川】

「確か炭酸を飲むと骨が溶けちゃうって言うのを聞いたことあります」

 

【小鳩】

「そうなの?」

 

【鷹志】

「それはおれも聞いたことがあるよ」

 

【小鳩】

「どうしてそういうふうに言われてるのかな?」

 

【鷹志】

「うーん、どうだろう? 炭酸ってあまり体に良いとは言えないからね。子どもに飲ませないために大人がそういう風に言ったのかもしれないね」

 

【鷹志】

「実際お酒とかは炭酸で割っているやつとかが割と多かったりするからね」

 

【小鳩】

「そうなんだ」

 

【吉川】

「お父さんが飲んでるお酒もシュワシュワしてました」

 

【鷹志】

「お酒を飲むのは大人の楽しみでもあるからね」

 

【鷹志】

「ジュースみたいだと間違って飲んじゃう子どもとかもいるんじゃないかな?」

 

 僕にはそういう楽しみは分からないけれど、大人になったらお酒を嗜むようになるんだんろう。

 

【鷹志】

「お菓子もあるからいっぱい食べてよ」

 

【小鳩】

「ありがとう」

 

【吉川】

「お兄さんは本当に優しいんですねー」

 

【鷹志】

「そんなことはないよ。吉川さんは小鳩の大切な友達だからね。これからも小鳩と仲良くしてあげてね」

 

【吉川】

「はい!」

 

 楽しい時間はあっという間に過ぎていった。

 

 僕は久しぶりにゆっくりと小鳩と話ができて本当に良かったと思う。

 

【小鳩】

「それじゃあ、私は吉川さんを送ってくるから」

 

【鷹志】

「待って小鳩、おれも行くよ」

 

 吉川さんが帰る時間になったから送っていくことに。

 

 僕はすぐに支度をして小鳩と一緒に家を出た。

 

 吉川さんを家まで送って帰る。

 

 空には星空が広がっていた明日もいい日になりますようにと祈った。

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