今までの感謝の気持ちを小鳩に伝えてから明日香と二人で白い空の下をゆっくりと歩いていく。
二人の見上げた空は変わらない青が広がっているのだった。
Episode:Takashi
羽田鷹志 編
Chapter:Takashi Haneda
Wing of Hawk
Collection Of Short Stories
【鷹志】
「懐かしいなあ」
柳木原の空はいつもと同じ色。僕が大好きだった町はあの頃とちっとも変わってない。
結構な時間離れていたのにすぐに住んでいた時のことを思い出すことができた。
ずっと離れていただけなのに戻ってきたらすごく懐かしさを感じる。
【鷹志】
「ただいま」
【小鳩】
「おかえりなさい。タカシお兄ちゃん」
家に入るとすぐに小鳩が迎えに来てくれた。
少し大人びて髪が伸びた妹の成長を嬉しく思い小鳩の頭の上に手を置く。
【鷹志】
「今まで僕たちのために本当にありがとう。よく頑張ったね」
【小鳩】
「えっ……?」
今まで僕たちの為に頑張ってきてくれた小鳩に感謝の言葉を伝える。
僕の言葉に小鳩は涙を流した。
【鷹志】
「これからは小鳩は自分の事を優先していいから。お兄ちゃんはもう大丈夫だから」
大切な妹。ありがとう僕たちのプリンス。
部屋に戻ってから僕はケータイを開いてとある番号へ電話をかける。
そう、僕が退院するのを一番待っていてくれた人に。
呼び出し音が鳴ってからすぐに電話に出てくれた。
【鷹志】
「もしもし渡来さん?」
【明日香】
「お帰りなさい」
【鷹志】
「ただいま。今、家に帰ってきたところなんだ。これから会えないかな?」
【明日香】
「いいよ、すぐに支度するから」
電話を切って服を着替える。長らく留守にしていた自分の部屋を見渡してもいつもと変わらない。
【鷹志】
「帰ってきたんだなあ」
これからはずっとこの街で過ごして行くことになる。今度は生まれ育ったあの街にもう一度行ってみたいと考えていた。
でも、その前に彼女に会いたい。気持ちを昂ぶらせながら待ち合わせの場所まで歩く。
通学路として使っていた道はいつもと変わらない静かな道だった。
何もかもが変わらないこの街で変わらない日常を送ることになるんだろう。
大好きな空を見上げるとそこには晴れ渡った空に青が広がっていた。
【明日香】
「お待たせー」
【鷹志】
「僕もついさっき着いたところだよ」
【明日香】
「て言うか羽田君、髪伸びた?」
【鷹志】
「そうかなあ? 自分ではそこまで長くはないと思うんだけどね」
【明日香】
「なんて言うか表情も豊かになったね。うん、いい顔だ」
【鷹志】
「ありがとう」
今日の彼女は一段とテンションが高い。僕も彼女に会えたことが嬉しく気持ちが高ぶっていた。
【明日香】
「久しぶりに羽田君の顔を見たから嬉しくて」
【鷹志】
「僕も渡来さんに会えてすごく嬉しいよ」
【明日香】
「じゃあ、改めて。お帰りなさい」
渡来さんを抱きしめてただいまを言う。
この感触も随分と久しぶりだ。世界で僕一人だけがこの幸せを得ることができる。
【明日香】
「あーそーだーひとついいかな?」
【鷹志】
「なに?」
【明日香】
「もう渡来さんて呼び方はやめてね」
【鷹志】
「じゃあ名前で呼べばいいのかな?」
渡来さんを名前で呼ぶなんて照れくさい、だけど実は退院する前に少しだけ練習をしていたんだ。
僕は深呼吸をひとつして口を開く。
【鷹志】
「あ、明日香さん……これでいいかな?」
【明日香】
「うん、バッチリ!」
お互いに名前で呼び合いながら彼女との距離を縮めて行く。
【鷹志】
「明日香さんは今日は大学休みなの?」
【明日香】
「ううん、鷹志君が帰って来るって分かってたから今日は休んだの」
【鷹志】
「ダメだよちゃんと大学にはいかないと」
【明日香】
「大学の講義よりも大切なことがあったんだしそっちを優先してもよくない?」
【鷹志】
「ずっと待っていてくれたんだね。ありがとう」
【明日香】
「付き合い始めてすぐに離れることになっちゃったしね」
【鷹志】
「僕も治療が思った以上に早く終わって良かったと思ってるよ」
僕は学校を卒業してから4年ほど病気の治療の為に入院していた。
正直もっと時間がかかるものだと思っていたけれど早く治すことができた。
千歳くんや成田くんが貯めておいてくれたお金を治療費に充てた。
ヨージくん。僕はもう大丈夫だよ。これからは僕が小鳩のことを守っていくから。
【鷹志】
「明日香さんの話を色々と聞きたいなあ」
【明日香】
「私の話?」
【鷹志】
「そう、大学でどういうふうに過ごしているのかなってさ」
【明日香】
「ふーん」
【鷹志】
「明日香さんは綺麗だし。男子生徒からの人気も高いんじゃない?」
【明日香】
「確かにしつこく声をかけてくる男は多いよ」
【鷹志】
「明日香さんは美人で頭も良くて素敵な女性だから声をかけたくなる気持ちも分からなくはないよ」
【明日香】
「なんかそこまで褒められると照れるなあ」
顔を下に向けて照れている彼女はすごく可愛いと思う。こういう表情が見れるのは僕だけなんだ。
【明日香】
「彼女が他の男に声をかけられてもなにも感じないの?」
【鷹志】
「大丈夫。僕は明日香さん事を信じているからね」
【明日香】
「おお! 言うようになったねー」
僕たちは青空の下をゆっくりと歩く。今日はいつもよりも遅く時間が過ぎて行くと感じた。
【明日香】
「これからどうする?」
【鷹志】
「うーん、そうだなあ。戻って来たし皆に会いたいな」
【明日香】
「皆?」
【鷹志】
「僕の大切なひとたちだよ。会いに行きたいなあ」
【明日香】
「いいよ、それじゃあ会いに行こうか」
【鷹志】
「うん」
僕は大切な人たちとの<再会>を心待ちにしながら柳木原へ向かった。
【鷹志】
「まずはここかな」
レストランアレキサンダーの前に立つ。
ここは僕の弟の千歳くんが働いていた場所で僕も何回かここで仕事をしたことがある。
ここにいる人たちはすごく元気でとても愉快なひとばかりだ。
その輪の中に入ると僕も自然と楽しい気持ちになれる。
【英里子】
「いらっしゃいませ。んーもしかしてお前、鷹志か?」
【鷹志】
「こんにちは英里子さん」
【英里子】
「嘘、マジで鷹志じゃん! 久しぶりー」
【英里子】
「今日は明日香さんも一緒なんだ。とりあえず席まで案内するよ」
僕たちは英里子さんに席まで案内してもらいメニューを開いた。
【鷹志】
「明日香さんはなににする?」
【明日香】
「何にしようかな~」
【鷹志】
「選んでいていいよ。僕は軽部店長に挨拶してくるから」
【明日香】
「はーい」
僕は席を立ってカウンターに行く。今日は鳳くんはいないみたいだ、彼に会えたら挨拶をしておこう。
【狩男】
「お、鷹志じゃないか! 久しぶりだな」
【鷹志】
「こんにちは。治療が終わって今朝こっちに帰って来たんです」
【狩男】
「そうか、実は俺もお前の病気の状況が気になっていたんだ」
【狩男】
「お前はしばらくここで働いていてくれていたからな。俺たちは帰ってくるのを心待ちにしてたぞ」
【鷹志】
「店長さん」
【狩男】
「色々大変だと思うが困ったときはいつだってここに来い! 話くらいは聞いてやるから」
【鷹志】
「ありがとうございます」
軽部店長の暖かい人間性に感謝したい。やっぱりここにいる人たちは素敵なひとばかりだ。
【紀奈子】
「あれ? もしかして鷹志君」
【鷹志】
「紀奈子さん。こんにちは」
【紀奈子】
「うっそ~戻って来てたんだ! またあえて嬉しいよ」
【鷹志】
「今朝こっちに来たんです」
【紀奈子】
「そうなんだ~じゃあ、今日はお祝いパーティでもやる?」
【鷹志】
「えっ……?」
【狩男】
「お、望月君いい事を言った! 鷹志が戻って来たのを祝うパーティーをやろうじゃないか!」
【英里子】
「いいっすねー最近そういうイベントが無かったし」
【狩男】
「じゃあ決まりだ。夜に店を貸切にしてパーティするからな! 人を呼んで来い!」
【鷹志】
「あはは、ありがとうございます」
僕が戻ってきた事をお祝いしてくれるなんて本当にありがたい。
僕のお世話になった人たちを呼んで楽しんでもらおう。
【鷹志】
「すみません。おれ渡来さんを待たせてるので」
【狩男】
「そうか、まあ、色々と行くところもあるだろうしそれまではゆっくりしていけよ」
軽部店長はすぐに仕事に戻る。僕も席に戻ろう、明日香さんを待たせちゃ悪いからね。
【鷹志】
「お待たせ、ごめん話が長引いちゃって」
【明日香】
「羽田君の分も注文しておいたから。私と一緒ので良かった?」
【鷹志】
「うん、いいよ。ありがとう」
【明日香】
「店長さんと何の話をしてたの?」
【鷹志】
「僕がこっちに戻ってきた事をお祝いしてくれるんだって。今日の夜に店を貸切にしてパーティーをするんだ」
【明日香】
「そういう賑やかなのはいいよね」
【鷹志】
「そうだね、たくさんのひとたちに楽しんでほしいなあ」
食事を終えて店を出る。夜にもう一度戻ってくるのだけどそれまでに会っておきたい人たちがある。
【鷹志】
「それじゃあ行こうか?」
【明日香】
「うん」
僕たちはアレキサンダーを後にして次の場所に行くことにした。
早くみんなに会いたいと思う気持ちがわいてくる。
【鷹志】
「鳳さんこんにちは」
【鳴】
「あードラさんじゃないですか! いつ帰ってきたんですか」
【鷹志】
「今朝こっちに帰ってきたんだ。鳳さんも元気そうで何よりだよ」
【鳴】
「私はいつだって元気ですよ~」
【鷹志】
「ああそうだ。鳳さんは今日の夜は予定はあるのかな?」
【鳴】
「特に無いですね~どうしてですか?」
【鷹志】
「実はアレキサンダーでおれが戻って来たのをお祝いするパーティーがあるんだ。だから鳳さんにも参加して欲しいなって思ってね」
【鳴】
「えっ……私が行っちゃってもいいんですか?」
【鷹志】
「うん、おれも鳳さんが来てくれるなら嬉しいなあ。あ、誰か友達とかいれば誘っても構わないからね」
【鳴】
「ありがとうございます。じゃあ、亜衣ちゃんを誘ってみようかな~」
【鷹志】
「おれも他の知り合いに色々と声をかけてみるから。時間は夜の19時にアレキサンダーに集合だからね」
【鳴】
「分かりました~それじゃあまた後で」
【鷹志】
「うん、それじゃあね鳳さん」
鳳さんとの会話を終えて次の目的地に行く前にポケットから携帯を出す。
【明日香】
「誰かに電話するの?」
【鷹志】
「うん、森里くんにね。親友を誘わないわけにはいかないからね」
【明日香】
「羽田君らしいね」
【鷹志】
「ちょっとごめんね」
電話帳から森里くんの番号を検索して通話ボタンを押す。出てくれるといいけど。
【和馬】
「もしもしー」
【鷹志】
「あ、森里くん久しぶり。おれ、羽田だよ」
【和馬】
「おお! 羽田か、久しぶりーいつこっちに戻ってきたんだ?」
【鷹志】
「今朝帰って来たんだ。それでね、ちょっと森里くんの声が聞きたくなって電話したんだ」
【和馬】
「お、おう。そうか……」
【鷹志】
「実は今日の19時からおれが戻って来たのを祝うパーティーがあるんだけど森里くんは参加できるかな?」
【和馬】
「19時な、いいぜ。参加できるよ」
【鷹志】
「そうなんだ。ありがとう」
【和馬】
「大輔やLRさんも誘って行くからな」
【鷹志】
「うん、YFBの皆に会えるのはすごく嬉しいよ」
【和馬】
「場所はどこなんだ?」
【鷹志】
「レストランアレキサンダー。森里くんも何回か行ったことがあるでしょ?」
【和馬】
「アレキサンダーね。了解」
【鷹志】
「貸切でやるから森里くんも知り合いがいたら連れてきていいから」
【和馬】
「俺の知り合いは羽田も知ってるやつ多いだろ」
【鷹志】
「そうだね、あ、ごめん森里くん。これから皆に帰って来たのを報告しに行くからそろそろ電話を切るよ」
【和馬】
「おう、またな」
【鷹志】
「うん、それじゃあ」
通話終了ボタンを押して携帯をポケット入れる。
【明日香】
「森里君来れるんだー」
【鷹志】
「うん。YFBのみんなも来るみたいだし賑やかになりそうだよ」
【明日香】
「そうだね。やっぱりタカシ君は皆に好かれてると思うよ」
【鷹志】
「そうかなあ」
【明日香】
「そうだよ。だって普通ならこういうことに誘われても断ったりできるでしょ? でも、鳴ちゃんや森里君もそうだけど皆がタカシ君が戻って来た事をお祝いしたいと思ってるし」
【明日香】
「本当にすごいと思うよ。それに私の彼氏は世界一優しいひとだしね」
【鷹志】
「優しさか」
牧師のおじいさんは優しさという強さを諭してくれた。
あの時は言っている事の意味があまり分からなかったけれど今なら分かる気がする。
誰にでも優しいということは人の弱さを受け入れることができる人間なんだ。
僕は弱い人間でいつも自分の殻にばかり引きこもっていた。
自分の理想に都合のいい世界で逃避をして救国の勇者だという事を信じていた。
だけど今は違う。辛いことや苦しいことにも向かい合って前に進んで行けるようになれた。
ここはとてものどかな国で、心のやさしいひとしかこの国には居ないんだ。
僕を支えてくれたたくさんのひとたちに感謝したい。
【明日香】
「誰でも優しく出来るっていうのは心が広くて他人の弱さを受け入れられる強い人間なんだと思う」
【明日香】
「私もタカシ君みたいに想像力が豊かな人になりたい」
【明日香】
「一緒に変わっていける空を眺めていたい」
【鷹志】
「明日香さん」
【明日香】
「これからはずっと一緒だからね。言っておくけど私ずっと寂しい想いをしてたんだから」
【鷹志】
「分かってるよ。だから僕はこれから先はずっと君の傍にいるから」
明日香さんが伸ばしてきた手を取って手を繋ぐ。これからは一人じゃない大好きな人がいてくれる。
【鷹志】
「先に針生さんに電話をかけるよ」
ロックでかっこいい針生さん。いつもどんなことにも真剣で色んな事を研究している。
僕たちは二人で色々な場所に行った。僕にとってそれはいい経験になった。
【鷹志】
「もしもし、針生さんですか? おれです。羽田です」
【蔵人】
『タカシか、どうした』
【鷹志】
「お久しぶりです。おれ今朝こっちに戻ってきたばかりなんです」
【蔵人】
『そうかァ、で、俺に何か用があるんでしょ』
【鷹志】
「実は今日アレキサンダーでおれが戻ってきた事をお祝いするパーティーがあるんですが針生さんにも来て欲しいなあと思って電話したんです」
【蔵人】
『わざわざご苦労なことだな』
【鷹志】
「良いですよ。おれにとって針生さんは誰よりもかっこよくて尊敬できる人ですから」
【蔵人】
『場所と時間を教えてくれ』
【鷹志】
「場所はアレキサンダーで時間は19時からです」
【蔵人】
『分かった。気が向いたら行ってみるよ』
【鷹志】
「はい、待ってます! それじゃあ失礼します」
【明日香】
「先輩は来れそうなの?」
【鷹志】
「針生さんはきっと来てくれると思うよ」
【鷹志】
「次は山科さんかな」
すぐに山科さんに電話をする。思えば山科さんとは色々あったなあ。
山科さんが恋人に振られた時、僕は彼女を抱きしめて慰めた。
今は前を向いて頑張っているみたいだ。
【鷹志】
「もしもし山科さん。おれ、羽田です」
【京】
「羽田君……? どうしたの」
【鷹志】
「実は今朝病気の治療が終わって戻ってきたんだけどね。今日の19時からアレキサンダーを貸切にしておれが戻ってきたのを祝うパーティーがあるんだけど、山科さんは来れそう?」
【京】
「19時だね。うん、行けると思うよ」
【鷹志】
「そう、山科さんが来てくれるとおれも嬉しいよ」
【京】
「他には誰が来るのかな?」
【鷹志】
「おれがお世話になった人には声をかけてるよ。森里くんやフレイムバーズの皆も来てくれると思う」
【京】
「そうなんだ。賑やかになりそうだね」
【鷹志】
「そうだね。皆楽しんでくれるならいいなあ」
【京】
「ふふふ、それならきっと大丈夫じゃないかな」
【鷹志】
「おれも針生さんや山科さんと話がしたいからね」
【京】
「久しぶりに羽田班が揃うわけだね」
【鷹志】
「楽しみだなあ。話したいこといっぱいあるよ」
【京】
「私も楽しみにしておくよ」
【鷹志】
「うん、それじゃあね山科さん」
通話を終えて携帯をしまう。次は誰に連絡をしよう。
【鷹志】
「後は小鳩にも伝えておこう」
【明日香】
「小鳩ちゃんも呼ぶんだ」
【鷹志】
「もちろんだよ。小鳩には今まで苦労をかけてきたからね。ありがとうの気持ちを伝えたいんだ」
携帯を開いて自宅の電話番号を呼び出して通話ボタンを押す。
【小鳩】
『はい、もしもし羽田ですけど』
【鷹志】
「ああ、小鳩。おれだよ鷹志だよ」
【小鳩】
『タカシお兄ちゃん? どうしたの』
【鷹志】
「実はね今日19時にアレキサンダーでパーティーがあるんだけど小鳩にも来て欲しいんだ」
【小鳩】
『パーティー?』
【鷹志】
「そう、僕がこっちに戻ってきたことを挨拶に行ったらアレキサンダーの軽部店長がお祝いのパーティーをしてくれるんだってさ」
【小鳩】
『そうなんだ』
【鷹志】
「僕もお世話になった人たちを誘っているから小鳩も友達を誘ってパーティーに来てくれないかな」
【小鳩】
『じゃあ、吉川さんを誘って行こうかな』
【鷹志〕
「うん、おいでよ。小鳩が来るのを楽しみにしているから」
良かった小鳩も来てくれるみたいだ。今からパーティーの時間が待ち遠しい。
【鷹志】
「少し早いけど入っていいのかな?」
【明日香】
「大丈夫じゃないかな」
僕たちは帰ってきた事を伝える挨拶を済ませて少し早い時間だけどアレキサンダーに戻ってきた。
【鷹志】
「こんばんはー」
【英里子】
「おお! 鷹志戻ってきたかー飾り付けは順調に進んでるよん」
英里子さんはいつもよりも嬉しそうにそう言うと手に持っている飾りつけようのリボンを結んでいる。
【鷹志】
「すみません。今日はおれのために」
【英里子】
「いいって気にすんなよ。そんなことよりも今日は目一杯楽しんでいけよ」
【鷹志】
「おれも飾り付け手伝いましょうか?」
【英里子】
「気持ちだけ受け取っておくよ。今日の主役に飾り付け手伝わせんのは悪いから座ってていいよ」
英里子さんは忙しくあちこちに移動している。
やっぱり手伝った方がいいんじゃないかあ。
【日和子】
「あ、鷹志先輩。もう来てたんですか」
【鷹志】
「やあ、玉泉さん。そうだね、少し早い気がしたんだけどパーティーが待ち遠しくてね」
【日和子】
「ふふふ、もう少しで飾り付けも終わりますから」
【鷹志】
「玉泉さんも今日は本当にありがとう」
【日和子】
「良いんですよ。こういうの楽しいのは久しぶりですから」
【日和子】
「そういえば店長は厨房でケーキの焼き具合を見てますよ」
【鷹志】
「ケーキ?」
【日和子】
「はい、鷹志先輩は戻ってきたからお店オリジナルの特製ケーキを焼いてるんです!」
【鷹志】
「へえーそれは楽しみだなあ」
【日和子】
「すみません。私、英里子さんを手伝ってきますね」
玉泉さんは英里子さんを手伝いに行ってしまった。
【明日香】
「今日は楽しい日になりそうだよね」
【鷹志】
「そうだね。明日香さんは何か注文する?」
【明日香】
「準備ができるまで何か食べるのもねー」
【鷹志】
「確かにそうかもね。じゃあ、僕らは席に座って待ってようか」
明日香さんと二人で空いてる席に移動する──
【紀奈子】
「あ、鷹志君、明日香さんこっちだよ~」
【紀奈子】
「今日の主役の鷹志君はここの特別席に座ってもらわないとね!」
僕たちは紀奈子さんに席まで通される。店の中で一番目立つように飾り付けされていた。
【紀奈子】
「もうすぐ終わるからそれまで待っててね♪」
【翔】
「ちーす。なに? 今日は何かやんの?」
【英里子】
「やーん、カケルゥ来てくれたんだ」
【翔】
「表に貸切って書いてたけど」
【狩男】
「おお! カケルも来たのか。実は鷹志が戻ってきてるんだ。でだ、それを祝ってパーティーをやろうと考えていてな」
【翔】
「なるほどね。俺は飯食いに来ただけだからすぐに帰るよ」
【狩男】
「そうか。それじゃあ今から準備するか」
【翔】
「鷹志はもう来てるんだ」
【鷹志】
「やあ、鳳君、久しぶり。今日はおれのためにありがとう」
【翔】
「別に。俺はただ飯食いに来ただけなんだけどね」
【鷹志】
「それでもおれは嬉しいよ」
【鷹志】
「後で鳳さんも来るんだ」
【翔】
「は? マジであのガキ何しにくんの?」
【鷹志】
「誘っておいたからね。香田さんと一緒に来るみたいだよ」
【翔】
「へえー」
鳳くんはカウンター席に座ってメニューを開いて注文する。ご飯を食べたらすぐに帰るみたいだ。
せっかくだから彼にもずっといてほしいと思う。
【鷹志】
「早くみんな来ないかなあ」
19時になるのが待ち遠しい。僕はいつもよりも落ち着かないでソワソワしていた。
【小鳩】
「こんばんは」
【鷹志】
「あ、小鳩! こっちだよ」
30分前にアレキサンダーにやって来た小鳩を僕の隣に座らせる。
【吉川】
「今日はお招きに預かりありがとうございます」
【鷹志】
「吉川さんもいらっしゃい」
小鳩は仲良しの吉川さんを連れて来てくれた。
【鳴】
「こんばんはー」
【亜衣】
「今日は鳴ちゃんに誘われて来ました」
【和馬】
「ういーす。羽田! 来てやったぜ」
【バニィD】
「チョリーッス。今日は隼人先輩の復帰祝いをしに来ましたー」
【チケドン】
「ぶはは~成田っち来たよん」
【LR2001】
「Huh、Huh、オレ達のファルコンの帰還を祝いにきてやったぜ」
【鷹志】
「フレイムバーズの皆! 来てくれたんだ」
【和馬】
「お、羽田はもう来てたのか。他のYFBの皆も来たがってたけど流石にこの店じゃ収まりきれないからな、大輔とLRさんたちを誘ったんだ」
【鷹志】
「おれ嬉しいよ! ありがとう森里くん」
【狩男】
「人も集まってきたな。すごい人気じゃないかタカシ」
【京】
「ん、もう皆集まってる感じかな?」
【鷹志】
「山科さん来てくれたんだね。こっちだよ」
【京】
「今日は誘ってくれてありがとうね」
【鷹志】
「どういたしまして。今日は楽しんでいってね」
【蔵人】
「時間ぴったりか」
ちょうどぴったりの時間に針生さんが来てくれた。時間にきっちりとしてるのが針生さんらしいや。
【翔】
「んだよ、クソカラスも呼ばれてのんかよ鷹志は優しすぎじゃん。カラス、お前は場違いだから帰っていいよ」
【蔵人】
「おやおや、タカシに誘われもしない孤独なニワトリがなにか吠えてるな。げらげらげら」
【鷹志】
「まあまあ二人とも」
この二人は相変わらずだなあ。本当はお互いに寂しがり屋で楽しいことが大好きなんだ。
僕は鳳くんも針生さんもどっちも好きだ。
【春恵】
「お、賑やかだね。優もう皆集まってるみたいだよ」
【優】
「羽田君、今日はお誘いしてもらってありがとうね」
【鷹志】
「米田さんと春日さんも今日は来てくださってありがとうございます!」
春日さんや米田さんも来てくれた。僕は来てくれた一人ひとりに感謝の言葉を言う。
【春恵】
「ドラに頭を下げられるとなんだか照れくさいよ」
【優】
「私たちみたいな大人も参加しちゃって良かったのかな」
【鷹志】
「それは気にしなくてもいいと思いますよ。春日さんと米田さんにはおれもお世話になりましたから」
【狩男】
「おお! 春恵に優も来てたのか」
【春恵】
「今来たところだよ。にしても軽部の兄さんにしては粋なことしてくれるじゃないさ」
【優】
「そうですね~先輩がお店を貸切にしてこういうことをするなんて考えてもいませんでしたよ」
【狩男】
「全く失礼な奴らだな。俺は純粋に鷹志が戻って来たのが嬉しいだけさ」
【鷹志】
「急な事ですみませんでした……」
【優】
「羽田君が謝る必要は無いよ。私も最近は仕事が立て込んでてゆっくりする時間があまりなかったからこういうのはいい息抜きになるから」
【鷹志】
「今日はすごく賑やかになりそうですね」
【春恵】
「鳴坊も来てたのかい」
【鳴】
「パルさんもドラさんに誘われたんですか?」
【春恵】
「そうだよ。もうすぐしたらプラチナも来るんじゃないかい?」
【英里子】
「ていうか鷹志、お前どんだけ知り合いがいるんだよ」
【紀奈子】
「でも、知らない人はほとんどいないよねー皆顔は知ってたりするし」
【日和子】
「事情が事情ですし知り合いが多くても仕方ないと思います。けど、これだけ集まったって言うことはみなさん鷹志先輩が帰ってくるのを待ち望んでいたんでしょうね」
【英里子】
「確かにこれだけ人数が集まることなんてないしねー」
【紀奈子】
「そうだねーまあ、楽しいからいいけど」
【日和子】
「本当に。鷹志先輩の人柄は私も見習いたいです」
【英里子】
「誰にでも優しいしな」
【紀奈子】
「話していると楽しい気持ちになれるよね~」
【日和子】
「どんなことにも前向きで他人の弱さを受け入れられる強さを持っているひとだと思います」
【紀奈子】
「お、もうすぐ始まるみたいだよ」
【英里子】
「たまひよ料理はテーブルまで運んだ?」
【日和子】
「大丈夫です。後は飲み物だけですね」
【紀奈子】
「じゃあ、三人で手分けして運ぼう」
【英里子】
「店長、準備終わったら私らも席に座っていいんですよね?」
【狩男】
「ああ、構わないぞ。全員が席に着いたらパーティーを始める」
【英里子】
「分かりました。それじゃあ紀奈子さん、たまひよあと少しだから頑張っていこう」
【日和子】
「はい!」
【狩男】
「それじゃあそろそろ始めるか」
軽部店長の合図でパーティーが始まる。
僕の席の周りはすごく賑やかになってきた。
そしてその輪の中心に自分がいるということはとても感慨深い。
この素敵な人たちと過ごせる時間が僕にとってかけがえのないものになるだろう。
明日の空は何色かな? きっと輝いた未来が映し出されているんだろう。
隣を見るとこれからずっとそばにいてくれると言ってくれた僕の一番大切なひと。
彼女は僕と目が合うと優しく微笑み返してくれた。
皆が笑顔でいてくれる。その幸せを感じて生きていこう。
ここまで付き合ってくれて本当にありがとう。
世界が平和でありますように
シャッター&エンディングSE