Minecraft ~ある冒険家の旅路~ 作:セッキー.Jr
本当に、申し訳ございません。
皆さんも風邪には気をつけてくださいね。
では、本編へ移りたいと思います。
今回の話は珍しく長くなります。
「着いたぁ!!」
「やったー!!」
少年達は一週間もの密林の旅を終え、ついに草原に抜けたのだった。
「本当に長い旅でした!」
「そうだなー!上からのゾンビ達に震えながら旅ももう終わりかぁ・・・」
「ただバイオームを抜けただけなのに、なんか嬉しいね!!」
少年達は笑う。
その時だった。
「ワン・・・ワン!!」
「あ・・・!!」
「お前は・・・!!」
少年達の元に、一匹の狼が近づいてきた。
あれはエンダードラゴンの野望を打ち砕いた後のこと・・・
ライモンと離れ、再び旅に引き返した少年達に近づいてきた狼。
「お前も・・・ついてくるか?」
「ワン!!」
少年は骨をかざす。
だが狼はタイガへ引き返してしまった。
「・・・?・・・」
「どうしたんだろう・・・?あんちゃん?」
「・・・ついて来い、って言ってるのかな・・・」
少年達は狼の跡を追う。
「ワン!」
「これは・・・」
少年の目の前にいたのは・・・
「家族だ・・・」
その狼は子持ちであった。
父親か、母親か・・・どちらかは分からない。
その時。
子供の一人が、少年の腕に噛み付いた。
「ガルルルル・・・」
子供の狼の噛む力では、当然少年も噛み跡がつくだけだ。
「・・・たくましい子だ。」
「本当だ・・・」
少年は子供の狼の頭を二度、軽くたたいた。
「クゥン・・・」
子供の狼は腕から離れた。
「・・・あきらめようか。こいつには、子供を守ることのほうが重要だ。」
「そうだね。」
少年達はきびすを返す。
その後ろから。
「ワンワン!!ワンワン!!」
子供の狼が強く吠えた。
「・・・ああ!!大きくなったら・・・俺がお前を迎えに行くよ・・・!!」
「待ってるからね!!」
「・・・お前なのか・・・?」
「ワン!!」
「そうか・・・お前か!!よくここが分かったな!!」
「ワンワン!!」
「え・・・?」
狼はバッグをしょったチェリーの周りを嬉しそうにはねている。
「ははははは!なるほど、クッキーか!」
「チェリーさんにそっくりだ!!」
「ふふふふ・・・あなたもクッキーが大好きなんですね!!」
「ワンワン!!」
狼は嬉しそうに吠えた。
少年は狼に青の首輪をつけた。
口にはクッキーを頬張っている。
「・・・これでよし・・・と・・・」
少年は立ち上がる。
「さあ、新しい仲間が増えたところで!!旅をつづけますか!!」
「「おおー!!」」
「ワンワン!!」
少年達は草原を踏みしめる。
が・・・
「・・・あり・・・?」
「え・・・」
「うそ・・・」
「クゥン?」
地平線の先が見えると同時。
草原は終わったのだった。
前には海ばかり。
「「な・・・な・ん・で・す・と・・・」」
「まさかこんなに短いバイオームだったなんて・・・
前のようなラージバイオームとばかり思ってました・・・」
「ワンワン!!」
バシャ・・・バシャ・・・
狼は水遊びを始める。
「こらぁ!!そこ!」
少年は怒る。
「・・・ってことは・・・」
「この島に・・・別れを告げなきゃいけないってことだよね・・・」
子供はつぶやいた。
「・・・そうだな・・・」
ルーフスは思い返す。
この島のとある浜辺でモンスターに襲われた。
ライモンとも出会った。
洞窟で鉱石を取って、ジョーとも出会った。
ゴーレムと村長さんに出会い・・・
ムフェックリー博士に出会い・・・
そして、こいつ・・・ジャックに出会ったんだ。
ジャックも思い返す。
本当に、いろんなことがあったなぁ・・・
地の果てでゾンビピッグマンと出会った。
ブレイズと戦った。
あんちゃんと共に、エンダードラゴンを倒した。
(俺は、この島で・・・)(おいらはこの島で・・・)
((どのくらい、成長したんだろうか・・・))
チェリーは笑う。
「本当に、いろんなことがあったんですね・・・顔がほころんでますよ。」
「うお!?まじで・・・ハハハハハ!!」
「ハハハハハ!!」
「ふふふ・・・」
「よし、島の最後の記念に、ここに灯台を建てるか!」
「「賛成!!」」
「ワン!!」
「長期にわたる大きなプロジェクトだ・・・拠点を完成させよう!
チェリーはジャングルに木を、ジャックはこの草原の動物達を狩ってきてくれないか?」
「分かったよ!」「分かりました!」
二人は散っていった。
「さてと・・・俺達は洞窟で鉱石をとってこよう!!」
「ワン!!」
少年は洞窟を捜しに森へと向かう。
太陽が沈み、夜になり、朝になった。
少年達はそれぞれの場所で睡眠を取り、
作業を続けていた。
最初に戻ったのはチェリー。
汗を拭きながら、木材の沢山入ったバッグを草の上に置いた。
その横に寄りかかるようにして座る。
「ふう・・・このくらいでいいかな・・・
松ノ木と樫の木も採ってきちゃった・・・
・・・ルーフスさんとジャック君はまだ終えてないのね・・・」
「チェリーさーん!!」
「ジャック君!!」
ジャックが戻ってきた。
バッグの中には焼いた肉とキノコのシチュー。
「草原の動物は本当に元気があったよ。感謝して食べないとね!」
「そうですね!どうでしたか?夜は。」
「夜は良く眠れたよ。縦穴掘って、松明立ててね。
・・・そういえば昨日は狼の鳴き声がすごかったような・・・」
「確かに私もそうでした!昨夜はそれであまり眠れなかったんですよ・・・」
「はははは!それにしちゃ、肌もきれいだよね、チェリーさんって!」
「お、お世辞を言わないでください!!」
メイドは顔が赤くなる。
「・・・あ!あんちゃんが帰ってきた!!・・・って・・・え・・・!?」
そこに居たのは戦場を跡にしたような出で立ちの少年だった。
狼も・・・なにやら怖くなっている・・・
「はぁ・・・はぁ・・・あいつは・・・これまでで最大の強さだった・・・
あいつとは・・・関わるべきでは無かった・・・」
「ど・・・どうしたの・・・あんちゃん?」
少年は押さえていた左腕を離して、真顔でこう言った。
「いんや。なんにも。」
「なにがしたかったんだよ!」
「ワンワン!!」
狼はしっぽを振る。
メイドは腹を抱えて笑っていた。
「よし、設計図は決まった!明日の朝一、作業に取り掛かろう!」
「おやすみなさい!」「おやすみー!」
「クゥン・・・」
少年達はベッドにもぐった。
今日も、月がきれいであった。
続く