Minecraft ~ある冒険家の旅路~   作:セッキー.Jr

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15:メディウス・ライブラリー

都会から抜けて。

 

 

 

 

少年達は広大な草原をこえ、緑豊かな森へと入っていった。

 

 

 

 

木のところどころに蜂の巣がぶら下がっていて、小さな蜂たちが飛びまわっている。

 

 

 

 

狼はその蜂の群れを追いかけまわす。

 

 

 

 

 

陽光も程よく降り注ぎ、とても心地いい。

 

 

 

 

「今日もまたいい天気ですね…」

 

 

 

 

「ふわぁ~…」

 

少年は大きくあくびをした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほんっとに眠気が覚めない、いい天気だなぁ…」

 

「あんちゃん!あれなんだ?」

 

 

 

 

 

そこには真っ白な大理石で出来た建物が森の中にそびえたっていた。

 

 

 

全く、見慣れない光景だ。

 

 

 

 

「なんの建物なんでしょう…」

 

「ちょっと行ってみようぜ…ステーラ!!」

 

一匹の狼がルーフスへ寄る。

 

 

 

 

 

三人と一匹は白い建物の中へ歩いていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ようこそおいでくださいました。

 

ようこそ、メディウス・ライブラリーへ。

 

 

私は館長のバンダと申します。以後お見知りおきを。」

 

白い口ひげを蓄えた、スーツの老人が出迎えていた。

 

背筋をピンと張っていて、歳を感じさせないたたずまいであった。

 

 

 

「ライブラリー…図書館なのかぁ!!」

 

子供の目がきらびやかと光る。

 

確かに、目の前には数え切れないほどの本が棚に詰め込まれていた。

 

 

 

 

 

ジャックはあちこちの本を指差していちいち聞く。

 

「あの本も…この本も…あっちの本も…全部読んでいいのかぁ!!」

 

 

 

老人はにこやかに対応する。

 

「どの本も、全て、読んでいいのですよ。」

 

 

ジャックはたまらず駆け足でかけていった。

 

「あ、おい、ジャック…」

 

「ふふふ…とっても嬉しそうですね。」

 

ルーフスは笑ってため息をついた。

 

 

 

 

 

 

ルーフスとチェリーは中庭通路を歩きながら、館長と話をしていた。

 

「でも、なぜこんな森の中に図書館を?」

 

「私は若かりし頃、あなた方のような旅人だったのです。

 

花や木、風や雲を観察し、自由気ままに旅をしていたのです。

 

そして私は、何よりも本が大好きでした。

 

しかし、この美しい自然の中では図書館などあるわけがございません。

 

 

私は旅を終えてから、都会や街とは遠く離れた場所に図書館を建設しようと決心し、

 

昨年、このような立派な図書館を完成することができたのです。」

 

「昨年ですか!まだ新しいのですね。」

 

「なるほど…すみません、実は俺、図書館なんて今まで行った事がなくて…」

 

「えぇ!?」

 

傍にいたメイドは大きく口を開き驚愕する。

 

 

「ほっほっほ…では『本の探し方』から私がご説明いたしましょう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「…あ……私も…お願いします。」

 

 

 

 

 

 

「お前もじゃねぇかよ…」

 

 

 

 

 

 

メイドは顔を赤くして答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方ジャックは。

 

 

 

机に何冊もの本を山積みにし、勉強をしていた。

 

 

 

「荒地…Wasteland…全体的に荒廃した気候帯…か…

 

こんな気候帯もあるのかぁ…やっぱり世界って広いんだな。…うん?」

 

 

見ると下へ続く階段があった。

 

 

「こっちには何があるのかな?」

 

ジャックは机の上の本を片付け、階段を降りていった。

 

 

 

 

 

 

その後、従業員なのかそばかすを蓄えた一人の青年が、

 

階段の前にのろのろと看板をたてた。

 

 

看板には、『Staff only』と。

 

 

「………あああ……置き忘れちゃったなぁ……」

 

 

 

 

青年はじれったく喋って頭を掻いた。

 

 

 

 

 

ステーラは玄関でエサを食べていた。

 

ルーフスとチェリーはバンダに説明を受ける。

 

「えー…まず探したい本のテーマを決めなければなりません。」

 

「じゃあ…私は『料理』にします。」

 

「俺は…えっと…」

 

 

 

 

 

少年は考えてから、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…玄関に置く防犯用のあの置物。」

 

「も…もっと大雑把で大丈夫ですよ…。」

 

「…はい。…じゃあ『冒険』で。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジャックは階段を下っていく。

 

「長いなぁこの階段…どんな本があるんだろうなぁ!」

 

ジャックは感激のあまり冷静さを失くしていた。

 

 

 

 

 

 

 

着くと小さな場所だった。

 

周りには本棚は無く、ただ書見台が一つ。

 

 

 

 

上には本が置いてある。

 

 

 

 

 

 

「何の本かなぁ?」

 

子供はわくわくして開いた。

 

 

 

見ると、左ページに謎の記号群、右には黒い写真が貼られていた。

 

 

「なんだこれ…?見た事無い本だなあ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その瞬間。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

黒い写真に画像が浮かび上がる。

 

 

 

 

 

 

 

 

延々に広がる草原。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シュゥゥウウウウウウウ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バサッ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

階段を降りた先の小さな部屋。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その中には、ただ本が落ちていただけであった。

 


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