Minecraft ~ある冒険家の旅路~ 作:セッキー.Jr
とある家の中で。
女の子が父に話しかける。
「とーさん!」
「ん?」
「世界旅、はじまるよ!」
「ああ、そうだったな。」
父はテレビを点け、チャンネルをまわした。
効果音が流れ、タイトルが現われる。
男性のアナウンサーが話し始める。
「どうも!ミスター・タニグチです!今日の世界旅のお時間ですよ。
さて、今日も気ままに旅をしていきたいと思います!
今日の世界旅は…?」
ミスター・タニグチがサイコロを振る。
「北!」
もう一回。
「西!」
もう一回。
「南!」
「では、今日は北、西、南といってみましょう!」
『まずミスター・タニグチが向かったのはここ、メディウス・ライブラリー。
ここは昨年に建てられたばかりの図書館。
白い大理石でできた美しい外観の中には、100万冊を超える書物が蔵書されています。』
「うつくしいですね~。この森と建物の色の対比がなんとも素晴らしい!
では、早速、入ってみましょう!
…どうもー。」
「ようこそ。メディウス・ライブラリーへ。」
「えーっと、貴方は?」
「私は館長のバンダと申します。」
「ああー!館長さんでしたか。これは失礼しました。
えーっと、ここは旅人しか来ないであろう森の中ですよね。
言ってしまえば、もっと人通りのいい街の中に建てればよろしかったのでは?」
「それでいいのです。私も昔は旅人だったのですが、砂漠や森の中には本は落ちていないでしょう。
だから私は旅人のために、この図書館を建てたのです。…あぁ、勿論、一般の方々も利用してください。
本を読むことはとても楽しいことですから…」
ミスター・タニグチは顔をわざと歪ませて、
「すばらすぃ!なんという本と旅人に対しての愛情!タニグチも感動しました!
では私も、このメディウス・ライブラリーで、本を読んでみたいと思います!」
「えーっと、ではー…この『爆笑!お笑い入門』をゆったりと読みたいと思います。」
『ミスター・タニグチは読書していると…?』
「あー、本を読んでいると、時間が短く感じて、お腹がすいてきてしまいますね、バンダさん。」
「ははは。ではパンプキンパイでもどうですか?」
「おおおお!気が利いていますね!好きな本を読みながらのティータイム。
なんと贅沢なのでしょう!」
『メディウス・ライブラリーではきれいなメイドさんのパンプキンパイと紅茶が
エメラルド1個で食べられる、素敵なサービスも!』
『おいしいスイーツと読書を堪能したミスター・タニグチは、次の場所へと向かいます。』
『ジェットボートで、魚と共に進むミスター・タニグチ。
西の大陸が待ちきれないようです。』
「…さあ、大陸に着きました。…すごいですね。この灯台。誰が建てたのでしょうか?
…お、きこりの方がいますね。ちょっと尋ねてみましょう。
…こんにちはー。」
「おお!あのミスター・タニガワじゃねぇか?」
ミスター・タニグチは大げさに地団太を踏む。
「お・し・い!僕はミスター・タニグチですよ!もう!」
「おお、すまん、間違えてしまった…」
「お尋ねしたいのですが、あの灯台は誰が建てたのですか?」
「あの灯台はなぁ、俺と俺の親友たちがいっしょに建てたんだよ。
娘のためにな。」
「おお、娘さんのために…娘さんのお名前は?」
「ヴァイオレット、ってんだ。」
ミスター・タニグチが目と口を大きく開く。
「ええー!!ヴァイオレットというと、グレート・スライヴシティの新市長さんですか!?」
『そう、彼、ビストさんの娘はあのヴァイオレット市長なのでした。」
「あいつが働きはじめる時にな、初めて親子喧嘩したんだ。
娘ってのは、いなくなると本当に寂しいもんで。その後、ヴァイオレットと会って、
お互いを認め合うことができたよ。」
ミスター・タニグチは顔に手を当てて、目を隠す。
「くぅ~!なんという親子愛!ミスター・タニグチ、またもや感動してしまいました!
…ビストさんはここできこりをやってらっしゃるのですよね?」
「ああ、そうだ。しかしこの頃はじめたのは、昼限定で小さな公園を開放しているぞ。」
「おお!公園…!童心がくすぐられますね!ビストさん、案内してもらってもいいでしょうか!」
「よし、ついてきな。」
『ビストさんの作った狼の森わんぱく公園。子供達のために昼限定で開放しています。
ミスター・タニグチも木の間をすり抜けるウッドコースターに乗りました。』
「ふぉぉぉぉぉおおおおおおおお!いいですねぇぇぇええええええええ!爽快ですぅぅうううううう!」
「はっはっは…声でけぇな…!」
『ミスター・タニグチも絶叫するウッドコースター。皆さんも行ってみては?』
「そういえばビストさん、昼限定とはどういうことですか?」
「ああ、実は先代の言い伝えなんだがな、夜に狼男が現われるらしいのだ。それに人喰い狼も出るから、危険なので夜は閉めている。あとゴミも捨てるなよ。狼男が食べちゃうかもな~!」
「こここ怖いこといわないでくださいよビストさん。…
というわけで、皆さん、この森で遊ぶ時は、自然を大切に、楽しく遊びましょう!
ではビストさん、ありがとうございましたー。」
『森を後にして、ミスター・タニグチは南へと向かいます。
ジャングルを抜けた先に見えたのは…?』
「「「「「ようこそ!エンジェル村へ!」」」」」
「おおー!!」
ミスター・タニグチはまた目と口を大きく見開く。
「これはどこか?そう、天国ですよ皆さん!女の子達に囲まれています!」
『女性に目がないミスター・タニグチは村へと入ります。』
「おおっと、エンジェルの中に、一人だけ仙人がいますよ!?」
メイドたちは爆笑する。
「ほほほほほ…残念ながら仙人ではないのぉ。私はこの村の村長じゃ。」
「おお、村長でしたか…よっ!えらい!日本一!!」
『素晴らしい村を作ったことを褒めるミスター・タニグチ。」
冷静な顔つきをした女性が話す。
「この村ではクッキーとお紅茶を楽しめます。」
ミスター・タニグチは手を合わせる。
「ああ、神様仏様…女性のクッキーを食べることが出来るなんて…!
感動的です!…ではお言葉に甘えて。」
『かわいらしい3人のお嬢さんがクッキーを運んできました。」
「「「どうぞ。」」」
「おおおお!こんなに可愛いお嬢さんにクッキーを持ってきてもらえるとは!
感動!感動!…もう感動しかいえません!!」
『無料でクッキー5個とお紅茶1杯をメイドさんと楽しめる村。一度言ってみては?』
「いやー、今回も、とっても素晴らしい旅でしたね!今日はここでお別れといたしましょう!
皆さん、いいですか?」
「「「「「「「「来週も!今日の世界旅!」」」」」」」」
「感動!感動です!」
「ピラフ。おもしろかったな!」
「うん!来週もみなきゃ!」
「…旅か。あいつら、元気にしているかなぁ…」
ライモンは言った。