Minecraft ~ある冒険家の旅路~ 作:セッキー.Jr
燃える国を抜けて。
広大なひまわりの咲いた草原を駆けるルーフス達。
天気は快晴。ひまわりを揺らしてそよ風が草を持ち運んで行った。
チェリーはかわいいひまわりの花にテンションが上がっている。
ひまわりの草原を腕を広げて踊っていた。
「うふふ♪ルーフスさん、ジャックくん!早く早く♪」
「チェリー、今日はすげぇ楽しそうだな!」
「チェリーさん、かわいいものには目が無いからねー!」
「ワオン!ワオン!」
ステーラも笑顔でチェリーの元へ駆け出して行った。
「あ、おい、待てよ!」
「いいね~!」
ルーフスとジャックも後に続いた。
チェリーの回転が止まる。
目の前には広大な海。
「すごーい…」
「ワン!ワン!」
ステーラは水遊びをし始めた。
「お、なんだ?海か?」
「ボートで行かないとね。」
ジャックがボートを取り出す。
「チェリー、食べ物はどれだけあるか?」
「えーと…3日は大丈夫です。」
「よし、じゃあ海を越えていこう!」
ジャバジャバ…
ガブッ!
ステーラの尻尾が何かに挟まれる。
「キャオン!キャオン!」
「ん…ステーラ、どうしたんだい…って!やばい!」
「きゃっ!」「うわ!!」
ステーラがサメに尻尾を噛まれていた。
ジャックが咄嗟に攻撃する。
「この!この!あっちいけ!」
ハンマーで叩かれたサメは遠くへと逃げていった。
ステーラはジャックの後ろに隠れる。
「大丈夫か?ステーラ…」
「クゥン…」
なかなか怖かったらしい。
「あんちゃん、チェリーさん…アレ見て…」
「ああ?」
見るとうじゃうじゃとのこぎり型のヒレが右往左往している。
サメが群がっているのだ。
「これじゃ、海に出られませんね…」
「しかたがない…ちょっくらゆっくりするか!」
「やったー♪」
「わーい!」
「ワオン!」
草原に寝転ぶ3人と1匹。
そよ風が眠気をうながす。
「眠くなってきた…」
「いい天気ですね~…」
「すぅ…」
「クゥン…」
ここは海上。
大きな翼が風を後方へ流している。
クジラのような巨大な体が海に影を落とす。
飛行艇だ。
その飛行艇の中から一人の男性が望遠鏡で覗いていていた。
「…!…困り人か?」
飛行艇は徐々に下降していった…
草原のルーフス達に影がかぶさる。
「…?」
ルーフス達は目を開ける。
そして起き上がった。
後ろを見ると巨大な飛行艇が着陸しようとしている。
その巨体はずっしりと草の上に乗っかった。
「すっげえでけぇ…」
「飛行艇…!?」
「なんなのでしょう…」
「グルルルルルル…」
ステーラは威嚇の構えだ。
鉄のドアが開く。
そして中から黒いマントと警官帽をかぶった女性が出てきた。
次に赤いマントと警官帽の男性、黄色のマントと警官帽の女の子、
水色のマントと警官帽の男性が現われた。
黒い女性が問いかける。
「君達、何か困っているようだね。」
「えっと…」「あなた達は…?」「誰っすか?」
黒い女性がどこに持っていたのか、ラジカセを持ち上げて再生ボタンを押した。
カチッ。
テーテーテテーテーテテーテーテー♪
ルーフス達はポカンとする。
いきなり黄色い女の子が前に出てきてポーズを決める。
「元気爆発!おてんばな黄色!プルボネ!」
赤い男が前に出てきてまた違うポーズを決める。
「燃えろ魂!ネッケツの赤色!オリー!」
水色の男性が前に出てきてポーズを決める。
「清らかな心…清純の水色!テンドロン!」
そして黒い女性が決め顔でポーズを決めた。
「そして強い魅力!裁きの黒色!モイラ!」
そして赤が左、水色が後ろ、黄色が右、黒が前に来てポーズをとる。
「我ら、空飛ぶお助け隊!カラーリーオンズ!」
ボォオオオオン…
音楽が止まると同時に、草原に静寂が走る。
即席のテーブルを作って。
「ほう…サメがいてここから北へ行けないと…」
「はい。そうなんです。」
モイラは豊満な胸を片腕で支えて、カフェラテを飲んでいる。
テンドロンはモイラの傍で控える。
プルボネはクッキーをガツガツと食べている。
オリーは草原の上でトレーニングをしているようだ。
モイラはカップから口を離して言う。
「では私達の飛行艇で北まで送ろう。」
「いいんですか!?」
「ああ、それが私達の仕事だからな。
…おい!お前ら!行くぞ!」
「このクッキーおいしい~♪」
「もっとだぁ!!もっともっとぉ!!私の体は熱を求めているぅ!!
うぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおお!!」
プルボネとオリーはまだやっている。
「こら!行くぞ!お前ら!」
まだやっている。
モイラが涙目になる。
「ぐすん…いい加減泣くぞお前ら…」
テンドロンが汗を流す。
「また…隊長たる人が泣かないでくださいよ…」
「大丈夫かな…」「さあ…」
プルボネとオリーにたんこぶが出来た所で。
飛行艇は既に空を飛んでいた。
テンドロンが操縦を行っている。
モイラとプルボン、オリーはいつもの席に座る。
ルーフス達は客用の席に座っていた。
客席からジャックが尋ねる。
「テンドロンさん。」
「どうしました?」
「この船って…なんで浮いてるの?」
「ああ…この船はこの操舵輪が全て制御しているのです。」
「この操舵輪だけで…!?…不思議だなぁ…」
テンドロンが慌ててモイラに報告する。
「隊長、右前方から空賊船が…!」
「なんだと…!?」
ドォオン!!
飛行艇が大きく揺れる。
船が接触したようだ。
「え…空賊って…なんですか?」
「その名のとおり、空の海賊だよ。」
続けてプルボネが話す。
「でも海賊は堂々と向き合って戦うのに対して、空賊は空から奇襲をしかけるの。」
更に続けてテンドロンが話した。
「空賊は卑怯な臆病者達が集まった集団だ。」
オリーが話す。
「前なんか、空中から爆弾落として村を壊滅―――
戦わずして村の資材を掻っ攫っていったんだぜ…?」
「空にそんな奴らがいたのか…」
「がーっはっはっはっはぁ!!」
大声が窓の外から聞こえた。
ぶっくりと太った船長がこちらに話している。
「そこの飛行艇の船長…!その船ごと我らにゆずれぇ!!」
「へ!貴様らなんぞにこの鋼鉄の飛行艇は譲れないねぇ!!」
ぶっくりと太った船長はモイラに一目ぼれしたようだ。
「うほー!!まさか船長がセクシーな姉ちゃんだったとは!
変更だ変更!!船長と飛行艇ごと俺にゆずれぇ!」
「隊長があんたの彼女になるわけないでしょ?デブ。」
プルボネが辛らつな言葉を吐いた。
空賊船長は怒りをあらわにしている。
「あの小娘…!やったるぞ!お前ら!」
テンドロンがルーフス達に言う。
「ここでもう少し、お待ちください。」
モイラとオリー、プルボネが飛行艇の屋上に乗る。
テンドロンも外に出た。
相手は遠くからこちらを見ている。
「がっはっはっは!お前らに親切に足場を貸しはしないぜ!」
ルーフスは歯をぎしと噛む。
「くっそ~!めんどくせえ奴だ!」
「カラーリーオンズは、どうやって戦うんですかね…」
モイラは笑う。
「ありがとよ…こっちのほうが好都合だ!」
空賊船から大砲が撃たれる。
モイラが剣で跳ね返した。
空賊船に弾が命中した。
モイラが呆れる。
「はあ…あいつらバカか?」
「一斉に射撃しろ!」
船から幾千もの矢が飛んできた。
モイラ達は壁に隠れる。
「バカでもなさそうですね。」
「わたしがまず先にやっちゃうよー!」
プルボネが弓を引き絞る。
「元気!ばくは~つ!!」
ピュン…
ボォオオオオン!!
「「「「「あああああああああ!!」」」」」
甲板が崩れて船内が丸見えになった。
ルーフス達は観戦している。
「なんだ…?いきなり爆発したぞ…」
「なにしたんだろう?いったい…」
「船長!奴ら、どうやら特殊な矢を持っているみたいです!」
「ええい、なら、私達に当たらなければいい話だ!」
空賊船長が操舵輪を後ろに傾けた。
空賊船が上昇する。
「がっはっはっは!!私達にあててみろ!」
「どうやら俺の出番のようだ!」
「おお、頼むぞ、オリー。」
オリーが同じく弓を引き絞る。
「うおおおおおおおおおおおおお!」
オリーが何連発も矢を空賊船の底に向けて放つ。
底に刺さった矢から火が吹き出る。
「矢から火が出てるよ!?」
「じゃあさっきの爆発も矢なのか?」
「たぶんそうですよ。あんな遠距離から爆弾は投げ込めませんし。」
「船長!船底から火が!!」
「何!?やばい!すぐに下降だ!海で消化するぞ!」
空賊船が下降していく。
「それを私達が許すと思ってでも?」
「よし、テンドロン。やれ。」
テンドロンが弓を引き絞った。
テンドロンの矢が甲板に落ちる。
船員が挑発する。
「がっはっはっは!当たってないよーだ!」
ゴロゴロゴロ…
船の上に雷雲がたちこめる。
「ん…天気が…」
「悪事をはたらくものに災いを…神の鉄槌!」
ピシャァン!!
バリバリバリバリ!!
「うわああああああ!!」
「雷の矢!?」「かっこいい!!」
「ワオン!」「強い…!」
「甲板が!甲板も燃えています、船長!」
「なあにぃ!?…接近戦だ!野郎ども!」
船長が操舵輪を回して飛行艇を正面にする。
「突撃だ!!」
「「「うおおおおおおおお!!」」」
空賊船ごとこちらに迫ってきた。
モイラが前に出る。
「さあ、いよいよ私の出番だな。」
モイラは弓を引き絞る。
「いったい…モイラさんはどんな矢で攻撃するんだ…?」
「わくわく…」「どきどき…」「ワオワオ…」
ルーフス達は唾を飲む。
矢が船長に向かって飛んでいった。
ズバシ!
「ウ゛…」
船長の胸に命中した。
「せ…」
「「「「「せんちょぉぉぉぉおおおおおおおお!!!」」」」」
「大丈夫だよ。そいつは死んでいない。」
モイラが言う。
「…へ?」
「ただし。」
「コケッ!コケコケ!?」
見るとでっぷりと太った鶏が慌てふためいていた。
「…
「え」
「「「「「ええええええええええええええええええええええええええ!?」」」」」
船員達が驚く。
ルーフス達は目が点になる。
「は…」「これが…」「隊長の矢の力…?」「クゥン?」
チェリーが冷静に考え始める。
「で、でも…冷静に考えると怖い…
人間を一瞬で動物にしてしまうなんて…!」
「お、おう…そうか?」
「ライモンみたいなことになったね…」
「…?」
ステーラは首を傾げる。
モイラが厳しい目で言う。
「さあ、どうする?もう一人二人、鶏になりたいか?」
「と!とんでもねえ!!」
「「「「「逃げろー!!」」」」」
空賊船はすごい勢いで逃げてった。
モイラ達はハイタッチを交わす。
飛行艇の中。
飛行艇は巨大な海を北に進んでいた。
ジャックが笑って言う。
「モイラさん、あんな矢を使っているんですね。」
モイラのほほが赤く染まる。
「や…やめろよ…その話は…」
オリーが笑って言う。
「実はこの矢のレシピは魔女にもらったんだが、そん時に隊長がもらったのが
余ったこの矢だったってわけさ。」
「ははは、そうなのか!」
「しょ…しょうがないだろ、もう一つの矢はただ水を凍らすだけで、戦闘向きではなかったんだから…」
「いつもながら照れてる隊長かわいい~♪」
プルボネが抱きつく。
「や、やめろ!あつくるしい!」
「ところでさ…」
ルーフスが問う。
「このカラーリーオンズって、なんなんだ?」
抱きつくプルボネをおいて、モイラが答える。
「この組織は私が、私的に作った組織だ。
…私は今の警察だけじゃ足りないと思う。
真面目に書類をどうたらとか、そんなことを考えている大人に子供は安心できないと思う。
この世界には空想の中でいう
だから私はこの組織を作った。空を飛ぶお助けヒーロー…」
モイラは拳をにぎる。
「そいつらを見た子供達は、どれだけ満足することだろう!
私には分かる。私も、昔はその一人だったから!
だから。私はこいつらと一緒にヒーローとして皆を救ってあげたいんだ!」
プルボネとオリーとテンドロンは笑う。
「私は、隊長のそんなところに惹かれたんだよねー!」
「隊長!おれぁ永遠にあなたについていきますぜ!!」
「あなたの正義というものに改めて感心しました…!」
ルーフスも笑う。
「確かに、こういう奴らがいれば、子供達も笑っていられるな!」
「ワオン!」
ジャックとチェリー、ステーラも笑った。
ここははるか北の大地。
山岳地帯の頂上に飛行艇がとまっていた。
「ありがとうございました!モイラさん!」
「またいつか会いましょう!」
「君達も、旅路、気をつけろよ。」
「チェリー!クッキーおいしかったよー!」
「今度会ったら、一緒に作りましょうね!」
「これこそが友情!一期一会!なんと熱い!熱い!」
「またいつの日か。」「ワオン!」
空に飛行艇が遠ざかっていく。
ルーフス達は空を飛ぶ
ここはとある熱帯雨林。
謎の木製の小屋が建ててある。
傍にネザーゲートが作ってあった。
そのネザーゲートからゾンビピッグマンが現われる。
ゾンビピッグマンははしごを上って、扉を力強く開けた。
「おい、あんた。一人の人間にあのおまじないを教えたとは本当か。」
一人のばあさんが不適な笑顔で応える。
「ケッケッケ…聞かれたから教えただけじゃ。」
ゾンビピッグマンは荒立てる。
「ふざけるな。あのおまじないは下手をすれば世界が滅ぶ力を持っているのだぞ!?」
ばあさんは右の人差し指で右耳をほじくる。
「そんなのは作った本人じゃから分かっていないわけないじゃろう。」
「では何故教えた!?」
「私は、争いこそが平和を生むと思っているからじゃ。幸せなだけでは平和は生まれないのじゃよ。」
ゾンビピッグマンはため息をつく。
「あんたの考えは何年話していても解らない。」
ゾンビピッグマンは扉を開けた。
「あんたに振り回されてばかりでは身が持たない。あなたはもう私の友人でもなんでもない。じゃあな。」
バタン!
「ケッケッケ…」