Jumper -IN DOG DAYS-   作:明石明

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おなじみの方はこんにちわ、初めての方は初めまして、明石明です。

Jumper -IN CHRONO TRIGGER-の続編第1話です。
勢いで書いたので若干おかしいところがあるかもしれませんが、とりあえず書きあがったので投稿させていただきました。
当分はこれ一本に絞りますので、どうか完走までお付き合いください。

それでは尊とサラの新しい物語、始まります。


第1話「新たな世界」

「――俺の世界への道を開け、サテライトゲート!」

 

 

 振り下ろされたサテライトエッジは地面に叩きつけられると光の粒子へと変換され、俺とサラの足元で六角形の扉が形成される。

 青白い光が俺たちを包み込みそのまま扉の中へと吸い込むと、いつの間にかあたり一面が白い世界にたどり着いた。

 ここに来るのは、魔王城でラヴォスが作り出したゲートに呑まれて以来か……。あの後にサラと出会うんだから、人生分からないものだ。

 

 

「待っていたぞ」

 

 

 そしてあの時と同じように後ろから声がかかりサラと体を振り返らせると、予想通りの人物がそこにいた。

 

 

「ここで会うのは久しぶりですね」

 

「まったくだ。あの時とは全く状況が違うけどな」

 

 

 俺と女神様が笑いながら言葉を交わすと、要領を得ていないサラが質問する。

 

 

「ミコトさん、この方は?」

 

「俺の世界の神様だ。今回、サラを合法的に連れていける準備をしてもらった」

 

「お嬢さんの旦那さんには大きな借りを作ってしまったからな。これくらい、なんてことない」

 

「え、どうしてミコトさんが私の旦那様だって……」

 

「この人、実はあの結婚式見てたんだよ」

 

「うむ。綺麗だったよ、お嬢さん」

 

「あ、ありがとうございます」

 

 

 綺麗といわれて思わず顔を赤くしながら感謝をするサラ。ああ、本当にかわいいなサラは。

 

 

「さて、早速君たちを転移させよう。術式を準備するから、少し待ってくれ」

 

 

 そう言って空中にディスプレイやキーボードを出現させて操作を始める女神様。

 すると足元から桃色の光が立ち込め、魔法陣のようなものが走り出す。

 

 

「まあ、綺麗ですね」

 

「ん? 何がだ?」

 

「なにがって、この魔法陣みたいなのですよ。桃色の光が出てる」

 

「は?」

 

「「え?」」

 

 

 会話がかみ合ってないと思った瞬間、俺たちは突然謎の浮遊感に襲われた。

 とっさに足元を見てみると、魔法陣の真ん中にぽっかりと穴が開いてあからさまに異世界に通じてそうな空間が広がっていた。

 そして女神様の愕然とした表情と現状を照らし合わせて悟る――――これは異常事態なんだと。

 

 

「うそおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」

 

「きゃあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

「月崎いいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!?」

 

 

 女神様がまるで某時空要塞で誕生した名言のように俺の名前を叫ぶが、俺たちはそれに答えることもできず超空間を急速に落下していった。

 

 

 

 

 

 

「え、ええぇぇ~~~~~~!?」

 

 

 日本の紀乃川市に住んでいる少年、シンク・イズミは自分の現状に驚きの声を上げずにはいられなかった。

 春休みを利用してアスレチックの特訓をするべくもう一つの祖国であるイギリスに向かおうと学校を早退し、ショートカットで踊り場から飛び降りようとしたところで剣を加えた犬が自分の落下点に何やら魔法陣のようなものと落とし穴を作り出した。

 当然ただの人間である彼が空中でそれを避けることができるはずもなく、重力に従ってそのままホールインワン。昔映画で見た竜の巣のような空間を突っ切ったかと思えば今度は薄紫の大空をフリーフォールしていたのだ。

 目まぐるしく変わる展開にもう絶叫しか上げれないまま体が何かに導かれるように宙に浮く足場へと接近する。

 

 

「ぶ、ぶつかるぅぅぅぅ!?」

 

 

 迫る地面に思わず目をつむった瞬間、彼の落下点のすぐ側にある石碑の後ろで青白い光が迸った。

 シンクがそれに気づかないまま彼の体は足場の中央に落下、それと同時に桃色のつぼみのようなものが展開し、シンクを衝撃から完璧に守り抜く。

 それから間もなくこの場所に通じる唯一の道から、一人の少女が期待を胸にやってくる。

 

 ――その身にある犬のような耳と尻尾をそわそわと動かしながら。

 

 花が咲くようにつぼみが開き、中にいたシンクは先ほどの衝撃が未だ残っているのか半ば呆然としたまま空を向いて座り込んでいた。

 しかし正面から感じる視線に目をやると、桃色の髪をした少女が嬉しそうに自分を見つめているの気付く。

 

――なんだろう、かわいい子だな。もしかして、ここって天国?

 

 あの高度から落下したのなら自分は既に死んでいて、ここはもうあの世なのでは? などと思っていると、少女が歩み寄るとともに声をかける。

 

 

「初めまして。召喚に応じてくださってありがとうございます、勇者様」

 

 

 

 

 

 

 気が付くと俺とサラはどこかの地面に横たわっていた。

 そこはかとなく背中が痛いが、そう高くない場所から落ちただけで普通に生きていると実感するとすぐにサラの容体を確認する。

 彼女の方も目立った外傷はなく、俺が動いたことに合わせてわずかに呻く。どうやら意識を取り戻したようだ。

 

 

「サラ、大丈夫か?」

 

「――ミコト、さん。はい、大丈夫です」

 

 

 満足いく答えが得られ、場所を確認しようと立ち上がる。

 目の前にはジールで見たような浮遊する大地の他に薄紫の空が広がており、とりあえずここが元の世界でなければクロノトリガーの世界でもないということだけは認識できた。

 

 

「――え?」「――へ?」

 

「ん?」

 

 

 後ろから声が上がったのに気づいて振り返ると、四角い石を挟んだ向こうで中学生くらいの少年と少女がこちらを見ていた。

 少年は金髪でありながらどことなく日本人っぽい雰囲気を纏っており、服装から察するに見た目と相違なく学生のようだ。

 だがもう一人の少女は少し様子が違う。桃色の髪にどこかのお姫様のような服装。これだけなら別の世界で似たような連中を見ているので特に驚いたりしないが、頭に犬のような耳と腰のあたりに犬のような尻尾がついている。しかも動いているところからしてあれは本物のようだ。

 

 

「ミコトさん、どうかし……あら?」

 

 

 俺の反応を気にしたサラが立ち上がって同じ方を向いて二人に気付く。

 向こうも俺の他にもう一人いたことに驚いたのか、言葉を失っているようだった。

 このままだと埒が明かないな……思い切って聞いてみるか。

 

 

「すまない、こんな状況で怪しいものではないといっても信じてもらえるかわからないが、俺たちは君たちをどうこうするつもりはない」

 

 

 敵意がないことをアピールしたのが伝わったのか、まず少年が挙手とともに声を上げる。

 

 

「えーっと、先に僕の質問を進めてもいいですか?」

 

「ああ、構わない」

 

 

 少年は少女の方を向くといくつか言葉を交わす。

 フロニャルド、ビスコッティ共和国領主、勇者召喚、そんな単語から彼らの状況を組み上げるならば、どうやらあの少年――シンク・イズミと名乗ったところから察するに日本人のハーフだろう――はこのフロニャルドという世界でビスコッティ共和国なる国の領主を名乗る少女――ミルヒオーレ・フィリアンノ・ビスコッティというらしい――に勇者として呼ばれたらしい。だが肝心のイズミ君にはどうもにも実感がないようだ。

 話が落ち着きだしたかなと思い声をかけようとすると、遠くからポンポンと何かが破裂するような音が響いた。

 音が聞こえた方角を見てみれば白い煙と花火のような光が空を舞っており、それを見たミルヒオーレさんの耳がピーンとたつ。

 

 

「大変! もう始まっちゃってる!」

 

「始まるって、何がですか?」

 

 

 サラが問いかけると、ミルヒオーレさんは真剣な表情で俺たちに告げた。

 

 

「――現在、我がビスコッティ共和国は、隣国であるガレット獅子団領国と戦をしているのです」

 

 

 

 

 

 

 四つの人影が宙に浮く石段を駆け降りる。案内役のミルヒを先頭に、残りの三人が追従するという形だ。

 召喚台で聞いた戦という不穏な言葉に眉を潜めた尊とサラだったが、移動しながら尋ねたところ自分たちが思っていた戦とは少し違うものだと知った。

 曰く、このフロニャルドで行われる戦といえば戦興業というもので、要約すると国が主催する大規模スポーツイベントだという。

 このイベントで重傷者や死者が出ることはまずなく、『大陸協定』なるもので定められたルールの元行われ、これで国民は楽しく思いっきり競い合うことが出来るとのことだ。

 ひとまず血生臭いものではないことがわかり二人は安堵すると、未だ自分たちの情報を明かしていないことに気付く。

 

 

「自己紹介が遅れました。私はサラといいます」

 

「俺は尊。ここにはちょっとしたトラブルでやってきた」

 

「トラブル……ですか?」

 

「ああ。原因はまだわかってないけど、詳しい話はまた落ち着いてからということで」

 

 

 苦笑いをして答えるとやがて石段の終わりが見え、そこに待機していた一匹の動物を見てシンクと尊が驚きの声を上げる。

 

 

「な、なにあれ!? チョコボ!?」

 

「すげぇ! リアルチョコボとかテンション上がるぞ!」

 

「いえ、あれはセルクルです。名前はハーランって言います。みなさん、乗ってください」

 

 

 先にハーランに騎乗して促すミルヒだが、尊は少し考えて口を開く。

 

 

「俺は走る。イズミ君とサラを乗せてくれ」

 

「え、ですが……」

 

「さすがに大人が二人も乗ったら辛いだろ。それに俺なら大丈夫だ――これがあるからな」

 

 

 亜空間倉庫から疾風の鉢巻を取り出し、頭に縛る。

 この鉢巻はクロノトリガーの世界にて古代にいた時グランとリオンから譲り受けたボッシュの作品で、装備するだけでヘイストの効果が持続する特殊なものだ。

 突然現れた鉢巻きにシンクとミルヒが驚くが、サラがあれなら大丈夫だと告げてとりあえず走り出す。

 ヘイストの効力を受けた尊も遅れまいとスタートを切ると、常人では考えられない速さですぐにハーランに追いつく。

 

 

「え、ええ!? 本当に追いついた!?」

 

「す、すごいですね!」

 

「大丈夫だって言ったろ! 何ならもっと早くしてもいいぞ!」

 

 

 驚く二人にサムズアップしてみせると、一番後ろに座っているサラが微笑ましそうに笑っていた。

 尊に余裕があるとわかるとミルヒも改めてハーランの手綱を握り直し、現状の説明に入る。

 

 

「先ほどもお話ししましたが、ガレットとは我が国の隣国ということもありたびたび戦を行っているのですが、ここしばらくは敗戦が続き、今日の戦では私たちの城であるフィリアンノ城を落とす勢いで攻めています」

 

「文字通り後がないということですか。 その逆転の一手が勇者召喚であり、呼び出したのがイズミ君と言うわけですね?」

 

「そうです、サラさん。――ガレットの領主であり、百獣王の騎士の異名を持つレオンミシェリ様に対抗できる騎士も今の我が国にはおらず……。ですから、勇者様に力を貸していただきたいのです」

 

「いや、僕は普通の中学生で、特別な力を持った勇者なんかじゃから、期待に応えらえるかわからないし……」

 

「とんでもない! 勇者様の力は、よく存じ上げております!」

 

 

 自信なさげにシンクの言葉をミルヒは否定し、ハーランを止めてしっかりと向き直る。

 

 

「私たちが見つけて、私が迷うことなく迎えたいと思った、唯一の方です!」

 

 

 シンクに向かってそう宣言してミルヒが視線を変えると、その先ではアスレチックのようなフィールドが広がっており多くの人々が楽しそうに、しかし真剣に戦いを繰り広げていた。

 フィールドの上空に浮かぶ映像から熱気ある実況と冷静な解説が戦況を広域に伝え、どちらが優勢なのかを独自の数字で表していた。

 どこの戦域で誰が活躍し、どれだけのボーナスが計上されたかが伝えられる中、思っていた戦と違うことにシンクは困惑気味につぶやく。

 

 

「えっと、これが……戦?」

 

「そうです。戦をご覧になるのは初めてですか?」

 

「少なくとも、俺とサラが知ってる戦とはかなり違うな」

 

「えっと、僕もこういう戦は初めて見るかな」

 

「そうですか」

 

 

 尊とシンクの言葉に頷きながら、ミルヒは少し悲しそうな表情で話を続ける。

 

 

「敗戦が続き、ビスコッティの民や騎士たちは寂しい思いをしています。それにお城まで落とされたとなれば、今まで頑張ってきたみんなはとてもしょんぼりしてしまいます」

 

「……しょんぼり?」

 

「……しょんぼりです」

 

 

 しょんぼりという言葉に合わせてミルヒの耳と尻尾が垂れ気味になり、追いつめられているというのが三人に強く伝わった。

 

――異世界の戦に、勇者召喚。これって、いつもベッキーが読んでるファンタジーノベルのまんまだ。冷静に考えればこんなの間違いなく夢なんだろうけど、同じような人――尊さんとサラさんがいる以上、そう断言はできない。だったら……。

 

 自分なりに考えをだし、シンクは改めてミルヒに向き直り声をかける。

 

 

「えっと、姫様?」

 

「あ、はい」

 

「僕は本当に、この国の勇者でいいのかな?」

 

「もちろんです! 間違いなくこの国に相応しいと思った、私たちの勇者様です!」

 

 

 勢いよく握られた手と力強い言葉に踏ん切りがついたのか、シンクも笑みを浮かべてその手を握り返す。

 

 

「うん! じゃあ姫様の召喚に応じて、勇者シンク、頑張ります!」

 

「ありがとうございます!」

 

 

 その宣言にミルヒが花の咲いたような笑顔になり、事の成り行きを見守っていた尊とサラもつられて笑う。

 

 

「サラ、一つ相談があるんだが」

 

「奇遇ですね、私もです」

 

 

 二人がそう言葉を交わすと、気づいたミルヒが少し慌てたように謝罪する。

 

 

「すみません、置いてけぼりにしちゃって」

 

「構いませんよ。 それよりミルヒオーレさん……いえ、ミルヒオーレ姫。一つ相談があるのですが」

 

「相談、ですか?」

 

 

 サラの言葉に首をかしげると、尊が要件を伝える。

 

 

「俺たちも、ビスコッティ共和国に協力させてもらえないか?」

 




第1話、いかがでしたでしょうか?

次回の投稿で戦参加となると思いますが、投稿がいつになるかは相変わらず未定となっています。
尊とシンクの世界が同じかどうかはまた後の投稿で。
前作のように完結まで頑張りますので、どうかよろしくお願いします。


◇前作から続投のキャラ紹介(簡易版)◇
月崎 尊
前作、Jumper -IN CHRONO TRIGGER-の主人公。
神の悪戯でクロノトリガーの世界に移動し、原作知識を活用してハッピーエンドを掴み取った男。
古代で出会ったサラと恋仲になり、ラヴォス討伐後フィオナ神殿で挙式を上げた。

サラ(月崎 サラ)
尊の嫁にして永遠のヒロイン。
前作で尊に救われ、彼に惹かれてそのまま恋人に。
原作のように行方不明にならず、夢喰いに取り込まれることもなく幸せな人生を手に入れた。
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