Jumper -IN DOG DAYS-   作:明石明

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どうもこんばんわ、最近ISを題材にした『Muv-luv Over World』のクロスネタかオリ主ネタを書きたい衝動に駆られている作者です。

さて、今回は壁にぶち当たった尊が閃きを元に行動する内容となっています。
もう少し書こうかとも思いましたが、切りが良かったので少し短めの内容となっています。

それでは本編第13話、どうぞご覧ください。



第13話「送還手段を求めて」

 調練場でいろんな輝力武装を試し終え、再びシンクを元の世界へ戻す手段を探し始めたのだが、進捗状況は非常によろしくない。

 

 

「……これも確認済み、か」

 

 

 手にした本がまた確認済みリストに入っているとわかり、思わずため息が漏れる。

 これで7冊目。早見表を見ずともフロニャ文字がだいぶ読めるようになってきたとはいえ、その速度はまだまだ遅い。

 こっちが一冊終える間に学院の人間は軽く3冊は読んでいるのだから、こうなるのも仕方ないかもしれない。

 サラも俺より少し早く読めるものの、やはり現地人には及ばない。ちなみに今、ダルキアン卿の元へ出かけているシンクも俺が作った早見表を使ってフロニャ文字の勉強をしているらしいが、成果は(かんば)しいようだ。

 それはさておき、確認済みのものを読み漁ったところで大した成果を上げることはできないだろうし、かといってこの数日で勇者召喚に関する書物はだいぶ読破されている。

 もっともその甲斐あってか、リコの話によると――徐々にではあるが――もう少しで送還の手掛かりをつかめそうとのことだ。

 持っていた本を元の場所に片付け、もはや指定席となりつつある奥の席に戻り机に置かれたクッキーを一つつまむ。

 サクッとした食感とともに口いっぱいに甘みが広がる。これは厨房のおばちゃんがくれたものだが、下手な洋菓子店のものより圧倒的に美味い。

 

 

「どうでしたか? ミコトさん」

 

 

 別の区画から戻ってきたサラが数冊の本を机に置きながら訪ねる。俺はお手上げのジェスチャーとともに首を振り、状況を説明する。

 

 

「全っ然ダメだ。こっちの読むスピードが遅いのは仕方ないが、それでもほとんどの本がもう確認済みだった」

 

「私も同じようなものですね。先ほどから範囲を広げて調べていますが、これといった情報もありませんし」

 

「なんだか、俺たちが何もできないままリコたちだけで先に解決しそうな気がしてきたな」

 

 

 サラも俺と同じように集めた情報をノートや羊皮紙にまとめているが、そちらも大した成果を上げられないでいた。

 

 

「……それにしても、やっぱり新鮮だな。サラが眼鏡をかけるというのも」

 

 

 今、彼女の顔には普段はない赤い縁の眼鏡がかけられている。これはアメリタさんから少しでも負担を減らせればと視力の低下を防ぐために貸し出され、その好意に甘えさせていただいたものだ。ちなみに俺も黒縁のものを借りている。

 

 

「ふふ、まるでルッカみたいですか?」

 

「あの子には悪いが、俺はサラの方が断然いいな」

 

 

 こう言ってはなんだが、ルッカは絵師の関係もあってアラレちゃんが大きくなった風にしか見えない時がある。まあ絵師つながりでそんなこと言い出したらキリがないのでこれは置いておくとして、実際サラが眼鏡をつけると雰囲気がまた変わってくるのだ。

 なんて言えばいいか、学校で生徒に人気の優しい保険室の先生とでもいうべきか。サラなら白衣も似合いそうだし。

 そういえば初めて会った時もケアルガで回復してくれたな。

 仮にサラがその優しい保険の先生だとすれば……。

 

 

『――まあ、怪我をしたんですか? 大丈夫ですよ、先生の魔法ですぐ楽になりますから』

 

 

「……ありだな」 

 

「何がですか?」

 

「ん? ああ、こっちの話」

 

 

 やばい、想像してみたが予想以上にハマるぞ、こいつは。展開が展開ならR-18も待ったなし……いかんいかん、自重しろ俺。

 

 

「それにしても、本当に目新しい情報が出てきませんね」

 

「他に誰も手を出していない区画なんてないしな。まさか全く関係のない場所に関連書があるとも思えないし」

 

「ですね。他にも本を保管してある場所があれば、そちらも調べられるのですが」

 

 

 サラの言うことも最もだが、城の中はここ数日でほぼ網羅したし、ここ以外に大量の本がある場所なんてそれこそ別の国とか……ん? 別の国?

 

 

「……そうか、それもありか」

 

「何か案でも浮かびましたか?」

 

「ああ。ちょっと姫様のところに行ってくる」

 

 

 頭の中で内容をまとめつつ、これが打開策の一手になることを願いながら俺は早足で姫様の執務室へと向かった。

 

 

 

 

 

 

「――ガレットで送還の情報探し、ですか?」

 

 

 姫様がたった今告げられた言葉を復唱すると、俺はそれを肯定するように頷いて見せる。

 

 

「リコのおかげでこっちの世界の文字はだいたい読み書きできるようになったし、同じ場所で誰かが既に確認した書物を探すよりは断然いいはずだ。それにガレットとしてもいつか勇者を召喚するときに同じ問題にぶつかるくらいなら、先に問題を解決してもらっておいた方が後々楽になるのは間違いないはずだ」

 

 

 レオ閣下には事情を話せば図書館を使わせてもらえそうだし、シンクの状況を聞けばガウルや三人組(ジェノワーズ)も協力してくれるはずだ。

 姫様は少し考え込むそぶりを見せると、何かを決めたようにコクンと頷く。

 

 

「わかりました。私の方からも協力をお願いするよう連絡させていただきますね」

 

「助かる。じゃあさっそく準備を――」

 

「あの、その代わりというわけではないのですが……」

 

 

 唐突に言い辛そうな声を出す姫様だが、少しの間を置いて腹を括ったようにぐっとこちらを見据える。

 

 

「レオ様が何をされようとしているのか、訊いてきてくれませんか?」

 

 

 ……なるほど。有体に言えば、さり気なくレオ閣下から情報を聞き出してきてくれってことか。可愛い顔して意外と(したた)かなことを思いつくな、姫様。

 

 ※ちなみにミルヒ本人はスパイなど腹黒い発想ではなく純粋に真っ向から訪ねてもらえないかと聞いているつもりだったが、レオの性格と大人ゆえに搦め手という発想がある尊はそういうことだと理解してしまっていた。

 

 

「わかった。俺も閣下に聞きたいことがあったから、ちょうどいい」

 

「ありがとうございます。ガレットへの案内は騎士団のエミリオとアンジュにお願いしておきますので、そうですね……30分後に騎士団の詰所へ向かってください。ガレットまでは急げば一時間くらいでつけますので」

 

「了解だ。ありがとう、姫様」

 

 

 これで合法的にガレットの図書館で調べ物ができるはずだ。後は調査に向かうメンバーだが……まあ、ここは俺一人でもいいか。サラを置いていくのは少し寂しいがどうせ一度こっちに戻ってくるつもりだし、――レオ閣下の性格からしてありえないと思うが――俺一人なら手荒い歓迎を受けてもゴリ押しで脱出もできる。

 あとはこっちで既に調査済みの本のリストを写して向こうでの手間を減らして、リコやシンクには伝言を残していけばいいか。

 そうと決まれば待ち合わせまであまり時間もないし、サクサク行動しますかね。

 執務室から退室すると同時に、俺はさっきの話を伝えるべく駆け足でサラの元へ向かうことにした。

 

 

 

 

 

 

 騎士団のエミリオとアンジュに連れられて尊がやってきたのは、ビスコッティの隣国にして海に面した国のガレット獅子団領だ。

 こちらの国にもシンクや尊たちの活躍は伝わていたらしく、町に入るなりビスコッティの助っ人戦士として待ち往く人々から注目を浴びることとなった。

 どうにか人ごみを抜けて切り立った崖の上にあるヴァンネット城に辿り着いたものの、何故か尊は唐突に新惑星ベジータの宮殿が頭を過ぎったそうな。

 

 

「案内ありがとう、二人とも」

 

「いえ、これくらいどうってことありませんよ」

 

「しかし、本当に我々だけ先に戻ってもよろしいのですか?」

 

 

 アンジュの疑問に尊は「問題ない」と返し、また騎士団の人間に差し入れを持っていく約束をしてセルクルとともにヴァンネット城の門をくぐる。

 こちらにも何らかの手段で連絡がついていたのか、門番の兵は尊を見るなり友好的な態度で城の奥へと招き入れた。

 

 

「尊様、お久しぶりです」

 

 

 エントランスに足を踏み入れるなり尊を出迎えたのは、ミオン砦で顔合わせをしたガレットのメイド長のルージュ・ピエスモンテだった。

 

 

「ルージュさん。あなたが案内役ですか?」

 

「はい。 今日はお一人なのですね?」

 

「本当ならサラと一緒に来たかったんですが、あまり時間もないし向こうでの調査も同時進行したかったので」

 

「そうでしたか。――ではこちらへ。レオ様がお待ちです」

 

 

 促されるまま奥へ進むと、やがてフィリアンノ城に似た謁見の間に辿り着き、二つある玉座のひとつにてレオが足を組んで待っていた。

 

 

「よくきた、尊よ」

 

「ミオン砦以来ですね、レオ閣下」

 

 

 戦場の時と比べ尊のレオに対する言葉遣いがかなり変わっているが、TPOを弁えればこれは当然といえるだろう。

 そんな尊の言葉に「うむ」と返しながらレオは組んでいた足を解き、玉座から立ち上がる。

 

 

「話は聞いておる。勇者の送還方法を探しておるそうだな?」

 

「ええ。しかしビスコッティの書物だけでは足りない可能性もありまして、こちらの書物を拝見させていただきたいのですが」

 

「ふむ。我が国としても勇者を召喚しないということはないとは言い切れんし、その時になって送還方法がわからないとなっては問題じゃ。お主らがその問題を打開するカギになり得ることを期待させてもらう」

 

「と、いうことは?」

 

「うむ。この城の者を使っても構わん、存分に調べるがよい」

 

 

 その言葉に尊は自分の予想通りに進んでいくことに手ごたえを感じ、頭を垂れる。

 

 

「感謝します、レオk――「ただし、一つ条件を出させてもらおう」――……なんだって?」

 

 

 突然のことに敬語も忘れて素で問うと、レオは口端を吊り上げて尊の前に立つ。

 そして告げられる言葉に、尊だけでなくその場にいたバナード・サブラージュやビオレ・アマレットまで驚愕した。

 

 

「……本気で言っているのか?」

 

「ワシはいつでも本気じゃ。それに、そうするだけの理由もちゃんとあるのじゃぞ?」

 

 

 怪訝そうに尋ねた尊だが、レオの言う理由を聞くと耳を疑いたくなるが同時にどこか納得できてしまうことに苦い表情を浮かべた。

 

 

「……本当ならサラや姫様たちと相談したいところだが、こっちもシンクを戻すための時間が惜しい」

 

「ならば――」

 

「――その条件、呑ませていただきます」

 

「うむ、契約成立じゃ!」

 

 

 その宣言にレオは心底嬉しそうな顔をし、尊の肩をバンバンとたたく。

 

 

「約束通り、この城にあるものは好きに使って構わん。契約の履行は当日に頼む――それと、お主が話しやすい喋り方で構わんぞ?」

 

「……了解だ。 では改めてよろしく頼む、閣下」

 

 

 レオが差し出した手をつかみ握手をする。少しやりづらくなったと思いながら、尊はルージュの案内で早速書庫へと向かうのだった。




本編第13話、いかがでしたでしょうか?

レオ閣下とのやり取りについては、もう少し先の話で明かすことになります。
またネタバレ防止のため、推測などが浮かびましても感想には書かないでください。

それでは、今回はこのあたりで。
また次回の投稿でお会いしましょう。
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