Jumper -IN DOG DAYS-   作:明石明

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どうもこんにちわ、最近兄が入籍してお前はいつだと茶化されている彼女いない歴=年齢の作者です。

さて、今回でようやく原作2話目が終了となります。
後に「犬日々はこうでなくては」といっても過言ではない事象の初場面ということで彼女にもその洗礼を受けてもらいました。

それではポロリもあるよの第4話、どうぞご覧ください。


第4話「戦終了と帰還問題」

 レオンミシェリが繰り出した『獅子王炎陣大爆破』の爆炎がすり鉢エリア全体を包み、発生した強力な衝撃波が離れた場所にあるフィリアンノ城へも容赦なく襲い掛かる。

 範囲内にいた一般兵のすべてが『けものだま』となって戦闘不能。尊もその威力に思わず肝を冷やした。

 今まで魔法による爆炎や天から降り注ぐ破滅の光などをその身に受けてきたが、それとはまた違った怖さが今の攻撃にはあった。

 

 

『決まったぁぁぁぁぁぁぁぁ! レオンミシェリ閣下必殺の紋章砲、『獅子王炎陣大爆破』がエリア内の兵たちを一掃! 味方も巻き込んでしまうのが難点ですが、これを受けて立っていられる者はい――なぁ!?』

 

 

 フランボワーズの実況が途中で驚愕に変わる。

 確かに今までこの紋章砲を受けて立っていた者はいなかったが、その戦歴に傷をつけるように煙の中から青白く透明な縁を持つシールド形態のサテライトエッジを持った尊と、物理ダメージを軽減させる魔法の『プロテクト』を使ってどうにかやり過ごせたサラが爆破したあとのフィールドに残っていた。

 

 

「ほう、この土壇場で輝力武装を発現させるとは。しかももう一人もどうやって防いだかはわからんが、あれを受けて立っていられるとは思わなんだぞ」

 

「輝力武装?」

 

 

 聞きなれない単語を拾い上げ思わずオウム返しのようにつぶやくが、何かに気付いたレオンミシェリが実況席に向けて声を張り上げる。

 

 

「フランボワーズ! 確認せい、勇者とたれ耳隊長は死んだか!?」

 

『え? ――あ、はい!』

 

 

 ここにいるはずの他の二名――シンクとエクレールの姿がないことに尊たちも気づき、つられるようにその姿を探す。

 するとサラのセルクルが何かに気付き、空に向かって軽く嘶く。

 雲と島が浮かぶ空の一点から、黒い点が徐々に大きくなって迫る。

 

 

「そう簡単に、やれると思うなぁ――――――っ!!」

 

「こ、これ高すぎない!? ねえ高すぎ――ああああぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

 つぶれた双剣の片方を使い紋章砲を応用して上空へと退避していたエクレールとシンクが異なる声を上げて急速に落下していた。

 しかしこのままでは地上で待ち受けるレオンミシェリの的になりかねないのは、誰の目から見ても明らかだった。

 だからこそ、それをさせないために無事だった男が攻める。

 

 

「せやぁ!」

 

「むんっ!」

 

 

 ギィン!と二人の武器がぶつかり合う。一瞬拮抗しているかに見えた両者の鍔迫り合いだが、膂力の差でレオンミシェリが尊の武器を押し切ろうとする。

 

 

「なかなか筋はよさそうじゃが、ワシとやりあうには力が足りんな!」

 

「ぐっ……悔しいがそのようだ……だが、これは一騎打ちじゃないんだぜ?」

 

 

 その言葉に応じるように残っているもう一人――サラがセルクルをすり鉢の中に向かわせながら手にした弓で尊を援護。流石にこの体制で受けるのはまずいと悟り、レオンミシェリは尊を弾き飛ばすと後ろへ後退する。そしてさらにそこへ、上空から一際早く飛来するものがあった。

 

 

「――よし! 逝って来い!」

 

「へ? ――うわあああぁぁぁぁ!?」

 

 

 上空からレオンミシェリに強襲をするべく、エクレールがシンクを地上に向かって蹴り飛ばす!

 作戦があると聞いて頷いたのはともかく、いきなりの蹴りにシンクは悲鳴を上げずにはいられない。

 それでもどうにか体勢を立て直し、真下にいるレオンミシェリに向かってパラディオンを振り下ろす。無論これを黙って受け入れるレオンミシェリでもなく、手にした戦斧で迎撃しシンクを押し返す。

 この隙にエクレールが背後をとり、さらに左右から尊とサラがしっかりと輝力を溜めた斬撃と矢を放つ。両方を受け止めて見せるが、防げたのはそこまでだった。

 思うように踏ん張りが効かず、武器と盾が衝撃を殺しきれず砕け散る。そこへシンクとエクレールが同時に駆け出し、追撃を仕掛ける。

 

 

「でえやああああああ!!」

 

「うおおおおおおおお!!」

 

「くっ!!」

 

 

 何とか躱そうとするレオンミシェリだが間に合わず――

 

ガキャァン!!

 

 ――二人の武器が彼女を起点に交錯し防具ごと上着を破壊する。

 手ごたえを感じてやったと思いシンクが振り返ると、少々露出が多くなったレオンミシェリを見て思わず顔を赤くした。

 ちなみに尊は少しやり過ぎたかと思って頬をかき、サラは自分より豊満なそれを見て若干俯くのだった。

 

 

「ふむ……チビとたれ耳、それに助っ人を未熟な紋章使いと思い少々侮ったか。別にこのまま続けても構わんが、それではちと両国へのサービスが過ぎてしまうな」

 

 

 わざわざモデルのようにポーズをとりながらそう呟くレオンミシェリを見て、エクレールがまさかと問う。

 

 

「レオ閣下、それでは……」

 

「うむ――ワシはここで、降参じゃ」

 

 

――『『『うおおおおおお!!』』』

 

 どこからともなく出された小さな白旗が合図となり、辺りから無数の花火が打ち上げられ兵たちから歓声が沸いた。

 予想だにしなかった総大将の、それも『天下無双』とも呼ばれる強さを誇るレオンミシェリの降参。両軍に衝撃を与えるには十分すぎる内容だった。

 

 

『まさか、まさかのレオ閣下敗北!! 総大将撃破ボーナス350ポイントがビスコッティ軍に加算されます!! しかし今回は拠点制圧が勝利条件となるので現時点で戦終了とはなりませんが、この点差はあまりにも致命的!』

 

 

 フランボワーズの実況にビスコッティ側からは再び歓声が、ガレット側からは信じられないといった声が上がる。

 もちろん、戦の行方をフィリアンノ城で見守っていたミルヒとリコッタももたらされた朗報を手放しで喜んだ。

 

 

 

 

 

 

 総大将が撃破され試合の行方がほぼ決定的となったということで、すり鉢エリアではレオンミシェリ閣下がマスコミを集めてシンクと俺たちの評価を下していた。

 

 

「――勇者よ。助っ人や親衛隊長の援護があったとはいえ、ワシに一撃入れたことは褒めてやる――が、次はこうはいかんぞ。助っ人もろとも、真っ向から粉砕してくれる」

 

「あっ、ありがとうございます!」

 

 

 マイクがシンクに投げ渡され、シンクも姫様と言いかけたのを指摘されながらも同じように次の戦を楽しみにすることを宣言する。

 あちらもまんざらではなさそうな笑みで頷き、今度はマイクが俺に渡される。

 

 

「――今回は数人がかかりで勝利したが、機会があるならば是非ともお互いの全力をもって一騎打ちを望みたい。よろしいか?」

 

「フン。いいだろう、それまで紋章術の腕を磨いてくるといい」

 

 

 嬉しそうな返答を受けると、閣下が尻尾でエクレールの方を指す。マイクを渡せということか?

 その意図に従ってマイクを放り渡すと、カメラが一斉にエクレールの方に集中する。

 

 

ビリィ!

 

 

 ――瞬間、何の前触れもなく彼女の服がパンツだけを残して細切れに裂けた。

 誰もが呆然とし、エクレールは顔を赤くしてだらだらと汗を流すと何かを思い出したかのように叫んだ。

 一方、実況席ではリプレイで原因を確認したのかフランボワーズの声が轟く。

 

 

『勇者! 自軍騎士に誤爆!! 確認したところ、レオ閣下の防具と一緒に親衛隊長の服まで破壊していたぞぉー!』

 

 

――『『『うおおおおおおおおおおおお!!』』』

 

 

「ちっぱい! ちっぱいだ!」

 

「ありがてぇ、ありがてぇ……!」

 

 

 閣下の時より大きな歓声が上がり、中には手を合わせて嬉し泣きをする兵もいた。ロランさん、こいつらです。

 というか、かすっただけで服がああなるってどういうことだよ……。これ下手すると他の衝撃でも――。

 そこまで考察したところで、唐突に嫌な予感が駆け巡った。主に自分の身にではなく、その隣にいる人物に対してだ。

 

 

「サラ、お前は大丈夫だよな?」

 

「え、ええ。それよりミコトさん、エクレールさんに何かかけてあげた方が――」

 

 

ビリィ!

 

 

 そこまで言った瞬間、サラのローブが裂けてキャミソールがあらわになり始めた。

 再び気まずい沈黙が流れると、俺たちは弾けるように叫んだ。

 

 

「ひ、ひゃああぁぁぁぁ!?」

 

「さ、サラぁぁぁぁぁぁ!?」

 

 

――『『『うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!』』』

 

 

「天使だ!」

 

「女神だ!」

 

「美乳だ!」

 

「美脚だ!」

 

 

 エクレールの時よりさらに大きな絶叫が上がる中、俺は身に着けていたマントを掛けてやり、周りで喚く野郎どもに向かって殺気を飛ばす。

 

 

「野郎は後ろ向け! カメラ止めろ! 今の俺の嫁をこれ以上映すなぁ!!」

 

 

 クソ! もっと早く感づくべきだったか!? いや、そもそも原因は何だ!? あの爆発の時のダメージか!? だとしてもそれが今現れるのが意味不明だぞ! ええいテント! 救護テントはどこだ!? おいそこ! 鼻の下伸ばしてんじゃねぇ! シスコン義弟大魔王に変わってぶっ飛ばすぞ!

 

 

「はっはっは! では勇者たちよ、次はしっかり侵略してやるから覚悟しておけ!」

 

 

 閣下は心底楽しそうに宣言すると、他の脱落した兵たちを引き連れてそのまま退場していく。一方、俺も自分のマントを纏わせたサラを近くの天幕まで『加速』とブーストアップを併用して連れて行き、シンクは羞恥と怒りに顔を赤く染めどこからか借りたバスタオルで自分の体を隠したエクレールの猛追から逃げるべく走り回っていた。

 

 

『しかしこの勇者、確かに強いしすごいですが、やはり若干アホかもしれません』

 

「ほ、ほっといてよ!」

 

『そして親衛隊長と助っ人のお嬢さん! おいしい映像、ありがとうございました!』

 

「ええい! やかましい!」

 

「言わないで下さい!」

 

「実況! 後でシメるから覚悟しとけ!!」

 

 

 絶対にフランボワーズとかいう奴に一発叩き入れることを誓い、俺とサラは天幕へと駆け込むのであった。

 

 

 

 

 

 

 ビスコッティの勝利が確定的となり、実況席でもフランボワーズが――顔を若干青くしながら――ミルヒオーレ姫と戦勝イベントについての話題が上がっていた。

 ガレットが勝利していれば地酒祭りが開かれることになっていたらしいが、今回はフィリアンノ音楽ホールという場所で姫様自らがステージに上がって歌うそうだ。

 とりあえずこの世界に来た時の服に着替えたサラと映像を見ながらそのやり取りをBGMに、俺たちは自分たち以外に誰もいないことを確認してこれからのことについて話し合う。

 

 

「とりあえず、サテライトエッジのチャージが溜まるまでこの世界に滞在するのは確定だ」

 

「確か月の光を当ててエネルギーを溜めるんでしたね」

 

「ああ。もし何らかの事情でチャージが出来なくても、俺のMPを全部消費すれば一回で30%は回復できる」

 

 

 MPが自然に全回復するまでほぼ丸一日かかるが、幸いエーテル系のアイテムや数は少ないがエリクサーなんかも残っている。

 無論これを使えば今すぐにでも戻ることはできるだろうが、万が一を考えてこれは本当に最後の手段として取っておきたい。

 

 

「あとは元の世界に戻るなら、一度シンクを交えて少し話がしたいところだが……」

 

「どこに行ったかまでは、見てませんでしたね」

 

 

 なんせこっちは天幕を発見するまで精神コマンドの『加速』と自分が倒れない程度にブーストアップの継続をして走り回ってたんだ。

 さほど時間をかけずに見つけることはできたが、俺は俺でブーストアップの副作用で今も横になる必要があった。幸い今はサラが着替え終わって膝枕をしてくれているので気力的にもだいぶ楽になっている。

 

 

「もう少ししたら俺も動き回れると思うから、そしたら探しに行くか」

 

「そうですね――あら?」

 

 

 何かに気付いたらサラが顔を上げ、俺も同じように顔を動かす。

 

 

「み、尊さぁ~~~~~~ん!!」

 

 

 天幕の入り口の向こうから切羽詰まった雰囲気を全開にして件の少年、シンク・イズミが駆けこんできた。

 

 

「どどどうしよう!? 今エクレールとロランさんから聞いたんだけど、僕たちもう帰れないって……!」

 

「落ち着け、帰れないってどういうことだ?」

 

「私から説明させてくれ」

 

 

 同じように天幕から現れたのはエクレールを連れたロランさんだった。

 

 

「おや? 尊殿、大丈夫か?」

 

「あー、安心してください。サラのおかげでだいぶ楽です。それと歳が近そうなんで、ため口に切り替えてもいいですか? 個人的にそっちの方がしゃべりやすいんで」

 

「む、それなら了解だ。それで話の説明だが――」

 

 

 まじめな表情になったことからこの状態では失礼だと思い、サラに礼を言いながら姿勢を正して説明を受ける。

 要約すると、召喚された勇者は元の世界に戻ることも連絡を取ることもできず、ここフロニャルドで一生を終えることになるそうだ。それが召喚のルールであり、この世界で勇者が頻繁に召喚されない大きな理由らしい。

 それを聞いて俺は納得と疑問を抱く。そういう理由ならばこの世界で勇者召喚がレアなことに説明がつくが――

 

 

「――シンクは勇者召喚がそういうものだっていうのは知って……いや、知ってたらここまで焦ってないな」

 

 

 もちろんと言いたそうにうんうんと首を振る彼を見てとりあえずと話を切り出す。

 

 

「一度、ミルヒオーレ姫に話を通そう。シンクを召喚した張本人でもあるし、あの子の性格からして召喚の仕組みを知らなかった可能性がある」

 

「そうですね。知っていれば召喚した時に何か言っていたはずですし」

 

「今すぐに確認といきたいところだが、向こうもコンサートの準備とかでバタバタして――「ちょ、ちょっといいですか!?」――なんだ?」

 

「二人とも落ち着いてるけど、いいんですか!? 帰れないんですよ!?」

 

 

 予定を考えていると急にシンクが割って入り、慌てた口調で話す。

 なるほど、シンクは俺たちも帰れないと思っていたのか。

 

 

「俺たちなら心配ない。 自力で帰れるからな」

 

「……へ?」「なんだって?」「なんだと!?」

 

 

 三者三様の反応があった直後、花火の音ともに戦終了の宣言が響き渡った。




第4話、いかがでしたでしょうか?

犬日々といえば理不尽な服破壊による圧倒的な肌色の露出。
今回は程度が浅いとはいえサラにもその洗礼を受けていたd(ここから先は真っ赤な血で染まって読めないようだ……
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