夢というものは、存外無視出来ないものだ。
特に魔術師が見る夢は馬鹿に出来ない。千里眼、未来視も可能な魔眼とて存在する。
記憶の整理という科学的な側面から見ても同様だ。実際に認識している事でも見方によれば新たな事実が浮かび上がることもある。未来は過去が起因するなら、夢が近い危機の警告として現れることは何ら可笑しい事ではない。
だから、夢の事を鑑みて計画をあっさりと変えることはなにも可笑しいことではない。
その一方で、所詮夢と割り切り気にしないという者もいる。
己の主観が入った記憶は過大なり過少なり偏った評価に歪められたものであり、そんなものが正しい予測を導ける訳がない。
というより、素より感情や願望に左右されるソレに意味なんてない。
これも当然の意見だろう。
さて、夢で意見を変えた彼は実はどちらかというと後者よりである。
しかし悪夢には怖気づいて後ずさりする性質だったのだ
彼は本当に未熟で、何処までも不運な魔術師だった。
***
予め用意しておく事は何事に於いても重要な事だ。
当初の予定では少女の血を以って描く陣を、鶏で代用すると決めて即座に準備出来たのは、ちゃんとプランBとして備えていたお陰だろう。現代日本、生きた鶏なんてそうそう見つからない。
自室に予め陣を描き、万全の状態で少女を呼ぶ。
前倒しどころか計画も大幅に変える事になったが、より安定して事を運べるだろう。
我ながら冴えていると自負しつつひたすら地味な作業に入る。
ルーマニアでは六体一斉召喚すると聞いた。自分もちゃっかり混ぜて貰えば良かったのだろうか。そうでなくても時計塔側も英霊を召喚すると知った時にすぐ合流していれば。そうすれば色々な苦労をしなかったのではないか。
過ぎたことだ、今更嘆いても仕方ない。
陣は出来た。あとは少女を部屋に呼ぶだけだ。
ふとあの悪夢が脳裏に浮かぶ。
あの少女から手を引けと警鐘が鳴り響く。
しかし状況は変わっている。少女という素材は確かでもない夢で諦める方安くはない。いや、ここを逃せば出会えなくなる最高の素材だろう。
大丈夫だ、上手くいく。
そんな自分の計画変更が、結局恐怖から目を背ける行為でしかない上に計画を破綻させることになるとは、全く気付いていなかった。
***
空が茜色に染まる頃。
少女は同い年らしい女学生と男を連れて帰ってきた。
友人というには男は少々年上に見えるのは、惚れ惚れとする程着物を着こなしているからだろうか。
つくつくと眺めていると、女学生がこちらに気付いた。
そして、ゆっくりと微笑む。
三日月のように歪んだ口とは裏腹に凍りついた目は蛇のように睨みつけていた。
アヴェンジャーがアンリじゃなくてそこはかとなく残念な私です。
天草出ましたし、エクストラクラスとしてチャンスはまだある…のかな?
うちの相良さんがどんどんアホの子に…
全国の相良ファンに申し訳ないです。
そして召喚は未だ成らず。
……こんな小説をお読みいただき本当に感謝です。