Muv-Luv AlternativeGENERATION   作:吟遊詩人

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更新です。一週間過ぎてしまった…

ティターンズの人員については半分ぐらい宇宙世紀ではない人間を出してます。あまり好きではないキャラが出てきた場合でもどうか生暖かく見ていてください。

次回から新章に入りますのであとがきにSEED風に予告を載せてみます。あまり期待しないで見てください。


第十七話 部隊設立

アメリカカリフォルニア州沿岸部――ジャミトフが部隊の設立を上層部に打診してより約一年。このカリフォルニア州沿岸部に存在する基地は国連軍に接収され、国連軍特殊戦闘独立部隊ティターンズの基地となっていた。ジャミトフは国連軍の部隊を任せられるにあたり大将へと昇進している。この昇進は結局のところ形式的なものであるが、後々の事を考えれば大将という階級を得られたのはジャミトフにとって幸運であった。

 

「到着しましたよ、少尉」

 

「あぁ、ありがとう」

 

 そして、このカリフォルニア基地の滑走路に一機に輸送機が到着した。中からは数人の軍服を着た人間が下りてくる。彼等は皆、士官学校からジャミトフに勧誘されティターンズへの配属を了承した者達である。

 

「此処がティターンズの基地か…」

 

 真っ先に輸送機から降りてきた青年は、空から降り注ぐ太陽の光に目を細める。

 

「おい、立ち止まらないでとっとと降りろよ」

 

「…あぁ、すまない」

 

 立ち止まっていた青年に、後ろから出てきた金髪の青年が早く降りるように促す。もう一人の青年はそれに謝罪すると、すぐに階段を降り始める。そして金髪の青年の後ろからは美しい女性と少々老け顔の青年が降りてきた。

 

「しかし、お前も大将からの勧誘を承諾するとは思わなかったな」

 

「はっ、訓練校ではお前に負けっぱなしだったからな。勝ち逃げなんかさせるかよ」

 

 この会話から解る通り、彼等は同じ士官学校の同期である。共にジャミトフからの勧誘を受け、同じく了承した為に通常の士官学校卒業者よりも早く任官することになっていた。彼等の後ろにいる二人も同じく勧誘され、承認した二人である。

 

「お、来た来た」

 

「ん?」

 

 そうして降りていく彼らの前に二人の男が待っていた。片方は黒い肌に黒い髪の黒人の青年、もう一方は茶色っぽい髪に、白い肌の真面目そうな青年だ。

 

「君達は?」

 

「あぁ、俺達も多分おたくらと同じさ」

 

 問いかけに、黒人の青年が自身の後方にあるもう一機の輸送機を指さす。彼等は別の場所に存在する訓練校からジャミトフに勧誘を受けた青年達であった。

 

「お待ちしていました」

 

 そんな彼等の前に二台のジープを用意したアジスが現れる。

 

「私はジャミトフ・ハイマン大将の秘書官、アジス・アジバ中尉と申します。これより、貴官等にはハイマン大将への挨拶の後に各員の部屋へと案内。そしてヒトヨンマルマルに第一格納庫に集合していただきます。それと、各員の自室には我等ティターンズ専用の軍服が準備されているのでそちらに着替えていただきます」

 

「了解しました、中尉」

 

 アジスの説明に青年達は敬礼を持って返す。そして彼等はジープへと乗り込み基地へと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから数時間後、ジャミトフへの挨拶と自室へ荷物を運びこんで簡単な荷解きを終えた彼らはティターンズの軍服に着替えて時間通りに指示された第一格納庫の入り口付近へ集まっていた。其処には彼等だけでなく、さらに白い髪の男性と金髪の野性味溢れる男性の二人が集まっていた。

 

「よし、集まってんな」

 

 合計八人が集まる中、格納庫に二人の人影が入ってくる。涼牙とユウヤである。共にティターンズの軍服に身を包んでおり、その胸には階級章が光っている。

 

「「……!?」」

 

 八人のうちの七人が明らかな日系人が入ってきたことに僅かに驚く中、ユウヤと一人の青年は別の理由で驚いていた。その理由は、互いに互いの顔をよく知っていたからであった。

 

「さて、とりあえず自己紹介だな。俺は氷室涼牙少佐、このティターンズ実働部隊の指揮を執らせてもらう。知っての通り、この部隊のトップはジャミトフ・ハイマン大将だが大将は後方で政治方面で動いていただき、現場での指揮は俺が執ることになる。ちなみに俺は日系人ではなく純血の日本人だ。まぁ、俺は堅苦しいのは苦手だから、公の場ではともかく普段はフランクに接してくれて構わない。よろしくな?」

 

 笑みを浮かべながら涼牙は敬礼をすると八人も敬礼を返す。

 

「それと、ユウヤ?」

 

 敬礼を終えると、涼牙にも挨拶を促す。それに対しユウヤは表情を引き締めて口を開く。

 

「部隊長補佐を任せられているユウヤ・ブリッジス少尉です。若輩者ではありますが、よろしくお願いします」

 

「まぁ、こいつに関してもフランクに接してやってくれ。さて、じゃあ一人ずつ自己紹介頼むわ。一応データで知ってても、こういうのはきっちりしないとな」

 

 その言葉を聞き、まずは金色の野性味溢れる男性が口を開く。

 

「はっ!自分はヤザン・ゲーブル大尉であります!と、堅苦しい挨拶は最初だけでよろしいのですかな?少佐殿?」

 

「…あぁ、構わない。フランクで良いって言ったのは俺だからな」

 

 ヤザン・ゲーブル――アメリカ軍海外派遣部隊から勧誘されたエースパイロット。腕は確かだが保身的な上官の元にいたために疎まれていた過去がある。逆に部下からの信頼は厚い。第一小隊の小隊長を務めることになる。

 

「自分は、第一小隊所属ジェリド・メサ少尉であります。よろしくお願いいたします」

 

 ジェリド・メサ――士官学校に通っていたエリート。ジャミトフの勧誘と、当時の士官学校No1がこの部隊に入ることを選んだ為に配属を決める。成績は良いが素行に多少問題があり、教官からはあまり好かれていなかった。

 

「同じく、第一小隊所属マウアー・ファラオ少尉であります」

 

 マウアー・ファラオ――ジェリドの同期生。ジェリドの恋人であり、成績優秀で素行にも問題はなく教官達からも将来を有望視されていた。危なっかしいジェリドの背中を護るためにティターンズ行きを決める。

 

「同じく、第一小隊所属カクリコン・カクーラー少尉であります」

 

 カクリコン・カクーラー――ジェリドの同期生。ジェリドの親友であり、成績優秀。ティターンズ行きを決めた理由はマウアーとほぼ同じ。

 

 第一小隊の面々が自己紹介を終えると、今度は第二小隊に涼牙の視線が向く。すると白い髪の男性がまず口を開く。

 

「第二小隊小隊長、ウルフ・エニアクル大尉であります。よろしくお願いしますよ、少佐殿」

 

「こちらこそ、よろしく頼む」

 

 ウルフ・エニアクル――ヤザンと同じく海外派遣部隊から勧誘したエースパイロット。色々と素行に問題があり、模範的な軍人ではない。また、過去に勝手に自分の戦術機を真っ白に塗ろうとして罰せられたことがある。ヤザンと同じく、上層部からは嫌われているが部下からの信頼は厚い。

 

「第二小隊所属、エドワード・ハレルソン少尉であります」

 

 エドワード・ハレルソン――南米出身の黒人青年。訓練校出身者で同校でもトップクラスの成績の持ち主。特に近接戦闘に光るものがある。ジャミトフの勧誘に興味を持ちティターンズへの参加を承諾。

 

「同じく、第二小隊所属アンドレイ・スミルノフ少尉であります」

 

 アンドレイ・スミルノフ――ソ連出身の青年。訓練校出身者であり、エドワードとは同期。両親はソ連軍のエース衛士であり、両親の友人を頼って米国に疎開。その後、国連軍への参加を目指してアメリカの訓練校に入校。ジャミトフの勧誘と国連軍の部隊ということでティターンズへの参加を承諾。

 

「同じく、第二小隊所属ゼハート・ガレット少尉です。よろしくお願いします」

 

 ゼハート・ガレット――父と兄がアメリカ軍のエリート軍人であり、ジェリド達と同じ士官学校出身者。同期の中でもNo1の成績を持つ。素行も問題なく、将来を有望視されたが兼ねてより不仲だった父と兄との関係を断つためにティターンズへの参加を承諾。

 

「(ゼハート…)」

 

「(ユウヤ…まさかこんなところで会うとはな)」

 

 ゼハートの自己紹介を聞きながら、ユウヤは彼を見る。一方のゼハートもユウヤを見ていた。彼等はかつて、非常に短い間であったが同じ学校で親友として過ごした仲で、当時、日系人ということでイジメられていたユウヤを唯一庇ったのがゼハートだった。元々が転校生である上に僅か数ヶ月で再び転校してしまったものの、ユウヤにとっては同年代初の友人であった。

 

「よし、じゃあ親交を深めるのはあとにして…大将から聞いてると思うが、お前達には戦術機とは全く違う新しい機動兵器に乗って戦場に出てもらうことになる。こっちだ、付いてこい」

 

 歩き出す涼牙に従い、ヤザン達八人はその後をついていく。そして、格納庫の一番奥に辿り着いた。

 

「…こいつは…」

 

 其処に立つ八機の機体。黒に近いカラーリング――所謂「ティターンズカラー」に塗装されたMSが鎮座していた。

 

「『GAT-01A1 105ダガー』、戦術機とは全く違う概念で開発された機動兵器『MS』だ」

 

「『MS』…?」

 

「運動性、装甲、火力の全てにおいて既存の戦術機を大きく上回る機体だ。また、この機体の特徴として複数のストライカーパックと呼ばれる装備を換装することで様々な戦局に対応することができる。お前等には正式な部隊運用開始までの間、この機体の慣熟に努めてもらう」

 

 その説明の中、ゼハートが手を挙げる。

 

「その機体の性能は、それほどのものなのですか?」

 

「あぁ、詳しいカタログスペックはあとで渡すマニュアルを参照してもらうとして。一番お前等が驚きそうなのはビーム兵器を標準装備していることだな」

 

「「!?」」

 

 涼牙の発言にその場の八人の顔が驚愕に染まる。此の世界ではビーム兵器など発明すらされていない。そのビーム兵器を標準装備している機体というだけで十分驚くべきことだった。

 

「此のビーム兵器の威力は突撃級の装甲も容易く溶解させることができる。勿論、戦術機の装甲等は掠っただけでもただでは済まない。だからこそ、乱戦時のフレンドリーファイアには十分に気を付けてもらう」

 

 ゴクリ――と、彼等は涼牙の語るビーム兵器の威力に息を呑む。

 

「また、OSに関しても現行の戦術機に搭載されているものよりも高度なものを搭載している。これに関しては戦術機に慣れている衛士には特に違和感が強いだろう。これに関しても明日からの訓練で慣れて行ってもらう。まずは今日一日、マニュアルを熟読して機体特性を頭に叩き込め」

 

「「「はっ!!」」」

 

 八人が揃って敬礼をする。そして八人全員に105ダガーのマニュアルが配られていく。

 

「あ、少佐。ちょっと良いですかい?」

 

 マニュアルを受け取った後、何かを思い出したかのようにウルフが手を挙げる。

 

「ん?どうした、エニアクル大尉」

 

「俺のことはウルフで良いですよ。で、ものは相談なんですがね…俺の機体、真っ白に塗ることはできませんか?どうもあの色はイケてないんでね」

 

「………」

 

 その発言に涼牙は呆然とする。そして思い出す――向こうのウルフもこういう性格だったなぁ――と…

 

「そうだな…まぁ、それでウルフのやる気が出るなら俺の方から進言しておくが…その代り落とされるなよ?パーソナルカラーに塗れば、誰が乗っているかは一目で解るようになる。だからこそ、落とされれば味方の士気に関わる」

 

「当たり前だ、初めから落とされる気で戦う奴が何処にいる?俺は最高が似合う最高の男…ウルフ・エニアクルですよ」

 

 別世界でもやはりウルフはウルフだ――そんなことを考え、涼牙は顔を綻ばせた。

 

「よし解った。ただし、白く塗るのはお前が俺の納得のいくレベルまでダガーを使いこなしてからだ。その方がモチベーション上がるだろ?」

 

「約束だぜ、少佐殿?」

 

 涼牙の返事に満足したのか、ウルフは敬礼する。そして涼牙は次にその場にいる他のメンバーに向けて言葉を発する。

 

「お前等もだ!落とされず、何処までも戦い抜く覚悟があるなら俺のとこに来い!お前らの望むパーソナルカラー、パーソナルマークを機体に入れて貰えるように頼んでやる!」

 

 今、異世界で新たなティターンズが誕生した。そしてその存在は一年後、世界を騒がせることになる。

 

 

 

 




次回予告

部隊設立から一年--ついにティターンズが動き出す


戦場は大規模作戦の展開される光州


異世界の空をMSが翔ける


次回、初陣


今、世界はガンダムを知る



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