Muv-Luv AlternativeGENERATION   作:吟遊詩人

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大変お待たせいたしました。更新させていただきます。

今回、かなり難産でした。何度も書き直しましたが、うまく表現できているかわかりません。

また、賛否別れる内容かもしれません。というか、賛の方が居るといいなぁ…

では、どうぞ。感想の方もお待ちしています。


第二十九話 過去の記憶

 

「…え…?お父様が…ブリッジス少尉の…?」

 

 巌谷の言葉に真っ先に反応したのは唯依だった。涼牙とユウヤはある程度予測していたが、そもそも此の場に何故呼ばれたのか分からなかった唯依にとってまるで予想していなかった言葉が出たのがただただ驚きだった。

 

「巌谷の叔父様、どういうことですか!?お父様が、ブリッジス少尉の父親と言うのは!」

 

 声を荒げて立ち上がる唯依に対して巌谷は真剣な面持ちで、祐唯は申し訳なさそうな沈痛な面持ちをしていた。

 

「(そりゃあ驚くか…自分の父親が…今日会ったばかりの日系アメリカ人の父親だなんて言われたら)」

 

 そんな唯依の姿にユウヤは心の中で同情する。なんせ、祐唯がユウヤの父親と言うことは唯依にとっても兄妹だと言うことになる。そんなことを急に言われて受け入れられる訳がない。彼女は何も知らなかったのだ。流石にユウヤも何も知らなかった妹に悪い感情など持つ筈が無い。

 

「其れに…その…ミラと言う方がお父様の恋人だった?では、お母様は…」

 

「落ち着いてくれ唯依ちゃん。此れから全てをキチンと話す。だから…頼む」

 

「…叔父様…」

 

 取り乱す唯依を巌谷が真っ直ぐ見つめて、話を聞いて欲しいと頭を下げる。其の姿に唯依は混乱しながらもソファーに座りなおす。

 

「すまない、唯依…いずれは話すつもりだった…お前に、兄弟が居ることを…すまない」

 

「お父様…」

 

 祐唯は此れまで黙っていた罪悪感からか、唯依に頭を下げて謝罪する。巌谷と祐唯、尊敬する二人に頭を下げられて唯依も如何にか表面上は冷静さを取り戻すが…やはり頭の中では混乱したままだった。

 

「まず先に言っておくが…唯依ちゃん、祐唯がミラ――ブリッジス女史と恋仲にあったのは君が産まれてくる…いや、祐唯と君のお母さんとの縁談が持ち込まれる以前の話だ。少なくとも、祐唯が結婚した後で不貞を働いたわけではないことは解ってくれ」

 

「…はい…」

 

 巌谷の言葉に唯依は絞り出すような声で返事をする。

 

「(不貞じゃない…其れは良かったけど…じゃあ、お父様はどうして恋人と…其の間に生まれたブリッジス少尉と離れて日本で…お母様と一緒になったの?まさか…)」

 

 父は米国で出来た恋人と其の子供を捨てたのではないか?――そう考えた瞬間に唯依の中で初めて父への嫌悪感が生まれる。国の壁と言うのは解る…だが、其れでも恋人と子供を捨てると言う行為を唯依は許容できない。真っ直ぐな気質で、優しい少女だからこそ許容できるはずもない。何よりそれは、武士としても人としても恥ずべき行為だ。そんな思考が頭の中を支配すると同時に、巌谷が口を開く。

 

「…ふぅ…唯依ちゃんが何を考えているかだいたい解るけどそれは違う。少なくとも、祐唯は二人を捨てた訳じゃない」

 

「…!?」

 

「ふふ…唯依ちゃんは解りやすいからね。氷室少佐もそう思うだろう?」

 

「くく…まぁ、確かに…そう言う子は好ましくはありますけどね」

 

「む…唯依ちゃんはやらないぞ?」

 

「御心配なく、既に他に心に決めた相手が居ますから」

 

「お、叔父様!?氷室少佐まで!」

 

 巌谷は唯依を諫めると同時に涼牙に話を振ると、涼牙も笑顔で返しては楽しそうに会話する。此の二人、どうやら相性は良いらしい。

 

「榮二…唯依をやらんと言うのは私の台詞のはずだが?」

 

「馬鹿、そんな暗い顔で言っても場が和まないだろう。タダでさえ愉快な話ではないんだ…馬鹿話をした方が逆に冷静になれることもある」

 

「…すまん」

 

 どうやら、先程のやり取りは悪いことを頭の中でぐるぐる考え出した唯依を多少なりとも和ませる為であったらしい。其れに気付いた涼牙も話に乗ったのだ。実際に唯依はまだ表情は暗いものの先程よりは冷静に話を聞く姿勢にはなっていた。

 

「さっき、篁中佐が…俺とお袋を捨てた訳じゃないって言ったのはどういうことだ?」

 

「ユウヤ…」

 

「俺達は…アメリカで…差別に遭ってきた…日本人の血が混ざった俺と…そんな俺を産んだお袋…そのせいでお袋は命が危ない時だってあったんだ…!俺達を捨てたんじゃないなら、なんでアンタは俺達の傍に居てくれなかったんだ…!」

 

 だが、冷静になった唯依と対照的に先程の巌谷の「捨てた訳ではない」と言う言葉にユウヤが反応する。脳裏には病に倒れたミラの姿が思い浮かぶ。病院に受け入れられず、涼牙が居なかったらと思うと…何度もユウヤはそう考えていた。だから、そんな時に傍に居てくれなかった父へと怒りをぶつける。

 

「…ブリッジス少尉…私には、ミラも君も見捨てるつもりはなかった…其れは本当だ…」

 

「っ…!?なら、なんで…!」

 

 祐唯の言葉にユウヤはさらに怒りで表情を歪ませてソファーから立ち上がる。

 

「落ち着け、ユウヤ」

 

「リョウガ…だが…」

 

「まだ、話の途中だ。まずは全部聞こう」

 

 そんなユウヤの肩に手を置いて、涼牙が穏やかに諭す。其れを聞いてユウヤも此れ以上の追及を止めてソファーに座り込む。すると今度は巌谷が口を開き、そして巌谷と祐唯、ミラの過去を話し始めた。

 

「俺と祐唯がミラと出会ったのは二十年以上前、日本帝國の曙計画の時だった」

 

 曙計画――1976年に日本帝國が帝國軍と民間企業合同で行われた戦術機開発及び運用技術研修プロジェクト。当時、世界的な戦術機供給不足解消の為にアメリカは同盟国に戦術機開発の奨励と各国技術研修チームの受け入れを開始したことに端を発する此の計画の研修チームの中に巌谷と祐唯は居た。

 

「当時、米国へ渡った俺達を待っていたスタッフの中に居たのがミラだった。正直あの時は驚いたよ。まさか、F-14の設計者に直接教えを乞うことが出来るとは…とね」

 

「え、F-14!?ブリッジス少尉の母上が!?」

 

「そう、ミラこそがF-14の設計者だったんだ」

 

 F-14トムキャット――1982年に配備された世界初の第二世代戦術機である。第一世代戦術機に不可能だった三次元機動を可能とし、配備当時は世界最強と称され現在でも戦術機に限れば有数の性能を誇る名機である。其の性能は『海軍に於ける戦術機の父』と呼ばれるラスコー・ヘレンカーター提督に「F-14の登場によって此れ迄の戦術機は一夜にして旧式になった」と称された程である。

 

「ただ…まぁ、其の点は有り難かったんだがね…」

 

「何か問題でも?」

 

 渋い顔になる巌谷に涼牙が疑問をぶつけると彼は苦笑いしながら答える。

 

「当時のミラは大の日本嫌いでね…日本人への差別感情も強かったんだよ」

 

「え…お袋が?」

 

 巌谷の言葉にユウヤは耳を疑った。ユウヤは日本人である父を――ひいては日本人にも好意的感情を持っていた母の姿しか知らない為に日本人に差別的な母など想像もできなかった。

 

「いや、よくよく考えれば不思議な事でもないだろう?」

 

 だが、困惑するユウヤをよそに涼牙は成程と一人で納得していた。

 

「ミラさんの親父さん…つまりユウヤの祖父さんは相当の日本人嫌いだったんだろ?それに加えてあの差別意識の高い土地で育てばミラさんもそうなるのが普通だ。寧ろそんな所で子供の頃から育って親日家にはならないだろう」

 

「そう言えば…そうだな…」

 

 涼牙の説明にユウヤは納得し、巌谷もそれを肯定するように頷く。

 

「ミラは其れまでほとんど日本人と関わったことは無くてな。まぁ、彼女は米国の名家ブリッジス家の一人娘だったから余計かもしれん。そうして、日本人嫌いのミラと…良くも悪くも真っ直ぐな此の祐唯が真っ向から衝突してな。そりゃあもう顔を合わせれば言い争いはするわギスギスした空気を生むわで大変だった」

 

「…すまん…」

 

「其れは…母が御迷惑を…」

 

 昔のことを懐かしそうに笑顔で語る巌谷に祐唯がと、ついついユウヤが申し訳なさそうに頭を下げてしまう。実際、当時日本人嫌いだったミラと真っ直ぐで日本人であることを誇りに思っていた若い祐唯は幾度も衝突した。そんな中で双方の考えに一応の理解を示していた巌谷は両者の仲裁を何度も行っており、胃に穴が開きかけたという。

 

「ははは、まぁ其れも今となっては良い思い出だよ。だが、そんな我等の関係にも時期に変化が起き始めた。何度も衝突し、長く行動を共にする内にミラは真っ直ぐで真面目な祐唯と接することで日本人への考えを改め始めたんだ。そして、態度が軟化し始めたミラに対して祐唯も次第に気を許していった。其れから二人が異性として惹かれ合うのにそう時間は掛からなかったよ」

 

 しみじみと巌谷は其の時のことを思い出す。二人から交際を始めたと報告を受けた時は自分のことのように喜んだものだった。

 

「まさか、堅物だった祐唯から恋愛相談をされる日が来るとは思っても居なかったよ。だが…」

 

 しばらく微笑ましい思い出を語っていた巌谷だったが、途中で真剣な面持ちに変わる。

 

「あの日、祐唯とミラが交際を報告に来た時に俺は言ったんだ」

 

 そう語る巌谷の脳裏には未だに鮮明に当時、祐唯達に言った言葉が蘇る。

 

 

――――交際は目出度いことだ。友人として心から祝福する

 

 

――――だが、お前達二人には公に結ばれる為の壁が多いのも事実だ

 

 

――――良いか?正式に結婚するまでは清い交際を保ち、くれぐれも一線は超えるなよ?

 

 

 そう語って、巌谷が唯依に眼を向けるとまるで茹蛸のように赤くなっていた。どうやら彼女にはまだ一線を超えるだのと言った単語は刺激が強すぎたらしい。唯依の反応に笑みを浮かべた巌谷は、次いで額に青筋が浮かぶ。

 

「そう俺は二人に言い聞かせた。如何にか二人が公に結婚できるように力を尽くすから其れまでは…とな」

 

「ちなみに、巌谷中佐はどのような方法で二人を結婚させようと?」

 

 青筋を浮かべて震えていた巌谷だが、涼牙の質問に対して息を深く吐いて心を落ち着かせると其の方法を語り始める。

 

「…二人がそれぞれ名家の出なのは知っての通りだ。祐唯は日本帝國の譜代武家の当主、ミラは米国有数の名家ブリッジス家の一人娘…他国の名家同士の恋愛が実ることはそうは無い。もし、何方か一方が一般家庭の出ならばもう少し変わっただろうが…名家同士では本人達の感情だけでは話は進まん」

 

「最悪の場合、スキャンダルになって国際問題ですか…」

 

「そうだ、かと言って駆け落ちなども論外だ。日本や米国では探し出される可能性が高く、当時から既にユーラシアの多くはBETAの手に落ちていた状況ではユーラシアの諸国は危険すぎる。オーストラリアなどの候補もあるが、どれも不確定要素が余りに多すぎた」

 

 巌谷は語る。名家同士の人間の駆け落ちともなればそれぞれの名家に関わりのある人間達はこぞって二人を探すだろう。そうなればまず日本とアメリカに二人の居場所はない。かと言って他の国に行こうにもBETAの危険性がある上に出国前に発見されて掴まる可能性も大きい。名家とはえてして様々なコネクションを持つ為に駆け落ちで其れを回避するのは不可能だった。

 

「だから俺は考えた。純粋な恋愛結婚が無理ならば、二人の結婚に政治的な価値を付ければ良いのではないかと。つまりは政略結婚の体を装うわけだ」

 

「なるほど…上手く二人が結婚することで両国が利益を得る形にすると?」

 

「其の通り…当時の日本帝國はまだ戦術機の技術に疎く、米国と同盟を強固にすることでより多くの技術を学べるという利益があり、米国はユーラシアからのBETA侵攻に際して防波堤となる日本帝國との関係を強化することが出来る。少なくとも当時、同盟強化は双方の国に確かな利益があった。そして、其の同盟強化の一環として日本帝國と米国…双方の名家の子息を婚姻させる。その際に日本帝國では祐唯が、米国でミラが名乗り出る。勿論、相手とは単なる顔見知りでしかないと装って貰ってな」

 

 当時、まだ日本主導の第四計画は存在すらしておらずアメリカが日本との同盟を切るメリットは少なかった。寧ろ、ユーラシアからの防波堤となる国と友好関係を強固にしておけばより壁として機能するという打算はアメリカ上層部にも生まれていたことだろう。一方で日本帝國も同盟強化による戦術機技術の向上を目指せる可能性もあり、此の巌谷の提案は実現する可能性はあった。

 

「無論、上手く行かない可能性も十分にあった。だが、私は祐唯の親友として…そしてミラの友人として二人の為に出来る限りのことはしようと決めていた…の…だが…」

 

 其処まで語って、再び巌谷の額に青筋が浮かび上がる。しかも今度は二つだ。今にも血管が切れそうである。

 

「…二人の交際発覚から半年以上経った後のことだ…我々の研修期間も僅かになり、帝國に戻れば二人の結婚の為に動こうとしていた矢先に…突然ミラが我々の前から姿を消したのだ」

 

「…!?お袋が…?」

 

 巌谷の言葉にユウヤは言葉を失う。何故母が姿を消したのか…其の理由が見えてこない。其れは唯依にも同様のようだが、涼牙は其の理由に見当がついていた。

 

「成程…其の時既に、ユウヤがお腹の中に居たって訳か…」

 

「「…!!??」」

 

 涼牙が呟いた言葉にユウヤと唯依の二人が同じような表情で反応する。其の姿に涼牙は思わず吹き出しそうになってしまう。なんせ二人の顔がそっくりなのだ。腹違いとはいえ、やはり兄妹なのだと妙に納得してしまう。

 

「…恐らくは…な…思えば兆候はあったのだ。ミラが時折青い顔でトイレに駆け込むのを見かけたこともあった。だが、二人が忠告を守ってくれていると思っていた当時の俺はミラが単に体調を崩しているとしか感じなかった。其の後、祐唯にミラが失踪する理由に心当たりがないかを話し合って…もしやと思って問い詰めたら…」

 

「…一線を超えていた…と…」

 

 巌谷の言葉に続いて涼牙が呟いた瞬間に全員の非難の意味を込めた視線が祐唯に注がれ、祐唯は弁解の言葉なく申し訳なさそうに項垂れる。まぁ、端的に言うと当時の若かった祐唯はミラと二人で過ごすときに見せる彼女の愛らしい姿に我慢できなかったのだ。

 

「…いやぁ、俺はあの時初めて親友を渾身の力でぶん殴ったよ」

 

 笑顔で語る巌谷だが、額には青筋が浮かんでいる。どうやら思い出しても怒りが込み上げる出来事の様だ。其れでも祐唯の親友を続けているあたりは器がデカいというかなんというか。

 

「巌谷に殴られたときは頭をしたたかぶつけて脳震盪で気絶したな…」

 

 当時を思い出しつつも親友との約束を破ったことに罪悪感は感じているのか祐唯はひたすらに申し訳なさそうにしている。

 

「…お父様にだらしないところがあるのは理解しましたが…ブリッジス少尉のお母様は何故失踪を?」

 

 微妙に父親に失望の眼差しを向ける唯依の辛辣な言葉にショックを受ける祐唯。だが、そんなことはお構いなしに唯依は思った疑問を口にする。

 

「まぁ、十中八九政治利用されない為だな」

 

「政治利用?」

 

 涼牙の言葉にユウヤと唯依が反応し、巌谷は其れを頷いて肯定する。

 

「恐らくな…ミラはブリッジス少尉を妊娠し、気付いたのだ。其のまま出産すれば祐唯に迷惑がかかること、生まれてきた子供が政治に利用されることを。だから我々の前から姿を消して、ブリッジス少尉の父親が明確に誰なのか解らないようにしたのだろう」

 

「成程、篁家もブリッジス家も両国で有数の名家だ。其の当主と一人娘が婚姻も結んでいない内に出来た子供…利用価値は高いだろうな。反米派はこぞってミラさんを篁家の当主を誑かした悪女、反日派はブリッジス家の子女を強姦した鬼畜とでも喧伝するだろう。そしてその影響は間違いなく外交にも出てくる。ミラさんは其れを懸念して姿を消したってところか…」

 

 巌谷の説明に涼牙が納得したように頷きながらミラが姿を消した理由を考察する。其の考察は正しく、ミラは愛する人との子供であるユウヤが政治に利用されることを恐れていたのだ。

 

「…お袋…」

 

 一方、姿を消したのは祐唯ではなくミラであったと言う真実を聞いてユウヤは呆然としていた。だが、其れも自分が政治に利用されない為と聞いてはミラに対して複雑な感情が募る。

 

「あの…お父様はブリッジス少尉のお母様を探そうとはしなかったのですか?」

 

 困惑しているユウヤを見ながら、唯依が気になったことを口にする。

 

「いや、当然だが俺や巌谷もミラの行方を捜したよ。日本帝國に戻ってからも…だが、見つからなかった」

 

「恐らく、ミラの父親が手を回していたのだろうね。ブリッジス家の力ならばミラの行方を隠すことは十分できる」

 

 唯依の疑問に祐唯、巌谷の順番で答える。そう、当然ながら二人も手を尽くしてミラの行方は探していた。だが、結局当時の二人はミラを見つけ出すことは出来なかった。

 

「結局、俺達はミラの捜索を断念せざるを得なかった。長期の捜索は帝國や米国にミラと子供の存在を知られる危険性があったからな…そして、捜索を断念して数年後に唯依…お前の母さんと婚姻を結ぶことになったんだ」

 

 そう語る祐唯の表情は悲痛そうなものだった。無論、唯依や今の妻である栴納を愛していないわけではない。栴納とは政略結婚でこそあったが、其れでも確かに愛情は持っているし娘である唯依には溺愛するほどに愛情を注いでいる。だが、だからと言ってかつての恋人であるミラと息子のユウヤに辛い思いをさせたという事実に後悔があることも事実だった。

 

「…お袋は…なんで…」

 

 父親が居なくなったのではなく、母の方が姿を消したという自分が一切知らされていなかった事実にユウヤは呆然とする。だが其の言葉に涼牙が答える。

 

「まぁ、万が一にも政府に知られる訳には行かなかったんだろ。真実を知る人間が少なければ少ない程、秘密ってのは漏れにくいからな。ミラさんだけじゃなく、お前の祖父さんもお前の為に色々と手を尽くしてたみたいだし」

 

「…祖父さんが?」

 

 涼牙の言葉にユウヤは疑問符を浮かべる。祖父が日本人を嫌っていたのは知っていた、直接的な暴力は受けたことはないが怒鳴られた事なら何度もあるし少なくとも可愛がって貰った思い出などなかった。其の祖父が娘であるミラだけでなく自分のことも気に掛けていたというのが信じられなかった。

 

「前にミラさんから聞いたんだよ、お前の祖父さんが色んな伝手でお前を政治に利用されないように手を回してたってな。例え嫌いな日本人の血が入っていても、大切な一人娘の産んだ子供なんだ。憎み切れなかったんだろう」

 

「祖父さん…」

 

 自分に優しさなど一切見せてくれなかった祖父がその実、自分を守るために動いてくれていたという事実にユウヤは胸が熱くなるのを感じた。そんなユウヤに対して、祐唯は席を立つと彼の目の前まで歩いて行って土下座をする。その行動に巌谷は冷静に、そして唯依は戸惑った様子で見つめている。

 

「…!アンタ…」

 

「…すまなかった…あの時、私は家を捨ててでも「おい…」…?」

 

 謝罪する祐唯の言葉を遮ってユウヤが立ち上がり、彼の胸倉を掴んで持ち上げる。そして其のまま祐唯を思い切り殴り飛ばした。

 

「ぐっ…!?」

 

「お父様!!」

 

 殴り飛ばされた祐唯に唯依がすぐに駆け寄る。一方で突然祐唯を殴ったユウヤの巌谷や涼牙も驚きを隠せずにいた。

 

「ブリッジス少尉!何を!?」

 

 ユウヤの行動に唯依が非難の眼差しを向けるが、ユウヤは意にも介さずに再び祐唯の胸倉を掴んで持ち上げる。

 

「アンタ、いったい何を謝る気だよ…!あの時、タカムラ家を捨ててでもお袋を探せばよかったとでも言う気か?ふざけんな!そんなこと謝られても、今更遅いんだよ!」

 

 激しい怒気を孕んだ目で祐唯を睨みつけるユウヤに対して彼は言葉を発せずにいる。そしてそんなユウヤを止めようと唯依が掴みかかろうとする。

 

「唯依ちゃん…」

 

「おじ様!?」

 

 しかし、其れを巌谷が制止した。今、このユウヤの行動を止めるべきではないと彼は察していて涼牙も其れに同感なのかユウヤがやり過ぎないように見ているだけだった。

 

「其れに…其れはアンタが家を捨てずに日本に帰ってきたのが間違いだったって認めることになる…解ってんのか?其れが間違いだって認めるってことは、タカムラ少尉が生まれてきたことが自分の間違いの結果だったって言ってるようなもんなんだぞ!」

 

「「「!!??」」」

 

 ユウヤの言葉に、祐唯も唯依も…そして巌谷や涼牙すらも驚きの表情を浮かべる。誰も考えていなかった、ユウヤは自分のことではなく…唯依が…初めて会った妹が生まれてきたことを間違いだったかのように言われたことに激怒しているのだ。

 

「確かに、アンタがやったことは正しくはねぇ…親友のイワヤ中佐の忠告を無視して、結果的に俺もお袋も苦労した。けどな、だからって…親が自分の子供が生まれてきたことを何があっても間違いだなんて言うな…!」

 

「っ…あ…すまない、唯依…」

 

 ユウヤの言葉を聞いて、感情のままの行動と言動が危うく愛娘まで傷つけてしまうところだったっと悟った祐唯は俯いたまま唯依に謝罪する。

 

「いえ…大丈夫です。お父様が私を大切にしてくれているのは、解っていますから…」

 

 祐唯の謝罪に唯依は微笑みながら返す。此れまでの生活で、父が自分に愛情を注いでくれていることは十分理解できている。だから、祐唯の謝罪を素直に受け止めることができた。

 

「…最後に聞かせろ。アンタは、確かにお袋を愛していたんだな?遊びなんかじゃなく、本気で将来を共にするくらい愛していたんだよな?」

 

 確認するように、ユウヤは落ち着いた声音で祐唯に語り掛ける。そんな彼に祐唯も顔を上げて、ユウヤを見上げながらハッキリと口にする。

 

「あぁ、私は確かにミラを愛している。どれだけ時が経とうと其れは変わらない。今の妻も、唯依のことも…そして其れと同じようにミラや、ブリッジス少尉。君のことも愛している」

 

 真っ直ぐ、ユウヤの眼を見つめてそう答える祐唯の姿に嘘はない。本心からの言葉で、其れをユウヤも感じたのかゆっくりと溜息を吐く。

 

「なら、良い…其れがアンタの本心なら、俺の恨みつらみはさっきの一発でチャラにしてやる。其れに、確かに苦労はしたけど…今は、産んでくれたことには感謝してる。お袋にも、アンタにもな」

 

「…そうか…」

 

 何処か照れ臭そうにしながら、ユウヤは祐唯に背を向けて涼牙の隣に戻る。其の姿に人知れず巌谷は微笑んでいた。

 

「(まったく…照れ臭そうにしているところはそっくりだな…)」

 

 自分の知る祐唯とユウヤの姿がダブって見える。本当に此の二人は親子なのだと再認識できた。唯依も祐唯と似ているが、ユウヤも祐唯に良く似ていると…巌谷は思う。

 

「(もっとも、ブリッジス少尉の方がしっかりしているようだがな)」

 

 先程の祐唯との問答や、唯依のことで激怒したところなどユウヤの方がしっかりしていると巌谷は苦笑いしてしまった。

 

「さて、そろそろ失礼するとしようか。明日もあることだしな」

 

「あぁ…そうだな」

 

 すでに時間は夜、翌日もBETAとの戦いが控えている以上はあまり長居するわけにもいかず涼牙とユウヤは席を立つ。

 

「では私が見送りをしよう。唯依ちゃんも、今日は驚いただろう…急に呼んで済まなかったね。だが、話しておいた方が良いと思ったんだ」

 

「いえ…私も、何も知らないよりはずっと良かったです。ありがとうございました。氷室少佐とブリッジス少尉も、今日は本当にありがとうございました…」

 

 やはり何処かまだ複雑そうな顔をしながらも唯依は頭を下げる。次いで巌谷はユウヤに殴られた場所を押さえている祐唯に向き直る。

 

「祐唯、もう少し唯依ちゃんと話しておけよ?」

 

「わかっている…見送りを頼むよ、榮二」

 

そして唯依と祐唯を残して巌谷は涼牙とユウヤを見送るために基地を出てアークエンジェルまで車で送り届け始めた。

 

「しかし…少し意外だったよ、ブリッジス少尉」

 

「ん…?何がですか?」

 

 車の運転をしながら巌谷はユウヤに向けて口を開く。その言葉にユウヤは首を傾げた。

 

「君が唯依ちゃんの為に怒ったことがさ。血が繋がった妹とはいえ、初めて会った唯依ちゃんの為に怒ってくれるとは思わなかった…」

 

 巌谷はユウヤが唯依の為に怒ったことに何処か嬉しそうな顔をしている。そんな巌谷に対してユウヤは若干照れ臭そうにしながらも言葉を紡ぐ。

 

「別に…俺はアイツのことは嫌いだけど…だからってタカムラ少尉まで嫌うつもりはないだけだよ。タカムラ少尉は何も悪くないし…それに…」

 

「それに…」

 

 一度ユウヤは口を閉じると、横に座る涼牙に視線を向ける。涼牙もユウヤが何を言うのかと興味津々で聞いていたので、ユウヤは観念して喋り始める。

 

「自分が辛い思いしたからって…何の罪もない異母妹が産まれてきたのを否定したら、自慢の親友や俺を救ってくれた兄貴に呆れられちまう」

 

「…兄貴?」

 

 ユウヤの言葉に巌谷は疑問符を浮かべる。ユウヤは一人っ子だった筈だと少し考えて、そして涼牙を見て納得した。

 

「初めて俺の友達になってくれた親友と、日本人全部恨んでて腐ってた俺を正してくれた、お袋の命を救ってくれた人に情けない奴だと笑われちまう。俺は恩人に顔向けできない生き方はしたくない」

 

 其れを聞いて隣に座っていた涼牙は驚いた表情を浮かべた後、すぐに嬉しそうな笑みを浮かべてユウヤと肩を組む。

 

「…へぇ?お前、そんなこと思ってたんだ?へぇ~、俺が兄貴ねぇ」

 

 ニヤニヤと笑う涼牙に対してユウヤは再び反対方向に視線を向けて無言になる。そんな二人を見ては巌谷も微笑ましそうに笑っている。

 

「氷室少佐、良い弟を持ったな?」

 

「えぇ、こいつは俺の自慢の弟ですよ」

 

 自慢気に語る涼牙に対して、ユウヤはずっと無言だったが…其の表情は何処か嬉しそうだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あの親子の会談からしばらくして、眠れなかった唯依は建物を出て夜風に当たっていた。あの後、唯依は祐唯から真剣な謝罪を受けて彼女自身も多少のわだかまりはあったものの受け入れた。そして今、唯依の脳裏はまさに先程の会談のことでいっぱいだった。

 

「(ブリッジス少尉が…私の…)」

 

 あの会談で知った真実…祐唯がアメリカでミラという女性と出会い、恋に落ちたこと。そして其のミラとの間にユウヤと言う子供が…唯依にとって腹違いの兄が居たこと。

 

「(お父様…)」

 

 今回の件で唯依は父である祐唯に多少なりとも失望を覚えていた。現地の女性と恋に落ちるのはともかくとして…親友である巌谷の忠告を効かずに一線を越えて結果的に子供が出来て、最終的に愛した女性と其の子供に苦労を背負わせてしまったこと。勿論、ミラの方にも責任はあるが此れ迄祐唯のことを軍人として…そして父としても尊敬していた唯依には父への感情の方が大きかった。まだ軍人として様々な功績を上げていることは尊敬しているが…父としては此れ迄と同じようには尊敬出来そうになかった。

 

「(其れに比べてブリッジス少尉は…)」

 

 次いで、ユウヤのことを思い出す。初めて会った兄は確かに父に似ている。後で巌谷に唯依自身にも似ていると言われて鏡を見てみれば確かに似ていた。そして、父の情けない過去を聞いた後だからか…最後に初めて会ったばかりの異母妹である唯依の為に怒った姿を見て立派な人だと感じた。嬉しくも感じたし、心の何処かでユウヤが兄であることを誇らしく思ってもいた。

 

「(しかし…)」

 

 一方で、其の兄にどう接していいか解らない。立派な人物だと感じた、兄であることを誇らしいとも思った。でも、一方で複雑な感情も抱いている。父がアメリカで愛していた女性の子供…兄と呼んで慕ってもいいのか…本心では両親の愛情を直に受けて育った自分を疎んでいるのではないのか…そんな思考が頭を支配する。

 

「…タカムラ少尉?」

 

「…っ!?ガレット中尉?」

 

 不意に掛けられた声に身体をびくりと震わせて反応する。顔を上げてみればフェンスの向こうには先日自分を助けてくれたゼハートの姿があり、其の奥には停泊しているアークエンジェルの姿もあった。どうやら思い悩んでいるうちにこんなところまで歩いてきてしまっていたらしい。

 

「タカムラ少尉、こんな時間にこんなところでどうかしたのか?」

 

「あ、いえ…少し眠れなくて…ガレット中尉は?」

 

「私も似たようなものだ…何か、思い悩んでいたようだが大丈夫か?」

 

「っ!?…いえ…」

 

 どうやら思い悩んで此処まで歩いてきたところを見られていたらしい。ゼハートの問いかけに唯依は一瞬息を飲むも、意を決して口を開く。

 

「…ガレット中尉、私には兄が居ます…私も今日知ったことですが…腹違いの兄が…」

 

「…そうか…君が…」

 

 誰かに聞いて欲しかったのかもしれない…そう思いながら唯依は名を明かすことはなく、腹違いの兄が居ることを語る。一方のゼハートも唯依の言葉だけで全てを悟った。目の前の少女が親友であるユウヤの異母妹なのだと。別にユウヤから名前まで聞いていたわけではない。だが、ユウヤから父親と異母妹に会ったという話は聞いた。そして、ユウヤはそのまま自室に戻っていったのだ。だから名前までは聞いていない。しかし、改めて見ると唯依はユウヤに似ていた。男女の違いはあるが、兄妹と言われれば納得できる。

 

「兄は…立派な人でした。父親のいない生活で苦しんだ筈なのに…父を嫌っている筈なのに…怒りに囚われず私を気遣ってくれて…恩人に誇れるように生きている人でした…」

 

「そうか…そうだろう…彼は、私の自慢の親友だからな」

 

「…!…ガレット中尉が…」

 

 自慢の親友――其の言葉に唯依はユウヤが言っていた「自慢の親友」がゼハートのことだと理解する。そして、彼女はそのまま言葉を続ける。

 

「私は…兄を尊敬しています…会ったばかりですけど…此の人が兄で誇らしいと思いました…けど…」

 

「…けど?」

 

「…あの人を…兄と…呼んで良いのか解りません…」

 

「どういう事だ?兄であって誇らしいのだろう?」

 

 ゼハートの問いかけに唯依は悲しげに俯く。そしてぽつぽつと言葉を紡ぎ始める。

 

「…だからこそ…です…あの人は理由はどうあれ、私の父のせいで苦しんできました…なのに…其の父の下で、両親の傍で育った私が…お母様と共に苦労を重ねたあの人を、兄と…兄様と呼んで良いのか…」

 

 唯依自身、ユウヤを立派な人物だと思っている。だからこそ、ユウヤが辛い思いをする原因であった父の下で安穏と暮らしていた自分が兄と呼んで良いのか解らなかった。

 

「…そう言うことか…まぁ、君の言いたいことは解った。だが、其れならば無用の心配というものだ」

 

「…え?…っ!?」

 

 予想外のゼハートの言葉に顔を上げる唯依、その瞬間思わず月明かりに照らされる中で微笑むゼハートの姿に見惚れてしまう。

 

「私の親友を舐めるなよ?確かにあの男は父への蟠りを完全に捨てることは出来んだろうが…其れでも唯一人の異母妹を拒絶するような小さな男ではない。君が兄と呼びたいのなら、そう呼べばいい」

 

「…っ…はい…」

 

 ゼハートの穏やかな言葉に思わず唯依は返事をしてしまう。思えば、唯依は誰かに言って欲しかったのかもしれない。自分はユウヤを兄と呼んで良いのだと。あの立派な男を兄と呼んで良いのだと。そして、そんな彼女の返事に満足げに笑いながらゼハートは唯依に背を向けた。

 

「明日、出撃前に此処に連れてくる。恐らくこの後は簡単には会えないだろう…君の言いたい言葉を掛けてやれ」

 

「…はい…!ありがとうございます、ガレット少尉…」

 

 心からの感謝の言葉を口にして唯依もまたゼハートに背を向けると、温かな気持ちのままその場を去って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日、ユウヤは出撃までの僅かな時間の間にゼハートに連れ出されていた。目的地は勿論、昨夜ゼハートが唯依に会ったあの場所である。

 

「おい、ゼハート。こんな時間に何の用だよ?」

 

「すぐに済む、黙ってついてこい」

 

 有無を言わさぬゼハートに訝しみながらもユウヤは後を付いていく。そして目的地に到着すると、其処には強化装備を身に纏った唯依が居た。

 

「…タカムラ、少尉?」

 

 ユウヤの問いかけに唯依はびくっと身体を震わせるも、深呼吸して気持ちを落ち着かせる。昨夜、ゼハートと別れた後に散々考えて此の場でユウヤのなんと伝えるかを決めてきたのだ。

 

「(落ち着くのよ、唯依…大丈夫…其れに、緊張して途中で噛んだりしたら恥ずかしすぎる…!)」

 

 何度か深呼吸をして自分を落ち着かせる唯依。そして彼女は言葉を口にしようとして…

 

「あにょ…!」

 

 …噛んだ。一言目に普通に噛んだ。噛むまいと心を落ち着けたはずなのによりによって一言目で噛んだ。其の事実に唯依の顔がまるで茹蛸のように赤くなる。

 

「ぷ…くく…」

 

「………」

 

 ユウヤは噛んだ事実よりも其のことを恥ずかしがっている唯依の姿に笑いを堪えている。ゼハートは目線を外して無言だが同じように笑いを堪えているのだろう、肩が震えていた。其の事実に唯依は更に羞恥で赤くなる。尊敬する兄と、気になる異性に笑われたらそうもなる。

 

「…申し訳ありません…お見苦しいところを…」

 

 顔を真っ赤にして唯依は謝罪する。そんな彼女の姿に笑みを浮かべながらも如何にかこみ上げていた笑いを押さえて二人は彼女に向き直る。

 

「…もう、しばらく会えないので…お伝えしないとと…兄様…!どうか、御武運を…!」

 

 しっかりとユウヤを兄様と呼ぶ唯依にユウヤはしばし呆気に取られて…そして優しく微笑んだ。

 

「あぁ…タカムラ少…じゃないな…ユイも…元気でな?」

 

「…!はいっ…!!」

 

 拒絶されず、名前で呼んで貰えたことに嬉しそうに笑う唯依。其処には確かに微笑ましい兄妹の姿があった。続いて唯依はゼハートの方を向いて頬を赤くして声をかける。

 

「あの…ゼハート様も…どうか御無事で…御武運をお祈りしています」

 

「…あぁ…君も元気でな?」

 

 別れの挨拶を済ませた唯依は顔を赤くしたまま基地へと戻っていく。

 

「ふふ…ユウヤ、可愛い妹が出来たじゃないか?」

 

「…煩い…お前こそ、ユイを泣かせるようなことするなよ?」

 

 ふと、最後の唯依のゼハートに対する態度を見て何かを悟ったのかユウヤはそんなことを言うがゼハートは解っていないようだった。

 

「…?どういう意味だ…?」

 

「…鈍感野郎…」

 

 将来、自分も他者からそう言われるとは露も思わず二人はアークエンジェルへと戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 




以上、二十九話でした。うまく描写できてたかどうか…とにかくユウヤの成長を描きたかった回でした。では次回予告



奮戦を続ける帝國軍とティターンズ


しかし、其れを嘲笑うかのように地獄が生み出される


人々の悲鳴の中で運命の二人が駆ける


次回、地獄の横浜


今、運命が変わる


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