Muv-Luv AlternativeGENERATION   作:吟遊詩人

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更新です。

本小説ではガンダムのキャラクターがマブラヴ世界の人物として登場します。

感想お待ちしています。


第二章 部隊設立
第六話 情報収集


――カタカタカタ

 

 

 キャリー・ベース内の一室にキーボードを叩く音が響く。そこは涼牙の自室であり、傍らには相棒であるハロの姿もある。

 

「…思ったより酷いな」

 

「ヒドイ!ヒドイ!」

 

 涼牙の見ているモニターにはこの世界における様々な情報が映し出されていた。この世界における大まかな歴史と、現在の各国の状況。さらには各国要人のデータまでも揃っている。

 

 あの日、タリサと別れてから数日。涼牙はキャリー・ベースの場所をユーラシアの山岳地帯から太平洋の無人島へと移動させていた。…と言うのも、あのままあそこに居てはBETAに襲撃される可能性も有るし、逆に人類側に見つかる可能性も有る。如何にタリサ達が何も喋らなくても別の部隊が偶然見つけてしまう可能性も有るのだ。

 

「しかし…大まかな歴史は似てるが、やっぱり細かいところで違うな」

 

 現在、涼牙が見ている情報の多くは数日掛けて各国のコンピューターにハッキングして得た情報だ。高度な技術によって魔改造されたハロや宇宙世紀を初めとするガンダム世界の技術に触れてきた涼牙にはこの世界のセキュリティを突破するのはそれほど難しいことではなかった。現に、国連軍の極秘計画と言う明らかにこの世界での最高機密のようなものまでハッキングで情報を得てしまったのだ。

 

「日本帝國に…ソ連か…」

 

 涼牙の目に留まったのは、彼が一番最初に居た世界での故郷である日本と、すでに滅んだはずの国だった。涼牙が居た世界で日本は過去に大日本帝國とは名乗っていたが二次大戦後は日本と言う国名になったし、ソビエト連邦は一九九一年のゴルバチョフの大統領辞任でその歴史を終えている。だがこの世界では日本は日本帝國と言う名で存在し、二次大戦ではアメリカによって原爆を落とされていない。一方のソ連もBETA侵攻の影響か未だに現存している。

 

 続いて、涼牙は人類とBETAの戦いの歴史に目を通す。月面での戦いに、一九七三年に中国のカシュガルに造られたハイヴ。そこから現れたBETAとの戦い。当初、中国は航空戦力によって優位に立っていたものの新たに現れた光線級によって航空戦力は無力化。以降、人類は敗北を重ねていくこととなった。

 

「中ソ連合が戦術核による焦土作戦を試みるも実質効果はなし…か…」

 

 核――その単語で涼牙は顔を顰めた。当時の中国やソビエト連邦の現状から仕方がなかったのかもしれないが、Gジェネ世界では核を使うのは禁忌のようなものだった。もっとも、戦っている相手が人間か、まるで言葉の通じない異星人相手では違うと言うのも涼牙は解っている。

 

「カナダに着陸ユニットが落着した瞬間、アメリカは戦略核を集中運用。BETAの殲滅に成功するもカナダの半分は汚染されて人が住めなくなる…」

 

 再び、核に関する情報を見て涼牙は顔を顰める。戦略として見れば効率的だが、この方法はもう使えないだろう。着陸ユニットが落着するたびに戦略核を使っていたらそれこそ地球は死の星に変わる。

 

「現在、ソ連はアメリカから借用したアラスカに国家機能が移転。欧州はすでに全ての大陸がBETAの支配下に…」

 

 次々に表示されるBETAに侵攻された国々の状況に涼牙は苦い顔をする。

 

「現段階でBETAの侵攻を受けていないのは日本帝國、アメリカ、オーストラリア…」

 

 そうして、涼牙は顎に手を当てて考える。MSを開発するのに必要な技術、資源、資金を十分保持している国に行くことが重要だ。

 

「まず…日本帝國は除外かねぇ」

 

 すぐさま思考の中から日本帝國を除外する。技術はある程度あるが、資源や資金は少しばかり心許ない。何より、日本帝國はBETAの侵攻が激しいユーラシア大陸とは目と鼻の先である。恐らく、アメリカやオーストラリアに比べ早い段階でBETAの侵攻を受けることになるだろう。そうなると余計に資源や資金が限られてくる。

 

「となると…やっぱ此処か…」

 

 他のBETAの侵攻を受けていない国の中で一番条件を満たしているのはアメリカだった。この世界における対BETA戦の主力兵器である戦術機を開発した国でもあるし、資金や資源も豊富だ。しかし、涼牙がアメリカに行くのを躊躇わせる要因が存在した。

 

「…五次元効果爆弾、通称「G弾」」

 

 それは各国のコンピュータをハッキングしている中で、アメリカのコンピュータから得た情報。国連の機密データから得た「オルタネイティブ計画」の五番目の計画で使用される、実質アメリカの切り札。

 

「BETA由来のG元素を用いて作成された新型爆弾であり、十一番目に発見されたG元素「グレイ・イレブン」を材料としている。臨界制御解放後グレイ・イレブンの反応消失まで、多重乱数指向重力効果域(爆発域)は拡大を続け、それに伴いML即発超臨界反応境界面(次元境界面)も広がり、接触した全ての質量物はナノレベルで壊裂・分解される。

 これより以前に開発されたML(ムアコック・レヒテ)機関よりも安価で、省資源、運用も容易である」

 

 アメリカのコンピュータに記録されたデータを閲覧し、涼牙の顔が険しくなる。この「G弾」こそが涼牙がアメリカに与するのを躊躇う理由である。

 

「はっ、笑えねえ…核よりも遥かに危険じゃねえか。しかも、試したことがねえからどんな影響が出るのかも解らねえときてる」

 

 触れた物質を壊裂・分解する。それだけでも威力は核よりも遥かに上位の威力を持っていることは理解できた。さらに、「G弾」が発する重力異常による影響もまるで予想できない。実際、アメリカが国連の「オルタネイティブ計画」にこの「G弾」を使用した計画を提出したが、ハイヴの存在するユーラシア各国が猛反対して不採用となっている。

 

 「オルタネイティブ計画」――その一番目の計画はBETAの言語・思考解析による意思疎通計画であったが、解明することができずに失敗。二番目はBETAを捕獲しての調査・分析だが、多大な犠牲を払うも解ったのはBETAが炭素生命体だと言うことだけだった。

 

 次いで三番目、ソビエト連邦主導で行われたのはESP能力者――所謂、超能力者を用いてBETAと意志疎通するという計画だった。しかし、リーディングには成功するものの人類側の訴えは一切無効であり、投入された能力者の帰還率も僅か6%であった。

 

 そして現在、三番目をシェイプさせた四番目の計画が日本で行われることとなっている。責任者は日本人の香月夕呼(こうづきゆうこ)。歳は二十二歳で十七歳の頃にはその論文がオルタネイティブ計画招致委員会の眼に留まり、帝都大学に編入した天才である。

 

「けどなぁ…ソ連も御免だし」

 

 ハッキングで得た情報だが「オルタネイティブ3」を行ったソビエト連邦では、現在も第三計画で生み出された人工ESP能力者による研究が行われていた。それが涼牙にはNT研究所で行われていた強化人間と被ってしまったのだ。ましてや、そう言った研究職の人間がNTの存在を知った場合も宇宙世紀やアフターウォーの二の舞になりかねない。

 

「けど…オーストラリアもなぁ…」

 

 そこで唯一残ったオーストラリアだが、BETAに侵攻こそされていないものの技術力ではアメリカや日本に比べると見劣りしてしまう。

 

「あ~、どうすりゃいいんだ?」

 

 涼牙は溜息を吐きながら頭を抱える。

 

「(技術力、資金、資源…アメリカなら全部満たしてる。だが、それをG弾の使用に使われんのは避けたい…)」

 

 そこまで考えて、涼牙は再び手元のキーボードを操作し始める。そこに映し出されるのはやはりハッキングで得たアメリカの要人の情報。

 

「(…悲観的になんのはやめよ。条件を一番満たしてんのはアメリカなんだ、その中でG弾に反対している人を探せばいい。国が完全に一枚岩なんてそうそうある訳ないんだ、どこかに反G弾派の人間がいるはず…)」

 

 思考を切り替えた涼牙は次々に表示されるアメリカの要人情報を事細かに閲覧していく。だが、中々涼牙が目当てとする人物は出てこない。

 

「(ちっ、やっぱそう簡単には見つからないか…ん?)」

 

 ふと、涼牙の視線が一点で止まる。そこに記された名前は涼牙も良く知っている名前だった。

 

「(ちょっと待て…何でこいつが此の世界に居る?)」

 

 疑問符を浮かべた涼牙はキーボードを操作してその人物の情報を引き出す。そこに映し出された顔写真は特徴的なゴーグルに一切毛の生えていない禿げ頭の男性。涼牙が凄まじく嫌っている人間の一人だった。

 

「(いや、この際こいつが此の世界に居るのはどうでも良い。こいつが居るんだったらもしかして…)」

 

 涼牙は改めてキーボードを操作し、要人リストの中からある人物の名前を探し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 要人リストを細かに調べ始めてから数分後、涼牙はようやく目当ての人物を発見することができていた。

 

「やっぱり、居たか…」

 

 涼牙はその人物の情報を引き出す。階級はアメリカ軍中将でかつて、G弾の開発と運用が会議に出た際にはG弾が齎すであろう地球環境への影響を懸念してG弾推進派と真っ向から対立。アメリカ国内の反G弾派急先鋒としてG弾推進派から警戒され、軍内でも孤立気味である。BETAの襲来前は地球環境保護の運動にも参加。

 

「…よし!」

 

 自身が捜していた人物が、自分の知る通りの人物であることに涼牙は拳を握りしめる。これで涼牙は誰に接触するかを決めた。

 

「…となると、手土産を見繕う必要があるな。それも、あちらさんの興味を引くようなものを…」

 

 その顔に笑みを浮かべながら、涼牙は顎に手を当てて考え込む。その頭の中では、この世界の状況も考えて目的の人物への手土産を何にするかを考えていた。

 

 それから数時間後、アメリカ軍のとある人物の下へ一通のメールが送られた。

 

 

 

 

 

――――その人物の名は、アメリカ軍中将

 

 

 

――――ジャミトフ・ハイマン

 

 

 

 

 

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