ハイスクールD×D~アルギュロス・ディアボロス~短編劇場 作:Mr.エメト
=魔界中央の国・リーザの屋敷=
皆さん、こんにちは。
私の名前はシェリル・ヴァイオレット。
漆黒の鎧を身に纏っていますが、乙女です。
武器は出刃包丁を大刀に仕立てた刃羅鬼丸、強固な皮膚を持つ龍だろうが魔獣だろうが切り裂くことができます。
怪力自慢で、料理もできます。
「誰に話しているのシェリル?」
ビクッとシェリルは声の主を見る。
赤いゴスロリ服を着た少女―――リーザが紅茶を飲みながら、ジト目で見ていた。
シェリルはワタワタと説明する
「なにか、画面の向こうの皆に紹介しなければいけない?意味解らないわね……」
この人はリザベル・フォン・シュタイン、愛称はリーザ。
私の親友で姉みたいな存在です。
今日は二人だけで紅茶会とお菓子パーティーです。
……兜をつけているのにどうやってお菓子を食べているというツッコミは無しで。
「ねぇ、シェリル……話というのは、鎧を外せないかしら?」
リーザの言葉にシェリルの動きが止まる。
「別世界、ユーラテさんたちに言われたじゃない。貴女の事を綺麗だって……」
リーザはそう言うがシェリルは視線を逸らしていた。
「……ごめんなさい。貴女にはまだ整理がつかないものね……」
◇◆◆◇
それは二人の過去に遡る―――。
シェリルが鎧を付ける前までは、女性では珍しく大柄な体格で周りにからかわれていた。
自分ではよくわからないが綺麗な顔だと周りから言われている。
嬉しい気持ちはあるけど、怖い気持ちがある。
身体だってドンドン女らしくなって、なにより男の視線が怖かった。
そんな時、レイハさんと出会い私を強くしてくれたし、リーザを初め多くの仲間ができた。
リーザとコンビを組んで、凍える冷気の国で任務―――邪龍アンフィスバエナの討伐。
アンフィスバエナとは蝙蝠の翼、紫色のウロコを持つ双頭の竜。
このドラゴンは珍しく寒さに耐性を持ち口からは猛毒を噴き出すという悪質な竜だ。
前衛はシェリルで後衛はリーザという陣形で、追い詰めようとしたが、アンフィスバエナはリーザに狙いを定めて爪を振り下ろした。
シェリルは彼女を抱きしめて護るが傷を負った、アンフィスバエナはその隙に逃走して、姿を見せなくなった。
リーザは助かったが代償としてシェリルの心に大きな傷を負ったのだ。
それ以来、固い鎧に身を包みシェリルは素顔や身体を見せなくなった。
―――弱さを見せないためなのか、リーザを危険に晒した自分への罰なのか。
◇◆◆◇
リーザは紅茶を飲み終わり、申し訳なさそうにシェリルを見る。
「あの時、私が対応してたら……」
シェリルは違うと首を横に振るい兜を外して、リーザと向き合う。
「あの時、リーザを護れたから、それでいいの。だから、気にしないで。弱かった私が悪かったから」
「シェリル、貴女は決して弱くないわ。
アーシアさんを助けた時も、マシンナリードライバーを倒すときも、異世界の時も……。
顔を見られても頑張っていたじゃない」
その言葉を聞いて、シェリルの目の色が変わる。
「……ありがとう、リーザ。私、頑張って鎧を脱いでみようかと思う」
「無理しなくても、少しずつでいいわ」
その後、夕刻になるまで談話をした。
=魔界中央の国 シェリルの家=
リーザとお茶会を終えて、鍵をかけるシェリル。
兜と鎧を飾って、タンクトップと下着一枚という姿になる。
月の光が彼女の体を照らす。
「……リーザ、私は貴女に一つだけ隠しているわ」
ソッと髪を撫でる。
精神を集中させると、彼女の髪がザワザワと蠢きだす。
「……制御はできるようになった。けど、皆がこれを知ってて受け入れてくれるかしら……」
彼女の問いに、答えは返ってこない。
ただ、月は静かに彼女を優しく照らしている――――。