ハイスクールD×D~アルギュロス・ディアボロス~短編劇場   作:Mr.エメト

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文明の破壊者

嶺爾は更なる力を得るために、ディープホールへと降り立っていた。

 

 

この広大な闇黒世界にも様々な地方がある。

 

燃え盛る火山、凍てつく氷河、屍の山の黒い砂漠、妖しい風が吹く草原、険しい渓谷、寂れた廃墟など。

 

人間はおろか悪魔もディープホールに落とされたら最後―――ただ死を待つだけ。

 

そんな過酷な世界、嶺爾がここに来たのは、"とある目的"である。

 

「……あれか」

 

アジア地方にある古代の遺跡都市を見つけて、大きな建物へ入る。

入った途端、不思議な結界が覆われていく。

 

「……なるほど、悪魔の出現を抑える類か。業魔化身も使えないか」

 

逆に考えれば、この遺跡にとてつもない何かが封印されているのが解った。

 

 

=大遺跡・内部=

 

 

荒れ果てた外とは違い、中は空気が澄んでおり、汚れが無い透明の水が流れていた。

奥へと進むと祭壇があり、女性の像が奉られていた。

嶺爾は其処へと歩き、像に触れると―――複雑な方陣が描かれ、像が崩れて砂となった。

 

「来るか……」

 

とてつもない魔力と気迫が部屋全体に広がる。

光が集まり、人の形へとつくる。

 

 

現界したのは――――褐色の肌、白い礼装を纏う銀髪の女性、胸と下半身部分だけ布を纏い、体には紋様が刻まれている。

 

 

女性は両目をゆっくりと開き、凛とした声で赤い瞳は嶺爾を見る。

 

【私を呼び出しのは、貴様か?】

 

「そうだ。俺が望はただ一つ……貴様と戦い契約を結ぶことだ」

 

力強く拳を突きだす。

女性は一度、瞑目しゆっくりと目を開く

 

【私は文明を破壊する者、神の鞭。私の名は――――アルテラ】

 

アルテラと呼ばれし女性は、右手に三色に光輝剣を握りしめ嶺爾に突きつける。

 

「軍神と呼ばれし英傑アルテラよ。いざ――――勝負!!」

 

同時に駆け出し、嶺爾は裏拳、肘打ちと撃ちこむが、アルテラはガードした。

 

【ハアアッ!!】

 

光り輝く刀身は伸縮自在のためか、鞭のように振りかざす。

剣の軌道を良く見つつ、回避する嶺爾。

反撃に拳や蹴りを放つが、アルテラは避けつつも突き刺し切り払う。

嶺爾は上手く掻い潜り、腹目掛けて上へと蹴り飛ばし、天上に叩き付けられる。

 

【グ……ッ!!】

 

地面に降り立つアルテラだが、ダメージは蓄積されていた。

だが、嶺爾もまた、無傷ではなかった。

アルテラの伸縮自在の光剣をギリギリに回避しており、所々、切り傷を負っていたのだ。

 

"流石は英霊と呼ばれる存在だけあって、無傷ではいられない"

 

(ましてや……相手は軍神であり破壊神であるアレスの加護を持つ。

 

 

 

 

 

 

 

 容易に倒せた。――――――それはつまらない結果になる)

 

 

つくづく、戦闘狂である嶺爾。

だが、相手は今まで戦った相手は最強クラス。

何も策が無いまま、ただ、斬られるのか?それとも、相討ち覚悟で倒すのか?

 

否、この男に――――――敗北も相討ちという愚策はしない。

 

 

【繁栄はそこまでだ】

 

 

アルテラは剣を天に掲げると、彼女の魔力が上がる。

大気が震え、アルテラを中心に地面に罅が入り始める。

 

【命は壊さない。その文明を粉砕する……!】

 

三色の光で構成された刀身が高速回転、嶺爾に向けて構える。

あらゆるものを破壊する最大の切り札を彼女は切ったようだ。

 

「やれるものなら……やってみろ。俺の魂は壊されはしない」

 

嶺爾は闘気をフル開放、大気が震え、足元に罅が入り始める。

――――彼は告げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――オーバードライブ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

凄まじき、轟音と共に硝煙が立ち上る。

煙が晴れると、髪が逆立っており、顔や体全体に悪魔の刻印が刻まれていた。

鋼弥と同じ点はあるが違いがあるとすれば……刻印から出ている光が血のように赤く発光していた。

 

【それがお前の切り札か】

 

「ああ、この力を使うのは初めてだが……上手くできたようだ」

 

 

――弟は努力で開花させたオーバードライブ。

 

――兄は才能で開花させたオーバードライブ。

 

――共通する点があるのならば、幾度の戦いを経験して、解放した力である。

 

 

両者は同時に地を蹴り、構える。

 

 

 

【フォトン・レイ!!】

 

 

 

「ギガント・マキア!!」

 

 

 

軍神の剣と魔人の拳が激突し、大遺跡の天井を吹き飛ばし、光の柱が空へと奔った――――。

 

 

◆◆◆◆

 

 

勝負の結果、膝をついたのは―――――――――――アルテラだった。

嶺爾も無傷ではなかった。

右の拳、腕は斬り傷だらけで血が流れていた。

アルテラの方へと歩み、彼女の背後に立つ。

 

【………。私は負けたか】

 

「軍神の剣、見事な一撃だ。死を覚悟したぐらいだ」

 

しかし、嶺爾は気が付いていたのだ。

先程の放った"軍神の剣"は射線状にいる者たちを吹き飛ばす技、その上があるのではないかと睨んでいた。

アルテラはフラフラと立ち上がり、嶺爾と向き合う。

 

【約束を果たさなければな。契約を結ぼう】

 

アルテラは剣を地に突き刺し、右手を差し出す。

 

【我が名は英傑アルテラ。軍神の力をそなたに、委ねよう】

 

嶺爾は彼女の右手を取り、契約をする。

彼女は光の粒子となり、嶺爾の体内へと入る。

 

 

―――――これで、兄弟ともに全ての契約可能とる枠が埋まった。

 

―――――後は、来るべき戦いに備えて研磨するだけだ。




鋼弥に続き、嶺爾もまた召喚できる悪魔との契約枠がすべて埋まった話。

嶺爾版オーバードライブ、鋼弥みたいに暴走せずにコントロールできるのは魔力としても気の扱いが上手いということだけです。

この話は冥界騒動が終わった後日談ストーリー。
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