「イッセーさーん! 皆さーん」
レイナーレにとどめを刺して教会の建物を出ると、敷地の外から姫島とアーシアが手を振りながらやってくるのが見えた。
「ああっ、イッセーさん怪我をしたんですか!? 直ぐに治しますね!」
アーシアは兵藤が負傷しているのを見て取ると、慌てて駆け寄って神器による手当を始めた。
兵藤に甲斐甲斐しく世話をするアーシアをフェイが眺めていると、横合いから声をかけられる。
「イッセーくん、イッセーくん。キミ、素敵な能力持っていたんだね。更に興味津々なり。キミ、俺的に殺したい悪魔ランキングトップ5入りだからヨロシク。次に出会ったら、ロマンチックな殺し合いしようぜっ!」
フェイに向けてではなかったようだ。いつかの白髪の悪魔祓いが兵藤に向かって宣戦布告する。
「あ、そっちの悪魔信奉者くんも他人事だと思ってるんじゃねぇよぉ? キミなんて俺的に殺したい人間堂々のトップなんだからさぁ。次は殺しちゃうぞ♪」
苦笑していたフェイにも矛先を向けると、意味不明な捨て台詞を残して悪魔祓いは去って行った。逃げ足はずいぶんと速い。
「じゃあね! バイバーイ! みんな、歯ぁ磨けよ!」
兵藤は溜息をひとつ着くと、左腕を振ってリアスに質問した。
「ふぅ、なんなんだアイツ。……そうだ、部長。この神器ってなんなんですかね? 『龍の手』とは違うんですか?」
「ふふっ、いい質問ね、イッセー。ここに赤い龍の紋章が浮かんでいるでしょう?」
と、リアスは兵藤の神器に浮かんだ紋様を指さす。
「これはね、この神器が
「神すらも屠れる……」
リアスの説明に、兵藤は感嘆の声を漏らす。実際大した能力だ、とフェイも感心する。
しかし、赤龍帝の籠手とは大層な名前だ。その名前に肖るならば、神器に変質してしまったフェイ自身の籠手は
「その力から、これはただの神器ではなく、至高の神器、
リアスは微笑みながら兵藤の頬を撫でる。そこでフェイが少し首を傾げる。リアスが下僕にしようと思わなければ、兵藤は助からなかったのかと。しかし結果としてリアスが見捨てた訳ではないから今更口出ししない方が良いかと思い直し、黙っておく事にする。
「『紅髪の
リアスにそう告げられ感極まっている兵藤に対し、リアスが顔を近づけ額に口づけをする。
「これはお祝い。強くなりなさい」
兵藤の顔が一気に赤くなり……側にいたアーシアの笑顔が引きつるのをフェイは見ていた。
フェイが肩を竦めてその場を離れようとしたら裾を引かれ立ち止まる。見下ろすと塔城が居た。
「バハムートは
「そうだ。白金の鱗を持つ気高き竜の神だ」
フェイが塔城の質問に回答をすると、満足げに頷いて去っていった。なんだったのだろう。
――塔城には
今回は実戦での姿をフェイが見る機会はなかったが、もう少し本格的に教えようかとも考える。フェイ自身が修行中の身の為、弟子というのも烏滸がましい想いもあり程々にしていたが、今回のような多数相手に戦う事があるのなら実力を付けるにこした事はない。
それから今日の戦い。フェイは歩きながら『赤龍帝の籠手』について考える。神をも屠る程の『神滅具』。まだ目覚めてはいない。だが、必ず目覚める為の何かが起こるに違いない。その何かはやはり戦いの中で――とフェイは予感していた。
『白金竜の籠手』を持ったフェイとの巡り合わせも含め、運命はどう転がってゆくのだろうか。
振り返るとじゃれあう兵藤、リアス、アーシアの姿が見える。
フェイは小さく微笑んだ。それももう少し先の話か。
次から焼き鳥編。
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