ハイスクールD&D 転輪世界のバハムート   作:生ハムメロン

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ルビ周りを少々修正(4/12)


3話

 ある日、通常通り登校してきたフェイはなにやら校門付近が騒がしいことに気付く。近付いて聞いてみると、2年の変態三人組とよばれる先輩の1人――というか例の兵藤――とリアスが同伴登校したとかなんとか。馬鹿馬鹿しい――途端に興味を失ったフェイは、そのまま教室へと向かうのだった。

 

 放課後になるとフェイはいつも通り塔城と一緒に部室へと向かう。部室に入ると姫島だけが中に居た。いや、他にも誰かが部屋の奥で水を使っている音がする。

 

「失礼します、姫島先輩と……」

「うふふ、部長が奥でシャワーを浴びているのですよ」

 

 部室にシャワーなんてものもあるのか。しかしここに来てまで入らなくてもいいだろうに。表情に出ていたのか姫島は説明をした。

 

「昨日シャワーも浴びずに兵藤くんの家に泊まったみたいですからね」

「ああ、同伴登校したとかなんとか……」

「……いやらしいです」

 

 塔城は何故俺を睨むのか。フェイには理解出来なかった。

 

「それでその兵藤先輩はまだ部活には誘わないので?」

「今日悠斗君が連れてくることになっているわ」

「成る程……」

 

 面と向かって話すのは初めてになるか……評判はアレだが実際はどんな人物だろうか。

 

「さて、そろそろ部長の着替えを用意しますわね」

 

 そう言って姫島がシャワー室を仕切るカーテンの向こうへ消えていくのとほぼ同時に部室の外から声がかけられる。

 

「部長、連れてきました」

「ええ、入って頂戴」

 

 木場の声だ、丁度兵藤を連れてきたらしい。カーテン向こうからの部長の返事に、木場と茶髪の少年が入ってくる。間違いなくあの時の少年だ。兵藤は入ってくると部室内を見回している。まあこんな偽装を含めて魔術的な装飾に塗れた部屋などそうそう見る経験などないから珍しいのだろう。部室のソファに座る塔城を見て顔を輝かせ、その隣に座るフェイの顔を見てわずかに顔を顰める兵藤。わかりやすいな、おい。フェイは内心で突っ込みを入れる。

 

 兵藤が小猫達の様子を見ているのを察して、木場が兵藤の紹介を行う。

 

「こちら、兵藤一誠くん」

「……」

「どうも」

「あ、どうも」

 

 塔城が無言で頭を下げるだけだったので、フェイもきちんとした紹介はまた後でするだろうと考え挨拶だけにしておく。兵藤も同様に返してきた。それから間もなく、キュという音とともに水の流れる音が止まり、カーテンの向こうから会話が聞こえてくる。

 

「部長、これを」

「ありがとう、朱乃」

 

 兵藤がそれを聞いてか何かを連想したのか、非常にだらしないとしか形容出来ない表情をする。

 

「……いやらしい顔」

 

 塔城がポソリと呟き、アレと一緒にされたのかとフェイは苦虫を噛み潰したような表情を作る。

 

「……ああじゃなかったので安心してください」

 

 そんなフォローをする位なら最初から言うな、と返す事も出来ないフェイであった。

 

 リアスと姫島が出てくると、お茶の準備をしてから兵藤に対する説明が始まった。悪魔のこと、天使、堕天使との関係。それから兵藤を襲った堕天使のこと。なんでも兵藤に神器が宿っている為、所有者を潰す事を目的として襲ったらしい。兵藤の仮の彼女に扮してまで。

 これまでの状況でいえば、一番フェイの知るデヴィルに近いのは堕天使であるが、悪魔自身の語る内容なのである程度は差し引いて考える。

 話の流れは兵藤の持つ神器に移っていく。神器は一番強い何かを強く思い浮かべ、その姿を真似る事で発現しやすくなるらしい。

 それを受けて兵藤がドラグ・ソボールの空孫悟(そらまごさとる)なる者の真似をしているようだが……あれは気弾の真似事かとフェイは推察した。

 どうやら空孫悟は修行を積んだモンクの中でも特に気の扱いに特化した者が得意とする気弾の使い手らしい。

 

「ドラゴン波!」

 

 兵藤がかけ声とともにポーズを取ると、その左手が発光し、光がやむとともに赤い籠手が装着されていた。

 フェイはその籠手を見て息を呑んだ。籠手の中に眠る強大な竜の気配。それを竜の末裔であり、バハムートの信徒であるフェイは見逃す事はなかった。

 

『なかなか面白い奴が眠っているようだな』

 

 白金竜の籠手の中のバハムートがフェイだけに語りかけてくる。

 

『あの中に眠っている竜……神格、あるいはそれに近い存在だろう。あの籠手とその所有者、注意しておけ』

 

 バハムートの助言を、フェイは深く胸に刻み込んだ。

 

「その神器所有者を消す為にあなたは狙われ、殺された。そして私はあなたの命を救う事を選んだ――悪魔としてね」

「それじゃあ……」

 フェイはその問答を苦々しい思いで聞いていた。だが彼を救う手段を持たぬ者が口を挟める話では無い。

 

「イッセー、あなたは私、リアス・グレモリーの眷属として生まれ変わったわ。私の下僕の悪魔として」

 

 その瞬間、バッという音とともにリアスとリアスの眷属達の背からコウモリのような翼が生える。それに呼応してか、兵藤の背からも同様の翼。まあ悪魔の翼はこんなもんだよな……と1人翼を生やしていないフェイは眺めていた。兵藤もそれが気になったようで、フェイの背中を注視している。

 

「じゃあ改めて紹介するわね。フェイ」

 

 それを察したリアスがフェイの名を呼ぶ。

 

「1年生、飛龍です。見ての通り俺だけは悪魔じゃなくて人間です。当然眷属でもないのですが諸般の事情でこの部活に加わっています。よろしくお願いします」

 

 フェイの紹介が終わると木場が兵藤に向けてスマイルを送る。

 

「僕は木場祐斗。兵藤一誠くんと同じ2年生ってことはわかっているよね。えーと、僕は悪魔です。よろしく」

「……1年生。……塔城小猫です。よろしくお願いします。……悪魔です」

 

 塔城が小さく頭を下げる。

 

「3年生、姫島朱乃ですわ。いちおう、研究部の副部長も兼任しております。今後ともよろしくおねがいしますわ、うふふ」

「そして、私が彼らの主であり、悪魔でもあるグレモリー家のリアス・グレモリーよ。家の爵位は公爵。よろしくね、イッセー」

 

 姫島の礼儀正しい挨拶、リアスの挨拶が続いた所でフェイは思った。オチ担当にならなくてよかったと。

 

◇◇◇

 

「二度と教会に近付いちゃだめよ」

 

 兵藤一誠がオカルト研究部に所属してからしばらくたったある日、兵藤はリアスに叱られていた。

 

「教会は私たち悪魔にとって敵地。踏み込めば神側と悪魔側の間で問題になるわ。今回は向こうも道に迷ったシスターを送った厚意として受け止めてくれたみたいだけど、本来なら即座に光の槍が飛んで来たかもしれなかったのよ」

 

 リアスの注意に青ざめる兵藤。フェイはこの会話から悪魔と神との関係を考えていた。これまでの活動を見ても、あまりフェイの常識上でのデヴィルらしくない悪魔と言えるリアス達。それでも神――こちらでは善の神に相当するだろうか――の勢力は天敵としている。そういった意味では、バハムートのモンクである自分を懐に収めているのは度量が広いのか無謀なのか。だがフェイは彼らの事を自らの神(バハムート)の敵とは思えなくなっていた。――彼らはあまりにも人間臭すぎる。また籠手の中のバハムートも同様に未だ様子を見る事を助言していた。

 だとすれば、この世界の神とはどのような勢力なのか。フェイはそれが気になっていた。

 

「あらあら、お説教はすみました?」

 

 どうやらリアスの説教が終わったようだ。姫島がリアスに声をかけた。

 

「朱乃、どうかしたの?」

 

 リアスの問いに姫島が顔を少し曇らせて答える。

 

「討伐の依頼が大公から届きました」




次回、チュートリアル悪魔ことバイサーさん登場です。

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