ハイスクールD&D 転輪世界のバハムート   作:生ハムメロン

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ほぼフェイの状況説明回。

ルビ周りを少々修正(4/12)


5話

 オカルト研究部部室。

 

「改めて話を聞かなくちゃならないわね」

 

 そんなリアスの言葉からグレモリー眷属、そしてフェイが集まっている。

 

「前に言った事と大差はないと思いますが」

 

 頭を冷やした為、ぞんざいになっていたフェイの態度も元に戻っていた。

 

「全てを言っていた訳ではないでしょう? とりあえず私が知りたいのは、バイサーを消滅させた力について」

「……なぜその力を気にするのです?」

 

 リアスの問いに理由を求めるフェイ。フェイとしてはバハムートのブレス能力の再現(先ほど言った事)がほぼ全てであるが、だからといって無意味に繰り返す必要もない。

 

「私の持つ『滅びの力』に酷似しているからよ。バアル家の血を引いていなければ使えないその力を、なぜ貴方は使えるの?」

 

 ああ、これは結構面倒臭い問題だな。フェイは悟った。実の所分解(ディスインテグレート)については、フェイの世界では上級の魔法使いなら使える者も多い良く知られた呪文と同様の効果なのだ。もっともバハムートの分解のブレスは呪文などとは比べるまでもなく強力だが。血筋に限られた(特別な)能力を、誰でも使える(よくある)能力と言われたら良い気はするまい。

 

 フェイはバハムートの能力についてのみ説明することにした。

 

「まず前提として、俺はここの悪魔が敵対している神とは異なる神を信仰しています。それは良いですか?」

「ええ、バハムートだったわね」

 

 リアスが頷く。木場のフェイを見る眼が少し鋭くなったのが少々気になるが先を進める。

 

「バハムートは白金に輝く鱗を持つ、善なるドラゴンの神です。そしてバハムートのブレスは三種類のブレスを吹き分けると謂われています。まず円錐状の吹雪(コールド)のブレス」

「前にも聞いてはいたけど、ドラゴンの神というだけでもとんでもないわね」

「……氷雪龍(ブリザード・ドラゴン)のようなものですか」

 

 リアスが溜息をつき、塔城がポツリと漏らす。

 

「それから、吸った相手を朦朧とさせた上でその身体をガスのように変化させてしまう(ガシアス・フォーム)、円錐型の渦巻く霧状のブレス」

「あらあら、それで相手を無力化させるのかしら」

「あまり喰らいたくない効果ですね」

 

 姫島がブレスの本質を見抜き、木場がそれに頷き、感想を述べる。

 

「最後が触れた物全てを分解して消滅させる(ディスインテグレイト)ビーム状のブレス。俺の持つ神器《セイクリッド・ギア》はこれらのブレスの効果を装填(チャージ)して、拳撃に上乗せ出来る能力を持つようです」

「ではバイサーを消滅させたのは」

「はい、分解の吐息の効果(ディスインテグレート)を装填して殴ったからです」

 

 リアスの質問にフェイが正直に答えると、リアスは疲れたような表情で頭を抑え、天を仰いだ。

 

「なんなの、その神器。新種の神滅具(ロンギヌス)と言われてもおかしくないわよ」

「フェイはなんでそんな物を持ってるんだよ? 」

 

 兵藤が尋ねてくるが、兵藤の神器(セイクリッド・ギア)に眠る存在も大概だとは思う。それだけの代物だというのに、所有者本人は気付いていないのだろうか。

 フェイはとりあえず質問に答える。

 

「俺は元々バハムートに纏わる聖遺物(レリック)を複数所持していました。それらが一つの器に納まった為に、神器として変質したのだと思われます。なぜそうなったのかは俺にもわかりません」

 

 わからない、というのは事実ではあった。ただ、異世界の神性を帯びた聖遺物がこの地の世界法則(システム)に侵入した際に、異物として弾かれるかわりに神器という形に適合した(押し込められた)のではないか、というのがこの世界で短いながらも生活してきたフェイとバハムートの推察である。

 

「しかし、それだと困ったことになりませんか? 他の神話勢力が介入して来たと取られかねないと思いますわ」

「他の神話勢力?」

 

 姫島が懸念を表に出す。フェイはその姫島の言葉で気になる単語があったので確認を入れるが、答えたのはリアスだった。

 

「ええ、この世界には様々な神話の勢力があり、影響力を持っている地域が異なるの。この駒王町はグレモリー家が管理する地となっているけれど、元々の国土としては日本。日本神話の神々の勢力の管轄地を借り受けている形と言えばいいかしらね。だから悪魔、天使、堕天使陣営に限らず、他の神話勢力からの介入は好しとしていない……のだけれど、フェイの場合は正直微妙なのよね」

「……微妙というと?」

 

 塔城が首を傾げてリアスに聞き返す。フェイには理由の想像はついていた。だから――

 

「どの神話勢力を見たところで、『バハムート』という『ドラゴン』の神は存在しないのよね。むしろ『バハムート』の名前だけならお兄様の眷属にいる神獣だわ」

「つまりこの世界における神ではない、ということです」

 

 リアスの説明を引き継ぐ。この際なのでリアス以外にはまだ説明していなかった、フェイがこの世界に飛ばされてきた経緯を説明しておく。皆一様に驚いてはいるが、案外アッサリと受け入れられたようだ。

 

「……異世界人とは、驚きです」

「あらあら、変わった魔法を使っていたのはそういった事情でしたのね」

「あの身のこなしはそれだけ実戦経験が豊富だったということだね、僕も精進しないと」

「それでお前の師匠はカワイイのか!? どうなんだ!?」

 

 一人だけ何かが違う気がする、というか師匠の性別など話してはいない筈なんだが。師匠は雌ではあるけれど。

 

「えーと、ドラゴンが人化した時の容姿なんていくらでも変えられるので……。それに師弟関係に性別は関係ないでしょう?」

 

 フェイは何故かバハムートが溜息をつく気配を感じたが無視する事にした。そして、皆に言っておかなければならない事があったので、それを告げる。

 

「それと一つだけ。俺はバハムートの信徒でその教えに従っています。その教えは『悪と戦い得るときは常に戦え、してまた他人を助けて彼らが自力で悪に抗しうるようにせよ』。この世界の悪魔を悪と断ずるまではいかないですし、止めろとまでも言いません。しかし、また俺の目の前で敵だとしても弱き者を嬲ることがあるならば、俺はまた介入するでしょう」

 

 この意思表明でこの集まりから離れることになるかもしれない。それでも、信条として弱き者を助ける事を掲げている者が、敵を嬲る姿を見せてはいけない、容認してはいけないと考え、フェイはそれを宣言するのだった。

 

 フェイの宣言を受けてリアスが溜息を一つしてから確認する。

 

「……ふぅ、朱乃……いい?」

「仕方ありませんわね、多少は考慮しますわ」

 

 姫島も苦笑しながらそれを受け入れるのであった。




次回神父登場。

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