あのお調子者に憑依したようだ   作:絽烈

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原作開始前
1.プロローグ


目が醒めると、そこは知らない部屋だった。

 

(………は?)

それ程大きくなく、入口が一つで窓が一ヶ所 質素であまり家具も多い訳ではないが、心の奥の方がほっ、とするような生活感溢れる、まさしく《庶民の家》。その部屋のベッドの上で横になっていた。太陽の匂いがするシーツは寝ていてとても気持ちがいい。だが、いくら落ち着くとは言え、ここは断じて我が家(二階建てアパート、六畳一間の築40年、ボロい)ではない。そもそもにして部屋の作りが違う。

(寝ぼけてんのか……?)

目を擦ってもう一度部屋を見渡す。目に映るのは先程の部屋。変わる様子はなかった。

(どうゆうこっちゃ……)

目の前の異常事態に、俺は暫し唖然とした。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

(さて、状況を整理しようか)

覚醒からおよそ30分程経ち、漸く頭が回り始めた俺は一先ずこの状況を整理するため静かに思考した。

(考えられる理由はそこまで多くは無い。まず挙げられるものとしては『何者かに拉致された場合』だ。これなら自分がいきなり知らない場所に居ても説明がつく。……だがこれは有り得ない。何故なら、俺が最後に居たのは真っ昼間の駅前の道路だったから。そんな人の往来で大の男を拉致する奴なんて、真性のバカか狂ってるかしか考えられないし、絶対に失敗する。だからこれは無い。次に考えられるのは俺が『家を間違えた場合』。……絶対にない。第一、ご近所でも『市内で最もボロい』と囁かれている我が家(ボロい)を見間違える筈が無い。つまりこれも無い。 次は—————)

 

色々と思考したが、可能性としては現実味をおびないものばかりで、答えは出なかった。

(……自分が思いつく範囲で考えて見たが、どれも違うな……。と為ると考えられるのは一つ)

が、一つだけ確信とも言える考えがあった。これじゃなかったらもうお手上げともなってしまうある一つの予想。

(つまりこれは—————

 

 

 

 

 

夢だ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

完璧に現実逃避した俺は、あ~はやくこの夢さめないかな~、とか思いながら頬を抓ってみるが痛いだけで何も変わらなかったので最初の一回でやめた。

(つまんない夢だな~、もっと何か起こればいいのに)

とか、暇過ぎてどうでもいいことを考えていた。できることならば自分で歩き回りたい所なのだが、どうにも体がうまく動かない上に、声もあーだのうーだの赤ん坊のようなものしか出ないので、何かがやって来るのを待つしかないこの状態は非常に暇だった。

「あーぅ……」

赤ん坊言葉で胸溜まった遣る瀬無さを思い切り吐き出した。

 

 

 

 

 

するとパタパタと、誰かがこちらに近づいてくる音が聞こえた。

 

 

俺はビクリ、と体を固めてやってくるものに対して身構えた(とは言っても体は動かないので気持ち的にだが)。

現れたのは若い男女の二人組だった。男は黒い髪を切っており、あまり背は高くないが童顔でなかなかのイケメンだった。女の方は茶髪で耳の辺りの髪が外側に跳ねていた。こちらも美しい顔立ちをしていた。

男はこちらを見て少し残念そうに呟いた。

 

 

「おや、起きちゃったのかい。もう一度寝顔を見たかったのに」

「全く、あなたの足音が大きすぎるからよ。だからこれからは逆立ちで生活してね?」

「おぅウチのワイフはなかなか厳しい事を仰る。しかし‼そんなツンツンしてるところも含めて大好きだ!!!!!」

「煩いから黙っててくれないかしら、潰すわよ?」

「Yes,ma'am!!!!!」

そう言って男は現役の軍人もかくやと思わせるキレのある敬礼を行った

どうやらこの美男美女は夫婦のようだ。それにしてもキャラが濃ゆいな……。

 

 

「ほら、コウタ。ご飯の時間よ」

 

敬礼のまま姿勢を崩さない男を無視して俺の寝ているベッドまで近づいた彼女は優しく俺に微笑んだ後、俺の脇の下に手を入れてそのまま持ち上げた|(・・・・・)。

 

 

 

 

…………はい?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(いやいやちょっと待て、え、これなに、確か俺の身長って170cmあったような、だからつまり、えっとてかデカッ‼ 身長何mだよこいつ巨人じゃねえか!! 待て、ちゅーことはあれか? 俺は巨人に攫われたのか? oh成る程答えがでない訳だ。 だって巨人とか俺会ったことねえもん。ああ成る程ね理解したスゴイスッキリシタナー、って待て待てよく見たら俺の体小さくなってね? このサイズ赤ん坊くらいか、あ、つまり巨人が現れた訳じゃなくて俺の方が小さくなったのかああこっちが本当の真実だったのか危ない危ない間違えて解釈するところだったこれにて一件落着アッハッハッハッハー)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして俺は又しても現実逃避にはしるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

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