徒然Locus of F   作:よしおか

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 リハビリがてら、以前の一発ネタにまた別のを追加する形で投稿です。主に閃の軌跡でてけとーに考えたネタをぽんぽん投下していこうかと。

 いろんな人たちに先越されてどっかで見たネタのオンパレードだけれどももう気にしない。


もしも主人公が女オリ主だったら
もしも主人公が女オリ主だったら。


 エレボニア帝国、首都ヘイムダル。人口八十万人を擁する大陸一の大都市の周囲には、その喧騒を避けつつも帝都での職務のため、あるいは近代化されたライフラインの恩恵にあやかるため、いくつかの住宅街が点在している。

 帝都東部に位置する近郊都市トリスタもその一つ。しかしながら、西部のリーヴスをはじめとする他の都市とは一つだけ明確な違いがある。

 住宅街から北へ進むと見えてくる、小高い丘の上に鐘楼を頂く赤い屋根の建物群―――トールズ士官学院。時の皇帝が晩年に設立した、由緒正しい高等教育機関である。

 二百年を超える歴史を持つ学院は、多くの優秀な学生たちを輩出してきた。封建国家であるエレボニアを統治する皇族や各州の名門貴族はもちろんのこと、ここ数十年のところでは多くの奨学金や授業料の免除措置も整備され、かつては貴族の従者としてしか入学できなかった平民階級にも門戸を開いている。

 

「へぇ、ここがトリスタかぁ……ユミルよりもずいぶん暖かいな。雪が全然残ってないや」

 

 そう言って駅から姿を現した赤い制服の人影も、本日を以てトールズ士官学院へと入学する新入生だった。涼やかな黒髪から覗く紫の瞳を故郷の雪国とは何もかもが違う街並みへと巡らせれば、自分と同じく進学してきた少年少女があちらこちらに見受けられる。

 駅前の公園には見頃を迎えるライノの花が咲き誇り、淡い香りと共に駅に行き来する人々を迎える。自分と同じように見慣れない街を眺める学生たちの姿を見渡しながら、これから始まる二年間の学生生活に思いを馳せると、不思議と活力がわいてくるような気がした。

 

(ここで、二年間学校に通うんだよな……父さんと母さんは快く送り出してくれたけど、エリゼがなぁ……)

 

 住み慣れた故郷を出て都会へと進学することに難色を示していた家族。最終的に両親は自分の熱意を認めてくれたが、年の近い妹だけは最後まで良い顔はしてくれなかった。妹もまた帝都の女学院へと籍を置く身だが、それは良家の令嬢たちが花嫁修業を兼ねて進学するような側面の強い学院だからであって、将来の軍人を養成する教育機関であるトールズ士官学院とは訳が違う。大切な家族が命の危険のある職業へ就くということが、心優しい妹には許容できなかったのであろう。

 幼馴染の少女が説得を買って出てくれたが、その少女も自分と同じくトールズへと進学するのだから、親しい同年代の者たちが一度に故郷を離れてしまうということで余計に拗ねてしまった気がする。

 

(次にユミルに帰る時には何かお土産でも買っていかないと……って、入学早々帰省した時のこと考えてどうするんだ、そんな余裕があるのかどうかだってまだ解らないのに)

 

 そんな風にうだうだと考え込んでいたからか、背後に近づいた気配に気付くのが遅れてしまう。

 

「―――だーれだっ」

「わぁっ!?」

 

 敵意も何もなく忍び寄ってきた人影に背後から両目を塞がれて、素っ頓狂な声を上げる。驚きに硬直するもすぐに呼吸を整えて、背中に密着する人物―――声からして、自分と同年代の女子か―――を引きはがす。

 トリスタの駅に降り立った人物の中に、こんなイタズラを仕掛けてくるような仲の少女なんて一人しかいない。振り返ってみれば、やはりそこにあったのは二つに結んだ金髪を揺らす勝気そうな姿。

 

「あ、アリサっ!」

「あははっ! 一本取ったわよ!」

「自分で言うなっ、まったく……」

 

 案の定、先ほど思い浮かべていた幼馴染の少女が心底おかしそうにけらけらと笑っていた。

 どうやら同じ列車でトリスタへ向かっていたが、混み合う車内では合流できなかったらしい。

 

「久しぶりね。先月あなたがルーレ(こっち)に来てからだから、一か月くらいかしら?」

「ああ……もうそんな前か。あの時は受験が終わって疲れてたところで進学に必要なものやら買い込んでたから、ロクに記憶に残ってなかった……」

 

 入学試験に引き続き、アリサ、と呼ばれた金髪の少女の地元へ行った時のことを思い出すが、受験勉強からの解放感が抜けきらないまま慣れない人込みにショッピングと言って連れ出されたことを思い出して顔を青くする。

 穏やかな人柄の友人の珍しい顔を見てことさら笑うアリサは、気合を入れろとばかりにその背を叩く。

 

「ほらほら今からそんなんでどうするのよ。私にあっさり後ろを取られたことと言い、あなた少したるんでるわよ。入学式にげっそりした顔で出席するつもり?」

「はいはい、わかってるって」

 

 頭を軽く振って意識を切り替える。

 そう、今日から自分たちは士官学生。近年の世論の影響もあってか卒業生に軍人以外の進路も増えているとはいえ、基本的にトールズ士官学院の学生とは軍人の卵なのだ。

 背負い袋の肩ひもを握りなおすと、収めていた太刀の鍔がかちゃりと音を立てる。武具を持ち、軍学校への門戸を潜る以上は甘えは許されない。そんな調子では剣の師にも笑われてしまう。

 

「さてと、それじゃあ行こうか……アリサ、二年間よろしく」

「ふふ、こっちこそ―――」

 

 これから学友となる幼馴染に、改めて挨拶を。気の置けない友人が元気を取り戻した姿に安堵したのか、アリサもまた微笑みかける。

 

 

「一緒に頑張りましょうね、()()()

 

 

 そうして言葉を交わしながら、二人の少女は自らの学び舎へと足を向ける。新生活を前にして期待に彩られた笑みは、どこまでも自然体で軽やかで。

 制服がどうして入学案内の色と違うのかと首を傾げたり、駅前の喫茶店のケーキに目を奪われたりする姿はどこまでも年相応の子ども達でしかない。

 

 

 だから、少女たちはまだ知らない。

 

 

 将来へ向けての通過点でしかなかった高等学校への進学をきっかけに、多くの仲間たちと出会い、祖国の闇を知り、幾多の喜びと、それを押しつぶそうとする悲しみに直面することを。

 やがて英雄と呼ばれる少女―――帝国北方の男爵家の()()、『リアラ・シュバルツァー』は、後に激動の時代と呼ばれることになる帝国の混乱期へと、小さな一歩を踏み出した。

 

 

 

 

 

 

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↓誰得にもほどがあるオリ主設定

 

 

リアラ・シュバルツァー

 

 

 辺境の地ユミルを治めるシュバルツァー男爵家の家人である少女(戸籍上は長女となっているが、本人が養子であることに引け目を感じており、生家について他者に語るときはあくまで自分は“家人”であるといって誤魔化し、義妹のエリゼを次期当主として挙げる)。

 黒髪を肩口まで伸ばしており、紫の瞳は若干たれ目である。

 幼少時の記憶がなく、気が付いた時にはユミルにて後の義父であるテオに保護されていた。シュバルツァー家に養子として引き取られてからはユミルにて義理の家族と共に暮らし、ラインフォルトの令嬢・アリサと親交を得るなど、穏やかな日々を送っていた。

 しかしその後、魔獣に襲われた幼いエリゼを守るために鬼の力を覚醒させるも、目の前で魔獣を惨殺したことで怯えられてショックを受け、一時期部屋に閉じこもって二人とのかかわりを断つ。

 エリゼは優しい姉を傷つけてしまったことを後悔しており、アリサもアリサで家族に続いて友人との縁まで失ってなるものかと(父が事故死した頃である)二人がかりでリアラの部屋へ強行突入。大泣きしながら三人が互いに思いの丈をぶちまけ合ったことで、ノルティア出身の少女たちは固い友情で結ばれた。

 このため八葉一刀流に対する熱意はそれほど高くはないが、友人や家族からの理解が得られているという自覚からある程度の自信が付いたことで幾分か社交的な性格になる。ただし幼少の頃に自分を引き取ったテオが社交界で心無い言葉を浴びたことを気にしており(妾の子どころか育てて妾にするつもりだ的なことを言われた)、若干の貴族不信・男性不信気味。

 

 子どもの頃、アリサの趣味に付き合ってノリノリでコスプレをしていた時期があり、今でも悪意なく当時の話を持ち出してアリサのSAN値を的確に抉ること多数。ユン老師と共にユミルに来たアネラスに目撃され、一回二人してお持ち帰りされかけた。

 

 

例:いつぞやのパンタグリュエルにて。

 

レン「殲滅天使なんて名乗ってたのもまあ、今にして思えば黒歴史って奴かしら」

リアラ「あ、わかるわかる。私とアリサも似たような経験あるからねえ。やってる時はすごい楽しかったんだけど後から思うと結構アレだったなーって」

エマ「リアラさんっ! リアラさんお願いですからもうその辺で!? アリサさんが血を吐いて痙攣していますからっ!?」

アリサ「ヤメテヨシテオネガイワスレテイッソコロシテ(びくんびくんチヘドッ)」

ユウナ「アリサさああああああああん!? 」

フィー「めでぃっくめでぃーっく(棒)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 本人は綺麗さっぱり忘れているが、“リィン”という名前の双子の兄がいたかもしれない?




私「閃の軌跡はⅢ以降の脈絡のないギャルゲー展開が減点ポイントって言われてる。なら乙女ゲーにしちゃえば良いじゃない」
友人「ごめんちょっと何言ってるか分からない」


 という訳で「もしも主人公が女オリ主だったら」でした。
 以前にふと「リィンに実妹が居て、その妹がアリアンロードに拾われて鉄機隊に居たらどういう話になってたかな」とか考えたのがきっかけのお話です。
 結社に所属し、ちょいちょいⅦ組と出くわす謎の甲冑の少女。煌魔城での激闘の果てにリィンに断ち割られた兜の下から露わになった顔は、彼と同じ黒髪に紫の瞳だった……! なんて展開にしたら面白いかなと思ったのですが、書いてるうちに「これむしろリィンの立ち位置に女性主人公いたらどうなったかな?」と思ったのと、ピ〇シブの小説に結構な量の『クロウ×リィン(♀)』という素晴らしい作品があったのでそちらから着想を得ました。実にいいね。

 あとこの設定だとⅦ組の生徒同士の諍いをはじめとしたイベントにいろいろと変化を付けられるし何より宰相の「I am your father」の絶望感が半端ないことになって実に愉えt(ry

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