閻魔「えー、それでは!新卒である雅ちゃんを迎えて、カンパーイ!」
「「「カンパーイ!!!」」」
仕事を終えて居酒屋では雅の入社祝を行われていた。がやがやと騒ぎたて、お酒や運ばれてくるつまみを食す。至って普通の光景に雅は淡々と見ていた。
「現世の宴会と変わらないな」
「そういうものですよ、何を想像してたんですか」
「いや、ちょっとべただけどこう、キャンプファイアー的な火を囲んでドンちゃん騒ぎな展開かなって」
「貴女たまにネジが外れることを言い出しますね。とりあえず初日での勤務、ご苦労様でした。どうぞ」
鬼灯から升を渡され、日本酒であろう一升瓶が注がれた。
「なんかけなされたような気がしたけど、ありがとう。こういうことはしないと思ってた」
「社交儀礼とか、礼儀作法とか好きなんですよ。それをミスしたものに制裁も加えられるので」
「!はは、本当容赦ない鬼神様だな。じゃ私も、どうぞ」
雅は一升瓶を持ち、鬼灯の升へと酒を注ごうとした。
「!別に主役のあなたからお酌をする必要はありませんよ」
「主役なんて、性に合わない。社交儀礼としてさせてくれ」
と言い、トクトクと鬼灯の升に注ぎ、
「それじゃ、乾杯」
「……乾杯」
くいっと升を持ち上げたのち、雅は一気に流し込んだ。
「ぷはー…!何年ぶりに飲んだかな、舌先がピリピリする」
「普段は飲まないのですか?」
「だって周りは女ばかりで飲めないやつが多かったからな。無駄に意識したのか満足に飲めやしない」
「そうでしょうね。ましてや天部に属するものは飲酒もままならない筈です」
「えー?僕はお酒飲める子は好きだよ~?」
そして何故か、雅の隣には既に出来上がった状態の白澤がいた。
「……改めて思ったんだが、なんでコイツがいるんだ?」
「それを私に聞かないでください。主催者に向けたほうが得策ですよ」
「そうか、じゃあ後で聞いておく・・・」
閻魔(な、なんか後ろからただならぬ殺気が・・・!!)ゾクゾクッ・・・
雅は氷のような眼差しで閻魔大王の背中に送りつけた。
「す、すいません・・・やっぱり俺達がここにいるのは可笑しいですよね…!」
テーブルを挟んで白澤の前に桃太郎がいた。
「はぁ、もういいよ。来たものはしょうがないし、それに熨斗酒もちゃっかり頂いたから」
いつのまにか、雅の側には『鬼ごろし』とかかれた瓶が置いてあった。
「もう!?というか、もうなくなりかけてる…!!」
「これ白澤さんからだったんですか」
「そう。女の子だから養命酒か迷ったんだけど、鬼と聞いたらこっちかなと思って」
「ベロベロに酔わせてどうにかしようなんて考えはないだろうな?ちなみに私は、飲み始めると天部のウワバミと呼ばれるほどの酒豪だからな」
残り一杯の鬼ごろしを飲み干し、ドンとテーブルの上に置いた。
「そ、そうなんだ…」
桃太郎(この人最低だ…)
「まぁでも仲良くしようよ。君の事、色々と知りたいんだよねぇ」
「鬼灯は酒強そうだな。鬼だから酔わないタイプ?」
「いいえ、私も酔うときはありますよ」
「ちょっと無視しないでよ!」
「(完全においてかれている…)それにしても、雅様。鬼灯様を呼び捨てにしてるってことは、同期なんですか?」
「いや?そういえばわからないな、私より上?下?」
「定かではありませんが、私は神代の頃ですね」
「神代・・・ヤマタノオロチがいた頃か。だったら私より下か」
「へぇ、コイツが下なら部下としてやりにくいんじゃない?」
「別に」
「上司と部下の歳の差は関係ありません。仕事の能力と使い分けで十分です」
「前言撤回、今の言葉でイラッときた」