IS~宇宙戦士~   作:煉獄 龍騎

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第5話 代・表・祝・杯

「それでは、一年一組のクラス代表は織斑一夏くんに決定です!あ、1つながりでいい感じですね!」

 

金粉との試合翌日。

SHRにて代表の発表が行われた。

ただ、愚弟だけが困惑顔で手を挙げた。

 

「あの、先生質問です」

「はい、一夏くん」

「なんで全敗だった俺が代表なんですか?」

「それはわたくしと秋二さんが辞退したからですわ!」

 

ガタッ、と立ち上がりお嬢様ポーズ(笑)をしながら話を進める金粉。

 

「勝負はわたくしの勝ちでしたが考えてみれば当然のことですわ!」

 

ああ、昨日はよく眠れた。本音もよく眠れたようで良かった。

 

「なぜなら相手がこのセシリア・オルコットだったのですから!」

 

朝はすっごい寝起きも良くなった。本音の癒しパワーは半端ない。

 

「なのでわたくしも大人気なく怒った事を反省しましたのですが___」

「アホ言え。お前は俺に蹂躙されただろうが」

「秋二さん!人の話を遮らないでくださいます!?」

 

あまりにウザかったのでちょっと遊ばせていただいた。

ふむ、こいつはなかなか楽しい。

 

「ってゆーか、シュウ兄!全勝なんだからシュウ兄が代表やってくれよ!」

「は?何言ってんだお前。俺は『代表になるために戦った』んじゃない。

 『お前らふたりに鉄槌を下したかった』だけだ」

 

そもそも俺は代表をやるなんて言ってない。

俺は今言った理由と面白そうなのもあって戦ってやったんだ。

後はパフォーマンスだな。

 

「だからやれ、愚弟。面倒なことはお前に押し付けるのが俺の主義だ」

「ふっざけんなぁぁ!!」

「やかましい」

 

胸倉を掴んできた馬鹿を「捻って転がすじゃんけんポン」をして黙らせる。

 

「いやぁ、セシリア、分かってるねー!」

 

やいのやいのと盛り上がるクラスメイト。

その中で金粉はコホン、と咳き込む。

 

「それで・・・ですね。わたくしのように美しく華麗でエレガントな完全無欠の人間が__」

「完全無欠(笑)」

「秋二さん!!馬鹿にしないでいただけます!?」

「悪い、間違えた。完全無欠(恥)」

「悪化してるじゃないですの!」

「ハッハッハッ。___愉悦」

「愉悦。じゃないですのよ!」

 

こいつホント面白いな。

 

「で?結局何が言いたいんだ、雫さん」

「!?なにを・・・?」

「ティアーズは雫だろう?金粉の方が良いか?」

 

口角を吊り上げて笑うと、フルフルと首を振る雫さん。

そのまま話を促す。

 

「で、ですね。わたくしが操縦について享受すれば見る見る成長しますわ!」

 

と、バンッ!と机を叩き立ち上がる篠ノ之。

 

「あいにく、一夏の教官は足りている」

「あら、ISランク「C」の篠ノ之さん。「A」のわたくしに御用でも?」

「ら、ランクは関係ない!私がどうしてもと頼むからだ!」

 

そのまま言い争いをはじめる。

 

「愚弟、懇願はしてないだろ?」

「ああ、してねえ」

「だろうな、まあ自力で何とかしろ」

「そんな殺生な・・・」

 

俺にすがり付いてくる愚弟を適当にあしらう。

ここまで言い争っていた雫さんと篠ノ之だが、姉貴によって中断させられる。

 

「座れ馬鹿共。お前たちのランクなどゴミだ。殻も破れていないひよっ子が付け上がるな」

「姉貴、俺は?」

「・・・お前はまあ、いいだろう」

「な、なぜですか!?織斑先生!」

 

雫さんが聞くと姉貴は不適に笑い、俺を指差す。

 

「こいつのランクは「S」貴様らとは格が違う」

「そういうことだ。敬え、屈服しろ、跪け!」

「「「横暴だ!」」」

 

クラスメイトにハモられた。

解せぬ。(笑)

 

 

 

~★~

 

 

 

「ではこれよりISの基本的な飛行操縦を実践してもらう。

 織斑兄弟、オルコット。試しに飛んでみせろ」

「た・だ・の・恐・喝」

ズバァン!

「ふぎゃ!?」

「はやくしろ」

「あいあい」

 

ところで、俺のISの待機状態についてだが、プラチナのチェーンである。

腰につけておけばただの装飾品に見えるので割と楽だ。

そのチェーンをドライバーに変化させようとするも姉貴に止められる。

 

「待て」

「なにか?」

「そのままやれ」

「えー」

ズバァン!

「ふぎゃ!?」

「・・・はぁ。分かった」

 

俺はドライバーを自動装着させる。

すでにトランスイッチは下がっている。

 

・・・3

 

・・・2

 

・・・1

 

「変身!!」

 

エンターレバーを倒し、右腕を上げ、左腕を横に広げる。

煙があふれ出し、上下には円形のサークルが現れる。

そして俺はフォーゼに変わる。

 

「・・・まぁいいだろう。跳べ」

 

言われちゃったから飛ぶよ?

 

《Rocket On》

 

「宇宙キターッ!」

 

ロケットを噴かせて上昇しながら叫ぶ。

そのまま空中でアブソリュードターンをして遊ぶ。

さながら空を翔る鳥たちのように。

さて、今俺はISを装備していない常人では基本的に捉えられない速さで動いているはずなんだが___

 

ブゥンッ!

 

目の前を黒い物体、出席簿が飛んでいく。

こんな芸当を出来るのは俺の知る限り2人。

そしてこの場にそのうちの1人がいる。

その1人、姉貴から呼び出しがかかる。

 

《Radar On》

 

『馬鹿者!誰が高速旋回しろと言った!そこで待っていろ!』

「分かったよ・・・」

 

ものすごい声量で怒鳴られてしまった。

まあ、本音が目を輝かせて面白そうに見ていたしいいか。

そのためにやったようなもんだし。

 

「やはり秋二さんの操縦技術は並大抵ではないですわね」

「あん?」

 

振り返ると雫さんが同じ高さに来ていた。

少し遅れて愚弟が飛んでくる。

 

『何をしている、白式のほうがブルー・ティアーズよりもスペックは上だぞ』

「ノロマめ。早くしろ」

「ひでぇ!ってゆーか前方に角錐を展開するイメージって言われても、全然感覚が掴めないんだよ!」

「一夏さん、所詮イメージはイメージ。自分に合った方法を模索する方が建設的でしてよ」

「そう言われてもなぁ・・・シュウ兄はどうやってるんだ?」

「俺はロケットイメージだ。基本ロケットで飛ぶしな」

 

事実、ロケットはフォーゼのモチーフになっている。

単純に俺がロケットを好きなのもあるけどな。

 

「へぇー。でもこれ、何で浮いてるんだ?」

「説明しても構いませんが、長いうえに難解ですわよ?反重力力翼と流動波干渉の話になりますもの」

「やめてやれ、雫さん。そこの馬鹿は説明しても一割も分からないだろう。時間の無駄になるだけだ」

「ぐっ・・・そんなことは・・・」

「では、説明致しましょうか?」

「いや、いい。やめとく」

 

馬鹿が、最初からそう言え。

すると雫さんが心底楽しそうに笑う。

 

「そう、残念ですわ。ふふっ」

『一夏っ!いつまでそんなところに居る!早く降りてこい!』

 

先ほどの姉貴ほどではないものの怒鳴り声が響く。

レーダーの画面を見ると、篠ノ之がインカムを片手に持ち、怒っていた。

隣では真耶姉がわたわたしている。どことなく本音っぽかった。

とりあえずは遠隔操作でソフトーニャを起動させ、篠ノ之に向けた。

が、その前に姉貴に出席簿で殴られてしまった。

ちなみに、バガミールを姉貴が持っていたので俺は下の様子が丸見えだった。

 

『オルコット。急降下と完全停止をやって見せろ。目標は地面から十センチだ』

「あれ?俺たちは?」

『織斑弟は少し待て。織斑兄はオルコットの後だ』

「あいよ」

「では、一夏さん、秋二さん。お先に」

「おー、頑張れよ」

「ええ」

 

そのまま急下降していく雫さん。

目測では割と誤差は少なかった、と思う。

ものすごいドヤ顔だし。ウザいからフラシェキーを飛ばしといた。

レーダーに姉貴の顔が映る。

ただの目福なんだが言わないでおこう。

 

『織斑兄』

「はいはい?俺は何すりゃいーのさ」

『武装解除の状態で背部のブースターも使わずに急停止をやれ』

「すっごいめんどいんだけど・・・やんなきゃダメだよな?」

『当たり前だ』

「分かりましたよー」

 

しぶしぶながらロケットを解除し、俺は空中で姿勢を変え、下向きに自由落下していく。

地面に当たる前に、俺は体の上下を入れ替え、着地。

ドライバーのトランスイッチを全て上げると、煙があふれ出し、フォーゼを解除する。

姉貴のほうを向くと満足そうに頷いた。

 

「合格だ」

「これくらい当然ですわね、秋二さん」

「ま、俺のほうが正確だがな?」

 

口角を吊り上げ、挑発すると、笑顔だった雫さんの顔が一瞬にして引きつる。

なかなか面白いな。もっと弄ってやろう。

 

「織斑先生が合格とおっしゃったのですから余計ではないですか?」

「そうか良かったな。だが俺からすればあんなもん合格にはならん」

「なんですって!」

「事実を言っただけだ。なんだ?俺より劣っているのが悔しいか?」

 

その一言が決め手になったようだ。

雫さんは血管を浮かばせながらこちらを指差してきた。

 

「上等ですわ!どちらが上かはっきりさせてあげようじゃないですか!」

「いいのか?更なる屈辱が貴様を待っているぞ?」

「その減らず口も叩けなくして差し上げますわ!」

「はん!やれるもんならやってみやがれ高飛車お嬢様!」

「高飛車は余計ですわ!あなたこそやってみなさい、ロケット男!」

「ロケットをなめるなよ?貴様なんぞぶっちぎって瞬殺してやる!」

 

と、わざわざ煽りに反応してくれた雫さんと遊んでいると姉貴が

後ろで構えているのが分かったので雫さんと離脱しようとすると、

 

ドゴォンッ!

 

「どわあああああ!」

 

地面に馬鹿が墜落する。

馬鹿、でっかい穴が開いちまうじゃねーか。

穴に向かって駆け出し後方回転しながら前に飛ぶ。

さながら、某不思議な戦士のようなことをする。

そして両足を突き出す!

 

「ライダーキックッ!」

「へぶっ!?」

 

・・・おかしいな。このライダーキックは普通の跳び蹴りの3倍の威力があるはずだが。

ああ、そうか。地面を叩くのを忘れていた。うっかりしたな。

 

「「いや、ちょっと待て(待ってー)!」」

「え?お、おい!」

 

地面を叩こうとモーションをとろうとしたら本音と姉貴に止められた。

とゆーか当たってるけど・・・なにがとは言わないけど。

別に声に出してないんだけどな・・・

 

「お前の考えてることなら簡単に分かる」「あっきーの考えてることなんて簡単に分かるよー」

「・・・さいですか」

 

完全にハモられたら頷くしかないな。

そして姉貴は愚弟のほうを向き眉間にしわを寄せる。

 

「馬鹿者・・・ん?気を失っているのか?」

「任せろ!」

「だめーっ!」

 

またも地面を叩こうとするが、本音にホールドされた。

仕方ない、穏便に行こう。

 

「分かったよ、本音。これを使う」

「んー、それならいいんじゃないー?」

 

《Freeze On》

 

先ほど俺の手に戻ってきたソフトーニャを再起動させ、愚弟に投げる。

頭部で発生させた冷気をファンの回転によって前方に噴射する。

 

「わっぷ!なんだ!?」

「やっと起きたか、馬鹿者。誰が地に激突しろと言った。地面に穴をあけてどうする」

「・・・すみません」

「やーい、バーカ」

「酷い!もっと優しい言葉がよかった」

「は?」

 

俺が愚弟に優しい言葉?

・・・ないな。

 

「俺がお前に優しくするなどありえないな。そのとき不思議なことが起きても無理だ」

「さすがに不思議なことが起こったら優しくなるでしょ!?」

「無理」

「そんなぁ~~」

 

へなへなと沈む愚弟を横目に、クラスメイトにフードロイドを貸し、遊ばせている。

みんな楽しそうで何よりだ。

特に、本音と・・・えーとなんだっけゆっことみらりんだっけ?

そのかたがたが楽しんでらっしゃる。

と、そこで篠ノ之と雫さんが言い争いをしだした。

やれ鬼の皮をかぶってるだの、やれ猫の皮をかぶってるだの

正直うるさい。なので、指パッチンで黙らせる。

 

「ご苦労、織斑兄」

「いえいえ。授業を進めてください?」

「うむ。よし、武装を展開しろ」

「はい」「は、はい」「あいよ」

 

言われてまず愚弟が展開するが、遅い。

 

「遅い!もっと早く出来るようになれ!」

「は、はい!」

「次、オルコット!」

「はい」

 

雫さんは展開するが、気取ってるなあ。

 

「さすがだ。が、その姿勢は直せ。銃身が横ではすぐには撃てん」

「・・・そうですわね。改善いたしますわ」

「ああ。次、織斑兄!」

「へーへー。___変身!」

 

《Launcher On》

 

ドライバーは装着したままだったのでエンターレバーを倒し変身をする。

スイッチを押し、ランチャーを展開する。

しかし姉貴は不服そうである。

 

「・・・もっと速く展開しろ。真面目にやれ」

「えー」

ズバァンッ!

「ふぎゃ!」

「・・・あいあい」

 

《Camera On》

 

雫さんよりも遥かに速くカメラモジュールを展開。

そのまま姉貴を撮影する。

 

「・・・合格だ。オルコット、織斑弟は見習うように。織斑弟は穴を埋めておけ。解散!」

「俺一人かよ・・・」

 

そして授業は終わった。

 

 

 

~★~

 

 

 

「お願い、秋二くん!」

「どーすっかなあ・・・」

 

放課後。俺はクラスメイトのゆっことみらりんに頼み事をされている。

内容はと言うと

 

「一夏くんのパーティーで料理作って!」

 

とのことだ。

曰く、俺の飯が美味いことをどっかで聞きつけたらしい。

・・・まぁ、どうせ本音だろうが。

 

「けどなぁ、愚弟のためってのがまたやる気がなくなるって言うか・・・」

「そこを何とか!」

 

さっきからこんな感じの繰り返しである。

と、後ろに気配。本音か。

そして俺に飛びついてくる本音。

 

「やっほー。あっきー、ゆーこ、かがみん」

「本音!丁度よかった!」

「えー?」

 

あ、まずい。これは詰んだわ。

 

「あっきーぃ。私あっきーのご飯また食べたいなー?」

 

右後ろからの上目遣い。

俺の負けだ。

 

「はぁ。分かったよ。みんなの飯を作る」

「ほんと!?やったー!」

「さっそくみんなに知らせなきゃ!」

「「ありがとう、秋二くん!」」

 

走り去っていくゆっことみらりん。

後ろにいる本音に声をかける。

 

「本音の性だから本音も手伝えよ?」

「いーよ!あっきーのご飯のためならね!」

「あいあい」

 

そして俺は本音をぶら下げたまま、準備のために食堂へ歩いていく。

 

 

 

~★~

 

 

 

「というわけでっ! 織斑くんクラス代表決定おめでとう!」

 

食堂に響き渡るクラッカーの音。

愚弟の代表決定パーティだ。そして俺たちの前には

 

「わ!すごーい!」

「豪華だし、おいしそうー!」

「これ全部秋二くんが作ったの?」

「ああ」

「「「「すごーい!」」」」

 

テーブルには食事の数々。

高級バイキングレベルの品々が並ぶ。

俺が放課後からずっと作り続けた料理だ。

 

「好きなだけ食え!」

「「「「おー!」」」」

 

呼応したクラスメイトたちは次々に食事にありつく。

俺は久しぶりに全力で料理をして疲れたので、椅子に座っておとなしく

ジンジャーエールを飲んでいる。

その俺の膝の上に影が乗る。

いわずもがな本音である。

 

「お疲れー、あっきー」

「本音か」

 

足をぶらぶらさせながら上目遣いの本音に寄りかかる。

 

「えーっ!?あっきー!?」

「あー、ワリ、本音。ちょっと疲れた」

「う、うん。だいじょーぶ?」

「おお、何とかな」

 

愚弟のほうが少し騒がしいが無視である。

何人かのクラスメイトの視線が痛いが気にせん。

と、愚弟のほうから1人見覚えのない人が来た。

 

「こんばんはー。私は黛薫子、新聞部副部長やってまーす。はいこれ名刺」

「おー、ブンヤかー。よろしく、かおるん」

「かおるん!?新しいねー!」

 

するとかおるんはメモ帳を取り出した。

 

「ではー質問ターイム!」

「おー!」

 

気だるいが、テンションは合わせる。

 

「じゃあ、さっきから君がよりかかってるその子との関係は?」

 

騒がしさ満点だった食堂が静まり返るが、無視。

 

「本音?んー・・・大事なヤツ、かな」

「おぉー?それは付き合ってるって解釈でいいのー?」

 

その問いには口角を吊り上げ答える。

 

「さーな。自分で考えてくれ。けど1つ言えるとしたらな」

「なになに?」

 

本音の頭に手を乗せ、宣言。

 

「俺は好きになった奴が、ちょっと多くなるかも知れん。それでも俺は全員を愛す。

 そして、絶対に守りぬく。それが俺の誓いだ。」

 

胸を2回叩いてかおるんを指差す。

俺の一言で食堂がまたも騒がしくなった。

これが、俺の誓いだ。

 

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