IS~宇宙戦士~   作:煉獄 龍騎

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第6話 中・華・襲・来

朝。クラスはある話題で持ちきりだった。

「中国の転校生が来る」らしい。

セシリアも箒も一夏も少なからず気にはなっていた。

さて、われらが秋二だが、いつもの癒しパワーの性で少し遅れている。

そんなクラスに、1人の少女が現れる。

 

「___その情報古いよ」

 

専用機持ちが1組と4組だけと言う言葉に反応して現れた少女。

 

「二組も専用機持ちがクラス代表になったの。そう簡単にはいかないわよ」

「鈴・・・か?」

 

すると少女はコクリと頷く。

 

「そうよ。中国代表候補生、凰鈴音。今日は宣戦布告に来たってわけ」

「何かっこつけてるんだ? すげえ似合わないぞ」

「うるさいっ!___ってあいつはどうしたのよ?」

「あいつ?」

「あいつよ!」

「それはもしかして俺か?鈴」

「!」

 

突如聞こえてくる第三者の声。

それが誰のものかわかった鈴はバッ、と振り返る。

そして、それは鈴の待っていた人物で。

 

「シュウッ!」

 

その人物、織斑秋二に、鈴は飛びついた。

 

 

 

~★~

 

 

 

「シュウッ!」

 

教室に行くと、見知った姿だったので声をかけたら、やっぱ知ってる奴だった。

凰鈴音。俺の気に入った奴の一人だ。

そして唐突な抱きつき。

 

「ったく。久しぶりに会ったと思ったらいきなり抱きつくとか・・・子供か」

「うぅ~。いいじゃない!久しぶりなんだから!」

「ダメとは言ってないぞ」

 

そのやり取りで、後ろに巻きついていた本音が目を覚ます。

 

「ふみゅー?あれー?アキー、誰ー?」

「鈴。幼馴染で気に入ってる奴の1人」

「ふーん。よろしくー、りんりんー」

 

ちなみにだが、本音は俺のことを「アキ」と呼ぶことにしたらしい。

基本的に「シュウ」か「秋二」としか呼ばれたことがない。

「アキ」ってのは新鮮で嬉しい。

と、鈴が俺の背中の本音を見て首を傾げている。

 

「どうした?」

「んー?その子がシュウが気に入った子?」

「正確にはお前に言った奴じゃないがな」

「ふーん」

 

そう言って抱きついたまま品定めをしている鈴。

少しの間そうしていたかと思うと、大きく頷いた。

 

「うん!良さそうな子じゃない!」

「・・・お前は何目線なんだよ」

「えへへー、ありがとーりんりん」

「ん、よろしくね。えっと・・・」

「本音だよー」

「よろしく!本音」

 

お互いに満面の笑みを浮かべた本音と鈴。

と、時間が割とやばい気がする。

 

「鈴。そろそろ時間がやばいと思うぞ」

「あっ!じゃ、後でねシュウ、本音!」

「おう」

「じゃーねー」

 

俺は軽く手を挙げ、本音はブンブンと手を振り、鈴を見送る。

クラスに入ると何人かが騒いでいる。

 

「ねぇ、秋二くん」

「あん?どった?」

「さっきの子は?」

「ああ、幼馴染の鈴だ」

「付き合ってるの?」

「さーねぇ」

 

適当にクラスメイトをあしらい、愚弟たちのもとに行く。

 

「本音、降りろ」

「まだー」

「しゃーねーな、行くぞ」

 

首を勢いを付け、前に振る。

本音はきれいに空を舞い、俺のひざに乗る。

 

「ふぃー。うぃーす。雫さん、篠ノ之」

「ああ、おはよう秋二」

「おはようございますわ、秋二さん」

「俺は!?」

「・・・誰?」

「酷い!俺だよ、一夏!」

「誰だ?」

「さあ?知らんな、そんな奴」

「ちょっ!?箒!」

「私も存じ上げませんわね」

「セシリア!」

「本音は知ってるか?」

「知ーりーまーせーんー」

「のほほんさんまで!」

「というわけで部外者は帰ってください」

「部外者じゃない!」

 

愚弟をハブると篠ノ之、雫さん、本音も乗ってくれたので楽しい。

と、また騒がしくなった愚弟の相手を雫さんと篠ノ之に任せる。

・・・そこ。お前のせいなのに投げやりとか言うな。

 

「おはよー、秋二くん」

「うぃー、みらりん」

「さっきの子すごかったねー」

「まあ、あいつは昔からあんなだよ」

「ふーん、大変だねー。でも専用機持ってるんだよねー、フリーパス無理かなー」

「あん?」

 

いま聞いたことない単語が・・・

 

「みらりん、フリーパスってなんだよ?」

「あれ?織斑先生が言ってたじゃん。クラス対抗戦で一位のクラスは学食デザートのフリーパスが配られるんだって」

「・・・は?」

 

まったく聞いてなかった。っつーかフリーパスめっちゃ欲しいんだけど!

 

「愚弟ィ!」

「!?なんだよシュウ兄!いきなり!」

 

愚弟の胸倉を掴んで持ち上げる。

 

「絶対勝て!俺は菓子を食いたい!」

「お、おう・・・」

 

腹パンを愚弟に喰らわす。

 

「げふぅ!?」

「馬鹿野郎!もっとやる気を出しやがれ!」

「って言うかフリーパスが欲しいならシュウ兄が代表やってくれよ!」

「馬鹿野郎!」

「げふぅ!?」

「俺は楽してフリーパスを手に入れたいんだ!」

 

当たり前だろう!俺は面倒ごとが大っ嫌いだ。

そして椅子に座る。

突然の俺の行動に皆首をかしげているが早く座ったほうが身のためだぞ。

 

ズバァンッ!

「さっさと席に着かんか馬鹿者共」

 

ほうら、鬼が来た。

 

 

 

~★~

 

 

 

「待ってたわよ!シュウ、本音!」

「うぃー」

「やっほー、りんりん」

 

昼休み、食堂に向かうと鈴がご丁寧に券売機の横で待っていた。

 

「俺は!?」

「ああ、いたの?」

 

鈴から名前さえ呼ばれなかった愚弟は認識すらされていなかった事実に肩を落としていじけている。

 

「・・・いいの、あれ?」

「ほっとけ、割と復活は早い。本音、食券買おうぜ」

「うんー!」

 

空気を読んだこと、礼儀を覚えたことを褒めながら鈴の頭を撫でる。

愚弟はまた雫さんたちに任せ、ラーメンを買って席に着く。

 

「元気だったか?」

「ん。そっちこそ元気だった?一夏は風邪とか引かなそうだけど」

「まーな。あいつ馬鹿だからな」

「俺は馬鹿じゃない!」

 

愚弟がトレーを持って怒りながらこちらに来た。

後ろには雫さんと篠ノ之がいる。

 

「本当に馬鹿じゃないならお前の後ろの奴らはそんなにむくれない」

「え?あれ、セシリア、箒、何でそんなに怒ってるんだ?」

「自分の胸に聞け」「自分の胸に聞いてくださいまし」

「???」

 

首をかしげる馬鹿。

 

「だから馬鹿なんだよ、バーカ」「ほんと、馬鹿」「これは無理だねー」

「そんな・・・」

 

俺と鈴と本音のトリプル攻撃で愚弟を沈める。

 

「ついでだし、自己紹介しろよ」

「はいはい」

 

鈴に胡椒を手渡し、本音に箸を渡すと、丁度鈴が声をかけた。

 

「あたしは中国代表の凰鈴音。シュウの彼女よ!」

「「「!?」」」

 

食堂のクラスメイト他が驚きの声を上げる。

そんな鈴にため息をつきながらチョップ。

 

「馬鹿。そんなストレートな言い回しがあるか」

「いったぁ!?いいじゃない事実なんだし!」

「アホ。そしたら本音とのこともあるからややこしいことになるだろ」

「別にいいじゃない!あたしたちが良いって言ってるんだから。ね、本音」

「私はー別にいいよー」

「・・・ったく」

 

後先のことを考えない発言を止められなかった自分が腹立たしい。

楯無もいるから実際すさまじい人数なんだよな。

まぁこないだかおるんに言っちゃったからたいした意味はないんですけどねー。

 

「そんなことよりもシュウ!今日の放課後駅前のファミレス行こうよ!」

「んあ?あそこはこないだ潰れちまった」

「んじゃどっか出かけるんでも良いからさ!」

「ちょっと待て鈴!今日はシュウ兄に特訓してもらう予定だ!」

「は?」

 

いきなり変なことを言い出した馬鹿。

 

「久しぶりに会ったんだからあたしが優先よ!そもそも予定って何!」

「今日頼み込む予定なんだよ!ってゆーかいつも鈴ばっかなんだから譲れ!」

 

あのなあ、普通に鈴を優先させるに決まってんだろ。

愚弟とは気に入りの度合いが違う。

が、今回はどっちも優先できない。

 

「おい」

「そもそもあんたはシュウに相手されないでしょ!」

「うるさい!今日こそは特訓してもらいたいんだ!」

ズバァン!

「ふぎゃっ!?」「きゃっ!」

 

声を掛けて反応されなかったが、後ろから鬼の気配がしたので咄嗟に鈴を抱き寄せ回避。

愚弟を生贄にした。

 

「避けさせるな、馬鹿者」

「いやぁ。鈴は殴らせらんないな、愚弟は別にいい。というか半分あいつの性だし」

「・・・まあいい。静かに飯を食え」

「あいよ」

 

姉貴はそういうと歩き去る。

腕の中の鈴に目線を向ける。

 

「鈴、悪いが先客に本音がいる。夜んなったらお前んとこ行くから待っとけ」

「んー、ならいいわ」

「ごめんねー、りんりんー」

「いいのいいの、気にしないで。っていうかあたしも手伝おうか?」

「どーする本音?」

「じゃあーお願いしまーすー」

「任せなさい!」

 

ドヤ顔の鈴に苦笑し食事を促す。

余談だが、愚弟は撃沈していた。

 

 

 

~★~

 

 

 

「ふぃー、つっかれたー」

「私もー」

「はいはい、ふたりとも。はい、これ」

「サンキュ」

「ありがとー」

 

放課後、アリーナから寮への道を進んでいた。

本音は飲み込みが早く、かなり操縦技術が上がった。

その本音は俺にぶら下がったまま。

そんな俺たちに鈴がほどよくぬるい常温のペットボトルを渡してくる。

これは、愚弟がしつこいからこうなったあいつの悪影響のひとつだ。

 

「ホントあいつは邪魔しか出来ないのか・・・」

「まあ一夏だしね」

「・・・まあな」

 

さっきの特訓中もこちらにぶっ飛んできやがった。

まあカウンターキックで跳ね返したんだが。

 

「んで?鈴は何の用だったんだ?」

「あ・・・えっと・・・」

 

珍しく歯切れの悪い鈴。

・・・ああ、あれのことか。

 

「あのさ・・・シュウは約束、覚えてる?」

「お前は俺の記憶力をなめているのか?もちろん覚えてるよ」

「!!じゃ、じゃあ・・・」

「ああ。毎日手料理、食わせてもらうぞ?」

「~~!!」

 

泣きそうな顔で抱きついてくる鈴。

ちなみに約束とは、中学のときに鈴が中国に帰るその日。

空港でしたものだ。

内容は、

 

「あのさ・・・シュウ」

「あん?」

「料理の腕が上がったら毎日あたしの酢豚を食べてくれる・・・?」

 

というものだ。

その恥ずかしがりながらのお願いと、あえて味噌汁ではなく酢豚である奇抜さが気に入ったのである。

と、背中の本音も嬉しそうな顔をしている。

 

「やったねーりんりん」

「うん!ありがと本音!」

 

手を叩いて喜ぶふたり。

俺を挟んで、やるのはやめていただきたい。

と、そうだ。

 

「鈴、部屋どこだ?」

「ふっふーん。これをご覧あれ!」

 

そういってこちらに差し出してきた鍵の番号は・・・

 

「ここ・・・俺らの部屋じゃね?」

「ほんとだー」

「ふふん!」

 

またもドヤ顔の鈴。

怪訝な視線を送ると、

 

「なによその目!ここの生徒会長とか言う人が渡してきたのよ!」

「・・・あいつかーっ!」

 

俺の脳内には水色のクセっ毛で赤目の少女が映っている。

 

「アキー?顔すごいことになってるよー」

「気にするな!天誅!」

 

《Camera On》

《Scissors On》

《Flash On》

《Schop On》

《Freeze On》

《Gyro On》

 

「フードロイド全機発進!目標、IS学園生徒会長!」

「ごー!」

 

俺と本音の号令でフードロイドたちは一斉に発進。

このあと、生徒会長殿の部屋からは断末魔が聞こえたらしい。

 

「まあ、なってしまったものは仕方ない。行くぞ」

「おー!」「ん!」

 

号令にあわせ俺たちも走り出した。

 

 

 

~★~

 

 

 

とりあえず、鈴が夕食を作っている。

ちなみにだが、ベッドはいつの間にかキングサイズになっていた。

しかもひとつしかない。必然的に3人川の字で寝るしかない。

別に俺はかまわないんだが、年頃の男子と女子を同じ布団で寝かして良いのか、学園。

 

「出来たわよ!」

「あいよー」

 

別室で作業をしていた俺を呼びに来る鈴。

部屋に戻ると、そこそこ豪華な天ぷらが並んでいた。

 

「なあ、本音」

「どしたのーアキー?」

「俺の目には天ぷらが映っているが間違っているか?」

「ううんー天ぷらだよ?」

「鈴?」

「うっ・・・!し、仕方ないじゃない!材料がないんだもん!」

 

まあ、俺の部屋にはいろいろな材料はあるが、昨日丁度豚肉を使い切った。

残念ながらタイミングが最悪だったようだ。

鈴もさすがに丁度よく豚肉は持ってなかったようだしな。

 

「ま、いいか。美味そうだし、俺が言ったのはあくまで手料理だし」

「・・・今度作るわよ」

「楽しみにしとくよ。・・・こらまて本音、いただきますが先だ」

「はーやーくー」

「あいあい、それじゃお手を拝借」

「「「いただきます」」」

 

とりあえず目の前にあったえびを口に運ぶ。

 

「ど、どう?」

「・・・」

 

こちらを覗き込む鈴。よく咀嚼し、飲み込む。

 

「美味い」

「ホント!?」

「ああ、サクサクしているし、えびもジューシーだ。合格」

「やった!あたしも食べよ!」

 

大きくガッツポーズした鈴は美味そうに自分で作った天ぷらを口に運び満足そうに頷いた。

本音も美味そうに食っている。

 

___台風が来たと思っていたが、もっと楽しくなりそうだ。

 

やっぱ、この学園に来れてよかったかもな。

 

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