五月、刀奈とのデートから一週間が過ぎ、クラス対抗戦当日。
俺はアリーナの観客席で試合が始まるのを待っている。
隣・・・正確にはほぼ俺の上に本音が座っている。
デートから帰ってきたら機嫌が悪いから何事かと思ったら、どうやら刀奈がバラしたらしい。
本音と鈴とも行くと言ったら急に機嫌が直ったがな。
ピアスも髪の長さで誤魔化している。
と、制服の袖が引っ張られる。
「アキー、どっちが勝つと思うー?」
「あん?あー・・・できれば愚弟に勝って欲しいけど、鈴の実力は確か。油断、慢心がなく、あとは攻め時をきちんと読んだほうの勝ちだな」
「なんか、どっかの大会の解説者みたいだね。秋二くん」
「うぃー、みらりん、ゆっこ」
「本音、隣良い?」
「いーよー」
本音の隣にゆっこ、その奥にみらりんが座る。
と、鈴と愚弟がアリーナに登場。
なにやら言い合うと、試合が始まる。
「前よか早いか、若干だけど」
「そう?私は一夏くん凄い早くなったと思うけどな」
「んー、姉貴に教えられてあそこまで行かなかったらそりゃおかしいからな」
「織斑先生かー。教えるの上手いの?」
「完全に「習うより慣れろ」タイプ。すっげえキツイ代わりに上達が凄い」
「さすがに姉弟だねー」
「そりゃ、まーね」
しっかし、いくら姉弟だからって洗濯物をちらかしっぱの上に部屋の掃除も俺にやらせんのはやめてほしい。
一応言っておくが、試合前の会話は
「結局シュウ兄に教えてもらえなかったじゃねーか!鈴のせいだぞ!」
「うるっさい!いいからあんたはあたしにやられなさい!」
云々。ちなみに鈴の張り切っている理由は勝ったらご褒美をやると俺が言ったからだ。
完全に褒美につられたのが見え見えだが。
俺が思っていたよりは、鈴に喰らい付いている。
と、鈴のIS「甲龍」の非固定浮遊部位から見えない弾丸が飛んだ。
「へえ・・・」
「ちょ、ちょっと本音!秋二くんの顔がこれ以上ないくらい怖いよ!」
「アキー、顔凄いよー。獰猛な笑顔になってるー」
「っと、悪い。あれが衝撃砲なんだな、と思ってな」
「衝撃砲?」
「空気の圧縮からの打ち出しでー、衝撃波を飛ばすやつだねー」
「そ。んで、砲身も弾丸も見えない。文字通り見えない銃撃だな」
「へぇー・・・って本音知ってたの!?」
「えー?」
「一応本音は整備科志望だし、ISについては詳しいぞ?戦闘はともかく」
「そうだったんだ。意外ー」
「ひどーい!」
あからさまに不機嫌になった本音。
それに呼応して今にも立ち上がりそうな髪に、手を乗せる。
だんだんと表情が和らぐ。
「だーれだっ!」
唐突に後ろから飛びついてきた水色の物体。
目隠しをしてきたそいつの頭も撫でる。
嬉しそうになった気配を感じてから手を取って一回転させる。
「きゃっ!?」
俺の頭上を通して本音とは反対側の席に座らせる。
「もー、乱暴だし答えになってないし!」
「そう怒るな、楯無」
ジト目でこちらを向く刀奈。
それに苦笑を返す。
と、嫌な予感がする。
ほぼ同時に上空に気配。
「チッ、面倒ごとが増えるな」
「ッ!どうやらそのようね」
「そーだねー」
話を聞いていたふたりもそれぞれ気付いたようだ。
次の瞬間、アリーナに響き渡る轟音。
転ばないようにサイドのふたりを腕の中に入れる。
来やがったか・・・
~★~
騒然となる観客席。
何人かはパニックを起こしてやがる。
俺はレーダースイッチを起動。
レーダーモジュールを部分展開する。
《Radar》
「全員落ち着け!近くの扉から外に出ろ!」
「っ!シュウくん!」
「ん?」
「扉は開かないわ!」
「ちっ!」
と、呼び出していた姉貴と通話がつながる。
『どうした?織斑兄、この緊急事態に』
「んなこと分かってる。アリーナの扉、ぶっ壊して生徒を避難させるぞ」
『許可する、それから・・・』
「鈴たちに加勢、だろ?見たところ3機くらいいるか?」
『ああ、頼む』
通話を切り、レーダーを解除。今度はチェ-ンソースイッチを起動。
チェーンソーモジュールを部分展開する。
《Chainsaw》
「下がれ、危ない」
扉の前にいた生徒たちを下げ、扉に回転蹴りを喰らわす。
扉は轟音を響かせ、切り裂かれ吹き飛んだ。
「行け、他の扉の前のみんなもちょっと待ってろ」
言うと素早く避難していく。
後ろにいる2人にも仕事を任せるか。
「本音、避難誘導を頼む」
「了解ー」
「ゆっことみらりんは逃げてくれ」
「う、うん」「分かった」
「楯無、俺の代わりに扉の破壊を頼む」
「分かったわ。シュウくんは?」
「俺はあいつらを助けてくる」
もう避難し終えた観客席まで行き、ドライバーを装着する。
トランスイッチを右から順に下げる。
拳を握り、構える。
・・・3
「速くしないと、シュウくん!」
・・・2
「大丈夫、あいつらはそう簡単にくたばらないさ。後は頼む」
・・・1
「変身!!」
エンターレバーを前に倒し、いつものポーズをとる。
ドライバーから煙が噴き出し、俺はフォーゼに代わる。
ドリルスイッチを起動させ、展開。
《Drill On》
「オラッ!」
左足を跳び蹴りの要領で突き出す。
シールドにぶち当たるが、そんなもんは関係ねえ。
「だあっ!」
気合でぶち抜くと、そのままの勢いで跳んで行く。
~★~
あたしは今、焦っていた。
一夏との試合中にいきなり乱入してきたIS。
しかも、3機もいる。
やつらは強くて、少なくともあたしたちふたりじゃ倒せない。
見えない弾丸の龍砲も当たらない。
時間稼ぎのために残ってはいるけど、援軍は来る気配がない。
そのことで、あたしは焦っていた。
「ああ、もう!当たりなさいよ!」
怒りに任せて龍砲を連射する。
が、このときあたしは大きなミスを犯した。
龍砲は空気を圧縮する。
その特性上、何度も連射は出来ない。
そこで出来た隙を、相手は見逃してくれなかった。
1機のISが、アリーナをぶち破ったレーザーの砲身をこちらに向けてくる。
気付いたときにはもうこちらに迫ってきていた。
このまま終わってしまう、そう思うとひとりの男の名があたしの脳内に浮かんだ。
あたしがこの世界でもっとも好きな、あいつの名が。
何人もがあいつを好きになって、その全てを受け入れた。
あたしもそのひとり。
いつになっても助けに来ない、あいつの名を気付いたらあたしは叫んでいた。
「助けに来てよ!シュウッ!」
瞬間、迫ってきていたレーザーは相手を見失ったかのように狙いがずれた。
こっちに向いていた砲身もあさっての方を向いている。
そして、その現象を起こした張本人こそ、あたしが待ちわびた相手だった。
~★~
ったく、来て早々鈴にレーザーが迫っていたから勢いよくそいつにぶつかった。
ついでにドリルでちょっと抉ったんだが。
「シュウッ!」
笑顔でこちらに寄ってくる鈴。
「無事か?鈴」
「うん、ありがと」
「俺の手の届く距離にいるうちは怪我はさせない」
そう返すと鈴は頬を真っ赤に染め、俯いた。
と、愚弟が近づいてきた。
「シュウ兄!」
「愚弟、あいつを見て、なんか思いつくことはあるか?」
「ああ、あいつ人が乗ってないんじゃねーかな」
「・・・なるほど」
たしかにあいつの動きは機械的だし、熱も気配も感じ取れない。
なら遠慮も要らないか。
「11」のスイッチを取り出す。
装填、展開を素早く済ませ、瞬時加速の要領で急接近。
《Scissors》
《Scissors On》
「宇宙キターッ!」
左腕のハサミ型のブレード「シザースモジュール」で敵の右腕を刈り取る。
うしろのふたりは驚愕しているがどうでもいい。
敵の左腕からは血のようにオイルが噴き出す。
それ以上は危険と判断したのか、俺から距離をとる無人機。
シザースを解除し、後ろを向く。
「なるほど、大当たりだ、愚弟」
「何無茶してんのよ!」
「いいんだよ。それより愚弟、お前エネルギーの残量少ないだろ」
「お、おう」
「んじゃ、ちょっと待っとけ。俺と鈴で隙を作るからそこでお前が殺れ」
「わかった」
大きく頷いた愚弟に頷き返し、鈴の方を向く。
「鈴、サポート頼む」
「任せなさい!」
頼もしく頷く鈴にサムズアップで返す。
そして、無人機たちに向き直り、胸を2回叩く。
「仮面ライダーフォーゼ。タイマン張らせてもらうぜ!」
「タイマン・・・なのか・・・?」
後ろで困惑顔の愚弟は放っておく。
腕を突き出した好きだらけの俺の態度を好機と判断したのか、同時に迫ってくる無人機。
対して俺は「12」のスイッチを装填、展開する。
《Beat》
《Beat On》
右脚にスピーカー型ユニット「ビートモジュール」を装着。
右脚を突き出しながら後ろのふたりに注意を促す。
「鈴、愚弟、耳塞いどけ」
「「えっ?」」
そして、ビートから超音波を放つ。
この音波はISさえも惑わす力をもつ。
相手が無人だろうとISには変わらない。
隙が出来た無人機に接近する。
ビートで蹴りつけ、解除すると「13」のスイッチを装填、展開。
《Chain Array》
《Chain Array On》
右腕に鎖鉄球「チェ-ンアレイモジュール」を装着し、振り回す。
無人機たちはきれいに吹き飛ぶ。
ゴツイ鉄球で殴りつけたので、やつらの装甲は一部が砕ける。
と、1体の無人機が俺に砲身を向ける。
が、俺の後ろからの衝撃波、龍砲の一撃を喰らい吹き飛ぶ。
その隙を逃さずに「14」のスイッチを装填、展開。
《Smoke》
《Smoke On》
右脚に発煙装置「スモークモジュール」を装着し煙を噴射。
ハイパーセンサーに引っかからなくする効果がある煙幕に身を隠し、1機に接近。
スモークを解除し、「15」のスイッチを装填する。
《Spike》
《Spike On》
左脚にレッグガード「スパイクモジュール」を装備し、スパイクとチェーンアレイで攻め立てる。
鉄球と無数のとげにより、無人機の装甲がボロボロになってきたところで、エンターレバーを倒す。
《Chain Array Spike Limit Bleak》
音声と共にリミットブレイクが発動し、スパイクのデンスリークラッシャーが伸びる。
腰を落とし、コズミックエナジーを収束させる。
無人機が突っ込んできたところで、ブースターを噴かせて懐にもぐりこむ。
体のバネを利用し、無人機を上空に打ち上げる。
先ほどから集中的に攻め続けられたために、無人機は抵抗もなく、落下してくる。
チェーンアレイをハンマー投げのように振り回し、コズミックエナジーを収束。
落下に合わせてチェーンアレイをぶつける。
「ライダーチェーンクラッシャーッ!」
直撃した無人機は爆散。
それを確認し、チェーンアレイとスパイクを解除。
スモークの恩恵でギリギリ鈴が耐えているので、サポートをしなくちゃな。
すぐに「16」のスイッチを装填、展開した。
《Winch》
《Winch On》
左腕にドラム式ユニット「ウインチモジュール」を装備。
いまにも鈴に攻撃を仕掛けようとしている無人機に向かってブレイズリードを素早く打ち出し、ブーストフッカーを引っ掛ける。
いきなりのことに驚愕している無人機を引っ張り、こちらに寄せる。
勢いよく引っ張られた無人機はバランスを崩す。
その無人機に跳び蹴りを喰らわせ再び吹き飛ばす。
さて、俺が戦わないほうにもなんかしとかなきゃな。
ウインチを操作しながら「17」のスイッチを装填し、展開する。
《Flash》
《Flash On》
右腕に懐中電灯型ユニット「フラッシュモジュール」を装備する。
「ふたりとも、目ぇ閉じろ!」
「え!?わ、分かったわよ!」
「お、おう!」
電球の部分に当たるバルブランプから、強烈な光を放ち無人機たちの目を眩ませる。
これもISに有効なもので、視界を完全にホワイトアウトさせる。
弱点と言えば観客にも若干の影響があることや今のような集団戦にあまり向かないこと。
が、味方が消耗しているのなら好都合。
もうひとつの弱点、目を瞑られると通用しないことを逆手に取る。
敵⇒無人機⇒目にあたるところは瞑れない
味方⇒人⇒目を瞑れる
お分かり頂けただろうか?
さて、フラッシュ攻撃の結果は成功。
敵は目を眩ませ、怯んでいる。
今のうちにこの引っ掛けてるやつを潰すか。
《Drill》
《Drill On》
ドリルを装着し、ブースターを噴かせ軽く上昇。
エンターレバーを倒し再びリミットブレイクを発動。
《Drill Winch Limit Bleak》
ブースターを全開にし、宙返りしながらブレイズリードを縮める。
そして左脚を突き出し蹴りの姿勢をとる。
「ライダーブレイズドリルキックッ!」
ドリルで装甲を抉り取り、無人機を貫通。
またも爆発させる。
ドリル、ウインチを解除しラスト1機の相手をしようと振り返ったとき、気配に気付いた。
そしてそれは、ここに来てはいけない者の気配だった。
「一夏ぁっ!」
やっぱり篠ノ之かよ・・・。
何で来やがった・・・あー・・・激励のつもりってとこか。
「男なら・・・男なら、そのくらいの敵に勝てずしてなんとする!」
その言葉に反応したかのように無人機が砲身を管制室に向けられる。
フラッシュによる効果で狙いは定まっていないが、あの威力をぶつけられれば100%吹き飛ぶ。
近い鈴と愚弟は驚きで体が固まっちまってるか。
ッチ!俺が動くしかないか!
《Rocket》
《Rocket On》
「オオオォッ!」
ロケットのブースターだけでなくマニューバのブースターも使い、ギリギリ射線に入り「18」のスイッチを展開することに成功する。
《Shield》
《Shield On》
「ぐぅっ!」
左腕のスペースシャトルを模した小型の盾でビームを止めるが、重い・・・!
アリーナのシールドを突き破るほどの威力のビームをこの小型の盾で防げるか・・・?
答えは否だ。
実際少しづつ俺の体にもビームが当たり始めてる。
ならば一気に決める。
「鈴!愚弟!」
「シュウッ!」
「シュウ兄!」
「俺のことはいい!一気に決めるぞ!」
「・・・分かった!」
「おう!」
ロケットを解除し、「19」のスイッチとランチャーを装填。
《Launcher》《Gatling》
《Launcher On》《Gatling On》
ランチャーに加え、左脚にガトリング砲「ガトリングモジュール」を装備。
エンターレバーを前に倒し、3度目のリミットブレイクを発動。
《Launcher Gatling Shield Limit Bleak》
シールドがコズミックエナジーを纏い、そのままコズミックエナジーで構成した巨大シールドに姿を変える。
そこからエネルギーを吸収し、両足の弾丸に注入する。
「今だぁっ!」
「行きなさい、一夏ぁ!」
「はあああっ!」
鈴の龍砲から放たれた衝撃波を白式のスラスターに取り込み、爆発的な加速力で無人機を切り裂く。
ついでにこれも喰らいな!
「ライダードレインショットッ!」
ダメ押しの一斉掃射により、吹き飛ぶ無人機。
やったか・・・?
「・・・!」
爆煙の中から飛び出してきたのは装甲がごつくなった無人機。
その標的は、俺が開けた穴の向こうで見ていた刀奈だった。
素早くスイッチを全て解除し、ロケットを装着しながらダッシュ。
《Rocket》
《Rocket On》
ドガァン!
勢いよく突っ込んだ俺は無人機と共に暴発。
そのまま繰り出された無人機の拳によって吹き飛ばされた。
~★~
私に向けられたビームから私を守るために自分の身を犠牲にしたシュウくん。
そこで限界だったのか、先ほどとは違い動きが鈍くなされるがまま。
そんな彼を見ていると自分の無力さを呪った。
今すぐに飛び出して戦いたいが、私の専用機はメンテナンス中。
私は自分の無力とシュウくんがボロボロになっていくのが悔しくて。
気付いたら涙を流していた。
その雫が、偶然ポケットに入れていたシュウくんのスイッチに落ちた。
すると、スイッチが光り輝いた。
驚いた私はスイッチを取り出す。
輝く光が収まると、そのスイッチは黒から金に変わり「10」と描かれていた。
これなら、シュウくんの助けになるかも!
「シュウくん!」
ボロボロになりながら立ち上がったシュウくんはこちらを向く。
私は手に持ったスイッチを大きく掲げると思いっきり投げた。
「使って!そのスイッチ!」
私でも、力に慣れるかも・・・
~★~
刀奈からもらったこのスイッチ、見たことないが・・・
こないだ俺が落としたやつか。
そのスイッチをドライバーに装填する。
《Elek》
体中に軽く電気が走る。
そのままスイッチをオンにする。
《Elek On》
右腕にロッド型の武器が現れ、一部のカラーが変わる。
すさまじい電流が流れ、意識が吹っ飛びかけるが、耐える。
「うおっしゃあ!」
雄叫びをあげることでテンションを上げ、意識を保つ。
勢いよく「ビリーザロッド」を横に振るう。
その余波でバチリッ、と電気が走る。
こいつならいけるな。
目の前にいた無人機がレイピアを手にこちらに迫ってくるが俺はロッドを突き出し、応戦。
何度か打ち合うが、機械的な動きは見切りやすく。
上から振り下ろされた一撃を右から払いのけることで回避し、逆袈裟斬りの要領でぶつける。
雷が走り、吹き飛ぶ無人機。
追撃のためにブースターを噴かせ、バットのスイングのようにさらに吹き飛ばす。
一度地面に降り、吹き飛んでいる無人機より高く跳び、上から思い切りロッドを叩きつける。
地面に落下した無人機を確認し、鈴と愚弟の元へ降り立つ。
「シュウ、大丈夫!?」
「問題ない。エネルギーが残り少ないんだろ?ここらで一気に決めようぜ」
「・・・ええ、任せなさい!」
「シュウ兄・・・」
「お前にも手伝ってもらうぞ」
「・・・おう!」
頼もしく頷いたふたりに頷き返し、ドライバーにスイッチを装填し展開する。
《Hopping》
《Hopping On》
ホッピングを装着し、愚弟の方を向く。
「お前が一番エネルギーないだろうから、お前は踏ん張り役だ」
「任せてくれ!」
言った愚弟は手を突き出す。
鈴は既に「双天牙月」を構えて準備を完了している。
エンターレバーを倒し、4度目のリミットブレイクを発動する。
《Elek Hopping Limit Bleak》
「っしゃ行くぜ、鈴」
「任せなさい!」
愚弟の突き出した腕を土台にし、スプリングを縮ませる。
こちらに接近してくる無人機を引き付ける。
「ここっ!」
鈴が一足早く動き出し、接近していく。
一拍遅らせ、俺も跳び出す。
無人機とすれ違う瞬間に横に並ぶ。
そこで俺から流れ出た電流が鈴の双天牙月に纏わり付く。
「ライダーダブルエレキストライクッ!」
すれ違いざまに斬り付ける。
俺と鈴の一撃によって活動を停止した無人機は倒れこみ、爆発した。
「やったっ!」
「よっしゃ!」
鈴と愚弟は喜び、ISを解除し腕を上げる。
俺もトランスイッチをすべて上げ、変身を解除。
アリーナの観客席にいた刀奈と本音に向くと、大きく手を振っている。
俺はピースサインで応えると、近づいてきた鈴に一言。
「ワリ、後頼む」
鈴の返答を聞き終わる前に俺の意識は無くなった。