ワンダ登場アンド暴走回です。
最初にそれを発見したのは、姉の方ではなく、妹の玄であ
った。日曜の昼下がり旅館の板前の仕事を手伝っていた玄は
人目のない玄関裏の突然の物音に気付いて、見に行こうとしたが流石に一人で見に行くのは心細く、かといってそんなことで仕事が忙しそうな板前たちの手を煩わすわけにはいかない。そこで炬燵の中で明らかに暇そうにしている姉の宥と一緒に様子を見に行った。そして玄関裏の扉を開いた2人の目に映ったものは…奇妙な形をした剣を握りしめたままうつ伏せで倒れている青年の姿だった。
「えぇ…玄ちゃん誰この人ぉ?!」
「いや私もわかんないよ!何か大きい物音がしたなぁって思ったら…しかもなんだろこの格好ゲームのコスプレ?この剣もおもちゃだよね…?」
「とっとにかくここは冷静になって麻雀部のみんなに電話を…」
「お姉ちゃんこそ落ち着くのです!普通電話するなら、警察か救急車だよ!」
漫才をしている松実姉妹の声にも反応せず、倒れている青年はピクリとも動かずそのままだ。このままだとらちがあかないと、とりあえず玄はなぜか持っていた調理用菜箸でツンツンとつついてみた。
「もしも〜し。生きてますか〜?」
(外国の人だよね…)
髪の毛は茶色で、頭にはカチューシャをつけ、シャーマンの前掛けを着ているそれは何処かの民族衣装を彷彿させるような格好だ。プルプルと震えながら、麻雀部のメンバーに片っ端から電話をかけている宥を無視して、玄はこの青年の正体を探ろうと、普段ほとんどおもちのこと以外考えない脳みそをフル回転させる。
(まず男の子で…歳は私たちと同じくらいの人だよね。そしてこのコスプレは何のゲームかアニメか知らないけど、やけに様になってる!でもなんでコスプレ好きの男の子が私たちの旅館の玄関裏に?!う〜ん全然わかんないよ〜)
玄の推理力と想像力ではここまでが限界である。しかしまさか本物のゲームのキャラクターが現実世界に舞い降りたなど考えるわけもない。
「玄ちゃん。穏乃ちゃんに繫いだら憧ちゃん達と一緒にこっちに来るって!」
「本当に救急車じゃなくて麻雀部のみんなを呼んだの…?お姉ちゃん?」
すると「ううっ…」と呻き声を上げながらようやく青年が起き上がった。
「「ひゃあ!」」
同じタイミングと同じ声で驚く2人を他所に青年ワンダは目の前の見慣れぬ建造物を見て驚愕する。
「こ…ここはどこだ?モノは?アグロは?ドルミン!
どういうことか説明しろ!」
「あ…あの」
「大丈夫ですか…?」
「これはあなたの仕業か?!私もいにしえの地をまだ完全には把握できてないが、ここが明らかに別世界だということは流石にわかるぞ!」
意識が途絶える前の最後のワンダの記憶はゲームでは憧が手も足も出なかった最初の巨像、通称第一の巨像をなんとか倒し、崩れ落ちた巨像の体から這い出てきた黒い触手のようなものに胸を貫かれるところまでだった。
(どー見てもアレな人だよね…救急車じゃなくて警察呼んだ方が…)
突然起き上がったと思えば天に向かってありもしないものに大声を上げる。
右腕に持っている剣を合わせて完全に即通報ものである。
しかしうつ伏せのためよく見えなかった青年の容姿を玄と宥はようやく確認できた。
彫りの深くも浅くもなく、繊細な顔立ちをしており、どこか憂いをおびた若草の瞳は、何かただならぬ覚悟のようなものが伝わってくる。中性的な顔立ちをしており、そのため本来女性がつける頭のカチューシャもこの青年がつけても特に違和感も嫌悪感も他人に与えてなく。ごく自然に服装とマッチしている。(本人は嫌がるだろうが)女装などさせたら案外似合いそうである。
「あっ…あの!」
「ん…?そういえばあなた達は何者だ?」
(それはこっちのセリフだよ…)
ようやくまともな会話をすることができた。日本語は通じているようだ。
「えっと…私はここの旅館の娘松実玄です!それでこっちが…」
「姉の松実宥です…。」
「私はワンダというものだ。一応聞くが、ここはいにしえの地の一部なのか?」
「ここはいにしえの地じゃなくて日本の奈良県ですよ。」
「ニホン…ナラケン…まるで聞いたことが無い地名だ…ドルミンもまるで答えてくれない。なにがどうなってるんだ…」
「アグロとモノもすぐに探さないと…」
「お姉ちゃんこの人…」
「わ…悪い人ではないと思うけど…」
「…うん……よし!」
刀剣を柄に収めボソボソと呟くワンダを他所に玄は何かを決心したかのようにワンダの手を握り
「ワンダさん!ここの旅館で働いてみる気はありませんか?!」
また文量少なくてすいません。次はもっとボリューム増やして書きます。次はワンダ松実館の従業員になる?!
あとめんどいんでto beのやつはやめました