飛龍覚醒~双翼ノ意志~   作:停泊中のムラサ

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六話~再会~

「本当に、これが・・・この船が私?」

 

目の前の空母を見上げて、飛龍はポツリと漏らした。

ありえない、と自分でも思う。しかし、それならば目の前のこの船から感じる懐かしさは何なのだろう。答えの見えない問いかけが頭の中でグルグルと回った。

 

「こんな船、初めて見たけど・・・」

 

(でも、どこかで・・・・・・)

 

無意識に飛龍は『飛龍』の焼け焦げた飛行甲板に手を触れた。

その直後、飛龍は猛烈な頭痛を感じた。立っていることもままならず、そのまま海底に倒れこむ。

 

「うぅ・・・・・・痛ぁ・・・」

 

横になっても、頭痛は収まるどころか、いっそう激しさを増していった。徐々に飛龍は意識が朦朧としてくるのを感じた。

 

「なんで・・・こん・・・な時・・・・・・・・・」

 

最後まで言い切る前に、彼女の意識は再び深く落ちていった。

 

 

 

(・・・波の音?)

 

聞きなれた海の音で飛龍は目を覚ました。

 

「ここは・・・飛行甲板の上?・・・でもあの時私は海底で意識を・・・」

 

直前の記憶を思い出しながら体を起こし、周囲を見回す。

潮の香りを含んだ夜風が心地いい。夜空には数多の星々が溢れ、満月を少し過ぎたくらいだろうか、大きな月が煌々と黒く、のっぺりとした海を照らしている。

その一方で、飛行甲板といえば、あちこち焼け焦げている場所もあれば、今だに炎が激しく揺れているところもあった。

 

「この船・・・やっぱり・・・」

 

全身に涼しい夜風を受けながら、飛龍はゆっくりと飛行甲板を歩き始めた。

ところどころに空いた大穴を覗いて確信した。

 

「やっぱりあの沈んでた空母だ・・・」

 

そう呟くと、なぜか自分の胸にズキズキと痛みが走る気がした。ただ単に『沈んだ』という単語に反応しているだけかもしれない。が、

 

「やっぱりこの船は私と繋がっているんだ・・・」

 

飛龍にはそう思えた。いったいこの船は何なのか。それは飛龍自身にもわからない。別世界での私なのか、それともこの船こそが本来の私の姿なのか。そんなおよそありえない予測が頭の中を飛び交った。

 

「・・・って何考えているんだろ。」

 

自分の馬鹿げた思考に苦笑して、飛龍は飛行甲板に大の字で仰向けに寝っ転がった。

 

「それにしても・・・きれいな月だなぁ・・・・・・」

 

不意に、夜空に浮かぶ月が滲んだ。

 

「あれ・・・私、どうして・・・こんな・・・泣くところじゃ・・・ないのに・・・」

 

いくら拭っても、後から後から涙が溢れた。涙を止めようと目を閉じると、瞼の裏に空母の三人の顔が映った。

 

「・・・・・赤城さん・・・・・・加賀さん・・・それに・・・・・・蒼龍姉・・・」

 

悔しさ、淋しさ、虚しさ。いままで抑えていた感情が一気に爆発し、溢れ、嗚咽とともにこぼれていく。

 

「どうしたんだい? そんなに涙を流して・・・」

 

突然、見知らぬ声が頭上から降った。優しそうな男の声だった。

 

「・・・どうして・・・どうしてこんなに・・・涙が溢れるのか・・・わた・・・私には分からないんです・・・・・・」

 

嗚咽に交じって震える声でそう答えた飛龍を、男は唐突に抱きしめた。

 

「泣いていい・・・・・・今は思い切り、気の済むまで泣けばいい・・・・・・よく頑張った、本当によく頑張ってくれた・・・感謝するよ、飛龍・・・・・・」

 

その言葉に、飛龍の目から、いっそう激しく涙が溢れた。

 

「・・・・・・・・・」

 

男は何も言わず、やがて飛龍が泣き疲れて眠るまで、優しく彼女の背中をさすり続けていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 今回、書くにあたって、動画やwikiで調べたりしました。ついでに結構感動しました。何にって?史実の飛龍とその乗り組み員に。
 そんなこともあって、今回は「艦娘と史実の調和」的なものを目的として書きましたが、どうだったでしょうか。まぁ、かなり中途半端な終わり方のような気もしますが。
 たぶん、その手に詳しい人なら、今回登場した男が誰なのか、ある程度予測はつくんじゃないでしょうか。

それではまた次回に。
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