Fate/kaleid saber   作:faker00

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なんとか2話目更新。そろそろちょこちょこオリ入ります。


第1話 姉妹

 新都、正直私はこの町があまり好きではない。

 人が多い、と言うのもあるのだが外へでて辺りを見渡せば視界を埋めるビル群が何となく無機質で嫌なのだ。生命の香りがしない鉄の塊に囲まれるなどいい気がするものではない。

 しかし私が少数派なのもまた間違いない。事実ここにいる人は皆楽しそうなのだから。

 この新都の中でも一番の品揃えを誇るといわれる巨大デパート、そこに私と美遊とイリヤはいた。

 そして少なくともイリヤはその他大勢と同じく楽しそうだった。

 

 

「セイバーさん! 美遊! これとこれどっちがいいかな!?」

 

「私はあまり分からない……けどイリヤが着るなら何でも似合うと思う」

 

「ええ、イリヤは可憐だ。貴女が選ぶなら間違いはないでしょう」

 

「ちょ!? 嬉しいけどそれじゃあせっかく3人できた意味がないんじゃないかな!?」

 

 人混みに疲れて四方の壁すべてが海のプリントに彩られた水着売り場の中心にある大きな柱に沿うように作られた円状のベンチに美遊と座っているとイリヤが目当てのものを見つけたのか向こうから駆け寄ってくる。

 左手ににぎられているのは今身にまとっているワンピースと同じ純白のパレオスタイルの水着、右手には真っ赤なビキニスタイル。

 こちらとしてはどちらも本心から似合うと思ったからの発言だったがどうも彼女の求める答えとは違ったようでイリヤは私達にガーッとまくし立てた。

 

「……でも、私は本当にそう思ったから……」

 

 私の隣では美遊も同じなのか困ったように顔を赤らめながらそう弁明している。

 しかし若干水着を持ったイリヤのことを直視出来ないと言わんばかりに伏し目がちなのは何故なのか。

 

 

「うう……なんでうちって女の子ばっかりの家系なのにこういうのに皆疎いかなー……

 セラは地味すぎるのしか勧めてくれないし、リズは派手すぎるし、ママは……もうなんていうかダメだし……」

 

 イリヤががっくし、と肩を落とす。

 確かにせっかく身に付けるものを買い物に来たというのに客観的に見ることが出来る同伴者がまともにアドバイス出来ないというのは残念に思われても仕方がない。

 それにしてもイリヤの中でここまで評価を下げるとは一体アイリスフィールは過去に何をしたというのか。イリヤニさに対して失礼とは分かっていたがどちらかというと私にはその方が気になった。

 

「申し訳ありません、イリヤ。ですが私は生前海で遊ぶ、ということをしたことがない。それどころか海に対しては外敵がやってくる道という恐ろしいイメージしか……正直なところ未だに海水浴? とやらのイメージがついていないのです」

 

 取りあえず正直な言葉で俯くイリヤに謝罪する。実際すまないという気持ちこそあるもののイリヤの悩みには答えることが出来ないのが現実だ。

 現代では海といえば遊び場らしいがかつての海はそんなものではなかった。

 その地平線の向こうから訪れる敵に何度悩み、立ち上がってきたことやら。エクスカリバーで海そのものを干上がらせられないか試したこともある。

 とにかくそれくらい恐ろしい所、それが私の海に対する唯一無二のイメージだった。

 

 

「重い……事情が事情だから仕方ないけど重すぎるよセイバーさん……!」

 

 私の言葉にイリヤはどうしたらいいのか分からなくなったのかワーっと頭をかきむしる。そして数秒後、助けを求めるようにどうするべきか思案して棒立ちになっていた美遊に近づきその肩を掴んだ。

 

「けど美遊は! 海水浴位したことあるよね!? だって美遊は中世の王様じゃなくて現代の女の子だもんね!?」

 

 期待と熱の籠もったイリヤの言葉。

 至近距離からのそれに美遊は何度も視線をあっちこっちに揺らして動揺を隠せない。

 この感じ、この何とも言えない空気を私はよく知っている。かつて円卓の騎士の誰かも上手く場が進まないときに私に追及されたときこんな風になっていたはずだ。そしてそうなった時の結果は決まっていた。

 

「……私も初めてなの……力になれなくてごめんね」

 

 そうして美遊は覚悟を決めたのか真っ直ぐにイリヤを見据えてそう無慈悲な現実を突きつけた。

 

「あう……」

 

「イリヤ!?」

 

 ふわ~と何か力が抜けてしまったようにイリヤが膝をつく。

 それを見て美遊があたふたしながら彼女の身体を支える。

 

 原因が自分にもある以上あまり言えないのだが、その姿は見ていて痛々しかった。

 

「ふふ、ふふふ……」

 

「……!」

 

「イリヤ……?」

 

 しばらくそうしていたかと思うと急にイリヤが笑いながらユラリと立ち上がる。長い髪に遮られてその顔は見ることができない。

 しかし今までの彼女にはなかった氷のように冷たい雰囲気に直感と共に立ち上がる。

 

 --今のイリヤは危険だ!

 

 美遊も同じように何かを感じたのか後退ろうとする、がイリヤの手はがっちりと美遊の肩に食い込んでおり一歩として動けない。

 

「美遊!--っ」

 

 下手には動けない。

 美遊の怯えた瞳と目が合った。そしてその瞳は間違いなくそう言っていた。

 頼むから変な動きはしないでくれ、と。

 

「なんで下がるのー? セイバーさん……」

 

 イリヤの顔が上がりこちらを向く。

 その顔を埋める不自然なまでに爽やかな笑顔、そう。こんな笑顔は見たことがないくらいというほどに満面の。

 こんな彼女の顔は見たことがない。

 

「イ、イリヤとにかく落ち着いて……っ!?」

 

 思わず気圧されてジリジリと後退するが美遊を片手で引きずるようにイリヤはこちらへ歩み寄る。

 そのまま引くがガタッと膝裏になにかぶつかる感覚を覚えて振り返るとそこには座っていたベンチ。

 もうあとが……ない。

 

「ねえ、セイバーさん。セイバーさんも美遊も私のこと褒めてくれるけどそればっかりでなーんにも意見言ってくれないし、何のために3人できてるのかなぁ?」

 

「ひっ……」

 

 イリヤの手が私の肩に触れ、思わず変な声が出る。

 今や目の前にある笑顔は全く変わることもない。逆にそれが言い知れない恐怖を与えた。

 

「ふふふふ……もういい!! 私がセイバーさんも美遊もきっちりかっちりコーディネートするんだから!! もう誰にも頼らない! 頼れるのは自分だけだからー!」

 

 イリヤがカッと目を見開く。

 そして焦点の合わないその目のまま上を向くと、壊れたラジオのように大きな声で宣言した……周りにたくさん人がいる中で。

 

「あの……イリヤ……」

 

「……あれ? ……あ」

 

 それと同時に周りからこちらに集中する視線視線視線……

 当たり前だ。こんな所であれだけの大声を上げれば注目されるに決まっている。

 周りからの目に気づいたイリヤの目に光が戻る。そして2,3首を振ると身体全体から真っ赤になり目に涙を浮かばせると小さくプルプルと震えはじめる。

 

「あー……」

 

 そんなイリヤの頭に手を伸ばそうとして、やめた。

 もう間に合うまい。羞恥心で爆発直前の彼女を抑えるのは無理だ。

 それなら……

 

「またやっちゃったあああ!!!」

 

 せめて耳を塞いで鼓膜が破れないように全力を尽くすほうが幾分か建設的というものでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もうやだ……」

 

「で、ですがイリヤ。結局お目当ての物は皆買えたんですし良かったじゃないですか……」

 

 時刻は恐らくもう6時近くだろうか。

 夕焼けの差し込むバス停に並んでバスを待ちながら私の腰に抱きついて顔をうずめるイリヤの頭を撫でて宥めるが残念ながら効果はない。

 若干Tシャツの裾が湿っぽい感じがするのから察するにまた恥ずかしさを思い出して泣いているのでしょうか。

 

「そう言う問題じゃない……」

 

 顔を上げないままくぐもった声でイリヤはそう言う。

 結論から言うと水着はちゃんと買えた。勿論3人分。

 それと言うのもイリヤが叫んだ直後に気を聞かせてくれた店の従業員がそこから私達について色々選んだりしてくれたからだ。

 まあ……その間も最初ほどではないにしろ人にジロジロ見られたのは言うまでもなくイリヤはもちろん美遊まで真っ赤になっていたのだが。

 私は私でそんな幼子2人に同伴しているにも関わらず声をかけて来た男性を多生の苛立ちも込めて毅然とした態度で一刀両断したところ別の意味の籠もった視線を浴びることになったのだがまあそれはそれだ。

 

「早くバス来ないですかね……」

 

 両車線沿いにビルが立ち並ぶの目の前の大きな通りは車の往来が激しく、それによって不定期に強い風が吹き抜ける。

 その風が入ったのか目を細めながらもどこまでも続くように見える車の列のずーっと先を首を伸ばして見ながら美遊はそう呟いた。

 

 彼女もイリヤ程ではないにしろかなりの疲労感を覚えているのかいつもにまして口数が少なくなっていた。

 

「あと10分くらいでしょうか……もう少しの辛抱です」

 

 左腕に付けているセラに渡された腕時計と右に立つ時刻表を交互に見る。

 バスに乗って帰れば衛宮家、そして先週突如として現れたエーデルフェルト邸までは凡そ40分。

 それだけの時間があればイリヤも落ち着くだろうし、何だかとても疲れたこの1日も取りあえずは終了だ。

 

「--?」

 

「どうかしましたか美遊? 身を乗り出すと危ないですよ」

 

 それを伝えようと美遊に視線を戻すと彼女は白いガードレールから今や身体半分乗り出すような形になって後ろを見ていた。

 ちょっとだけ我慢してください、とイリヤを腰から離し美遊を引き戻す為にその肩に手を伸ばす。

 

「いえ、どうも後ろがおかしいなって」

 

「おかしい……?」

 

 美遊の言葉に私も彼女と同じ視線を得るべく後ろから抱きつくようにして内側から顔を横にくっつけて後ろを見る。

 すると彼女の言うとおり、どうも様子が違う。

 先程まで二車線に所々隙間を作りながらだが何も滞りなく同じようなスピードで整然と流れていた車の列が乱れている。

 と言うよりも一台の車によって乱されている。

 

「何でしょうかあの車は……」

 

 通常の人間である美遊にはまず無理だろうがサーヴァントである私にはその原因が見て取れた。

 普通の車に比べてずいぶん長い車がクラクションを鳴らして強引に合間合間を抜けてくる。

 半分ぶつかりかかりながら強引に走る黒いその車を避けるべく他の車も強引な挙動を余儀なくされているのだ。

 

「黒くて長い……? もしかして……!」

 

 何か心当たりがあるのかその事を美遊に告げると顔色が悪くなる。

 そして私にその車のナンバーを見るように頼み、私が答えるともうその時には下を向き顔面蒼白になっていた。

 

「それ……ルヴィアさんの車です」 

  

 

 

 

 

 

 

 

-----

 

「凛、これはどういうことですか」

 

「どうもこうもこのバカステッキのせいで衛宮君に思ったよりも時間取られちゃって。勿論あんな暴走を指示したのはルヴィアよ?」

 

「いえ、それもそうなのですがなぜこんなところに来ているのかです。それもイリヤと美遊には転身までさせて」

 

 横を歩く凛に多少強めに問い掛ける。

 あれから数十秒後、黒いリムジンは私達の前に止まり扉が開き、それとほぼ同時にその中に引きずり込まれた。

 そして中にいたルヴィアと凛に何の脈絡もなく「「仕事(ですわ)よ!」」と告げられそこからなんの説明もなくここまで連れてこられたのだ。

 何の目的か聞くくらいは許されてしかるべきだろうし説明の一つくらい欲しいものだ。

 

「なに、もしかしてセイバー洞窟とか嫌いなの? ピリピリしちゃって」

 

「そういうわけでは……」

 

 違うといえば違うしそうと言えばそうだ。

 認めれば私は確かに少しばかり気がたっている。なにせこの洞窟は……

 

「ここは私がシロウに……」

 

 正確に言えば違うのだがここは私とシロウが戦い、討たれた洞窟そのものなのだ。

 柳洞寺へ向かう階段をそれて奥へと進むと不自然に開けた入り口がある。

 そして更に突き進むと今私達が通っている一際広いスペースがある。日の光は届かず、薄暗い中に僅かに水が流れる音がする。視界の端々に見える鍾乳洞も含め全てがあの場所と一緒だ。  

 

 嫌悪感を抱かない訳がない。

 

「……ごめんね。あんまり追及する事じゃなかったわ。貴女、今ひどい顔してる」

 

 それが顔に出ていたのか。心配そうに私の顔を覗き込むと凛が頭を下げる。

 その言葉には紛れもない後悔が詰まっていた。

 

「もういいのです。それよりも目的を教えてくれませんか?」

 

「そうね。それじゃあ行きながら……私達の仕事がクラスカードを回収して冬木の歪みを解消すること、っていうのは知ってるでしょ?」

 

 責めることでもないのでその謝罪を受け入れ凛に続きを促す。

 凛は顔を上げるとまた私の横を歩きながら話し始めた。

 

「私達は貴女も含めると7枚のクラスカードを回収した、同時に鏡世界も消失。だっていうのに歪みは消えなかったの」

 

「凛、それは……」

 

「ええ、それで私は調査を続行してたんだけど……どうも元々霊脈であるここのマナが淀んで乱れてるのが原因みたいなのね」

 

 ここが大量の魔力を通す、というのは正解だ。

 なにせ平行世界ではここには聖杯の本体がある、そんな場所なのだ。他の場所とは魔術的に格が違うのは当然の話。

 

「それで平たくいうとその詰まりを大量の魔力をぶち込んでどうにかしようっていうのが今回の仕事。

 普通なら人の手にはあまるような大仕事だけどあのステッキがあればできる。それに万が一があっても貴女の魔力があるなら確実じゃない?」

 

「なるほど」

 

 凛の言葉は筋が通っている。

 ルビーとサファイアの魔力はそこ知れず、私とて多少万全ではないといえど通常の魔術師数百、もしくは千人単位分の魔力を保有しているのだ。

 魔力の力業で行う仕事ならば私達以上に適任な存在は他にいないだろう。

 

「納得してくれた? --ここね」

 

「これは--」

 

 凛が足を止める。

 そこは大空洞と呼んで差し支えない広々とした空間だった。

 しかし私の知っているそことは少し違う。

 

 --大聖杯はないですね。わかっていましたが。

 

 中心に禍々しい祭壇がない。

 数m下、完全にだだっ広いだけのそこの中心に魔力が集まっているのを感じる。その魔力も完全に自然なそれである。

 

「よっと」

 

 凛は私に待機するように言うと下へと飛び降りる。そのままルヴィアゼリッタ達の待つ中心部へと向かうと魔法陣を展開させそれに合わせてイリヤと美遊が飛び上がる。

 

「よーし、2人とも! やっちゃいなさい!」

 

 凛の声と共にイリヤと美遊がルビー、サファイアを介して魔力を地脈の中心に注ぎ込む。

 

「……っ!」

 

 空洞全体が揺れる。

 大気中で停滞していたマナが流れ始めるのがよく分かる。

 その揺れは数十秒程で緩やかになり、そして元の静かな姿を取り戻した。

 

「凛! 成功ですか!?」

 

 その声に凛が両腕を使って大きな丸をこちらに向ける。

 成功、ということなら何よりだ。何も問題がないに越したことはない--

 

「……!?」

 

 その時異常が起きた。

 再び視界が揺れる、それも先程よりも遥かに大きくだ。

 

「まずい……!」

 

 空間を覆う石壁に所々ひびが入ったと思うと上から手のひらサイズの石片がボロボロと落ちてくる。

 崩壊、何か下で起こっているのか単純にさっきの衝撃の余波によるものかは知らないがこの洞窟は確実に崩壊へと向かっていることだけはわかった。

 

「美遊! イリヤ! 凛とルヴィアを持って早く上へ!」

 

 フルスピードで駆け下りると降り注ぐ石片……と言うよりも今や石塊と言えるサイズになった破片を剣圧で振り払う。

 このペースだとあまり時間はない。

 

「けどセイバーさんは!?」

 

「私なら大丈夫です! 最悪エクスカリバーで全部吹き飛ばして--危ない!」

 

 私に気を取られて躊躇ったイリヤの頭上に特大の岩が迫る。

 間に合わない、そう思ったところでイリヤが掴んでいた凛が私の上に降ってきた。

 

夢幻召喚(インストール)--アーチャー--熾天覆う七つの円環(ローアイアス)!!」

 

 アーチャーと化したイリヤの右腕から七つの花弁が放たれる私の視界を埋め尽くす。

 かのトロイア戦争で大英雄の投擲を防いだと言われる伝説の盾。

 かつての神話の世界の一端がここに具現化される。

 

「あんのバ--こりゃなんも言えないわね」

 

 突然投げおろされたことに憤りを見せた凛だがその光景に溜め息をつく。

 今や際限なく落ちる空洞を完全に受け止めているその安定感は比肩するものがないだろう。

 このままなら完全にここが崩れ落ちようとも安全かもしれない。

 

「--っ!」

 

 そんなことを思い始めた頃、耳をつんざくような炸裂音とともに視界が突然真っ白になった。

 

 

 

 

 

 

「あいたた……なに? 暴発?」

 

「大丈夫ですか凛? 分かりかねますが随分派手に行ったみたいですね。 ほら、夜空が見えます」

 

「こんなんじゃなきゃ綺麗だなんだ言えたんでしょうけど……よいしょ、と。ごめんねセイバー、重かったでしょ?」

 

 上を見てみれば満天の星空。

 私に折り重なるように倒れていた凛が立ち上がると見える景色は別物になっていた。

 

「あら? ルヴィアも無事だったんだ。せっかくだから巻き込まれちゃえば良かったのに」

 

「そんな物騒なこと言わないで下さい……」

 

 凛はそんなことを言いながら近くに降り立っていたルヴィアと美遊に歩いていき私もそれに続く。

 辿り着いて見ると2人は完全に固まって同じ方向を凝視していた。

 

「2人ともどうしたって……え?」

 

「そんなバカな……!」

 

 その理由はすぐにわかった。

 私も凛も同じように固まる。

 なぜならその視線の先には……

 

「……ふぇ?」

 

「--」

 

「イリヤが……2人」

 

 魔法少女の格好をしたイリヤ、そしてアーチャーの格好をしたイリヤ、2人のイリヤがお互いに顔を見合わせていたのだから。

 

「ちょっ、あれなによセイバー!?」

 

「わ、私に聞かないでください! 魔術師である貴女達のほうが詳しいのでは? ですよね、ルヴィアゼリッタ」

 

「こんなの分かるわけないですわ! 突然ふらないで下さいませ!」

 

「私も分からないです」

 

 4人揃って分からない、という結論がでた。

 そうやってどうすればいいか決めかねていると片方が立ち上がるとゆっくりとこちらへと歩いてくる。

 

「やば、こっちきたわよ!」

 

「ですがあれが本物なのかどうなのか分かりませんしどうすれば!?」

 

「ええい、どっちでもいいわ! それじゃああいつははっきりするまでアチャ子よ! アーチャーの格好してるし!」

 

「ネーミングこそどうでもいいですわ! と言うかシンプルにダサいですわ!」

 

 凛もルヴィアゼリッタも完全に混乱している。

 私も整理がつかない内にイリ--アチャ子はそんな2人の脇を抜け私の目の前にまで迫っていた。

 

「えーと……」

 

 目の前に来ても全く分からない。

 どう見ても目の前にいるのはイリヤだ。しかしまだ向こうで呆けているのもイリヤだ。

 どう対応するべきか迷っているうちに彼女は満面の笑みを浮かべると聞き慣れない言葉を私に向かって口にした。

 

「やっと会えたね! おねーちゃん♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ミミちゃん歓喜展開へ(いきません)

どうもfaker00です。

クロちゃんは色々あって原作とは少し変わってます。無印編にちょろちょろと伏線ははっていたつもりなのですがいきなりなんだこれ?と思われる方もいるかもですがこちらのも楽しんで頂ければ幸いです。

それではまた!評価、感想、お気に入り登録じゃんじゃんお待ちしております!

作者のモチベーション維持のために投票入れてやるよ、応援しに感想言ってやるよという方いらっしゃったら是非ともよろしくお願いいたしますm(__)m

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