勇ハブ ~TS転生したけどチーレム勇者のハーレム要員からハブられて悔しいです~   作:りじゅ

35 / 36
タイトル通り遅くなりました。
(´A`)


34 ただいま帰りました

 

 

 

 夕方。

 

「ただいま戻りました。ご足労をおかけして申し訳けありませんでした」

 

「ただいま帰りました」

 

 美衣さんとふたりで宿泊している高級宿にたどり着くと、二階の部屋でニコニコしていたオレ達のボスに帰還の挨拶をしました。

 当然最初が美衣さんで後ろがオレね。

 

「うん。美衣にミコ。よく戻ったねふたりとも」

 

 いや、まあ、さすがにオレ達のパーティーリーダーですからね。まずは最初に挨拶くらいはしておかないと。いくら個人的に好かない勇者だとしてもコミニケーションは大事ですし。今回だって、それら日頃のコミニケーションのおかげで牢屋から開放してくれたのですし。必要以上に取り入らなくてもそこそこ会話出来るくらいな間柄くらいなならオレだって望んでいるんです。

 だとしても彼を嫌いな事は変わらないのでこちらからは極力話しかけはしませんけどねー。

 

 んで、お昼くらいに牢屋を出たのに今の今までかかってしまったのは、お風呂だの食事だので一手間以上の時間を費やしたから。

 自分で言うのもアレなのですが、オレってば小柄な美少女ですしね。身だしなみに時間をかけるのは仕方のない事なんですよ! ボンキュッボンじゃなくてキュッキュッキュですけど……。

 

「はい。今回は私とミコをお助けくださり感謝の言葉もありません」

 

「気にしないで。美衣もミコもパーティーの一員なんだから助けるのは当たり前じゃないか」

 

 相変わらずの勇者スマイルでオレ達に接するボス。そしてそのボスの周りに居るパーティーメンバー。

 彼女達を見れば、その表情だけでオレ達の帰還を喜んでくれているのが判る。例の三人組は、内心どう思ってるのかは興味が尽きませんけど。

 

「それでもです、レオ様。そしてみなさん、ミコ共々この度はすっかりお世話になりました。今度何かあったときは是非とも私達にご相談ください。全身全霊を持ってお助けいたします。本当にありがとうございました」

 勇者へのお礼もそこそこに、美衣さんは周りでこっちを見ていたパーティーのみなさんの方を向くと直立不動の体勢で両指先をピンと伸ばして深々と頭を下げた。

 

 おっと、オレも美衣さんに見惚れてないでお礼は言わなきゃ!

 

「レオ様、みなさん。ありがとうございました。おかげで助かりました」

 

 う、うーむ。我ながら美衣さんには言葉の単語の豊富さで適わないなー。

 

 

 

 

 

 

 一応は重要な話なのでオレと美衣さん、それに勇者の三人は応接室に入って事の顛末について話す事となった。

 みんなと一緒に行ったっていいのだけど、まず順序通り最初は勇者からって話みたいです。物事には優先順位がありますから、その辺りの手順を間違えると人間関係がギクシャクしてしまうのです。

 

 で、高級宿なので応接室も凄いんです。王宮等には比べられませんが広さも申し分ありませんし、中央のテーブルを挟んだふたり掛けのソファーだってふっかふかなんですよ。

 そこへ勇者が正面のソファーへ。そしてオレと美衣さんはテーブルのこちら側のソファーへ。

 そしていつもの黒いロングヘアが清廉とした美衣さんが、これまたいつもの萩の絵が綺麗な白い振袖でオレの隣に座る。しかもちゃんと気を回してくれているのかオレの白のふわっとしたロングスカートを踏まずに。

 わりとズボラなオレとは段違いです。

 

 あっ、ちょっとのど渇いたかも。紅茶なんか欲しいなぁ。うん判ってますって。俺が一番年下だもんね。いいですよ! 煎れてきますよ! え? 勇者の分も? あっ、美衣さんのは煎れてきますって。うんうん。はい。じゃあちょっと待ってって下さいな。

 

 なんだかんだで三人分の紅茶を煎れに行く事に。何やってんだオレ……。

 

 

 

「それで、今回はいったい何があったんだい?」 

 

 さて、今回オレは美衣さんの隣で太鼓持ちをやっています。説明するのはそんなに得意じゃありませんから美衣さんに超々お任せなのです! えっへん! ううぅ…………だって物事を説明して相手に伝えるのってとっても苦手なんですよー。許してねー。

 

「はい」

 

「こちらでも街で聞き込みはしていたから事情は大まかには知っているのだけど、君達の口からも聞きたいからね」

 

 ああ、やっぱりみんなオレ達を探してくれてたんだ。

 ありがとうありがとう。うう、超感謝です。 

 

「今回の引き金を掻い摘んで言えば、私がミコとふたりで実家への土産を買いに街へと赴いたのが原因と言えば原因です」

 

「ふたりで土産物を買いに? でもそれだけでは判らないよ。もう少し説明をお願い」 

 

「はい。今言った様に私達は街道を歩いていたのです。そこで件のスパリオ魔術道場と言う建物を目にしまして…………」

 

 美衣さんの説明が続いている。

 『そこで道場から転がり出てきたリギドさんとコスモス魔術道場のセキューと出会ったんだ。んで、セキューと揉めていたリギドさんを助けて、そのお礼にお茶をご馳走になって、果し合いのお供をして、更にオレがメインで試合をやって、そして最後になぜかリギドさんがセキューにトドメをさして大騒ぎに……っと、ただそれだけの話……のはずなんだけど、何故オレと美衣さんが牢屋に? いったい何故なんだ?』 

 って言う風な解説です。あっ、美衣さん話しすぎて喉が渇いたら紅茶飲んでくださいね! 美味しいはずですよ!

 

 

 

「大体の事情は判ったよ。ふむ、一応はこの件に関して裏から手を回してるんだ。だから心配は要らないよふたりとも。うん。大丈夫だよ。うんうん」

 

 んん? 何か最後の歯切れが悪いなぁ。うーむ…………。ああ、そっか、さてはこれは自分で考えたことじゃないな?

 よし、意地悪みたいだけど聞いてみようっと。

 

「それはエルセリアさんやコロンちゃん辺りの献策ですか? レオ様?」

 

「えっ! う……うん。そ、そんな感じだ」

 

 あはははー。

 やっぱりねー。そんなもんだと思ったよ。勇者がそんなに気が回るとは思えないもんな。 

 

「ミコっ!」

 

「うっ、はい。変な事を聞いてすみませんレオ様」

 

 美衣さんにしかられたー! ちょいと調子に乗りすぎちゃったかなー。

 

「いいんだ美衣。ミコも気にしないで」

 

 いつものスマイルで応じる勇者。パーティーの女子は全て自分に惚れてると思ってるから余裕なんですねー。

 

「ありがとうございます。それでひとつお願いがあるのです。レオ様、この度の後始末。是非とも私とミコにお任せいただけませんか」

 

「その口ぶりだと自分達で決着をつける気だね……。うん。君達の事だうまくやれるだろう。いいよ。許可するよ」

 

「はい。この落とし前は必ずつけてみせます」

 

 って事で、オレと美衣さんはふたりで決着を付けに行くこととなりました。一応は魔術道場ですから矢面は精霊魔術のエキスパートのオレです。美衣さんは剣士ですから魔術系の道場破りは出来ないのです。

 そんなわけで、今日はもう休んで明日の朝からの行動になると思いますよ。

 だって毎日薄い布団。汚い環境。石で出来た寒く冷たい部屋。こんな環境で数日もいたのですから久しぶりに暖かい環境で睡眠をとらないと体力だって戻りませんからね!

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。