「クリアするまで終わらないだと?」
「その通りだよ英雄キリト君」
そう言うと謎の人物はフードを外し姿を見せる。その姿は顔が綺麗に整っている青年であった。
「まぁ、そこの女の子は知っていたようだけどね」
「そうなのかシリカ?」
「は、はい先程は見間違いだと思って言わなかったのですが皆さん本当にごめんなさい!!」
「別にシリカが悪い訳じゃないよ」
「そう言ってもらえると助かります…」
シリカはそう言うがやはり心の底では罪悪感が残っている。…それもその筈、シリカは人一倍優しいのだから…それにこの場にいる大半の人間があのデスゲームの辛さを味わったことがあるのだから。
ログアウトボタンが無いと分かり、皆は不安の表情を隠せないでいた…
「でも一つだけ救いがあるとすればこのゲームの世界では死んでも死なないってことだけどね~」
「死んでも死なない…それは本当か!!」
「そんな怖い顔しなさんな…それは本当だよ、実際に何人ものプレイヤーが蘇生されるところを見たからね」
「よかった~」
「まったくよ…」
「良かったねピナ、ラト♪」
「きゅる♪」
「がおっ!」
キリト達はその事に安心をし、一度今の状況を整理するのであった。
今の話で分かったことは2つ、1つ目は自分達は今、このゲームで囚われているということ。
2つ目はゲームオーバーしても死なないということ。
「そういえばあんた名前は?」
「わた…僕ですか?僕の名前はカルマだよろしく‼」
「よろしくねカルマ君!」
「よろしくですカルマさん♪」
「よろしくねー」
「……」
キリト達はカルマとすぐに打ち解けたのであった…一人を残して…
「(カルマ…ね)よろしく頼むわねカルマ」
「僕の方こそ皆さんよろしくお願いします…それとできればしばらくの間このパーティーにいさせてもよろしいかな?」
「いいぞ俺たちは別に、いいだろ?皆!!」
キリトは仲間達にカルマをパーティーに入れて良いか聞き、皆も別に良いと思っていたからカルマをパーティーにいれることに異論はなかった。
◆◆◆◆
ここは第2の街ホルドルム…
「カルマってそういえばなんのジョブなんだ?」
「僕?僕は魔法ハンターだよ一応ね♪」
キリトはカルマの笑顔につい頬を染める。
「そ、そうか…(あ、危ねーー…あいつは男なのに不覚にもドキッとしちまった…、後ろの視線が何故か痛い…)」
キリトは後ろの冷たい視線を気にしながら宿屋に向かうのであった。そして釘を刺すかのようにアスナは口を開く。
「キリト君そっち系なの?もしかして…」
「ぐはっ!ち、違うぞアスナ!!俺はちゃんと異性が好きだぞ!!」
「どうかしら、GGOの時といい、あんたは男が好きなんじゃないの?」
「そんなことねぇよ!!」
キリトはこの姿になってからというもののシノンに見た目をいじられてばかりである。キリトは否定を口にするが、シノンはずっとキリトを疑うのであった。
「……キリト君危ない!!」
「おわっ!!」
キリトはシノンの言葉に気を取られて障害物につまづいてしまうのであった。
それをカルマがキリトを支えようとしたが一緒に転んでしまう。
「いててて…カルマ大丈夫か?」
「一応僕はだいじょう…ぶ…」
「なんだ?この柔らかい感触は」
キリトはその柔らかい感触を一回、二回と触る。そしてキリトは気付く、それがなんなのか…
「あれ?これってもしかして…」
「いやああああぁ!!」
「げほっ!!」
カルマの平手打ちが見事にキリトの頬に直撃した。その光景を見て皆は何事かと急いでキリト達のもとへ急ぐ。
「どうしたのキリト君!!それにカルマ君も!!」
「あんた、また何かしたんじゃ…」
「シノーーーン!!」
「え?」
あまりのカルマの変貌ぶりにシノンは目を丸くしてしまう。何故ならそこには泣きじゃくるカルマがいたからだ。
「ど、どうしたのよカルマ…」
「あのね、ぐすっ、あのねキリト君が私の胸を触ったの…」
「胸を触ったって…あんた女だったの?」
「…ぐすっ…うん」
「ち、違うだ…まさか女だったなんて知らなくて…」
キリトは今の状況に流石にヤバイと思ったのか必死にどうにかして今の状況を打破しようと考える。だが、時すでに遅く…キリトの前には三人の鬼神と化した鬼の形相のアスナとシノン、そしてリズベットがいた。
「キ~リ~ト~く~ん、やって良いことと悪いことの区別が出来ないのかな~?」
「ち、違…アスナ聞いてくれ!!」
「問答無用!!」
「げほっ!!」
「アンタニハ一度痛イ目ミタ方ガイイラシイワネ」
「リズ!?」
「黙りなさい‼」
「ぐへぇ!!」
キリトはアスナとリズベットのフルアタックをまともに全弾命中させられるのであった。リーファはカルマを慰めようと必死に背中を擦っていたのであった。
そして、やはり止めはもうお決まりのパターンのようにシノンが暴言を吐く…
「キリト…少し話そうか~」
「シノンさん?」
「ハナソウカ?」
「はい…」
シノンの恐ろしい笑顔がキリトを黙らせる。キリトは心の中で終わったと思いながらシノンと二人で、宿屋の角に連れていかれるのであった…
「カルマさん落ち着いた?」
「…ぐすっ、うん…ありがとう…」
「…いいよいいよ、私も後でキリト君にお仕置きしないとダメだしね…」
「り、リーファさん目が怖いですよ…」
リーファのあまりの暗い目にシリカは足がすくみそうになったのは仕方がないことだと思う。
「あ、帰ってきた…」
「シノンさんどうだった?」
「まぁ言いたいことは言ったし私はもう良いわ」
「キリトさん大丈夫ですか?」
リーファはシノンにキリトについて聞くとシノンはいつもの表情で答える。シリカは少し心配になりキリトに安否を尋ねるが、聞かなくても答えは分かっていた。何故ならキリトは怯えていた…呪文のように、
「シノン怖いシノン怖いシノン怖いシノン怖い」
とずっとシノンに恐怖を抱いていた。
「あ、あの~シノンさん」
「どうしたのシリカ?」
「キリトさんに何言ったんですか?」
「聞きたい?」
「…いえ、やっぱりいいです…」
「そう」
シノンの怖い笑みにシリカは聞くのをやめることにした。もし聞けば自分の何かが壊れると思ったからである。
このような話をしながらキリト達は宿屋に向かうのであった…