「ダァリャァァアアア!!」
気合いの掛け声と共に、全力で右を振り抜くが躱される。続けざまに二撃、三撃と連続で攻撃を繰り出すが、攻撃の軌道を逸らされ当たらない。気の増幅での強化無しでどこまで通用するか試してみたが、やはり戦闘力4200と6100では地力が違いすぎるらしい。
「リークは本当に下級戦士とは思えない位強いわね!普通のエリート戦士と同じ位よっ!」
セルリはまるで自分の事のように嬉しそうなので、その理由を聞く。
「なんで俺が強いのがそんなに嬉しいんだ?」
「一応リークは私の部下って事になるからね!それにこれからの戦争にも参加するんだから、仲間が強いのを喜んで当然でしょ!」
言われてみれば確かにそうだ。これからのツフル人との戦争でも共に行動するのだ、強くて困る事は無いか。
「それでも意外だな。エリート戦士は、下級戦士の事を見下してると思ってたから」
セルリは少し気まずげな表情を一瞬作るが、すぐに何時もの勝ち気な表情に戻り、話しだす。
「確かにエリート戦士はそう言う人が大半だけど…私は違うわ!私はエリート戦士だろうが下級戦士だろうが強い人は強いって認められる!」
セルリは胸を張って宣言するその姿が、俺には眩しくすら見えた。俺は人に流されやすい所があるので、セルリのように周りの意見に流されず、自分の考えをキッチリと持っている人には、尊敬の念すら覚える。
「なっ何か言いなさいよ!黙ったままでいられると恥ずかしくなってくるわ!」
セルリは頬を赤らめながらジト目で睨んでくる。
「すまん。セルリは凄いんだな、周りの奴等に流されずに、自分の意見を持ってるんだから」
そう褒めるとセルリは、既に赤かった頬を更に赤く染める。
「私も自分の事変わり者だと思ってたけど、リークは私の数倍は変わり者ね!それはさておき、さっさと組み手の続きするわよ!ここからは私も本気でいくから覚悟しなさい!」
セルリが戦いの構えをとる。相手が全力でくるなら俺も本気でやらないと失礼だよな…
「それなら俺もとっておきを披露しよう。スカウターの数字に注目しておいてくれよ!はぁぁああああ!!」
気を一時的に増幅させる事で、戦闘力を二倍近くまで跳ね上げる。
「戦闘力4700、5200、6100、嘘っ8400ッ!」
「これが俺のとっておきだ!」
若干ドヤ顔なのは許してほしい。反対にセルリは目を大きく見開き驚いていたが、すぐさま思考を切り替え、強敵と会えた喜びからか好戦的な笑顔を浮かべ始めた。
「戦闘力を上げた方法とかは後で聞くとして、今は戦うわよ!」
「そうしてくれ!長い間この状態は続かないんでね!!」
俺の掛け声を合図にお互いが飛び出し、父さん以外とでは初めてのガチバトルが始まった。
ー-ーーーーー-ーーーーー三十分後
………結果は俺が負けました。
終始押せ押せの俺の攻撃を、躱され、逸らされ、防がれ、持久戦に持ち込まれた結果。体力と気力が限界を迎え、急激に戦闘力を落とした俺に巨大な気弾が炸裂しました。
今はお互いぶっ倒れた状態だ。
「ぜえっ、ぜえっ、ぜえっ、一瞬あの世が見えた!」
「はあっ、はあっ、はあっ、私もリークの戦闘力が上昇した状態なんて精々10分程度だと思ってたのに、20分以上もあの状態なんて反則よ!」
お互いに組み手の感想を話した後、セルリが若干フラつきながらも立ち上がり、此方に手を伸ばしてきたのでその手を掴み、俺もなんとか立ち上がる。
「今度私にもあの技教えなさいよね?絶対ものにしてやるんだから!」
「分かったよ。その代わりにこれからも組み手の相手してもらえると嬉しいかな?」
「そんなの私からお願いしたい位よ!」
了承の言葉と共に、お互いに握っていた手に更に力を込め、硬い握手をする。こうして俺はセルリと、本当の意味で友達になれた気がした。
-ーーーーー-ーーーーー
そして俺とセルリが、もう一人の仲間の事を思い出したのは数時間後の事だった。
設定
・メディカルマシーン。メディカルマシーンはツフル人の技術が元になって出来た治療カプセル。ツフル人が発明したのは、外部の傷を治療する液体。
・技名を叫ぶと技のイメージが固定化しやすいため、技のクオリティが安定する。逆に言えば技名を言わなくても使用することは可能。
・エリート戦士は下級戦士の事を見下している<例・ベジータ・ナッパ>