できれば、まだアニメで出てきてない英雄派の人達の登場を願いたいです。
レイナーレの身体には何箇所も弾丸痕が刻まれてある。地獄世界で改造されている分、痛ましい傷跡が残っている。
「レイナーレ、姉様…」
「ようやく逝ったか。駄鴉が…さて」
彼女は逃げろと二人に言って、身体が光に包まれて消えていく。彼女が消えたことによる悲しみの感情もあったが、それよりも先に、レイナーレを殺した転生者をどうにかしなくてはならなかった。
転生者が複数の火縄銃を正輝とミッテルトに向ける。
「死n…おぶっ⁉︎」
しかし、転生者が正輝とミッテルトを凝視しているせいで後ろに気を取れなかった。顔全体をしつこく粘着してくるかのように水色の液体が取り込まれてしまい悶えている。
その技は何度かやったことのある『プルプル真剣奥義アメーバ空域』。
前回、体積が足りないせいで全く役にも立たなかった必殺技を今度は後頭部めがけて飛んできた。そんな技を使えるとしたら、もうあの人物しかいなかった。
「おい正輝!早くそこの嬢ちゃんを連れて逃げろ!」
「天の助⁉︎お前なんで!一体どこ行ってたんだよ!」
余りにも意外すぎる人物が、後ろから勇敢孤高に飛びついてたのだ。転生者は剥がそうともがいている。
そもそも天の助が置いてけぼりにしてしまった為に、どこにいたのかもわからなかった。何をやったかを聞こうとしているが、天の助にそんな余裕があるはずがない。
「話は後だ!こんな俺でも役に立たなきゃお前に買ってもらった意味がねぇだろ‼︎」
「…だが」
シリアスのような展開になってはいるが、やったぜというような感じの顔になっている。
(なんか、ふざけてるような感じにも見えるけど…)
「お前一人でそいつに挑むのは危険すぎる!一緒に逃げよう!」
細かい部分を気にせずに、正輝は天の助も連れて逃げようと言う。しかし、
「馬鹿野郎!巻き込まれたらどうするんだよ!いいから二人ともさっさと行け!ここは俺に任せろ!」
「如何にも死にそうなこと言うな!それに、今はふざけてる場合じゃないだろ!
あと頼むから、もうそれ以上その先を言うのはやめてくれ!」
天の助が守ってくれるとは思っても見なかったが、死亡フラグを言ってくるため、反射神経で正輝も天の助がヘマしないように心配している。
(でも、天の助のいう通りだ。ミッテルトのことも考えると…俺達がここにいても足手まといなだけ。それに、命懸けで助けている天の助を無駄にしたらいけない。
まだどこかに行っているクリザリッドか、真弓達、それかリアス達に助けを求めるしかない)
今置かれてる現状から、正輝とミッテルトがここにいたら纏めて殺されてしまうかもしれない。レイナーレを殺せれるほどの力を持ち得ているのならば、誰かに助けを求める必要があった。
「行くよ、ミッテルト…「でも」今俺達がここにいても足手まといなだけだ」
正輝はミッテルトの手をしっかりと握り、そこから離れようとする。
「死ぬなよ、絶対にっ…必ず生きて戻ってこいよ‼︎」
そう言うと正輝とミッテルトは天の助を置いて逃げていく。ただ逃げるというわけではない。誰かに助けを求める為に、逃げつつも天の助の方向を振り向いていた。
「天の助っ…すまない!」
彼なりにふざけていたこともかなりあったが、それでもこうして助けてくれたことに今の正輝達には、心の底から謝罪と共に感謝するしかなかった。
*****
「…お前馬鹿だろ。影にひっそりと隠れてりゃいいものを」
任せろ言っていた天の助は、2分足らずでもう既に横に這いつくばっていた。心配したのもつかの間、見事に天の助は、死亡フラグの回収をしてしまったのだ。そもそもHIGEというクローンゼロは勿論のこと、彼の部下でさえも倒せないどころか、正輝達にとってなんの戦力にもならない。
「何が来たかと思えば、雑魚が…邪魔だ。さっさと指示通りの連中を全員始末して、特典を返してもらってから『リリカルなのは』の世界にさっさと帰らないとな。俺の嫁であるなのは達が待ってるんだ!」
今回は妨害をして正輝とミッテルトを避難させたが、時間稼ぎにすらならない。転生者の周囲には、複数もの火縄銃が四方八方に展開していた。
「まぁ裏切ったレイナーレは始末したし。二人を追うか…」
転生者は天の助を蹴り飛ばして、正輝達の方に向かう。が、
「フッ…俺を置いていっちゃあ困るな?」
「⁉︎」
だが、さっきまで倒れていた天の助が声を出して復活していた。さっきまで銃撃を至近距離で受けていたのに、死んでなどいない。それどころか活発に元気よく動いているため、怪我して苦しんでいるという表情が出ていない。
(な、なんであれだけの攻撃を食らって生きてやがる‼︎それにこいつ刑具が効かない⁉︎一体どういうことだ⁉︎)
転生者はこの世界の知識を得てはいる。悪魔や天使、堕天使といったどんな生物でもあれだけの攻撃を喰らえば多少苦しんでいる。
ミッテルトも原作と同様に弱いため容易く殺せることも可能であることも依頼人から聞かされており、裏切ったレイナーレを始末して、彼女は激痛に悶えたまま消えていった。
だが目の前にいるその生物だけ、『何かが』おかしかった。
「なんであれだけ撃たれて生きてやがる‼︎」
「いつから私が火縄銃で四方八方に撃たれて倒したと錯覚していた?」
「なん、だとっ…⁉︎」
よく見ていると、身体の至る所に傷跡がない。
まるで全てなかったことになっている。幻術使いなのか、それとも全回復できる異能力者でも持っているのかと転生者は警戒している。
「ならもう一度葬ってやる!」
火縄銃をもう一度展開して、天の助を狙い撃つ。最初に攻撃した時に5弾装填していたのだから、今度は10弾装填している。
「流石にここまですれば、復活しないだろ…」
転生者はやっと死んだかと思い、呆れ声を出している。あれだけ格好つけた風に言っておいて地面に這いつくばっている。
「おいおい、グミ撃ちフラグは生きてるって相場を知らないのかな君は?」
またもや天の助が復活していた。しかも、あれだけ撃たれたのに何事もないかのように。
「ふざけてんのか‼︎さっさとあの世に行けよテメェ!」
「ギャァァァァァッ‼︎」
そう転生者がツッコミを放ちながら空間に銃を召喚させて撃ち続ける。天の助も逃げているものの、見事に直撃していた。
(なんだ…なんなんだこいつは⁉︎さっきまで撃たれていたのになんでまた復活した⁉︎)
天の助が放つ威圧も、実力ではこんな有様になっている。強いようで弱いようなそんなのよくわからない奴を相手に動揺していた。
「こんな奴を相手にするのも馬鹿馬鹿しい…さっさと正輝と堕天使を始末し「やぁ!」⁉︎鬱陶しいんだよ‼︎」
またも、天の助はヒョッコリと起き上がっている。その常識はずれの生命力に、転生者は恐れ入った。何度でも何度でもまるでゾンビと戦っているかのように、しつこく蘇っていく。
「ヒギャァァァァッ!」
天の助は逃げてはいるものの、見事に体に当たっている。が、身体はいくら撃たれ続けたところで弾が全く効かない。しかも、天の助の体内を弾丸が貫通していたのに、また元どおりになってしまう。
まるで、ターミネーターのように弾丸が一切効かなかった。
撃たれては蘇る、撃たれては蘇るといったそんな無限ループが繰り返されていく。3、4分も経てば、毅然とした態度をとりつつ今度は天○の城のラピ○タにいるム○カの格好をして立ち上がる。
「フン、どうした。貴様の力はその程度か?
私は滅びんよ、何度でも蘇るさ」
「テメェが規格外過ぎるんだよ!貧弱の割に無駄に蘇ったりしていい加減しつこいんだよ‼︎」
(こんな…堕天使でも悪魔でも、ましてや転生者でもない、こんなよくわからないやつに…まてよ?)
転生者はこの生物を殺せる方法を考えていた。弾丸がまるで効かないのなら、火縄銃を見てあることを思いついた。
「…狙撃がダメなら、打撃で捻り潰すか?」
「⁉︎」
それを聞いた天の助の顔が青白く驚いた顔をしている。転生者がそれを見て、不気味に笑った。
(こいつ。やっぱり馬鹿だ)
そう思うと咄嗟に行動し、火縄銃を棍棒がわりにして殴り潰そうと襲ってくる。銃撃による再生は傷の範囲が小さいほど早いが、打撃だと液体がバラバラに散らばって回収もしにくくなる。
転生者は、天の助の頭を砕こうとする。
「死ねぇぇぇぇっ‼︎」
「やめて下さいぃぃっ!今なら自家特製のぬのハンカチをあげますからどうかそれだけは許してくださいぃぃ!」
「んなもんいるかぁぁぁっ‼︎」
転生者が差し出したぬのハンカチごと天の助を叩きつけようとする。しかし、天の助も元いた世界ではAブロック隊長である以上、そう簡単には倒されない。
「かかったな!喰らえ‼︎
プルプル真剣奥義!ところ天鉄砲‼︎」
(なにっ…⁉︎)
腹部からところてんの丸いものを飛ばしてきた。また顔にあたり、無意識に口に含めてしまう。ところてんの攻撃を至近距離で食らった転生者は、付着したところてんを剥がし、さっき必殺技で言った言葉に思うところがあった。あの生物は、ところてんだと確かにそう言っていた。
天の助の一部を指で食すと、ところてんの味がする。そう食感で感じると、転生者の体が震えている。
(…ところ、て、ん)
こんなマヌケなやつに苦戦を強いられたのかと、立ち上がったあと歯を食いしばり、顔を赤くして本気で怒っていた。
「巫山戯るなっ…フザケルナふざけるなふざけるなふざけるなぁぁぁぁっ‼︎」
頭に血が上っている。
生きている食べ物如きに負けるなんてこと、どう考えても誰にとっても屈辱にしかならない。転生者の怒りも天の助の煽りに本気でキレていた。
「もう良い!滅多撃ちにして欠けらごと残さず再生できないまま塵にしてやる‼︎」
真正面から火縄銃を2、3倍に増やし、集中砲火していく。数の暴力で天の助をこれ以上再生できないようになるまで徹底的に潰そうと考えていた。
「やめてよぉぉ…身体中が穴だらけになるじゃないかぁぁっ…」
「再生する癖に痛いわけがねぇだろうが‼︎今度こそくたばりやがれ‼︎」
怒りに飲まれている転生者だが、完全に天の助のペースに飲まれている。怒鳴り上げた直後に発射されたが、
(だ、大根っ…⁉︎)
天の助はいつの間にか右手に所持している大根で防ぎ、彼が持つ火縄銃の弾丸が全て効かなかった。弾の全てが、地面へと転げ落ちていく。
「クソが!まだ終わっていな…むぐっ」
彼は勢いよく振り向いて銃を展開しようとするが、その場で滑る。彼の地面にあるものは、前に銃で撃ち抜いていたところてんの液体がまだ残っている。彼が転んだ隙を狙い、巨体のプリン状となった天の助は彼を身体に包み込んでいく。
「フハハハハ!これで俺に攻撃できまい!」
(な、何をするつもりだっ⁉︎)
「さて…これから私は、ついさっき近くのスーパーで買ってきたこの150円の醤油を、どうすると思う?」
天の助は買って来たばかりの醤油を開けて、天の助の体内へと侵食していく。天の助自身には害はないが、
「シミルゥゥゥゥゥゥゥ‼︎やめろ!このクソ生物が!その醤油をどかせ!目が、目がぁぁぁぁ‼︎」
「貴様にはところてんが余りにも美味しすぎて狂い悶えるのだ…喜びでなぁ‼︎」
味覚というより目に染み渡る醤油が原因で見えなくなってしまう。息もしづらく、不利な状況に追い込まれてしまった。
(こいつが体内に醤油をかけたせいで、目があまり開けないし火縄銃もロクに展開できないっ!何としてもここから脱出しないと。力量差でもないのにこんなクソ喰らえな終わり方があってたまるかぁぁ‼︎‼︎)
視界が見えないままもがき続けても、出る場所が見当たらないのだ。
「ギャァァァッ!なんだあれ⁉︎」
天の助が驚いていたのは、どこからともなく大量の骸骨が周囲を囲んでいる。骸骨のそばには門が出現する。
地獄にいた罪人が現代世界の場の戦いにおいて諦め、敗北を認めた時に手錠付きの鎖がどこからともなく現れ出て、彼を捕縛する。鎖は彼を天の助の身体から引き抜いて、ようやく解放された。
が、抜け出したものの、彼は鎖を見て絶望した顔をしている。
「く、鎖?まさか…そんな、まだ俺は心の中で負けを認めたわけじゃ…」
空間から門が出現し、骸骨達が彼の両腕両足に繋がれた鎖を引っ張ろうとしている。彼は天の助の体からようやく解放されたが、能力を使って必死に抵抗している。
「やめろ!くるな、来るなぁぁぁぁっ‼︎こんな惨めな敗北なんて嫌だ‼︎
俺に、もう一度チャンスを!
やっと自由が手に入れたのに、あんなところには戻りたくないんだぁぁぁっ!」
火縄銃をいくら撃っても骸骨には全く通用しなかった。骸骨の数が増えていき、その男が叫んだ断末魔を最後に門に入れた後、門は閉じられてそのまま透明となって消えた。
*****
(こ、怖かったぁぁぁぁ‼︎何アレ⁉︎いきなりおっかない門が現れたり、骸骨が囲んだり)
ようやく戦いを終えた天の助は、鳥肌の代わりに液体が滲み出ている。骸骨と門が出現し、いきなり転生者を拘束して、無理矢理連れ去ろうとしていた。あまりの怖さに、天の助もプルプルと震えており、深呼吸して落ち着かせた。
「しかし…これがあって良かったぜ。九死に一生だった」
天の助が手にしたものは愛用の魔剣大根ブレードと醤油。
魔剣大根ブレードが集中砲火を防いでくれたおかげで、動揺した彼の隙を狙うことができた。大根は元から天の助が持っており、醤油を買っていたのは、正輝の小遣いから密かにとったいたものだ。天の助曰く、ポン酢又は醤油をかけることでところてんをより美味にさせるのだが、正輝はその為に買うつもりは微塵もない。〈ポン酢だと使う要素が少なく、醤油を選んだ理由はところてん目的だとバレにくいから〉
そんなこんなで、天の助は自分用のものを、正輝とミッテルトがレイナーレと戦っている間に買いに行ってきたのだ。
「正輝達が襲われているのは見えていたが、盗人か何かか?いやいや俺と同じように特別な力を持っていたよな?」
《注意:盗人ではなく、実際はマジの殺し合いでした。転生者の方は異能力を使って殺す気で天の助を襲っていました。ところ天の助は戦ってはいますけど、そのことに全く気づいておりません》
天の助はまだ事情がわからないまま、命の恩人(スーパーで天の助を買ってもらった正輝達)を助ける為に飛びついてきた。退治するはずだったが、その男の末路がこんなことになるとは思ってもなかったのだ。
彼が手にしている食物で、なんとか凌ぐことができたため、急いで正輝達の元へと向かうことにした。
「色々わからないことが多いけど、とにかく正輝の所に戻らないといけんな。
ん?あれ…ここ、どこだっけ?」
天の助は正輝に生きて必ず戻ってこいよと言われていたものの、戻ってくるどころかまだ迷子になってしまった。
「お、おーい誰か。誰かいませんかー…また迷っちゃった」
さっきの戦いで醤油塗れの天の助は、しぶしぶと夜中を歩き回っていた。