正輝&ミッテルトⅡ   作:斬刄

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状況把握

正輝とミッテルトの二人は、天の助に任せて逃げきることができた。正輝の家に戻ると少なからず怪我をしているクリザリッドと、真弓の二人がいる。

 

「正輝‼︎無事だったか!」

「まぁ、なんとか。でも…天の助が、それにクリザリッドさん怪我まで…」

「安心しろ、電話で私を誘導して来たやつは返り討ちにした」

家から出たクリザリッドも敵の襲撃に襲われたが、こうしてちゃんと生きていることに正輝とミッテルトは安堵したが、俺に任せろと言っていた天の助をこのまま置いて逃げてしまったことを悔やんだ。が、

 

「あ、あと…天の助なら無事だぞ。なんとも言いにくいんだがな」

「え?」

「ともかく、詳しい話は一誠の家でするわ。私の家だとこんなに大人数は連れていけれないだろうし」

 

*****

 

一誠の家はとても広く、そこにはリアス達も住んでいる。ここで一纏めに話すにはうってつけの場所だった。知っている人もいるが、他にも知らない人達もいた。

 

「ディオドラさんが重傷⁉︎」

「一方的に殴り倒されてね。フェニックスの涙で一応身体の方は完治できてるんだが…」

 

敵が一般人を操ってディオドラを襲わり、一誠達が気づいてなかったら今頃ディオドラは殺されていたかもしれない。肉体はどうにかなっても、精神面ではまだ苦しんでいる状態だった。激痛ではないが、じわじわとした痛みがまだゆっくりと残っている。

 

「ディオドラ様っ!」

「ゆっくりした…痛みが…身体中にまだ長引いてっ…」

いくら高魔力で治療しても完全には回復できなかった。今の彼は、未だにベットで寝たきりになっている。敵が持っていた武器の特性で、殴られる感覚が微かに残っている。

「奴らの使ってた武器、あれは一体何だったんだ?あんなもん俺も見たことねぇぞ」

 

神器を集めて実験をしているアザゼルでさえ、武器の形状と特性自体聞いたことのないものだった。

 

「本来地獄世界の詳細についてはあまり言わないようになっているの。

 

でも、今回は特例中の特例…処刑執行人のイグニスや閻魔も許可は出てたそうだし…こうして公になった以上貴方達には知る権利があるわよね。

 

…あれは刑具よ。本来、地獄界で罪人を罰するために使うの」

地獄界のことも繋がってはいるものの、いくら親しい関係とはいえ社外秘と同じくらい人に話してはいけないものだった。が、こうして事件沙汰となりリアス達にまで公になってしまった以上話す必要があった。

 

「真弓さん、そのことを知ってたんですか?」

「イグニスとオリゼロが繋がってるからね」

「刑具?拷問とかで使う道具とか、ギロチンとかのあれか?」

「そうよ。貴方達が使っている神器は神から作られたものでしょ。逆に刑具は罪人を裁くという一貫性の目的として作られたものよ。

 

殴殺、絞殺、斬殺、撲殺、焼殺、圧殺、呪殺…罪人の基準によって使用するものはかなり異なる。彼が持っていたメリケンサックは『スローリー』って言って殴殺の類に入るわ。

あれでもまだ軽い方よ」

「なんでそんなものを連中が持ってるの?」

「地獄界から奪ったとしか考えられないけど…そもそも刑具を使用する為にはロックは掛けられていて、執行人にしか使えないようになってるの。そんなもの奪ったところで、役に立たないはずなのよ」

実際に彼らは奪われた刑具を使っており、今度は悪魔だろうと無関係な人間だろうと、どんな相手にも使っている。刑具にも上位と下位のランクがあるのだとすれば、軽いものでさえディオドラでさえこうして苦しめられている。

 

「それじゃあお前の話だと、もし重罪用の刑具を連中に奪われたら元も子もないんじゃねーのかよ。それが神滅具に匹敵するものだったら」

「それ以前に強力すぎる刑具を手に取った時点でまず精神がぶっ壊れるわ。

敵味方関係なく。ドライグのように意思まで持ってるの…それに最低条件として地獄出身の人だけが持つことを認められて、それ以外の他の誰かが手にとった時点で刑具そのものがその所持者を廃人状態にさせて処刑する。地上に出すのも一苦労だし、誰の手にも余るわ」

地獄界とそれなりに繋がっている真弓の言葉をリアス達も正輝達も信じるしかなかった。どんな刑具を奪われて、下から順に特性を調べていけばそれなりに対策は取れる。

 

「つまり…連中は弱い刑具を奪うだけ奪ったってところか。ロックを別の方法で解除して」

「そういうことになるわね」

「でも、別の方法ってどういう…」

地獄出身の人が悪事でも働いて、あえて脱獄させるようなことをしたのかと考えてもいたが、そんなことをしたって何の得にもならない。出身の人が弁護するならともかく、脱走の助長をしようとした時点で発覚してしまうのだ。

 

発覚すれば、助長した人や脱走した人も唯ではすまない。

 

「別の方法として…賀東を転生させた神様が仕向けたんでしょうね。神様って万能だし、こんなことできるのってそういう存在しかいないわよ。脱獄囚だけじゃなく刑具まで渡せるなんてことを可能にできるのも、神ぐらいしか出来ないし。理由は…たぶん一誠如きに負けて、神の評価が下がったせいで許せないとか…そーんな下らない理由だと思うよ」

 

神様が原因、誰もがその理由に納得がいった。しかもその発端はまた、理由付けも一誠絡みのものだった

 

 

「…んだよそれ…ふざけんなっ‼︎あんな野郎を転生させて、なのにそいつがくたばったら殺した奴のせいだから自分は何も悪くないって腹かよ!自分の失敗だろっ⁉︎何で俺達が責められなくちゃいけねーんだよ‼︎そんなのただの逆恨みじゃねえか‼︎」

「ま、側から見れば逆恨みでしょうね。あいつが勝手に暴れたからこっちは何も悪くねぇって考えなんでしょうね…賀東ガーとか一誠ガーとかってどちらにしても責任転嫁するわ」

 

賀東を倒したとはいえ、身勝手な神のせいで、事態が悪化するとは誰も思ってもなかった。三大会議でようやっと収束したのに、今度は神が仕向けてきたのだから。

「神様がどういう存在だったかわかるか?他の神様だってこんなこと黙って見過ごすわけじゃないだろ?」

「ひとまずゼウスが調べ中。互いの神様は転生者にしか名前を明かされないようになっているし。時間もかかるって」

 

神様の件については今の所はまず対処のしようが無いため一旦保留にするしかなかった。そもそもの話、神に対抗しうる力すら持ってないのに考えようがなく、転生してくれるデウスと連絡が取れるだけまだマシだが、今の所はそれしか手立てがない。

これ以上そのことについて話しても無意味だった。

*****

 

「そっか…レイナーレ。あいつも思うことが多々あったんだな…」

正輝の方は、一誠にレイナーレのことを話した。彼もアーシアを殺されたことで殺そうとしたが、地獄から脱獄した時のレイナーレもまた心の奥底では失意に堕ちていた。

「ミッテルトも彼女には伝えることは伝えたし、過去にそっちでどうけじめをつけたのかは聞かないよ」

「けじめか…悪りぃ。その話を聞いてもさ…分かろうとはしてるんだけどよ…やっぱり気持ちの半分はつけてるようで、もう半分はつけてないんだ」

一誠もレイナーレと出会い、そして自分の命どころかアーシアも殺されたこともあって悪印象しかあまり残っていない。レイナーレもまた誰かに認めてもらいたくて必死だったことは聞いたが、それを素直に納得することは難しかった。

「ところで…まだ気になってたんだけど天の助は本当に無事なんですか?」

「あーうん…そう言えばそうだったわね。連絡が来たわよ…きたのは、きたんだけど…ねぇ」

「?どういうことですか?」

オリジナルゼロがテレビ画面をつけると、ニュースが報道されている。

タイトルには【速報‼︎ところてんの生物、子供を脅迫する!】といったものが出ていた。

『ところ天の助という人物が迷子になっている子供を脅したとのことで、逮捕しました』

「…え?は?…えっ?」

『詳しい情報によると子供の方はお腹を空かしていたところを、不審者がところてんを渡したら凄くマズイと言われて逆ギレしたそうです。警官達が集まって逮捕しようとしていたのですが、彼は醤油の腐った匂いが身体に残っており、悪臭が漂っていたとのことです。なお、手には空の醤油を持っていたとこのとでそれを浴びていたことが原因だと言われています』

 

そんなニュースを聞いて、みんな微妙は反応をするしかなかった。正輝とミッテルトの方はさっきまで守っていたのに、どうしてこうなったと理解が追いついていない。

 

「いやいや、何やってんのあいつ⁉︎

さっきまで戦ってたよね⁉︎

なのに何でこんなことになってんの⁉︎」

「確かにそいつとの戦闘はもう終わったわ…信じられないと思うけど天の助が倒したのよ」

「え?ちよっ、マジで倒したんスか⁉︎」

 

レイナーレを倒すほどの強敵相手に天の助も逃げてくれれば良かったものの、まさか彼が倒すとは二人とも思ってもなかった。

 

倒したのに、何故か子供を逮捕されている。どうしてこうなったと。

 

「天の助もこの街のこと把握してないでしょ?」

「えーと、それじゃあ…」

「よりにもよって子供に接触するとは思わなかったわよ…」

 

天の助が子供に何でそんなことをしたのかが、

(それ以前に何で子供にところてん渡して食わせたの⁉︎

大体、アン○ンマンじゃないんだからそんなことしても子供に怪しまれて当然でしょ‼︎いやでも…まぁ、うん。

あいつなら間違いなくやるな)

 

天の助については初めは驚いたものの、みんな数分も経たずにすぐに納得してしまった。

 

「でも、どうして天の助が勝てたと思う?」

「単純にあいつの方が力が上回っていたからか?」

「いや、それは絶対にないと思うぞ。それならミッテルトだけで十分だし、レイナーレも簡単に倒されない」

 

天の助のやられっぷりは、ゼロゲーランドにいったことがあるため、正輝達もよく理解してる。倒れた後の復帰力は凄まじく高いが、攻撃も防御もまるでスカスカだというのに。

 

「脱獄した連中の弱点は心の中で負けると思ってしまうことよ。その時点で地獄の使者である骸骨集団に連れて行かれる。どんな能力があろうと、その運命に抗うことは許されない。

 

だから天の助はそいつに勝てたのよ?」

(むしろどんな状況で勝てたの天の助…不思議すぎるわ)

賀東もまたそこに連れていかれているはず、ならその復讐として脱獄を利用しない手はない。

 

「おいちょっと待てよ!確認したいんだけど、まさか地獄にいた賀東が脱走するってことは…」

「それは絶対にないと思うわ。彼の判決は死刑以上の無限転生地獄なの…何百、何万、何億もの並行世界を転生させられて…そして無限に殺されている。

 

仮に、奇跡的に戻れたとしても罪と罰(運命)は容赦なく彼を退場させるでしょうね」

「お、おっかねぇな…なんども殺されるのかよ」

賀東が地獄で幽閉されておらず、永遠も転生という名の監獄に苛まれている。神もいない、圧倒的な死を決定づけられる下手の意味での地獄。

どうあがいても死ぬしかない。

「とにかく。そいつらを見つけたら再起不能になるまで、フルボッコにすればいいってことよ!」

「簡単に言えばそうなるけど…そういえばレイナーレさんは説得したら光の粒子になってましたけど」

「あぁそれはね、成仏したのよ。罪を全て洗い流され、また新しい生命へと今度は別世界で生まれ行くのよ。身分も、記憶も、容姿もありとあらゆるものが消えてなくなるわ…死ぬのと一緒よ」

 

死ねば何も残らない。レイナーレは悔いが残ったまま怨念として地獄に滞在し、その怨念が彼女の生きる糧となって脱獄のチャンスを狙って復讐の為に動いた。

リアス達だけではなく、アザゼルも含めて。だが、復讐も失敗に終わり彼女は苦しみから解放さる。最後は撃たれたとはいえ、ミッテルトのことを心配していた。

「もうこんな時間だし、もうそろそろ解散にしようか。あ、正輝とミッテルトちゃんの2人はもう少し残ってね?」

「え?」

 

*****

 

運動会が終わったらもうすぐ京都の修学旅行になる。新たな敵の出現で一誠達は不安を抱いていた。少し人格が変わっただけでも、敵視されて攻撃してくる者や、別世界で罪を犯し他人の死を痛まない畜生の存在も目の当たりにしている。

 

「賀東の次は地獄からの脱獄囚かよ…こっちは禍の団(カオス・ブリゲード)で手一杯だっつーのに」

「どんな汚い手を使っても、僕らや正輝達も襲ってくるだろうね…」

 

シャルバとその神が手を組んで、いけ好かない兵頭一誠を恨み、害悪として潰そうと目論んでいる。地獄からの脱獄者達を引きつけつつ、この世界に被害者を出してしまった。

しかも、

 

(もうすぐ近づいて来る修学旅行は、必ず行くべきよ。もし中止にしたり、貴方達が行くのを拒めば…今度は京都が火の海になって…無関係な生徒達もまた間違いなく巻き込まれる)

「くそっ‼︎‼︎」

 

賀東の件がようやっと終わったのに、今度は賀東を転生させた神につけ狙われている。記憶を改竄されたリアス達を、自分の家族をようやっと取り戻せたのに、今度は賀東みたいな異端者が複数も襲ってくるのかと、彼は酷く頭を抱えていた。

 

「兵頭くん、今は冷静になるんだ」

「あぁ、分かってる…」

 

今の彼は一人ではない。リアス達だけならともかく、正輝も一誠と同様に狙われている可能性が高いために狙われるだろう。

(賀東だって真弓さんのおかげで鍛えて倒したんだ。あんな連中に居場所を奪われてたまるかっ…)

 

*****

 

「で、話って何なんですか?」

「実はね。私の家に居候したいって懇談して来る人がいたの…でもね、多忙で私の家に人入れるの…もう限界なのです」

真弓の家にはオリジナルゼロ達どころかK'と小松達の世話をしなくてはならない。イリナも手伝ってはいるが、真弓の仕事量が増えたせいですぐに終わらせることができなかった。

 

「そんなわけだけど、この人頼んでもらえる?来る日が運動会終了後の次の日で、大きい鞄を持って家に来てもらうように連絡しておくから」

「?でも、この人って誰なんですか?

側から見てアーシアやゼノヴィアと同じように外国人だと思うんですけど」

 

そう言って正輝に手渡された写真には女性で髪型はポニーテール、ミッネルトと同様に金髪の髪をしており、上は白の可愛いらしい衣装、下は花柄のスカート、マリーキャップの帽子をかぶっている。

 

クリザリッド達の関係者か、或いはレヴィアタンの知り合いかと正輝は思っていた。が、

 

「ジャンヌ・ダルクだよ」

「…ん?何言ってるんですか?ジャンヌダルクってたしか歴史で「本当に名前がジャンヌダルクなの」…え?は?えっ?」

「な、何でそんな人が」

正輝もミッテルトも思考が停止した。

真弓の口から歴史の偉人の名前を出してきたのだから、何の冗談かと耳を疑っていたものの。

 

「その人は先祖の英雄から引き継がれるからね。だから名前もそのままな訳」

「いや、真弓さん!そもそもどうやってそんな人と出会えたの⁉︎」

「そ、そうっスよ!ウチら英雄とだなんて何の接点もないのに⁉︎」

 

正輝とミッテルトは唐突な事でどうしてそうなったのかという理由を知りたくて質問を投げている。何か重要な事情があるのか、それともセラフォールだけじゃなくて英雄達とも繋がってるからというものなのかと。

だが、真弓の出した返答は

「えっと、その人って外国だとずっと一人で生きてたらしくて…日本に初めて来たのに色々と寄り道してたせいで

肝心な住む場所を何にも決めてなかったらしくて。真夜中に彼女は独り言ブツブツ慌てて呟くし、表情が信号みたいにコロコロ変わってね。

変な男共に声かけられてもアレだったから正直見てられなかった私が声かけて、こっちの家に案内してあげたのよ…でも、連れて帰ったのがまさかのジャンヌだった事にはビックリしたわ。うん…本当に」

 

二人の予想よりも遥かに斜め上を上回っていた。

 

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