クリザリッドとK'の二人の戦闘は深夜にまで長引いていた。かれこれ30分は経っているのに互いの服はボロボロにはなっておらず、息切れもしていない。2人の拳の殴り合いが攻防がまだ続く。
「やるな、K'」
「こいつ…前とは断然に」
まだ致命傷に至るほどの大怪我になっていない。街中で戦っている以上本気を出したくても、出せないからだ。
K'は焔を右手で作り、蹴り飛ばす。
「デュホン・レイジ!」
その焔をクリザリッドは巧みにK'に返す。K'はそれを防ぎ、クリザリッドの頭上から攻めようと一気に近づく。
「甘い…死ね!」
右足で頭上にいるK'を捕まえ、脚を使って地面に叩き落とす。その後に右手で倒れたK'を潰す。K'は叩き落とされたが、次の攻撃を横にかわして立て直す。
再度デュホン・レイジで攻撃し、
「見せてやる!我が力を!」
デュホンレイジの次に、更に加えて追い打ちをかける。
【エンド・オブ・ヘブン】
自分を中心にして火柱を立て、全身に炎を纏い、十字に炎をぶつける。
「ブラックアウト」
K'がそう言って滑っている間無敵になり、返された焔とかまいたちは当たない。ブラックアウトの効力がきれると、クリザリッドの必殺技をクロスした焔と焔の間を素早く通って避ける。
「とべっ…」
腕を振り上げ炎をクリザリッドにぶつけ、炎をクリザリッドごと上に蹴り、
「シャラァ!」
その後空中にいたクリザリッドを飛んで蹴飛ばす。クリザリッドはそのまま吹き飛ばされ地面に叩き落とされる。
そしてクリザリッドに突進して
「貰った、オラァ!」
右手にある焔をクリザリッドにぶつけ、さらに蹴り飛ばされる。クリザリッドは上空にむかって殴り飛ばされ、その後蹴られて地表に向かって叩きつけられるが、クリザリッドは防御をして被害を最小限にする。
ヘブンズドライブを食らっても平気なままだった。
仕切り直し、今度はクリザリッドが向かってきた。K'は黒いサングラスを投げ、それがクリザリッドに当たる。サングラスが宙を舞い、K'はクリザリッドを肘で止めようとするが、止められる前に早く首元を掴まれた。
(なにっ⁉︎)
K'の必殺技であるチェーンドライブが止められてしまった。
「ぐっ⁉︎」
「同じ技をそう何度も食らうか!」
低い姿勢になり、K'に突っ込む。
捕まえられてK'は無防備の状態に晒されている。
【デスペレイド・モーメント】
この技は過去にもクリザリッドと戦っていた時には食らったことがあった為に、この後どうなるかわかっていた。
(マズイっ⁉︎これは)
「ぶっ潰れろぉお‼︎おりやァァァァァァ‼︎」
クリザリッドの掌が加速し、無数に見える拳がK'を襲う。
【デスペレイド・オーバードライブ】
壁に磔にされ、拳を何度も殴り、最後に紫の炎を纏った両手で腹部を掴んで爆発させた。クリザリッドの拳は前よりも強く、正確にK'を追い詰めている。炎を爆発させたことにより、煙でよく見えない。
(やったか…⁉︎)
「終わりにしようぜ」
煙の中からK'はグローブにある炎を構えている。灯した炎を最大限にまで火力を上げて、腕を突き出して突っ込む。
【ヒートドライブ】
手応えはあった、しかしK'が溜めた一撃を手で受け止められている。届いたの確かだが、それでもまだ傷が浅い。
それよりも、直撃で掴むことに驚いていた。
「コイツ…⁉︎」
なかなか勝敗が決められない。K'はクリザリッド相手に必殺技を3回も使っている。
互いに後ろに下がる。
お互い本気を出すことができない。この街の中で本気を出してしまえば無関係な人間にまで巻き込みかねなかったからだ。
(こいつ、迂闊に近づいたら確実に…)
相手はクリザリッド、K'にとって油断はできない。今はまだ情に流されて怒りで戦ってはおらず、K'は様子見をすることにした。
「せいやぁ!」
しかし、K'が一番驚いているのはクリザリッドもまた同様に力を抑えていたこと。周囲のことなど構わず、大技を使って何としてもK'を殺そうとする。だが、目の前にいるクリザリッドは力を抑えているからだ。
【セカンドシュート】
K'は右手のグローブで自分の焔を作り、その炎を蹴り飛ばす。クリザリッドはそれを避ける。が、クリザリッドが避けた先には一般人がいた。
「えっ」
((なにっ⁉︎))
一般人が突然現れクリザリッドとK'の顔が焦った。
(チッ、マズイっ‼︎)
いくら力を制御しているとはいえ普通の人が焔を受けてしまえば重傷は免れない。即病院送りになるか、最悪焼殺してしまうことにもなる。
K'は急いで黄色のグローブに取り替え、ブラックアウトで素早く移動し飛ばした焔を止めようとするが、その前にクリザリッドが身体で焔を受け止めて一般人を庇った。
「…大丈夫か?」
「あ、あぁぁぁぁっ…」
K'の知っているクリザリッドはもっと冷酷であるはずだったが、目の前にいるクリザリッドは本来ありえない行為だった。
庇ってもらった一般人はそのまま家に走って帰って行った。
「…テメェ本気でやってんのか?こんな場所でもこの街のことは気にすることなく俺をいつでも殺そうと伺う機会はいくらでもあったはずだ。
なのにそれをしなかった。しかも、自分を犠牲にして一般人を助けるときた。前に会った時のクリザリッドはそんな善良な心があるとは到底思えない」
K'はクリザリッドの善良な行為に新たな疑問が生まれている。もしも、K'が一般人を助けに行って後ろから狙って倒すという手段もあった。
「一つ、質問に答えろ。テメェは本当に俺の知っているクリザリッドか?」
クローンなのは分かっている。しかし、余りにも本物とは異なっている。
偽物なのか、本物なのか。
その前にパトカーの音がなる。爆発音のせいで、誰かが通報していた。
「チッ、ここまでか」
「おい待て!」
クリザリッドは止むなしに真弓の元に引き返すことしかできなかった。この場にとどまっていても焼け焦げた服に怪我を見られてしまえば事情聴取されるだろう。
この場から立ち去って真弓の元に帰っていった。
*****
深夜1:00
「で、K'と交戦したと?」
「はい、その通りです」
クリザリッドは真弓とオリジナルゼロに事情を話し、遅くなった理由を説明した。二人が戦闘になった場所の痕跡は真弓が全て消しており、警察の方はいくら物的証拠を探しても見つかることはない。
クリザリッドは今後もK'と会い再度戦うかもしれないと言った。が、
「ねぇクリザ…もしそいつを私らで拾ったって言ったら信じてもらえるかしら」
「?何を言っているのですか?」
「実はな…」
真弓とオリジナルゼロの二人はクリザリッドを案内する。隣の部屋を買って、空きを用意させた。その部屋は真弓が勝っている部屋よりも少し狭いが、全く暮らせないというわけではない。
「あ!クリザリッドさんですか?イグニスさんから聞いてますよ!」
「やっと飯が食えるぞ!」
お腹を空かせて食事しているトリコと小松、そしてクリザリッドが驚いていたのは一匹狼がソファに寝転んでいた。
「なんで…K'が」
「拾ったのよ、倒れてたのを。全身ボロボロ、腹は鳴るわで」
「ZZZ…」
真弓はトリコと小松を無事に確保することはできたが、K'まで真弓に確保されるとは思ってなかった。
真弓がK'に奢って先に食べており、トリコと同様にガツガツとカツ丼を食っていた。3人とも外を巡回して彷徨い、何日間も食事できずに何も食べていなかった。
彼はお腹を一杯にして、ぐっすりと寝て休んでいた。