霊界の魂霊   作:HASE36

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序章

 

空はいつもより青かった。

 

?「ねぇ、、結人?。私って生きててよかった?」

 

俺はその言葉を言ってくれるまで

お前の悲しみに気づけなかった。

 

あの時の空は紅かった。

まるで怒りに満ちていて

俺を呑み込むかのように。

 

夕立の雨上がり。

救助隊が港に駆けつけた。

どうやらたまたま通りかかった釣り人が身投げした少女がいると報せが入ったということだった。

俺はその数分前に一人の少女からメールが届いていた。

 

“、、、下北港の波止場にいるの。もう、さよならだね”

 

俺は湿った空気を肌全身で受ける。

ちょっと走っただけで汗が溢れる。

 

2018/8/10(金)

彼女は自殺した。

 

「優奈さんのご親族でしょうか?」

「はっ!はっ!、、違います。でも優奈からここにいるって言われて!」

 

あいつに家族はいなかった。

親は優奈のことを、自分の子だと言うのに子育てを拒否し、東京の養護施設みどり学園に預けた。

その後、親は自宅で首を吊って死んでいたと聞いた。

 

そんな事実を知ったのは俺が14歳の頃。

手につかない問題児だったことで親に勘当されみどり学園に入園した。

 

 

優奈に出逢ってからは学園での生活は全てアイツと二人で過ごしていた。

そしていつしか俺の生きる意味は優奈になっていた。

 

「結人は高校卒業したらどうするのー?」

「どうって、、そっかもう卒業まで1年か」

「、、、どーうせ頭悪いから力一筋の土方でもやるんでしょー?」

 

優奈は小さいくせに活発でドジで、そんでもっていつも俺を馬鹿にする。

 

「あのなぁ!?。俺を脳筋呼ばわりすんのもうやめろっての!。確かに土方は悪くはねぇと思うけどなそりゃ」

「こっから出てく?」

「え?」

 

あの時、俺からして強く見えていたアイツは何を言って欲しかったんだろうか。

 

(、、、これ俺が残る言ったら流石に優奈と一緒にいたがってるキモい奴みてぇだよな、、、)出てやるに決まってんだろ!?。こんな胸糞わりいとこに誰がいるかっての!」

「、、、そか」

 

優奈は俺に背中を見せた。

 

「じゃあこれでサヨナラだね」

 

背中を見せた意味も、その時、僅かに零した涙も、、、

それに限らず今までもそう

俺は肝心なところで何一つ優奈のことを気づいてやれなかったんだ。

 

俺はもっとあいつの傍にいるべきだったのかもしれない。

心に秘めるのか

口に出すのか

その2つのどれかだけでもこの先を大きく揺るがしてしまう。

それだけ言葉とは大きかった。

 

―――――霊界の魂霊――。

 

 

結人はパソコンを開いた。

 

するとあるコミュニティサイトで何やら興味深い不気味な都市伝説が流行っていた。

 

“霊界への誘拐者”

それを、ネットでは最近ゴーストと言うようになった。

 

それは自殺したい時に

その手伝いをしてくれる役人のことを指しているらしい。

一番苦痛なく自殺できる。

一目につかずに自殺できる。

気持ちに浸りながら自殺できる。

苦しみながら自殺できる。

どんなオーダーも簡単に答える自殺手引きの万能屋と噂されている。

 

結人はそのゴーストが掲載しているサイト。

自殺ネットを見つけた。

 

結人「、、、これか」

 

ここに自殺への意向、動機

自殺に対する思い

そして最後に自分が望むべき自殺を掲載欄に書き込む。

そうすることで自殺願書としてゴーストに送り込まれ

採用されたら次の段階

落合場所を決める。

そこで少しの話し合いをして出願者の意向が変わらなければ

最終段階として

自殺を決行する。

 

結人は今、そのゴーストに願書を送り

椅子にもたれかかった。

 

結人「ハァハァ、、なんかめっっちゃ緊張したぁ~」

 

結人は天井を見つめる。

 

結人「、、、これでいい。、、、これで」

 

出願日2019/8/10(土)

 

 

結人はまだ知らなかった。

ゴーストと言うのがいかに危険な生命体であるということを。

そして次元の狭さを。

 

 

霊界

そこは魂が降り立つ世界。

人と瓜二つの生命体、魔人が住む世界であった。

 

?「おい、、またニンゲンの魂降ってきたぞ」

??「マジ?。じゃあ俺食いに行こうかな腹減ったし」

?「ダメ。抜け駆けはなしだ」

??「んな、、オメェさんはあのピクリとも動かねぇたまごっちでも食っとけや」

 

魔人が指さした先には斑模様のたまごが置かれていた。

 

?「あれは不思議だ。魔力を全く感じないのだからな」

??「一説じゃニンゲン界とやらから迷い込んだたまごってのも聞くな。いつも俺達がニンゲン界を覗くあの光のとこから」

?「ああ。しかしあの光もまた謎だな。本当にニンゲン界に繋がるのか?」

 

そこに一人の男が現れた。

 

??「!?。ほうほうほう〜。これはこれは誰かと思いきや霊界の頂点に立つ超大規模組織、摩天楼のボス、魏郷サマじゃないっすかー」

魏郷「、、、」

 

魏郷という男は二人を無言で見つめいた。

 

?「何が目的ですか。ここ、アンタでも入っていい場所じゃないんですよ。ましては妖魔連合アジトに一人とはね」

魏郷「ようやく玉の在処を見つけたからな」

?「、、、ギョク?」

 

二人はたまごが視界に入った。

 

??「やっぱりなんかあるんすね?。あんた等から盗んだ価値があったてことだ」

?「食おうにしても食えないからただ無駄足なハメになったからな」

魏郷「なら玉にはもう用はないだろ?。悪いようにはしない。返してもらおう」

 

??は甲高い声で笑い出した。

 

??「いやぁここまで物乞いする神様なんていますぅ?。いねぇっすよね~。アンタは神から降りろ?そんでも返さねぇけど、、くははっ!。そんな大事なもんだったなら盗んで無駄足じゃなかったってことだ。なぁデュース!」

デュース「そうだなロイド」

 

魏郷は虚しげにため息をついた。

 

魏郷「、、、残念だ」

 

すると空から妖魔連合のメンバーが死体となって落ちてきた。

 

ロイド、デュース「!?」

魏郷「今、拒むことなければこうして死なずに済んだ命だ。まだ人質はいる。つまりまだ連合とやらの野蛮集団に救いはあるということだ。さぁ、渡せ」

 

ロイドはニヤリと笑った。

 

ロイド「俺達のルールは自分の命は自分次第だ。そこにいる奴らが死んでんならそれまでだっての。俺達は自由を築く反逆者だからな!!」

 

ロイドはたまごを光の中に投げ込んだ。

 

魏郷「、、、」

ロイド「デュース逃げんぞ!」

デュース「、、、そういうことだ摩天楼の神。せいぜい神と名乗って粋がれ」

 

二人はその場を立ち去った。

 

魏郷「人質は残っていると、、、そう騙しても騙さなくても一緒だったということか」

 

魏郷は光を見つめた。

 

魏郷「時空の狭間か。玉は遠分諦めよう」

 

 

その同時刻の人間界では

 

下北港の波止場に結人は立っていた。

 

?「あなたが結人さんですね」

 

結人は声のする方へ振り向いた。

 

結人「アンタがゴースト」

ゴースト「はじめましょう。生死の対談を」

 

この後俺は

とんでもない運命に巻き込まれていくのだった。

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