一行は船の中で休息の間をとっていた。
凪沙「っ、、」
結人「胸のとこ痛むのか?」
凪沙「けっこう引いてはきてるけどね。多分の骨はいってる音したから」
武「センターに戻ったら治療室にこもって骨を再生してるんだな」
凪沙「そうだね」
凪沙の顔色もあまりよくはなかった。
結人「ついたら治療室まで一緒に行くよ」
凪沙「、、、心配のしすぎですー。私そんなか弱くないんで!」
結人「は、はぁ?。別にんなことは思ってねぇけどチームとして心配しただけだろ!?」
凪沙「ならお気持ちだけ貰っときます」
凪沙のふてくされ様に少し呆れた結人だった。
結人(ほ、ほんとわかんねぇやつ)
健二と宗介は船の外の上甲板に出て風に当りながら対談していた。
健二「お前は一度アジトに戻るのか?」
宗介「、、、いや。懐かしい街並みに浸りたいところだけど僕にはまだやり残していることがあるから」
健二「、、、宗介がアジトを出てから何か変わった。お前の考えていることがさっぱりわからない。今、宗介がやろうとしてること、、、少しでも教えてくれないか?」
宗介「、、、」
暫し二人の間に沈黙が続いた。
そしてようやく宗介の口から目的を話そうとした。
宗介「僕はこの世界、、、いや全ての次元における至上の闇を見てしまった」
健二「至上の、、闇?」
宗介「それは僕らが気づかない内にゆっくりとゆっくりと迫ってきている」
何にも動じることのない宗介の口は
少し震えているようにも見えた。
健二「それは何なんだ?」
宗介「、、、深くは言えない。いや、、、深くまでまだ僕は知らない。ただもう逃れらないんだ」
健二「逃れらない?」
宗介は遠くを見つめた。
宗介「デーモン、摩天楼、そしてこの世に関わる謎の人物、、“彼”」
健二「キル。多重面相の男か」
結人も関わった人物ゴーストの男を健二はキルという認識で頭に思い浮かべた。
宗介「僕らは戦う運命にあるんだ。逃げられないとはそういうことさ。だからまた次会う時まで、、死ぬなよ?」
健二「、、、わかってるよ」
船は途中の小島で宗介を降ろした。
宗介「それじゃみんなまたね」
結人「また会おーな!」
朱雀「ふん」
武「達者でな!」
健二「宗介!」
健二は宗介にお守りを渡した。
宗介「お守り?」
健二「友情の証ってやつだ!。なくすなよ!」
宗介「ああ。ありがとう」
凪沙は少し浮かない顔だった。
凪沙(ここからじゃ首筋にあった刻印がよく見えない)
結人「ほら凪沙もしっかり見送ってやれよ?」
凪沙「う、うん」
凪沙は笑顔で手を振った。
宗介「みんなありがとう。また次の機会まで」
宗介はそのまま島の中に消えていった。
そして結人達もアジトが赤雛区の微風連絡網に到着した。
着いた時には日暮れ間近だった。
武「俺の役目はここまでだ。お前らしっかり休むんだぞ」
結人「ありがとな」
武「なぁに。会いたくなったらいつでもここに来い」
結人「おう!」
朱雀「ほら、アジトにいって報告するまでが俺達の役目だろ。早く行くぞ」
結人「わかってるよ。それじゃな武!」
凪沙はアジトに着いて治療室に行き、結人、朱雀、健二は
官位室で任務の報告をした。
レム大佐は目を瞑って聞いていた。
レム「、、、デーモンは思っていたよりやろうとしていることは大きいな」
結人「邪神ってのは一体どんな存在なんだ?」
レム「この世の神と言っていいだろう。その存在が復活すれば我々に勝ち目はないのかもしれない」
結人「そ、そんなに」
健二「しかし邪神の宝玉は奴等の手に渡りました。いつ復活してもおかしくは」
レイナは少し微笑みを浮かべた。
レイナ「ふふ。邪神の復活には時期があるの。この世界は現実世界と四季の動きはほぼ一緒。こっちも今、8月の夏なの。邪神が復活する為にはまず冬にならなければならない」
健二「なぜ冬なんですか?」
レイナ「この霊界の全ては霊力で造られてるのはわかるわよね?。その中で空気中を漂う霊力だけには熱度というのが存在して。0以上ならプラスの霊力。数字が上がれば上がるほど霊界の温度も上がっていく。その逆で0以下の霊力はマイナス。説明しなくてもわかると思うけど邪気というのはこのマイナスの霊力と相性がいいの」
朱雀「邪神が復活のエネルギーを蓄えられる期間が冬の時期でしかチャンスが巡ってこないということか」
レイナ「そういうこと。完全体の状態で復活させたかったら冬をギリギリまで過ごすと思うわ。つまり半年は邪神を復活させることはない」
ギルフォードが口を開いた。
ギルフォード「更に戦いのレベルを向上させなければならな」
結人はマチスとの戦いで自分の弱さを思い知らされていた。
結人(今のままじゃ、、、ここを救えない。、、優奈だって、、)
すると封龍が語りかけてきた。
封龍『案ずるな。主は強くなれる』
結人(、、、どこにそんな保証があるんだよ)
封龍『ワシが主の体であそこまで軽く戦えたのは主のステータスの高さにある。ワシのあの力を発揮させたのはワシではない。主の体なんだ』
結人(俺の、、、)
封龍『しばらく体を休ませてから修行に入るぞ』
結人(、、修行)
レムは席を立った。
レム「この件を将軍に伝える。任務ご苦労。ここ数日はしっかり休めよ」
そして3人は官位室を後にし、寮に戻り、中央館の3階フロアリビングへと向かった。
健二「つっっかれたー」
健二はリビングに着くとソファに倒れこんだ。
朱雀「久々の出張だからな。疲れが溜るのは当然だ」
結人「けど俺達はこれから何すればいいんだよ?。結局デーモン逃してまた手掛かりがない振り出し状態じゃねぇか」
朱雀「さすがにここまで収穫して来れたんだぞ?。大佐の野郎共も少しは動くだろうから今はそいつらを利用して俺達は休息に入る」
結人「り、利用って立場わかってんのかよ」
結人は苦笑いだったがこれが朱雀だと自分に言い聞かせた。
するとそこに紅蓮色に染まる特攻服を身に纏う西城彩香が現れた。
彩香「よぉテメェら」
健二「あ、彩香」
結人(こ、こいつ風呂の時の、、)
結人の中で少しトラウマとなっている記憶だった。
彩香「、、、」
彩香は室内を見回した。
彩香「三人だけか?」
健二「おや?。誰かお探しの相手でも?」
彩香「あぁ?知るかボケ!!」
自分の履いているゲタを健二に投げつけた。
健二「ぐふぉ」
結人(やっぱおっかねえ)
彩香は朱雀を睨みつけた。
彩香「久々だなぁ朱雀。最近、アタイのとこに顔出さねぇから逃げてんのかと思ったぜ」
朱雀「あぁ?。こっちは仕事があんだよ。勝手な解釈してんじゃねぇよ」
朱雀が彩香に近づいてきた。
室内はとてつもないピリピリした雰囲気に包まれた。
彩香「アタイは忘れねぇぞウチで飼ってたニワトリ勝手に持ちだしてチキンにしたこと」
朱雀「テメェがニワトリを庭で放してたからじゃねぇか」
彩香「じゃあテメェは外にあるなら誰の構わず何でも食うのかコラァ!!」
朱雀「あん時は土橋の野郎が勝手にチームを抜け出してそれにイラついてたんだよ!!」
彩香「答えになってねぇよ低脳!!」
朱雀「るっせ鬼老婆!」
結人はその光景をみて朱雀に切なさを感じた。
結人(やっぱり滅茶苦茶なのな)
そこに土橋直也が女を連れて現れた。
土橋「今日は楽しかったね。1回ここで最後の1杯やりますか」
「ほんとに喜ばせるのうまいんだからっ」
すると彩香の口が止まった。
土橋は結人や彩香達に気づくと青ざめ始めた。
土橋「、、、あや、、あや、、、、や、やぁごきげんよう」
スッ
ズゴォォォォン
彩香の凄まじいマッハパンチが土橋の顔面を打ちぬいた。
その場にいた女性は悲鳴を上げて立ち去った。
結人「な、なにして!?」
健二「今は何も言わない方がいいぞ」
土橋は命の危険を感じたのか全力で逃げていった。
その姿を結人は遠目で見つめていた。
結人「、、、あいつ大変だな」
健二「彩香にとっては女の敵だからな、、、」
そして結人は先に部屋へと戻る為、1階に降りた。
するとそこで凪沙と出くわした。
凪沙「あ!。結人」
結人「偶然だな。怪我の方は?」
凪沙「この通りよ。大丈夫」
結人「よかった。ゆっくり休めよ」
凪沙「結人もね」
結人「おう」
結人は渡り廊下へ向かおうとした。
すると凪沙が咄嗟に結人を呼び止めた。
凪沙「あ、待って!」
結人「?」
凪沙「、、、任務で気絶してた時ね、、夢見てたの」
結人「夢?」
凪沙「夢にしては意識がしっかりあったっていうか。ちゃんと結人の声も聞こえてたんだ。また別の意識空間にいたのかもしれない。ただの勝手な解釈だけど」
結人「意識の空間?。んなある訳」
結人は封龍との意識空間を思い出した。
結人(いや、、まさかな)
凪沙「海の中にいる感覚の中だった。その中で女性の声が邪神のことを誰かに語りかけてた」
結人「、、、なんて?」
凪沙「邪神の復活を止めて欲しいって、、、エターナ?って人に」
結人「エターナ?」
凪沙は不安そうな顔を浮かべていた。
凪沙「これはさ、、、私の記憶が失ってることと何か関係があるのかな?」
結人「、、、凪沙の記憶と」
凪沙「任務の時からすごく、、、頭から離れなくて」
するとそこに黒いスーツを着た男性が現れた。
それは以前、レム大佐とローズガーデンで対面していた黒閖という准佐だった。
黒閖「エターナ。面白い人物名をおっしゃってくれますね」
凪沙「黒閖准佐」
結人(准佐?。下の官位は少佐だけじゃないのか)
黒閖は凪沙の顔を見つめた。
黒閖「そんなに思いつめてしまって可哀想に」
凪沙「いえ、、、そんなに」
黒閖「エターナとはマザーに継ぐ“亜人”の女神なんです」
結人「亜人?」
黒閖「霊力と邪気を両方持つ種なんですがおそらく今は存在しないでしょう。この世には霊力、邪気、そしてもう一つ、これは全次元にて頂点に君臨する力、、、覇道。亜人とはその覇道を封印できる能力を持っている」
すると凪沙の胸がその言葉に呼応するように心拍数が上がり始めた。
凪沙「ハァハァ、、」
黒閖「覇道を持つモノは限定されている。その選ばれたモノの一つとしてマザーの血。つまり雨宮さんの中で出た人物。エターナは覇道を封印できる唯一の亜人であり覇道の使い手だった」
凪沙「そんな、、人がな、んで?」
黒閖「、、、なるほど」
黒閖は凪沙に近づいてきた。
黒閖「これは見てみる価値がありそうです」
黒閖の裾から刃物が伸びて凪沙の胸を貫こうとした。
結人はその腕を受け止めた。
結人「、、、何してんだ」
黒閖「安心して下さい。霊体は魂を喰われない限りほぼ死にません。まぁ心臓を貫かれたままで放置していればそれは死にもしますけど治療室もある」
結人「ンなこと言ってんじゃねぇ!!。准佐以前にここの仲間としてなんで平気でそんな真似が出来るんだよ!!」
黒閖「おやおや。私のことを仲間と?。ならばレム大佐に私のことを聞いてみて下さい」
結人「なに、、」
すると凪沙がその場で倒れこんだ。
結人「凪沙!?」
黒閖「、、、」
黒閖はその場を無言で立ち去った。
結人はフロアリビングへ連れて行き、冷やしたタオルを凪沙の額に置いた。
結人「、、、すごい熱だ」
朱雀「黒閖、、。確かあいつは妖魔連合のことに関わっていたな」
フロアリビングに残っていた朱雀に事情を話し、朱雀は黒閖のことを話し始めた。
朱雀「だがこれだけだ。何やらこの件は機密にされていてな。これはどうやら突き止める必要がありそうだ。邪神と関連性の深いエターナという人物、亜人、覇道。黒閖はおいしい情報を持ってそうだからな」
結人「、、、俺はただアイツが許せねぇ。一発ぶん殴ってやんねぇと」
朱雀「よし。明日の夜、またここに来い」
結人「え?」
朱雀「黒閖の館に潜入だ」