ゴースト
本名はわからないがただ一つ言えること。
この年寄りはおかしい。
真夏だっていうのに黒いレインコートを着ておまけにマフラーも身につけている。
どう見てもコイツがサイトの本人だとは思えなかった。
結人「おいお前ホントにゴーストか?」
ゴースト「ゴースト?。あぁそう呼ばれているんでしたっけ私」
結人(ますますキモいおっさんだな)
ゴーストはニヤニヤと笑っていた。
結人「、、、なんだよ」
ゴースト「いえいえまさかこんな不良少年でも自殺したいんなんてねぇ〜。恋心というのはなんて人を弱くする感情なのか。私を呼ばないと自殺も出来ないなんて」
結人「っうるせぇ!!。そんなじゃねぇんだ、、、。アイツが死んでから俺は一度も笑えなくなった。俺が幸せになればアイツの悲しみはどうするんだって。、、、俺は逃げるんじゃねぇ償うんだ」
ゴーストは結人の言い分が終われば疼かせていた口先をまた開かせ始めあ。
ゴースト「そう!そう!人は償う生き物。借りを返す生き物。しかしまたそれにより嫌らしいことを考える生き物っっ」
結人「は?」
ゴースト「借りを返す、、、それは借りていたものを返すこと。悪い意味でもいい意味でもそう。また時にそれは償う場合にも当てはまる。しかし人とは何故か借りを返したというのことに次にまた何か見返りが来るのではないか?。そう考える連中もいる」
結人「その一人に俺も入るってか?。わりぃけど俺はそんなこと」
ゴースト「では何故彼女の死から丁度1年を図って自殺しようとしてるんです?」
結人「、、、え」
ゴーストは不気味な笑みを浮かべた。
ゴースト「ただの自殺ならそこまでしない。私は願書みて今日の日付にもたまたま気づいた。、、、アナタは意外とロマンチストなんですかね?」
結人「、、、俺は、、違うたまたま」
ゴースト「まだアナタは彼女との運命を切り離せないでいる。まるで彼女が生きているかのような扱いで」
結人の首筋は汗で溢れ出ていた。
ゴースト「死んだ人には会えないんですよ?。死んだ後に運命も出逢いもない、、、無だ」
結人「、、、」
そこに静かな潮風が吹き抜ける。
ゴーストの冷たい言葉が首筋の汗を乾かした。
ゴースト「けど、、、会えるかもしれない」
結人「、、、矛盾してんじゃねぇか」
結人の口は震えていた。
ゴースト「なら私に協力して死んでください」
結人「、、、」
ゴースト「まっ、理論上のお話ですよ。死んだ後のことなんか死んだ人にしかわからない。だから、行ってみましょうその死の世界へ」
ゴーストの手から紫色の光が現れた。
結人「、、、なんだそれ」
ゴースト「全ては覇皇魏獅の為」
ゴーストは空気中に次元の歪みを開いた。
結人「!?」
ゴースト「それではサバイバルの地へお楽しみあれ」
結人は光の中に呑み込まれた。
結人「うぁぁぁぁぁぁ!!!」
結人は光の中を直下高で落ちていく。
結人「どうなってんだ?。麻薬でやってくれんじゃねぇのかよ!?」
私を呼ばないと自殺も出来ないなんて
結人はゴーストの言葉が頭に蘇った。
結人(、、、あぁ。だぜぇな俺。だからこうなるんだ)
そうして自分に失望し眼を閉じた。
すると体が幽体離脱するように肉体が離れ、次元の漂流に流されていった。
結人「なっ!あっ!?。お、俺の体!!」
その時、目の前に斑の卵が現れた。
結人「!?」
『我が名は封龍(ホウリュウ)。世界の闇を封する衣』
結人「は?」
『主の体を貸せ。ここの漂流の行き着く先は幽谷呪樹海。このままでは呑まれてしまうのが落ちだ』
結人「どうすれば!?」
『、、、主は生きたいか?』
結人はこの漂流の中で先程のゴーストの言葉が今と重なった。
結人「、、、俺には死ぬ勇気がなかった。生きたいとも思わなかった。、、、けどあのおっさんの、、優奈とまた会えるっていう不可能なことを口にされただけでこんなにも心が惑わされた」
『、、、死というのは私は美しいことだと思う』
結人「、、、?」
『死というのは1人に消えず、一人でも誰かの心に残ってしまうからな』
結人「、、、それのどこが美しいんだよ」
『一人の死に対して誰かが生死について考えてしまうからだ。その時にわかるもの気づくものがある』
結人「、、、」
『貴様は大切な人が死んで何に気づけた』
結人は優奈の最後の笑顔を思い浮かべた。
その裏にある悲しみを見つめて。
結人「アイツの孤独を知った」
『、、、』
結人「気づいてやれば、、、死にたいって思ってたなら、、、俺が俺の気持ちを正面から伝えてアイツと真っ直ぐ向き合うべきだった!」
『、、、そうか』
結人「、、、だから俺はもう」
『もう死のうと覚悟した。ならばあとは生きて償え』
結人「だからなんで!」
『死とは絵だ。完成された先に何も付け加えることなど許されない。貴様は死んでからの彼女の声に耳を傾けたか?』
結人「死んだ彼女の声?。死んだやつの声なんて」
『貴様が死ぬなら彼女はなんと言うか考えたことがあるかと聞いておるんじゃ!!!』
結人「な、なにキレてんだよ!!」
『キレるわ!!。もう幽谷呪樹海に近いんだからのぉ!!』
結人「それ自分のことじゃねぇか!!」
『とにかく体を借りるぞ!。少し辛かろうが我慢せい!!』
封龍は結人の体を乗っ取った。
封龍「、、、よし」
結人『よしじゃねぇよ何やったんだよ!?』
封龍と結人の精神が入れ替わり
結人の意識は封龍の中に入り
封龍の意識は結人の霊体に入り代わった。
封龍「元子抜刀!!」
封龍は剣を生成し漂流の中から別次元へ斬りこみを入れ、そこに入り込んだ。
結人は封龍の中からその世界の景色を見渡していた。
結人『、、、ここは』
そこはあまりにも幻想的な空間だった。空中からゆっくりと着地し
足を地面につけた。
封龍「、、、ふむ」
結人『ふむ、じゃねぇよ早く体返せ』
封龍「、、、そうだな。とりあえずはこれで助かったのだしな」
すると封龍は結人の精神に入った。
結人「、、、いやお前出てけよ?」
封龍『水臭いの。少しくらいよかろうが』
結人「、、、たく」
空は少し紅に染まりつつあった。
結人「ここどこだ?。日本の気候とほぼ変わんないように見えるけど」
封龍『霊界だ』
結人「霊界、、、そっか。一応死んでるのか俺」
封龍『、、、いや。半霊体として今、貴様は生きている』
結人「は?」
封龍『とにかく先を急ぐぞ。魔人に見つかったら終わりじゃ』
結人は聞きもしない魔人という得体の知れなさの恐怖に辺りを見回した。
結人「ま、魔人」
結人は高層ビルの廃墟が建ち並ぶ町に来た。
結人「お、おいなんだよここ」
封龍『ここもデーモンにやられたか』
結人「魔人の次はデーモン?。何なんだよこの世界は」
封龍『ここは魂の送られる世界、霊界だ。かつては存在しなかったこの現実世界と輪廻の狭間の空間。原因は幾千年の時を越えた人々の感情が魂から抜け狭間の無空間を彷徨い続けた。そうして無空間で共存してきた喜怒哀楽は接触と同時に感情が結合され命を宿した。しかしそれにより多大な感情エネルギーは魂の漂流下である濁流のエネルギーと衝突し1つの有機空間が生まれた。それが今に至る空間世界だ』
結人「なるほどな。ん?。じゃあ俺がこの空間に逃げこむことなかったら普通に輪廻に送られてたんじゃねぇのか!?」
封龍はまたかしこまって話し始めた。
封龍『それがそうも行かなくなってな。霊界の場合は漂流外に存在した為、滅多なことがない限りここには呑まれない。しかし漂流の標準に定まった、まるで意図的に仕組まれたかのように生まれたもう一つの空間世界。幽谷呪樹海。これが現実世界と輪廻の狭間を邪魔してな。魂をそこで輪廻に送らせずその世界へ呑み込まれてしまう』
結人「そうなると、、、どうなる?」
封龍「現実世界に命をもたらさず世界はいずれ人類を消すことになる」
結人「なっ!?」
封龍「そうならない為にワシは一刻でも早く卵から抜け出し幽谷呪樹海の侵入方法と謎、霊界に迷い込んだ人々の解決を探したかった」
結人(、、卵から抜け出し?。なんか違和感ある言い方だな)
すると結人の目の前に軽装な格好をし、髪をポニーテールでまとめた少女が現れた。
?「魔人達より早く見つけられてよかった」
結人「、、、誰だお前?」
?「うるさい。こっち来て。私達のアジト紹介するから」
小生意気な態度に結人は少し頭にきた。
結人「あ?待てよ。一方的に話進めんじゃねぇって」
?「何よ?。ここに居たら危ないって言ってるだけでしょ!。今、私は君を助けてるの!!」
結人「勝手に言うな!。なんだよ初対面早々その態度!?。んなもんアジトとかぜってぇあぶねぇだろ!?」
?「、、、わ、私は雨宮凪沙(あまみやナギサ)。アジトっていうのは私達みたいな魂が迷いこんだ人達が集う場所なの」
少女は急に冷静さを取り戻した。
結人「、、、」
封龍『邪気は感じない。霊界の害的存在でもなさそうだ』
凪沙は無愛想な表情で結人を横目で様子を伺っていた。
結人「、、、わかった。行ってみる」
すると凪沙は薄っすらため息をついた。
凪沙「じゃあ、行こ?」
その時、凪沙と封龍が目つきを変えた。
ロイド「だめだデュース、、、腹減った」
デュース「同感だ。人間が1匹と1匹。丁度いい分だ」
高層ビルの上から結人と凪沙を見下ろす男二人がいた。
一人は短髪白髪のツンツンヘアーでロックな雰囲気を漂わす男。
もう一人は肩までつく白髪の長髪でクールな雰囲気をした男だった。
結人「なんだあいつ等?。てかどうやってあんな高いとこに」
凪沙「魔人、、。見つかったか。もう!。君がいつまでも動かないせいだ!!」
結人「え?、俺のせいかよ!?」
凪沙「だから男は面倒なのよ!!」
結人「っあのなぁ!」
凪沙「ほら来る!!」
魔人二人は高層ビルから飛び降り二人に襲ってきた。
凪沙「くっ!」
凪沙は手に太刀を生成した。
結人「!?」
凪沙「ここから離れて!」
凪沙は魔人二人を太刀で攻撃した。
ロイド「おっつ!。譲ちゃん怖いねぇ~そんな大きな棒切れ振り回して」
すると魔人二人の肩に刻まれた鬼の刺青が凪沙の目にとまった。
凪沙「お前ら妖魔連合の二翼!?ロイド、、デュース」
ロイド「ィギャハハハハ!!。気づいてビビっちゃった!?。んな怖がんなさ。どうせほんのそよ風が通るだけの話さ」
凪沙は汗を垂らした。
突然、凪沙の視界からロイドが消えた。
凪沙「!!」
凪沙は瞬間的な邪気を感じて太刀で攻撃を防いだ。
バシィン!!!
凪沙は5mにある建物に衝突した。
凪沙「ぅ、、」
ロイド「さぁ貰おっかな譲ちゃんの体」
ロイドは鼻息を荒くして凪沙に近づいた。
油断しているロイドの背後から結人が鉄の棒で殴りかかった。
ガツン!
ロイド「いっ!、、、」
結人「ハァハァ、、」
ロイドはニタリと不吉な笑みを浮かべた。
ロイド「お前?。殺すよ?」
結人「、、くっ(こえぇ、、けど助けなきゃならねぇ。あいつが殺されるなら。)」
結人は棒を持つ手が震え始めた。
結人(けど鉄の棒であんな普通にしてやがるのに、、、どうすりゃ)
封龍『助けたいか?』
結人(え?)
封龍『貴様には命を救ってくれたからな。今度は貴様の番だ』
結人(なんだ?。なんかあるのか?)
封龍『封龍という名はな、偉大な龍の驚異的力を封印したことから名付けられた。本来ワシの器となった霊体は消滅するところなのだが貴様とは相性がいいのかその肉体は無事らしい』
結人(勿体付けんな!。早く手段を教えろ!)
封龍は結人の体に熱を帯びさせた。
結人「あつっ!」
封龍『その肉体はワシの力を少しずつ露わにする。いいか。急激に熱は上がる一瞬にして1000000度だ』
結人(ひゃ、100万!?)
封龍『霊体が耐えきれる熱度は10万。100万に到達して1秒でもその衣に纏わせてみれば貴様はそこで消える』
結人は息を呑んだ。
封龍『しかしその一瞬を感じ取り拳を相手に突きつけさえすれば熱は全てその拳から放たれる』
結人(一か八か)
封龍『ワシの力に耐えられる器だ。ここさえ潜り抜ければあとは使いこなすだけだ。期待しているぞ』
ロイドは結人にジワリジワリ近づいていった。
ロイド「ほぉら怖いねぇ怖いねぇ?。けど大丈夫。その恐怖も俺の手が届く距離に来た時はもう無いからさ」
結人の体はだんだんと熱を上げる速度を上げてきた。
結人「ハァハァ、、これがあとから一気に」
凪沙はふらふらと立ち上がった。
凪沙「逃げ、、ろ」
結人「、、、無理だ」
凪沙「な、なんで!」
結人「もう誰かの死に、、手遅れだなんて!そんなことさせちゃならねぇんだよ!!」
凪沙「、、、」
デュースは結人の異変に気づいた。
デュース(この温もりを帯びた感覚、どこかで感じたことがある。いや、、むしろ今まで傍にあったようなこの)
デュースは卵が脳裏に浮かんだ。
デュース(やつは先程この霊界訪れた。俺達はその数時間前に卵を次元の漂流に送った、、、まさか!?)
ロイドは結人に飛びかかった。
デュース「まてロイド!!」
結人(、、、俺が助ける!!!)
ブァァァァァァ!!!
結人の周りの足場が一気に砂のように塵となった。
拳を突き出した先は空気中にも関わらず黒い煙がたっていた。
結人「ハァハァ」
魔人二人は高層ビルにいた。
見るとデュースの右腕が消えていた。
デュース「ハァハァ」
ロイド「わ、わりぃデュース」
デュースは結人を見下ろした。
そうして無言で二人は姿を消した。