周りに放たれた熱はおさまり、灼熱の気温は止んだ。
結人「ハァハァ、、、」
凪沙が結人に近づいてきた。
凪沙「あ、ありがと。助けてくれて」
結人「、、、雨宮」
凪沙「ぁ、、そういえば君の名を、、!」
凪沙は結人の姿に驚愕した。
結人は凪沙の目線に気づき、自分の体を確認すると
放たれた熱を帯びた右腕は焼滅していた。
結人「な、、ぁぁぁぁぁぁ!!」
凪沙「お、落ち着いて大丈夫!。アジトに行けば右腕は復活するから」
結人「ほ、ほんとか。けどなんで」
すると封龍がまた結人に話しかけてきた。
封龍『うむ、どうやら半分成功の半分失敗に終わったようだ』
結人(、、、右腕だけで済んだってだけでもよかったってことか?)
封龍『ああ。しかし山は超えた』
結人「?」
凪沙は結人の右肩を止血する為包帯を巻き始めた。
結人「ぃつっ!」
凪沙「痛いと思うけど我慢してね?」
結人「、、、わりぃな」
凪沙(、、、謝れるんだ)
凪沙は少し笑った。
結人「、、、んだよ」
凪沙「へへ、よく挨拶出来ましたね〜、って思って」
結人「てめぇバカにしてんのか?」
凪沙「バカなんかしてませーん」
凪沙は舌をベーっと出した。
その際に手に力が入り、結人の肩を少し締め付けた。
結人「イテッ!、ぉ、お前なぁ!!」
凪沙「ご、ごめんわざとじゃないの!」
結人「、、、」
結人は唖然とし、笑いを堪えていた。
凪沙「な、なに」
結人「へ、よく挨拶出来ましたね〜、ってな」
凪沙「ムカッ。わざと締めるよ」
結人「や、やめろ」
そして沈黙になりただ懸命に包帯を巻いていた。
結人「長瀬結人だ」
凪沙「ぁ」
結人「、、名前聞きたがってたろうが」
凪沙「そっか。よろしくね結人!」
封龍はそのやり取りを精神世界から見ていた。
封龍(しかし、ワシの力を一発でほとんどモノにするもそう。この男は一体何者だ)
そして二人はしばし足を進め賑やかな町並みにきた。
結人「あるんだやっぱ賑やかなとこも。完全にダークな世界の印象だったぜ」
凪沙「ここは霊体の集う大都市。ここを拠点に私達は輪廻へ行ける手段を探しているの」
結人「へぇー」
凪沙「ちなみにここに住む子供以外の16才以上から大人はほぼ戦闘に備えていつでも戦える実力者達で、私達はその戦闘専門の仕事に就いてるの」
結人「戦闘専門、、あの魔人とやらを倒す集団ってことか?」
凪沙「そう。中でも私達が今、目につけているのはデーモン」
結人「?」
するとそこに金髪の男が現れた。
?「凪沙。そいつがルミナ廃墟地帯にいた霊体か?」
凪沙「ぁ、結人。紹介しようこいつは私の仲間」
?「松平賢二で〜す」
まるで寝起きの様な喋り方で結人に話しかけてきた。
賢二「どうやら素質はありそうだな」
結人「、、、俺は長瀬結人」
賢二「そっか、よろしくな結人くんっ」
結人(さっきから温い話し方しやがるな)
封龍『しかしヤツから感じる霊力は本物だな』
結人(霊力?)
賢二は結人に肩を組んできた。
結人「ちょっ!」
賢二「まっ、死に方がどうであれ俺達は死にきれなかった」
結人「、、、」
賢二「死に損ない同士頑張ろうぜ!」
賢二はニッコリと笑みを浮かべた。
結人(、、、変な奴)
封龍『だな』
結人(お前いちいち俺の心ん中干渉すんじゃねぇよ?)
封龍『そうか。それは失敬。では少し眠りにつくとする』
結人(、、、コイツなんでここから出ないんだよ)
そして三人は街なかを歩いていた。
結人「んであの廃墟地帯のとこに現れた二人組は何なんだよ?」
凪沙「妖魔連合の二翼のデュースとロイド。妖魔連合といったら霊界の殺戮集団の中でも頂点争いをしていた程の実力。普通なら部下を相手の勢力に当ててボスはボスでケリをつける。けれど妖魔連合のボスとその側近の二翼は違った。千を超える部下を後に続かせ、ボスと二翼の三人が幹部含めた相手の勢力を蟻かのように蹴散らしていった。たとえ数が妖魔連合を上回っていても。相手の頭にたどり着くときには数でも力でも既に上回っていた」
結人「へぇー」
話し込んでいると目の前に学校の様な建物が建っていた。
結人「ん?」
賢二「おっ、話し込んでる内に着いちまったな。ここが俺等のアジトだ」
結人「こ、これが?。もっといかつい系の建造物を想像してたんだけど」
賢二「ははは。それじゃ物騒すぎてこの町には合わねぇよ」
三人は門を抜けて中庭の敷地を歩いていた。
そこは様々な花を咲かせた花壇や中央には噴水。
右奥にはローズガーデンの花畑の休憩場所がある。
凪沙「あそこはローズガーデンって言ってみんな空いた時間にはあそこで休んでたりするんだ。たまに町の人が商売で食べ物とか売りに来たりするし」
結人「な、なんかエラくイメージが変わるな」
凪沙「それはみんな思ってることだって。結人が思っている程ここは厳しくありませーん」
賢二は携帯の着信に気づいた。
賢二「やベ。レム大佐からだ」
凪沙「書類提出してないでしょ?。あの書類、佐官関係にあるから遅れたら大変だよ?」
賢二「ちぇ。じゃあさ凪沙は結人にここのアジト案内しといてやってくれ」
凪沙「えー、私ぃ!?」
結人(なんで嫌そうなんだよ)
結人は引きつった笑い方をした。
凪沙「まっ、いっか。少しは助けてもらったわけだし」
結人「なんで偉そうなんだよ」
凪沙「ふん」
賢二は早急に大佐のところへ向かっていった。そうして凪沙は結人にアジトの案内をすることになった。
凪沙「このアジトは学校をモデルにしてるからみんなここを呼ぶときは学校って言ってる。だから結人の感覚は別に不思議じゃない」
結人「やっぱ学校かよ」
凪沙「上空からだとH型に校舎は作られてるんだ。私達から見て左がX棟。戦闘や霊力の授業、実践が行われるの。右のY棟には武器、戦闘機の授業、実践。結構覚えることたくさんあるよ?」
結人「だるそー」
凪沙「何よ私が教えてあげてるんだからしっかりここでは学習してよね?」
結人「いや意味わかんねぇって。てかお前が教えることに何の特別性があるんだよ。まず入るなんて一言も言ってないし」
凪沙「もぉ!面倒くさいな!!。黙ってついて来て」
結人「へいへい」
凪沙は真ん中の高い塔の前にきた。
凪沙「上空からはH型だけど実際X棟とY棟の繋ぎ目のところは6階建てのリフレッシュサイドなの。一階は体育館。2階は治療室と保健室。3階は図書館、売店。4〜6階はサロンでオシャレな呑み場から若者達が使うフードコートだったり喫茶店がある。屋上には展望台テラス。夜とか来るとすごいきれいなんだよ」
結人「展望台とか気になるな!」
凪沙「行く?。まだ紹介までに時間あると思うし行けるんじゃない?」
結人「行ってみようぜ!」
そうして二人はエレベーターで屋上にきた。
凪沙(はしゃぐ姿は純粋なくせに)
結人「へー、校舎の裏は海一面だな。眺めいいわこれ」
凪沙「でしょ!」
するとそこに若い美男女二人組が近づいてきた。
?「ん?。君はもしかして新しくここに入隊するのかい?」
??「ちょっと躊躇なく話しかけないの大和(ヤマト)」
胸には隊員証のような名刺をつけていた。
結人「?。誰だ?」
?「俺は的場大和。君は凪沙と同い年っぽいな。因みに俺は21歳だからほとんど3つ違いかな?」
結人(いや。歳に比べて大人っぽいなこの人)
??「私は同じく粟田月音(あわたツキネ)。よろしくね新人さん」
結人「よ、よろしく。(超絶美人じゃねぇか)」
月音は凪沙とも会話を交した。
月音「配属任務の方は順調?」
凪沙「どうですかね。デーモンのアジトも突き止めてもいない状況なので」
月音「焦らずにね?。私と大和の任務も終わりが見えてきたからもし片付いたらデーモンの任務に配属させてもらってもいいかしら?」
凪沙「つ、月音さんがこちらの力になってくれたとても頼もしい限りです!」
月音「ふふ。じゃあまたね」
結人はその様子を眺めていた。
結人(この二人強いのか、、、)
結人は屋上から外を眺めた。
結人「町だけ見てると東京だな」
そうして大和と月音はその場を後にした。
話し終えた凪沙は展望台から町を一望している結人を見つけた。
凪沙「ぁ、いたいた!。どこ行ったかと思っちゃったじゃん?」
結人「、、、わりぃな」
凪沙「どうした元気ないぞ~?」
結人「、、、凪沙も漂流途中でこの霊界に呑み込まれたんだろ?」
凪沙「、、、わかんない」
結人「え?」
凪沙は展望台から町を見下ろした。
凪沙「生きてる時の記憶とか、ないんだ」
結人「、、、悪いこと聞いたな」
凪沙「なんか私が弱いやつみたいに聞こえるんですけど?」
結人「は、はぁ!?。なんでそうなるんだよ!?」
凪沙「べーっだ」
凪沙は感情だけでなく表情の表現も豊かな少女だった。
そんな少女が笑みを浮かべて結人のことを見つめた。
凪沙「結人はこの世界でやりたいこととかないの?」
結人「やりたいこと、、、」
結人は優奈を脳裏に浮かばせた。
結人「やりたいことっていうか、、俺の目的があるんだ」
凪沙「目的?」
結人「優奈っていう俺の友達を探してる」
凪沙「友達を」
結人「幽谷呪樹海ってのにのまれてたかもわかんない。けど、そうやって決めつけたらあいつの死に目を背けることになりそうなんだ」
結人は拳をぎゅっと握り締めた。
凪沙は何かを貫こうとする真っ直ぐな目に切なさも感じた。
凪沙「見つかるよ。私も協力するから」
結人「ぇ?」
凪沙「だからそんな強がるような顔しなぁい!!」
凪沙は勢い良く結人の背中を叩いた。
結人「イッテ、何すんだよ、、」
結人は半分キレ気味の苦笑いを見せた。
凪沙「あはははっ。ベーっだ!」
結人「が、ガキかよ」
すると屋上の扉を蹴り飛ばして出てきた男が現れた。
結人「!?」
凪沙「、、、はぁ」
そこには髪の毛を後ろに逆立て、前髪は目元まで伸ばす荒そうな男が現れた。
?「よぉう雨宮ァ。今日もお天道様はピッカピカだなぁ」
結人は柄の悪いその男に少し嫌悪感を抱いた。
結人「な、なんだあれ」
凪沙「沢田朱雀(さわだスザク)。私と同じ任務で動いているチームメイト」
結人「、、、こんな奴と一緒なのか?」
結人はボソッと呟いた。
朱雀「ぉいいテメェ!?。聞こえてんぞォゴラァ!!?」
結人「き、聞こえてんのかよ」
朱雀「上等だなぁその態度。テメェはいっぺんやっとかねぇといけねぇよ」
朱雀は槍を召喚した。
結人「槍!?。凪沙もそうだけどこの勝手に出てくる武器はなんだよ!?」
凪沙「霊護牙(ティエクト)って言ってね、私達には霊体になった時から霊力っていうのが体に通っていて対魔人の性質になってるの。ティエクトはその霊力を具現化してた武器のこと」
結人「どうやって出せるんだよ?」
凪沙「霊力がある以上、自分のコスト内でのものは簡単にできる。結人の手にしっくりくる武器をイメージすればいい。でも具現化っていうのは一度使うとその霊力は還ってこないから武器は1つに定めるべきなの。だから自分の一番の武器を選んで」
結人「一番の武器か」
朱雀は槍を構えた。
朱雀「説明は終わりか?。んじゃまぁ、とっとと始めようぜ!!」
結人「、、、」
結人は竹刀を思い出した。
結人(、、、やっぱそうなるわな)
結人は手に長剣を召喚した。
そして直ぐ様、槍の攻撃に対応し、相手の動きを止めた。
朱雀「ほぉう、、やるじゃねぇか」
結人「こういう類なら使い慣れてるんでな」
凪沙は結人の飲み込み様に驚きを隠せなかった。
凪沙(すごい潜在能力だ。結人がもしこの組織の一員に加わったらきっと更に)
結人と朱雀は互いの武器を交じり合わせていた。
朱雀(構えも日本流であるが少し型外れの独特な攻撃だ。悪くねぇ。足の使い方から相手との距離感。剣道やら武道でもやってたのか?。しかし腕はいっちょまえだ)
結人(こいつ全然本気出してねぇ!!。いくら攻め入りようとしても槍を巧みに熟しやがる!?。これがここで戦う為の最低条件か)
朱雀はニヤリ笑みを浮かべた。
朱雀「俺の名は沢田朱雀。てめぇの名は?」
結人「、、、っ長瀬結人だ」
朱雀「俺は結構な地獄耳でよ。階段上がってる最中に雨宮とお前の会話聞いちゃったんだよなぁ」
結人「どんだけ地獄耳なんだよ、、」
朱雀は攻撃をやめた。
朱雀「俺らは霊力を感知できるが魂ってのはこうやって対面しないとわからねぇもんなんだ」
結人「、、、いきなりなんだよ」
朱雀「けど俺らの感知ってのは霊界降り立った際に起きる違和感でしかない。1日もすればこの空気中の霊力に溶け込んで俺達の感じた違和感もなくなっちまう」
結人「、、、何が言いたい」
朱雀「霊力を感知してから1日の間で見つけられなかった霊体はここ最近にも5人程はいた。一ヶ月を通すと100上回るけどな。もしかしたらその中にお前の探している女がいるかもしれねぇってことだ」
結人「!?」
その時、学校内にチャイムが鳴り響いた。
朱雀「今からお偉いさんと顔合わせだろ?。レム大佐にも試しに聞いてみろよ」
結人「てかお偉いさんとって?」
朱雀「んだよ知らねぇのか佐官の3人のことだよ。レイナ少佐、ギルフォード中佐、レム大佐。どいつもノリのわりぃ連中だからお前の件に耳傾けてくれっかどうかわからねぇけどな」
朱雀はそう言いその場を跡にした。
凪沙は結人の背中を押した。
結人「うぉっ、ちょ!」
凪沙「佐官対面に遅刻はダメだから急ぐよ!」
そして佐官室の前に訪れた。
凪沙「あとは頑張ってね!」
結人「あ、ああ」
ガチャ
扉を開くと奥の長机に3人の佐官が座っていた。
レイナ「あら。案外いい素質持ってそうじゃないキミ?」
ギルフォード「先に挨拶だろレイナ少佐。私は中佐を務めるギルフォード・テンセルグだ」
レイナ「中佐になったからって生意気。私はレイナ。レイナ・オースカスレット。よろしくね坊や。因みに27歳だから狙えるチャンスはいつでもあるからね」
ギルフォード「止めろレイナ少佐。ここのレベルが皆そのように思われる」
レイナ「、、、因みにギル君はまだ30前半にして加齢臭ヤバイから苦労するわよ?」
ギルフォード「貴様、私が気にしていることを!」
結人は3人の前に立つだけで霊力の圧を感じていた。
結人(すごい霊力だ。これが佐官。けど何だ、、、この何とも言えないやり取りは」
そして最後に3人の中で一番年層が深そうな40代くらいの大佐が口を開いた。
レム「私はレム・ゴスバイン。名前は聞いているよ長瀬結人君。まず率直に聞くが、、君はここに入りたいか?」
結人「、、、条件があるんだ」
レム「、、、条件?」
レイナはくすくす笑みを浮かべた。
レイナ「最近の若者って生意気な子ばっかなの?」
ギルフォード「さぁな」
結人は霊力に押し潰さることなく真っ直ぐな目で3人を見た。
結人「探している子がいるんだ」
レム「それはこのアジトの者にとって必要か?」
結人「必要ではないと思う。けど俺はここでならアイツを見つける手がかりが掴めると思った」
レム「、、、」
レイナは立ち上がり結人に近づいてきた。
レイナ「う〜ん私よりは少し身長低いのが残念ね。坊や?ここはアナタのわがままにつき合える場所じゃないの?。その子一人なんかより世界に目を当ててちょうだい?」
結人「、、、無理なら俺はここには入らない」
すると佐官室に暴風が吹き荒れた。
気づくと結人の足場の周りの床は傷だらけになっていた。
結人「ハァハァ、、、」
レイナ「もう一度言ったら私は君を殺すよ?」
レム「レイナ下がれ」
レイナを厳しい目で睨むレム。
さすがのレイナもやったことの情けなさを自覚したのか席についた。
結人「、、、残念です」
レム「いいだろう」
結人「?」
レム「実際のところ霊体捜索部隊は手に余るほどいてな。何人かは依頼によって捜索願いを出されている人物を専門に当てて調査している者もいる。ここはアジト内の任務だけでなく町の些細なことまでの依頼を受け持つ依頼のプロでいなければならない。君がその子の名前や特徴や死んだ時刻などを捜索部隊の依頼書に書いて私に渡してくれたら正式に依頼として本気で捜索させよう」
結人「ほ、本当か!?」
レム「君がここに入隊してくれたらな」
結人は心の中に今までにない希望を感じていた。
それは生きていた頃、遠に失せた感覚。
そして結人はこの霊界で生きようと
そう決意を固めた。