また主人公sideが出ません……
それではどうぞ!
和哉side
悪魔払いについて説明された俺は一人で街を彷徨いていた。リアス達には何とか言い含めて俺がショックを受けているように見せたが、それが続けば不審に思われるかもしれねえ。今度こそ格好いい所を見せないといけないな。
にしても、今回俺と踏み台以外に新しい転生者が現れやがった。そいつもあの様子だと原作を知ってるみたいだからこのままうまくいかなくなる可能性がある。まぁ、俺が主人公になっているんだからまだそこまで変わっているわけないだろ。踏み台とかまだ雑魚だし。
とりあえずまずは教会から逃げた筈のアーシアを見つけないとな、と考えていると誰かとぶつかった。すみません、と会釈してそのまま進もうとしたが、顔をあげてぶつかった奴を見ると
「って、アーシア?!」
「和哉さん?!」
まさかの探していた当人だった。
「このハンバーガーは美味しいです!」
偶然再会したアーシアに対して、原作通りに進めるために入った。だが、アーシアにハンバーガーの食べ方を教えようとしたが慣れたようにハンバーガーを注文し、少しずつ綺麗に食べていく。既に知っていたことに俺は驚いたがそれ以上に、
「(何でそんなに食べれるんだよ?!)」
アーシアが食べる量に驚いていた。店に入って三十分の間に1.5倍の大きさのハンバーガーが4個目に突入していた。少しずつしか食べてない筈なのに俺よりも速いスピードでハンバーガーの山を減らしていくアーシアに俺は唖然とした。
「あの後は大丈夫でしたか?」
「はい。何もされませんでした」
「そうですか。よかったです」
そう言うと何か言おうとして止めるというのを何度か繰り返した。気まずいのか?あの状況だと目の前で不本意ながら別れるしかなかったからな。そのまま戦闘を続けていれば更に状況が悪化していたのはさすがに分かったし。アンチオリ主になって堪るか。誘いにくいなら
「あの、えっと…」
「今日は時間があるかい?」
「え?」
俺から誘わせてもらおうか。
「和哉さん凄かったです!」
「本気を出せば楽勝だよ」
アーシアを誘ってゲーセンに行き、UFOキャッチャーで原作通りにラッチューを取って渡すとアーシアが大事にします、と言って喜んだ。俺にかかればあの程度楽勝だな。その後、カーレースやコインゲーム、プリクラを撮る等をして外に出ると、外は夕方になっていた。公園の近くを通ると、怪我をして泣いている子供を見つけた。
「すみません、少し待っててください」
アーシアはそう言うと子供の所へ駆け寄る。
「どうしたのですか?」
「ヒック…転んじゃって……」
「大丈夫ですよ。少し目を閉じて下さい」
「う、うん……」
子供が不安そうに目を閉じると、アーシアが膝の怪我に手を向けると明るい緑の光がこぼれた。それが消えると怪我も無くなっていた。やっぱり
「目を開けて見てください。もう大丈夫です」
「うわぁ……!!」
目を開けた子供が本当に怪我が消えているのを見てジャンプを2、3回した。それによって痛みが無いことを確認して笑顔になった。
「お姉ちゃん、ありがと-!」
「次から気を付けてくださいね」
「うん!じゃあね!」
アーシアの言葉に大きく頷いた後、腕を大きく振りながら走って行った。子供を見送った後、俺がまだここに居たのを思い出したのか少し顔を青くしたが、覚悟を決めたような顔になった。
「やっぱり神器ですよね……?」
「話しを聞いてくれませんか?」
ーーーアーシア・回想・ーーー
私、生まれてすぐ親に捨てられたんです。ヨーロッパの小さな田舎町の教会、その前で泣いていたそうです。
その教会で育てられて、8歳になった日のことです。怪我をして瀕死になった子犬が、教会に迷い込んできました。私はその子を救いたくて一人で必死に神に祈りました。すると、奇跡が起きたんです。子犬の怪我は、緑色の光でたちまち治っていたんです。
その力を見て、教会に所属していた神父様が本部に報告しました。そして、私はすぐに大きな教会に連れて行かれ、世界中から訪ねてくる信者の方の病や、怪我を直すよう言いつかりました。私は、自分の力が人々のお役になれることが、とても嬉しかったです!私は言われたまま信者の方の病や怪我を治しました。その時に出会った師匠からも様々な事を学ばさせていただきました。
ですが、いつの間にか、怪我を治療した人も、みんな私を『聖女様』と崇めるだけで私を名前で呼んでくれる人は居なくなっていました。その事実に気付いたとき、私には、友人は一人もいませんでした。それが少し寂しかったですが、師匠に励まされ、それでも私は困っている人を救っていこうと誓いました。
そんなある日、教会の前で怪我をして倒れている男の人に出会いました。けど、その人は悪魔だったんです。それでも、私は放っておくことはできません。いつも通り力を使いました。そして……
「悪魔を治療する力だと!?」
「魔女め!」
悪魔を治療するような力を持つ者は、聖女ではなく魔女だと……。
異教徒の烙印を押された私は、悪魔が去った次の日に自分の荷物を持って教会を追放されました。
勿論、それは辛かったですけど、一番辛かったのは……
私を庇ってくれた師匠が、教会を半壊させたまま何も言わずに居なくなったことなんです。
そこで、ようやく私は気がつきました。信者の方を癒す者は『聖女』。悪魔を癒す者は『魔女』。『アーシア・アルジェント』という存在は、教会にいた方々と私が助けた方々の目に映っていなかったんだと……。そして、私は免罪符のように師匠に依存していたのだと。
ーーーアーシア・回想終了・ーーー
公園のベンチでアーシアが俺に話した過去は原作とそんなに変わってはいなかった。だが、唯一違う存在のせいでアーシアの過去に少し変化があったようだ。
「でも、ずっと信仰と共に歩んできた私は、教会以外の生き方を知りませんでした。ですが、それでも師匠に立派に胸を張れるような人になりたいという気持ちで溢れていましたから。たとえ1人でも神の教えを信じ、立派な教会を運営しようと思ったのです。」
俺はいい加減突っ込みたかった。原作にはいない存在。その師匠って誰だよってな!!それをかろうじて飲み込みつつ、話を続ける。
「そうだったのですか。ですが、今のアーシアは1人ではありませんよ」
「え………?」
俺はベンチから立ち上がり、アーシアに手を差し伸べる。
「悪魔ですが、僕と友達にきちんとなりませんか?」
「いいんですか?」
「僕はアーシアが友達になってくれたらとても嬉しいです」
「……は、はい!!」
喜んだアーシアが俺が差し伸べた手を握ろうとした瞬間、アーシアの足元に光の矢が突き刺さった。
「それは無理よ」
矢がきた方向へ顔を向けると、そこには黒い翼を広げ、まるで空中に立っているかのように浮遊する女性がいた。以前デートした時の落ち着いた服装とは違って、黒地で露出の多い色気のある服装を纏っているレイナーレだった。