それではどうぞ、よろしくお願いします!
私達はそのまま玄関から家に入った。
「「ただいま!」」
「お、おかえ「お邪魔、します」…………遥輝、その子を普通の服に着替えさせとけ。お前の服なら入るだろ?」
一目見てヴァーリの服がボロボロなのに気付いたのか、遥輝に頼んだ。拓斗、完全にこの状況に慣れてるな。
「う、うん。こ、こっちだ」
「あ、ああ」
動揺しながらも理解した遥輝はオロオロと周りを見ているヴァーリの手を掴んで自分の部屋に連れて行った。残ったのは、私と拓斗だけだ。二人が見えなくなったのを確認してから眉間に皺を寄せつつ私を見ている。皺が取れなくなるぞ?
「なぁ漆、半年前に見たことがある状況なんだが、どういうことだ?」
ん?
「少し違うぞ?今回は逃げてきた彼を家に連れ帰っただけだ。加えて夜に彼のいた施設に特攻仕掛けるつもりだがな!」
「結局拾ってる事に変わりないだろーが!」
私はゴツンっと拳骨を喰らう。来るのは判っていたから身構えていたが、それでも痛いものは痛い。
「っ~!!」
「はぁ……今回もこれで勘弁してやる。で、今回の経緯は何だ?」
「ああ、それはな?」
~説明中~
「と、言うわけだ」
説明が終わると、また呆れた目で私を見ていた。
「だから特攻を仕掛けると」
「でなければ、彼は極論だがずっと逃げ続けるか捕まって実験がまた続くかの二択しか無いような物だぞ?子供は元気に笑顔を振りまいて幸せでいたらいいんだ」
「俺らも一応子供だぞ」
「うっ、揚げ足を取らないでくれ。話を続けるが、私としては、そんな絶望しかない選択をさせるくらいなら一気に両方の選択を壊して自由になればいいと思うんだ」
「で、本音は?」
「助けたのに絶望しかないのは後味が悪い。そんな面倒事は消滅すればいい!」
「(だめだこいつ、なんとかしないと)」
そう言った途端、拓斗は頭を抱えた。何を今さら。分かっていた事だろ?私がこの状況だとどう行動しようとするか。
「………まぁ、漆らしいと言えば漆らしい、か?」
「どうした?胃が痛くなったか?」
恨みを込めた目で見られた。何故だ?
「そうなったらお前のせいだからな。じゃなくて、その特攻に俺も連れて行け」
「……本気か?危険だぞ?」
「危険は承知だ。それに……お前一人で隠密行動出来ないだろーが」
「うぐっ」
だから揚げ足を取らないでくれ!確かに私の能力に隠密行動を取れるものは無いし、正体がばれないにしても、それどころかすぐに見つかって攻撃される可能性の方が高い。
逆に拓斗がいれば、結界を張って貰う事で近くにいる人間に気付かれる事無く、思いっきり暴れる事が出来る。そして、転移ですぐに逃げられる。
「だが、私達は施設の奴等の命を奪いに行くんだ。そんなことお前にさせるわけには…!!」
「家族なんだから気にするな。それに……」
拓斗はそこで言葉を区切って私の額にデコピンした。地味に痛いぞ。
「昔言ったろ?俺にも背負わせろ」
「……いいんだな?」
私がそう言うと、拓斗はしっかり頷いた。……覚悟が足りないのは私の方か。拓斗は決めたんだ。なら、私も覚悟を決めよう。
「……分かった。よろしく頼む。だが、無理はするな」
「おう、任せろ」
「話は終わったのか?」
話が終わった気配に気付いたのか、二人が私達のところに来た。ヴァーリは白いTシャツの植えから黒いパーカーを羽織り、黒いボトムをはいている。
「ちょうどな。似合ってるぞ?」
「あ、ありがとう……」
ヴァーリが少し顔を赤くしつつ下を向いている。照れてるのか。とにかく、
「それでは、夜に特攻しかけるぞ!」
「「おー!」」
「遥輝は留守番頼むぞ!」
「…くそっ、忘れてると思ってたのに!」
「………あれ、マジだったのか。」
ヴァーリ、この程度で唖然としていたらついていけないぞ?
「そういえば、あの子供見たことがあるんだが?」
「ああ、ヴァーリ・ルシファーという名前だそうだ」
「原作登場人物だな」
「えっ」
「半人半悪魔で白龍皇になるはずの人物だな」
「えっ悪魔の血が入ってたのか?!」
「そこからかよ!」
―――深夜―――
私達は今、ヴァーリがいたという実験施設に来ている。ぱっと見はただの工場なんだがな。これでカモフラージュしていたのか。因みにこれがあったのは私達が住んでいる町から20キロ離れていた。ヴァーリ、よくここまで来れたな。
「ここが実験施設か。」
呟いてふと後ろを向くと、ヴァーリの顔が青くなっていた。ヴァーリにとってここはトラウマなのは当たり前か。
「大丈夫か?」
「なんとか……」
「無理なら家にいていいぞ?」
そう聞くとヴァーリは首を横に振り、しっかりとした目で施設を睨み付けた。
「いや、俺はこれを自分の手でけりをつけたいんだ」
「……分かった。なら、大物は任せるぞ?」
「ああ」
ヴァーリが頷いたのを確認し、私達は戦闘準備に入る。拓斗はセットアップしてバリアジャケットを着てフードをかぶり、2本の刀を構える。私はフュージョンして闇属性のオレクシスに変わる。一応、変装(?)はして、見バレしないようしとかないとな。
「!!本当に姿が変わるんだな。……悪魔では無いのか?」
「融合しているソウルはな。私自身は人間だぞ」
何故変身したら毎回そう言われるんだ。それも初めて見られる姿は大抵オレクシスだからか?解せぬ。
「皆さん、結界を張ったッス!これで中の人達には気付かれちゃいましたけど、外にはバレずに暴れられるッスよ!」
片方の刀の刃と柄の間に填まっているルナから準備完了がかかる。
「準備はいいか?行くぞ!」
拓斗が号令をかけると同時に私達は一直線に施設に向かって駆けだした。私はどちらかといえば飛んでいるが。
「まずは、【ダークロア】!」
私が先行して【ダークロア】を扉に放ち、扉を破壊する。それによって大きな衝撃がおき、続けて警報が鳴り響いた。
「て、敵襲だー!」
「総員配置につけ!」
中からドタバタと慌てる音がするが、私達は施設内に入り、途中で別れ、それぞれ殺していく。拓斗は魔法と刀を使って、ヴァーリは神器で相手を止めながら殴り殺し、私は【ダークロア】や爪を使って相手を切り裂きながら。
後ろは悲鳴をあげて逃げ惑う職員達の血で赤く染まっていることだけは分かっている。それでも、私は進んでいった。
私が入った奥の部屋には、実験体にされて耐えきれず死んでしまった子供たちの死体が山のように積み重なっていた。死体の中には内臓が飛び出た者や体の一部が欠けた者が多い。この部屋は恐らく、死体処理場といった所か。
神器の実験と言っていたが………狂ってるな。
「………二人がこちらに来なくてよかった。だが……いや、これは泣き言だ。」
もっと早めに来れば助かったかもしれないなどというのは戯言だ。希望論だ。それより現実を見ろ。今を見据えろ。嘆くのは後だ。今はここで実験していた職員に鉄槌を下すのが先だ。だから、
「せめて、これ以上人目に晒されないよう、燃やす。お前達の仇は私達が取る。だから、来世まで幸せな夢の中で安らかに眠ってくれ。」
言いながら姿を火属性のバルバリアに変え、左手を死体の山に向ける。
「【マグナード】」
大爆発を起こし、一気に死体を燃やし尽くす。私はそれを見守ることはせず、姿をまたオレクシスに変化させ、背を向け次の部屋へ向かった。
説明
・オレクシス
悪魔の大きな羽が生え、三本足で足の爪は鳥のように鋭く長い、外見上人型の悪魔のような姿。闇属性のフュージョンでグレート2。魔力以外のパラメータが強化される。
・ダークロア
原作:闇属性の特殊単体攻撃。空間から不気味な生物を複数召喚し、敵に食らいつかせる。
本編:闇属性の特殊単体攻撃。空間からから不気味な生物を複数召喚し、敵にぶつけることで爆発する。
・バルバリア
全身を赤い鎧で固め、赤い巨大な剣を装備している。火属性で、筋力と体力に長けたファイタータイプのフュージョンでグレート2。
・マグナード
原作:火属性の特殊範囲攻撃。地面に炎を走らせた後、大爆発させる。
本編:火属性の特殊範囲攻撃。地面に炎を走らせた後、大爆発させる。
です。