「風都は……やっぱり、良い風が吹くなぁ……」
信じていた者に裏切られ、妻に撃ち殺される。一体何処で間違えてしまったのだろうか。
初めてガイアメモリを見たとき、これで人類はさらなる進化を遂げることができると信じてメモリを売り続けてきた。風都の為にと。
私は誰よりも風都を愛していた。
もし成れるのなら–––
私も彼の様に成りたかった–––
–––そして男は風となり、物語から退場する……はずだった
「コラ!キリヒコ!いい加減に起きなさいよ!」
「申し訳ございません。ただいま」
どうやら寝過ぎてしまったようです。私とした事が。腕時計を見ると急がないと食堂が閉まりそうです。
「おや、時間がありませんね。急ぎましょう。ルイズさん」
「あんたのせいでしょうが!!」
「それは申し訳ありません」
別にここは死後の世界でも何でもない。事は昨日に遡る。
妻、いや元妻か。生身に冴子の一撃が決まり、私は死ぬはずだった。そう、’’だった’’
死の直前に見えた鏡。それに指先が触れた直後、私は平原に立っていた。いや、正確には平原に出来たクレーターの中に煙と一緒に、だ。
「ゼロが平民を召喚したぞ!!」
何処からかそんな声が聞こえる。平民か。確かに私の様な平民では彼女のような富豪を繋ぎ止める事は出来なかった訳だ。
そんな風に自嘲していると煙から顔が現れた。
「あんた、誰なのよ?」
やはり子供は素晴らしい。未来を感じさせる目だ。そんな事を思っていると痺れを切らしたような顔でもう一度、
「あんた、誰?」
と聞かれるので、
「申し遅れました。私はそ……いや、須藤霧彦と申します。失礼ですが貴女は……?」
「私の名前はルイズ。ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールよ」
どうやら彼女も私とは住んでいる世界が違うようだ。
「ま、平民でも何でもいいわ。進級さえ出来れば何でも……幻獣の方がいいけど」
さっきから平民平民と……ここはメモリの力を見せて魅せて……そういえばメモリはもう無いのか。冴子に盗られてしまったのを忘れていた。いや、盗られたのではなく元に帰ったのか。
そんな事を考えていると彼女、ルイズの唇が目の前にあった。効果音を付けるならズキュウウウウンといったところだろうか?
「君ッ一体何を–––」
「私だって契約でなきゃ–––」
と直後左腕がもげるんじゃないかというほどの痛みに襲われた。あれ?あの時腹に貰った一撃ほどじゃないと思ったら案外楽だ。
「使い魔のルーンよ。害は無いから安心なさい」
確かにその通りなのだろう痛みはすぐに引いた、が。
「これは……生体コネクタでしょうか?いやにしては……」
この後コルベールという先生がこの左甲の奇妙な生体コネクタ(後に知るがルーンというらしい)のスケッチを取り、ルイズという少女の部屋に行き、使い魔のなんたることかを聞かされた後、疲れて床に転がる様に寝てしまった。何故かメモリの後遺症である痛みが無かった為久しぶりの快眠だったからか寝すぎてしまい、冒頭に戻るわけだ。
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