多くの並行世界の聖杯戦争では高いレベルのものから低いレベルのものまである。
これは数多の並行世界の中でも類を見ない、低レベルで最低最悪な聖杯戦争である。
【セイバー陣営】
「お、お前は一体!?」
切嗣は驚愕していた。呼び出した英雄の姿かたちが英雄らしくない現代風の男だったからだ。
「へー、聖杯戦争か・・・要は殺せばいいんだろう。お前さんがマスターか? おれはなにをすればいい?」
ナイフを片手にヘラヘラと笑いながら話しかけてくる男。しかし、目は笑っていない。
マスターとしての能力であるステータスを見る力。それで能力値を見たが全て最低Eクラスだ。
だが、形容しがたい気持ち悪さと異常さを感じる。
「お前は・・・何だ?」
「ん、おれか? おれは浦上・・・殺人鬼だ」
【元ネタ 寄生獣 浦上】
【ランサー陣営】
「貴様は・・・何者だ!」
ケイネスは怒り狂っていた。最高の状態で呼び出した英雄は現代風の肥満体型の男だった。
ステータスは全て最低Eクラスだ。
「くそ、くそ、くそ・・・・・・なんなんだ・・・一体」
自分の思い通りにいかず頭の中がこんがらがるケイネス。
が・・・しかし・・・!
「大丈夫だよ、マスター。こんな僕だけど精一杯戦うから、マスターの命令は何でも聞くから」
英雄はぽろぽろと泣きながらケイネスの手を握り締める。
ケイネスは安心感と共に違和感を感じた。なぜか自分とサーヴァントの間が遠く隔たれているように感じた。
「貴様の真名は?」
「安藤・・・守ッ!!!」
【元ネタ 逆境無頼カイジ 安藤守】
【ライダー陣営】
「なんだーーーー!? 一体なんだーーー!?」
召喚されたのはボートだった。乗り物を扱う英雄だからといって何故ボート?
ボト・・・ゴロゴロゴロ。
何かが転がり落ちてきた。
「・・・て、首ィ!!!」
首が転がってきたかと思うと徐々に光に包まれ、学生服を着た男になっていた。ステータスは全て最低Eクラスだ。
「あ・・・あんたは!?」
「僕の名は伊藤誠。君が僕のマスターか?」
【元ネタ SchoolDays 伊藤誠】
【パーサーカー陣営】
雁夜は薄れゆく意識の中で呼び出した英雄を見た。
「うがああああああああああああああああ!!!」
下品なシャツを着た金髪のパーマの不良中年、目は狂人のそれだった。
「なんだ・・・と?」
目を疑った。パーサーカーにしては魔力の減りは少なかった・・・しかし、
「ステータスは全て最低Eクラスだ・・・と?」
パーサーカが弱すぎる。これで聖杯戦争を勝ち抜けだと?
臓硯はもう諦めたのかこの場からいなくなっていた。
「さとこ! さとし! どこいったんじゃおんどりゃぁぁぁあぁあぁああぁぁ!!!」
【元ネタ ひぐらしのなく頃に 鉄平】
【キャスター陣営】
「最高にクーーーーーーールだぜ、旦那!!!」
龍之介は真の悪魔を呼び出した。名はベルゼブブ。ステータスは全て最低Eクラスだ。
彼の残酷さは龍之介にとって目の覚める方法だった。
残虐な拷問は当然のこと、精神的な恐怖もやってのける。
しかし、この悪魔は人間臭いところがある。お金が好きなのだ。
最初、龍之介はなんと人間臭いことと半ば失望したがすぐに尊敬するようになった。
経済的に追い詰める。なんという素晴らしい方法だろうか。
富豪の者が浮浪者になり餓死する場面を見て興奮した。
悪魔は世界一の富豪になり、世界を我が手にすると豪語する。
龍之介は一生この悪魔について行くと誓った。
【元ネタ 悪魔くん千年王国(全) 悪魔ベルゼブブ】
【アーチャー陣営】
「どうして・・・こんなことに・・・」
時臣は絶望していた。呼び出した英雄が最悪だったからだ。ステータスは全て最低Eクラスだった。本当なら魔術師の誇りとして、令呪を用いて自害させるのだが、
他陣営が名もなき最低最悪のサーヴァントらしく、わずかな希望を信じて聖杯戦争に参加する。
しかし・・・
「ヒャッハー!オラァー!!38匹!39匹!40匹!ハッハー!!!どうだ!!!!」
窓から庭を見る。アーチャーは時臣が用意した小動物を撃ち殺している。側には従者がいる。
時臣は回想する。
アーチャーを呼び出して数時間後、彼は老夫婦を撃ち殺した。
「イエーイ!一発で命中!!」
時臣は我を忘れてアーチャーを非難したがアーチャーは反省もせずにこう述べた。
「バーカ、かまうもんか!世界中の人間が魔術師に殺されてるんだぜ。あれだって魔術師が殺したと思うさ。最高だぜ!!」
こんな最低な奴が英雄だと・・・ふざけるな!
しかし、根源に辿り着きたい。幸いにもアーチャーは聖杯戦争には乗り気だ。一刻も早く聖杯戦争を勝ち抜き、自害させる。
時臣は決意していた。
【元ネタ ドラゴンボール ライフル銃の男】
【アサシン陣営】
綺礼は落胆していた。聖杯戦争なら・・・英雄なら自分の空虚を埋めるかもしれないと。
しかし、呼び出した英雄は名も知らぬ英雄だった。服装からして現代、もしくは未来だとは思う。ステータスは全て最低Eクラス。
「私が来たからには勝利間違いなし!」
アサシンは偉そうにワインを飲んでいる。
名はアンドリュー・フォーク
自由惑星同盟軍准将で、作戦参謀。士官学校を首席で卒業したエリートらしい。
イゼルローン要塞陥落を契機に、帝国領侵攻作戦を立案するがヤン・ウェンリーとアレクサンドル・ビュコック、クブルスリー統作本部長の策謀によって失脚され、彼らの無謀な作戦によって同盟軍の大惨敗に終わった。
人類のために彼らを暗殺した。ヤン・ウェンリーを自身の命と引き換えにあの世へ送った。
そう言っている。
しかし綺礼は疑っていた。
アサシンは口先だけで情報収集などは一切しない。
戦うにしても「臨機応変に対応する」とだけ、綺礼が情報収集している始末だ。
本当に戦いで役に立つのか?
綺礼は内心穏やかでなかった。
【元ネタ 銀河英雄伝説 アンドリュー・フォーク】
類を見ない、低レベルで最低最悪の聖杯戦争は・・・しかし、どの並行世界と比べても世界に対する影響は計り知れなかった。
滅んだ国があった。戦争が起こった。人類の半分が死に絶え、半分が病となった。地表が荒れ果てた。森林が消えた。動物が死滅した。
科学が壊れ、一から作り出す羽目になった。魔術の刻印がなくなり、継承するものが減少した。
この星の魔力そのものが消えかかった。
文明は衰退した。
聖杯戦争によって。英雄によって。
前回投稿したものと同じです。