「フィアナ騎士団、随一の戦士・・・輝く貌のディルムッド。まさか手合せの栄に与えるは思いませんでした」
「それがこの聖杯戦争の妙であろうな。・・・だがな、誉れ高いのは俺の方だ。時空を越えて英霊の座にまで招かれた者ならば、その黄金の宝剣を見違えはせぬ」
そういってうれしそうに。
「かの名高き騎士王とつばぜり合って、一矢報いるまでに到ったとは、フフン、どうやらこの俺も捨てたものではないらしい」
互いに名を知られ、尋常な勝負ができるようになり、誇りある決闘ができる。
「覚悟しろセイバー、次こそは獲る」
「それは私に獲られなかった時の話だぞ。ランサー」
一触即発の宝剣と魔槍。
そのとき、不意に雷鳴が轟いた。
「!? チャリオッツ?」
牡牛に引かれた戦車がセイバーとランサーのちょうど真ん中に降り立ち。
「双方、武器を収めよ。王の御前である!」
その大音声はさっきまで響いていた雷鳴に匹敵した。
眼光は物理的な圧迫感を感じさせるほどの圧力をもっている。
本人の言うとおり王の威厳を持つ男だ。
普通の人間ならその威厳に無意識に従ってしまうかもしれない。
「わが名は征服王イスカンダル、此度の聖杯戦争ではライダーのクラスで現界している。」
全員が唖然とした。
聖杯戦争によって重要な意味を持つ真名を自分から明かす英霊が居るとは思っていなかったのだ。
「何を・・・考えてやがりますかこの馬ッ鹿はああああ!!」
ウェイバーは絶叫する。
そんなウェイバーを無視してライダーはセイバーとランサーに語りかける。
「うぬらとは聖杯を求めて相争う巡り合わせだが・・・矛を交えるより先に、まずは問うておくことがある。うぬら各々が聖杯に何を願うのかは知らぬ。だが今一度考えてみよ。その願望、天地を喰らう大望に比してなお、まだ重いものであるのかどうか」
「貴様、何が言いたい?」
「ひとつわが軍門に降り、聖杯を譲る気はないか?さすれば余は貴様らを朋友として遇し、世界を制する快悦を共に分かち合う所存である。」
ライダーの口上にセイバーとランサーは最初は唖然としたがすぐに表情を険しくする。
当然の様にセイバーとランサーは拒否した。
ライダーは残念そうだった。ランサーのマスターが途中で話に加わる。どうやらウェイバーとは師弟の関係らしい。
ウェイバーを脅すようなことをケイネス言った。しかし、ライダーはそんなケイネスを臆病者と笑う。
「おいこら、他にもまだおるだろうが。闇にまぎれて覗き見をしている連中は!」
いきなりそんなことを大音量でのたまうライダーにセイバーとランサーが反応する。
「・・・どういうことだライダー」
セイバーの問いかけに豪胆なる王は満面の笑みに親指を立てて示す。
「セイバー、そしてランサーよ。うぬらの真っ向切っての競い合い、真に見事であった。あれほどの清澄な剣戟を響かせては、惹かれて出てきた英霊が、よもや余一人ということはあるまいて」
多分いるだろうくらいの感覚。勘以上の根拠はあるまい。
「情けない、情けないのぅ、冬木に集った英雄豪傑どもよ。このセイバーとランサーが見せ付けた気概に、何も感じるところがないと抜かすか?誇るべき真名をもちあわせておきながら、こそこそと覗き見に徹すると言うのなら、腰抜けだわな。英霊が聞いて呆れるわなぁ。んん!?」
挑発か本心か・・・多分両方だろう。
「聖杯に招かれし英霊は、今!ここに集うがいい。なおも顔見せを怖じるような臆病者は、征服王イスカンダルの侮蔑を免れぬものと知れ!」
程なくして、黄金のサーヴァントが現れた。
「我を差し置いて”王”を称する不埒者が一夜のうちに二匹も涌くとはな」
黄金のサーヴァントのアーチャー、ギルガメッシュは不愉快そうに眉をひそめる。
ライダーは真名を聞いたが、知らない時点で不敬だと言う。
背後の空間が歪む。
強大な魔力を放つ剣と槍が現れた。
放たれる……ことはなかった。
「………ほう」
ライダーの挑発に応えた。サーヴァントが二人現れた。
一人は闇の霧を纏う漆黒の騎士。
一人は勇者だった。その髪はやや長めで、蒼白い。甘やかな顔立ちの美男子。身に纏うのは青い貫頭衣と細袴。そして純白のマント。
ここにいる人、サーヴァントは漆黒の騎士を見た後、勇者を見た。
アーチャーだけは最初から勇者だけを見ていた。
宿敵。対等の存在。打ち倒す敵だと認識している。
人は勇者の美しさに心を奪われ、サーヴァントは圧倒的重圧を感じていた。
「貴様、【最強の鋼】だな」
ギルガメッシュの言葉は確信していた
「君は、【人を諌め地上に繋ぎ止めるための楔】として星の抑止力によって生み出されたはずだった存在だね? 英雄王」
最早アーチャーは勇者しか見てなかった。
「此度の戯れは静観するべきかどうかを決めあぐねていたが貴様ほどの存在が顕現した以上、我は貴様を滅ぼし、至高の刃を手に入れよう」
「古代ウルクの王、天地の理を与えられた裁定者よ。この首が落ちる運命があるのなら、それを君に委ねよう。まだヒトの認識が幼い黎明にのみ地上を統べた最古の英雄よ。その力で僕を砕けるものなら」
アーチャーの背後は歪む、数十、数百、数千の宝具が展開される。
その光景に一同は驚愕する。
だが、勇者だけは涼やかだった。
「救世の神刀よ。今こそ真の姿を世界に示せ」
彼の頭上に巨大な正方形の魔法陣が顕現する。
正方形は大きくなっていく、アーチャーが展開する宝具よりはるかに大きい。
数キロといえる正方形となり、細かく線が展開される。正方形の中に無数の小さな正方形。
そのひとつひとつに、数十、数百、数千の宝具が展開される。
最も多いのは矢だ。剣、刀、弓、槍、斧、楯、鎧、棒、薙刀、鉾、砲丸、リング状の物体、レンガらしきブロックなど、武具とは言い難いものまである。
それは《曼荼羅》だ
「うそだろ……」
勇者とアーチャー以外は唖然としてその光景を見ている中、ウェイバーは唯一、無意識に呟いた。
その光景を説くように勇者と英雄王は紡ぐ。
「《神刀の曼荼羅》か……盟約の大法。全ての魔王を殲滅する究極の神剣」
「いかにも、そのとおり」
英雄王の言葉に勇者は頷いた。
「かつて僕が地上へ降臨した際、魔王討伐の使命を果たす助けにせよと、天界の武具を数えきれないほど贈ってもらった。救世の神刀はそれら全てをひとつに統合した姿。僕の宝具だ」
互いに奥の手を準備し始める。
「此度の戦は地上を汚す遠因となる。僕はそれを破壊するために星の抑止力から降臨を願われた【最後の王】」
「はッ! 王を名乗るか! しかし、許そう。貴様ほどの存在を認めなければ我の沽券にかかわる……だがな、未だ世界の理に囚われる貴様に…神々に言いたい。『ふざけるな』とな」
「気持ちは分かる、と言っておこうか」
「貴様も貴様だ。神々の使命も、世界の理も放り出して自由になればいいものを、律儀に背負い続けるつもりか?」
「ふ、さすがだな英雄王」
勇者はアーチャーの勝手な言い分に微笑で返した。
「どれだけの力の差があろうと、英雄たちは障碍を打ち砕く。だからだろうな、君にも……貴方たちにも敬意を抱いてしまう」
勇者は眼下にいる英雄たちを見る。
あまりの力の差に狂気が消えて、一人の騎士として勇者を見る漆黒の騎士。
力の差を理解しようと、勇者に挑もうとする征服の王。
どれだけ無謀だろうと今度こそ主に願いに殉ずると誓った忠節の騎士。
そして、勝機がなくとも目の前の暴虐から弱き主を護るため背には主、眼前の勇者と英雄王には剣を向ける騎士の王。
全ての英雄の原点と言える英雄たちの王は忌々しそうに眼下にいる有象無象たちを見る、彼らを認めないが、この場にいることを許そう。この神話の再現と言える戦場に心穏やかでいられる英雄は存在しないだろうから。
「いくぞッ……英雄王」
「来いッ……最後の王」
勇者は光り輝く弓を、
英雄王は無銘にして最強の剣を、
英雄たちの激突はこの世の終わりのように思えた。
魔術師たちの理など関係ない。
神秘の漏えいなど邪魔なだけ。
英雄王は己の欲望のままに世界を破壊し、
この世の最後に現れる王は、元より、星の抑止力は人が関知する神秘など守る必要はなく、最後の王は弱く小さな人々が傷つかぬようできるだけ早く地上に顕現した英雄を殲滅し、滅びの原因となるモノを破壊する。
この世はまさに末世、世界の終わりが来ていた。
【元ネタ カンピオーネ! 最後の王】
彼が登場してからやらせたかったクロスオーバーです。
どうですか?
カルナのセリフをパクっちゃいました。
次回は最後の王のステータスなどを作成します。
原作のネタバレ……真名がわかるので閲覧するときは気を付けてください。