泣き虫な僕が大切な友達の為にできること 【完結】   作:豚汁

3 / 10
さっき見たらUA数が450を超えてて思わず嬉しくなってしまいました。

そして感想を書いて下さる方もいて本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

”短期集中連載”なので長くなる予定がないこの作品ですが、できれば最後までお付き合い頂ければ嬉しいです。

ちなみに後になってしまって本当に申し訳ないのですが、”一部舞台設定強化”というタグを悩んだのですが一応付けさせて頂きました。

では、ご覧下さい。


3話 回想と友情と

『おとーさん……どうやったらぼくはおとーさんみたいに、カッコよくなれるの?』

 

 

 それは昔、僕が穂乃果ちゃんと出会って間もないころの話。

 カッコいい男になる為に、お店に誰もいない時間帯を見計らって僕はお父さんにそう質問した。

 

 

『ああ?俺がカッコいい?馬鹿言え……一流のギタリストになるっていう捨てたはずの自分の夢を引きずって、こんなしがない楽器店やってるような女々しい男だぜ俺は』

 

 

 そう言ってお父さんは、店のカウンターに頬杖をついた。

 

 

『ちがうもん!おとーさんはカッコいいもん!』

 

 

 お父さんはいつだって僕やお母さんを一番に考えてくれるし、それにギターを弾いている時のお父さんは、テレビで見る他のどんなスターよりもかっこいいと僕は思っていた。

 

 

『……まったく、そんなキラキラした目で俺を見やがって、そういう所は本当に母さんに似たなお前は……良いぜ正也、今からカッコいい男になる為の大切な事を教えてやる』

 

 

 お父さんは仕方ないと言った風にため息をついた後、ニヤリと笑って僕にそう言った。

 

 

『うん!どうやったらなれるの!?』

 

 

『それはな……頑張らないことだ』

 

 

『……え?』

 

 

 僕にはお父さんの言っていることの意味が分からなかった。

 

 

『言い方が悪かったか、外見は努力が必要だしな……まぁ、これは持論なんだが、本当にカッコいい男ってのはなろうと思って頑張るもんじゃなくて、勝手に()()()()もんなんだよ』

 

 

『……?……?』

 

 

 言い直されても分からなかった。

 勝手になってる?どういう意味なのか僕にはさっぱりだった。

 

 

『ま、正也にはまだ早い話だったかもな。……大丈夫、俺はカッコいいんだろ?だったらそんな俺の息子であるお前もきっと将来カッコいい男になれるぜ!』

 

 

 そう言って僕の髪をわしわし撫でてくるお父さんに、カッコいい男になれると言われて嬉しくなった単純な僕は、結局その後その言葉の意味を聞けずにいた。

 

 

 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

 

 僕は教室を出た後、穂乃果ちゃんたちといつも遊んでいる公園のベンチにぼんやりと座っていた。

 

 

「お父さん………本当に僕は『カッコいい男』になれるの?」

 

 

 思い出すのは昔、お父さんから大切なことを教えてもらった記憶。

 

 

「勝手になってるって……なんなの……?」

 

 

 じゃあ、いつまでたっても『カッコいい男』になれなかったらどうすればいいのだろう。

 

 

 そもそも、具体的にどうやってなればいいのかもわからないのに、よくもそうなろうって思えたな僕って……

 

 

 僕は落ち込んだまま、顔を上げられずにいた。

 

 

「はぁ……はぁ……正ちゃんみーっけ!」

 

「穂乃果ちゃん……」

 

 

 僕はベンチに座りながら俯いていた顔を上げると、そこには息を切らせた様子の穂乃果ちゃんがいた。

 気づけば時間帯はもう夕暮れ時で、僕がこのベンチに座ってから相当時間がたっている。

 

 

「穂乃果ちゃん……もしかしてずっと僕を探して?」

 

「そうだよ正ちゃん!今日は穂乃果達とドッチボールして遊ぶ約束だったでしょー!」

 

 

 きっと穂乃果ちゃんは、教室を飛び出した自分を心配して、自分のことをずっと探してくれていたのだ。

 そう思うと、僕は嬉しい気持ちと申し訳ない気持ちで一杯になった。

 

 

「穂乃果ちゃーん!正ちゃんいたのー!?」

 

 

 ことりちゃんがそう言いながら僕の元に駆け寄る。その後には海未ちゃんが続いた。

 どうやら二人も穂乃果ちゃんと同じく僕を心配して探してくれていたようだった。

 

 

「みんな……僕なんかの為にごめんなさい」

 

「正ちゃんは悪くないよ!悪いのは他の男の子達なんだから!」

 

 

 あまりに申し訳なくてつい謝ってしまった僕に、穂乃果ちゃんが憤然とした様子で言い返す。

 

 

「そうだよ……正ちゃんあんなに頑張ってたのに」

 

 

 穂乃果ちゃんの言葉に同意するように、ことりちゃんは悲しそうな顔をしてそう言った。

 

 

「私もそうだと思います……努力している人を笑うなんて最低です…!」

 

 

 海未ちゃんに至っては、いつもの大人しい様子からは考えられないような強い口調でそう言う。

 

 

「みんな…ありがとう…」

 

 

 その三人の言葉から、自分を大切に思ってくれている気持ちが伝わってくる。僕は嬉しくてまた泣きそうになった。 

 

 

「だから正ちゃんは気にする必要なし!さぁドッチボールしよう!」

 

 

 穂乃果ちゃんはそんな湿っぽい雰囲気を払うかのように、そう言って両手を上げる……しかしその手には何も無かった。

 

 

「穂乃果ちゃん…ふふっ…ボール忘れてるよ」

 

 

 ことりちゃんが耐え切れないといった風に笑う。

 

 

「ありゃ?ホントだ!ボール無いよ~!」

 

「穂乃果……ボールはたぶん学校に置いたままだと思います……ふふっ」

 

 

 海未ちゃんもそう言った後に、クスクスと笑う。

 

 

「……あはははは!穂乃果ちゃんはしょうがないね!」

 

 

 みんなが笑うにつれて、僕もさっきまで落ち込んでいたのが嘘のように笑った。

 

 

「もー!みんな笑わないでよー!」

 

 

 僕達に笑われて恥ずかしくなったのか、穂乃果ちゃんはそう言って怒りだした。

 

 結局、ドッチボールはまた明日ということになり、とりあえず今日は他の遊びをすることになった。

 

 

「じゃあ今日はなにして遊ぼっか?」

 

「穂乃果ちゃん、でももうこんな時間だから遊ぶ時間もあまりないよ?」

 

 

 ことりちゃんの言うことはもっともな話で、今はもう夕暮れ時、そろそろ帰ってもおかしくはない時間だ。今から遊ぶとなっても時間は限られるだろう。

 

 

「うーん……そうなんだよね……なにしようかな……」

 

 

 穂乃果ちゃんはそう言って考え始めた。

 

 そして僕の顔を見て、閃いたようにして言う。

 

 

「そうだ!みんなこっち来て!」

 

 

 そう言って穂乃果ちゃんは走っていってしまう。

 

 

「え?穂乃果ちゃんどこ行くの!?」

 

「いいからこっち来てー!」

 

 

 穂乃果ちゃんが何がしたいのかわからなくて、穂乃果ちゃん以外の僕達三人は顔を一瞬見合わせたが、結局穂乃果ちゃんについていった。

 

 

 そして穂乃果ちゃんの目的の場所に意外とすぐに到着する。

 

 

 ……突然だけど、ここで僕たちがよく遊んでいるこの公園の特徴を説明しよう。

 この公園は僕たちの住むこの町ではなかなかの広さを誇っていて、遊具があり子供が遊ぶための広場がある。でもこの公園の一番の特徴を上げるとするなら、その広場の真ん中にまるで大ボスのように植えられている大きい木があることだとこの公園を知る子供たちは口々に言う。

 

 

 そう、穂乃果ちゃんが僕たちを連れてきたのはまさにその木の所だった。

 

 

 

 そのとっても大きい木の根元に立ち、穂乃果ちゃんは僕たちにこう言った。

 

 

 

「みんな!この木に登ってみようよ!」

 

 

 




ここまで読んで頂きありがとうございます。

”シリアス”タグ……頑張って自分なりに活かしていきたいと思っています。

誤字脱字、意見や感想などがございましたら是非とも感想欄の方によろしくお願いします。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。