私の知り合いが変人と狂人ばっかりな件。byリズベット 作:黄金馬鹿
注※この小説は頭を空っぽにして読みましょう
「え?私がSAOに来た時の事が知りたい?」
ベッドに入っていざ寝ようと思ってユイちゃんをいつも通り抱き枕にしたその日、ユイちゃんは突然そんなことを言い出した。
「はい。わたし達はSAOが始まってから暫く経った時に目覚めました。なので、知りたいんです」
「私も知りたいかな~」
隣のベッドで既に寝ていたと思ったストレアがこの話に乗ってきた。
「ふぅん……まっ、いいわよ。さて、何から話そうかしらね……」
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ソードアート・オンラインが始まったのは一年と少し前。
たまたまVR世界へと入るためのゲーム機、ナーヴギアとSAOを買えた私はなんの疑いもなくSAOの世界へと飛び込んだ。
「すごい……本当にゲームの中なんだ……」
当時の私はそんな事を呟いていたのを覚えている。
で、その時運が良かったのが、なんかよく見る勇者顔をした黒髪の男が……
「おい、そこのお前。これやるよ」
「え?うわっ!?」
と、言って私に片手棍を何十本も押し付けてきたのだ。当時は迷惑だって思ったけど、それ全部が五層辺りまで全然余裕で戦える物だったのよ。
多分、βテスターの人がアイテムを何かしらの方法である程度引き継いだんだろうけど、気前のいい人だったわね。
まぁ、手鏡のせいで顔が変わってるからもう会っても分かんないんだけどね。私も昔漫画で見た美人キャラを再現した顔にしてたからあっちも分かんないんだろうけど。
で、私は本当は片手剣かレイピアを使うつもりだったけど折角貰ったものだしって訳で片手棍を使っていざフィールドへ!……って思ったら強制転移でデスゲームになったとかうんたらかんたら。
まぁ、その後は私は一人、宿に篭ったわね。そりゃあ、死にたくないもの。死なないって言う確証がないから出たくなかった。え?意外だって?
そりゃあ、私は当時、花も恥じらう女子高生よ?殺し合いとかしたことも無いのにデスゲームに巻き込まれたらそうなるって。
ごほん。それで、一ヶ月後に第一層が無犠牲で攻略されたって聞いて、もしかしたら第一層でも死ぬ事なんて無いんじゃないかな~……って思ってパーティメンバーを第二層で探したの。もしかしたら一層でのレベル上げに付き合ってくれる人がいるかもって思ってね。
それは……うん、正解でもあったし失敗でもあったわね……
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一年と少し前。
「誰か~……パーティ組んでくださ~い……」
リズベットは第二層の街でパーティを組んでくれる人を探していた。
初期に配布された1000コルは既に使い切り、明日の食料すらままならない状態。もちろんそんなリズに装備を整える金はあるはずも無く、まともなのは片手棍だけ。後はガッチガチの初期装備だ。
幾ら女性プレイヤーが少ないこのゲームとは言え、背中を預ける仲間にこんな弱そうなプレイヤーを選ぶ人など居る訳もなく……
「はぁ……誰も来ない……」
リズは空腹を訴える腹を抑えながら近くのベンチに座る。
「死因餓死とか嫌だなぁ……よっと」
リズは再び立ち上がり、誰かパーティを組んでくれと叫ぶ。
すると……
「ふむ……大きさは……普通かな?」
「うっひゃぁっ!!?」
後ろから急に胸を揉まれた。本当に急にだ。
だが、ハラスメントコードに抵触してる表示も出ない。そして、男にしては高すぎる声。間違いなく女だ。
「な、何すんのよ!!」
「効かぬ!」
振り向きざまにビンタをかますが、後ろの少女は見えた限りでは、その場で飛び、空中でバク転するかのように距離を取った。
が、さらにリズが片手棍をぶん投げる。しかし、圏内のため、少女の目の前に現れた壁に弾かれる。
「ふっふーん。結構体動くんだね~、このゲーム。」
「パーティメンバーは募集してもセクハラは受け付けてないわよ!」
「まぁまぁ。」
目の前の少女は紺色の長い髪をストレートに伸ばし、赤色のバンダナを巻いている。
「君もお金ないんでしょ?ボクも髪の毛を伸ばすアイテムとこのバンダナ買ったら初期資金尽きちゃってさ~。」
あははと笑う少女を前にリズは呆れた。まさかそんなことに貴重な1000コルを使うとは……と。
だが、少し考えると少女の言葉がおかしいのに気付く。
「……え?つまりあんた……一ヶ月間も何も食わなかったの!?」
「そんなわけ無いじゃん。さっき来たばかりなんだよ」
「さっき……?…………も、もしかしてアンタ、このデスゲームが始まってからログインした訳!?」
「そだけど?」
リズは呆れ半分怒り半分。もう、何を言っていいのか分からなくなった。
「実はボク、リアルだとあと数ヶ月生きれるか分からないくらいの病気持ってるんだよね~……だから、主治医の人に頼んで最後くらい派手に自分の生きた記録を残したいって思ってさ。だからそんな怒んないでよYOU」
別に怒ってなんて……と言いたかったが、自分の表情を触って確認すると、確かに怒り半分呆れ半分な顔だった。
「……そうだったの。怒ってごめんなさい」
「普通は怒られる事だから別にいいよ。怒られるのなんて分かりきってたし」
あははは~と笑う少女だが、余命数ヶ月で何か苦しいことでもあったのだろうと思うと、こういうところで体を動かし、うんと楽しみたいと思うのも全然間違ってる事ではないと考えれた。
「それじゃあ……パーティ組んでくれる?えっと……」
そういえば名前聞いてなかったな。と思い、なんて呼べばいいか考えていると、少女は悟ったのか、自己紹介をしてきた。
「ボクはユウキ。よろしく」
「私は里香……じゃなくてリズベット。よろしく、ユウキ」
自分のメニューを開き、パーティ申請を送ると、ユウキはすぐに承認した。
ユウキはすぐに自分のメニューを開くと、リズにフレンド申請をしてきた。
「別にいいよね?」
「えぇ、全然」
承認ボタンを押し、ユウキをフレンドとして登録する。
ふと左上を目だけ動かして見ると、自分のHPゲージの下にYuukiという名前とHPゲームを確認することができた。
「それじゃあ、一層のフィールドへ行こっか」
「えぇ。はやいところ稼いで帰ってきましょう」
この時、リズはまさか目の前の少女がキチガイだとは思ってもいなかったのである……
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「ヒャッハッハー!!楽しい!楽しいよリズ!!」
「お、おう……」
フィールドへ出た瞬間、ユウキは豹変した。
容姿は全然いいのに、もう女としてはしてはいけない表情で嬉々としてモンスターの解体へと走っていった。
そう、文字通り解体である。
「目だァ!耳だァ!鼻ァ!!血が出ないのが残念だけどもう体を動かすのが楽しすぎてイっちゃいそうだよアハハハハハハハハ!!」
最早サイコパスの粋だが、その他の行動から考えると彼女はキチガイとしか言い様がないだろう。
リズは何もしなくても上がっていく自分のレベルとHPを見てこの行動は本当に正解だったのかと困惑した。
「あー楽し!もっと!もっと斬らせてよキヒヒヒヒヒヒ!」
これが現実なら今頃ユウキは全身真っ赤だっただろう。
「……あれ?もう居なくなっちゃった。それじゃ、迷宮に行こっか」
ユウキは僅か数分で辺り一帯の敵を狩りつくしていた。
レベルは五に上がり、リズは片手棍を使うつもりなので、筋力値を中心にステータスを上げた。
「……は?ちょ、ちょっと……」
ステータスを上げていたリズはステータス画面を閉じ、ユウキに手を伸ばす。が、
「ヒャッハー!!」
キチガイは止まらない。ステータス上げるのも忘れて走り出した。
そしてリズもなんとかユウキの後を追い、迷宮へと飛び込んだ。
「目に剣突き刺された気分ってどうなのかなぁ?どう?痛い?痛いよねぇ……ヒヒヒヒヒ!」
そこには、ユウキがコボルトを押し倒して馬乗りし、剣を目に突き刺している地獄絵図が浮かんでいた。
この狂人、何でもありである。
「このままゆっくりと下に……あ、死んじゃった」
この狂人、殺人を楽しんでやがると戦慄するリズ。
「あ、リズ!ここボスだよ!ちょっと戦ってくる!」
「あ、はいは……はぁ!!?」
ちょっと待て!なんでいきなりボスに挑みに行くんだとツッコミたくなるが、キチガイはボスの間へと入った。
慌ててリズがそれを追いかけると……
「喉切り裂いて~、そのまま腹をご開帳~……あれ?赤くなるだけ?まぁいいや。じゃあ目と鼻潰して……あ、そうだ。耳から逆の耳に……よし、通った!いや~、生命のし……」
リズは全速力で迷宮を後にした。
そして迷宮の外で貰い物の片手棍で敵を時々ソードスキルを試しつつ倒すこと二時間。レベルは10まで上がった。上がってしまった。一体迷宮でどんな虐殺が行われてるのか気になったが、見に行きたくはなかった。
「いや~、満足したよ~。やっぱり体動かすのは楽しいね~」
と、迷宮から出てきたユウキはそのままリズの胸を揉んだ。
「やっぱりおっぱい大きいの羨まし……」
「吹っ飛べキチガイ!」
リズはユウキを引っペがし片手棍を一閃。ユウキを殴り飛ばした。
「あばっ!?」
「……鍛冶士でもして安定にお金稼ご……」
リズがマスタースミスになった理由は、もうキチガイとフィールドに行きたくないという案外しょうもない事が理由だった。
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「っと。そんな訳で攻略組に追いつけそうなレベルになった訳だけど……ってありゃ、寝ちゃったか」
思わず話し込んでしまい、気付いた時にはユイとストレアは眠ってしまっていた。
「……いい夢見なさいよ」
AIが夢を見るのかは分からなかったが、リズはそう声をかけると、自分も目を閉じ、眠りについた。
せめて、明日はキチガイと関わることがないようにと。
過去の話はこれから、気が向いたりしたら時々書きます
キチガイにレベルの差なんてあってないものなのさ……と、言うわけでまた次の話でお会いしましょう