桜並木の青春   作:青山五月

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第1話

 

 

「もう部活決めた?」

 桜並木の間を歩く私、有村凛への不意討ち。

 隣では、小さい頃からの幼なじみである相川翔が穏やかな笑顔を向けている。

「へっ!?」

 私は春の暖かな空気にぼーっとしていたらしい。思わず変な声を出してしまった。

「部活だよ、部活」

 私たちは昨日入学式を終えた、中学一年生だった。

「えーっと・・・・・・、やっぱり吹奏楽部かな。音楽好きだ し」

「凛はピアノ弾けるもんなー。俺は絶対野球部。一年でレギュラーとるんだ!」

 翔くん(幼稚園時代からの呼び方だった)は、根っからの野球少年。小学生のときから、地区の少年野球チームに入っていた。

 朝の澄んだそよ風と、時々舞い上がる花びら。

 嬉々として語る幼なじみの顔は、なぜか輝いて見えた。

 満開の桜は、そんな私たちに微笑みかけている。

 

 

 

 入学してから一ヶ月ほどがたった。私は吹奏楽部へ入部し、サックスを吹くようになった。

 翔太も、宣言通り野球部に入ったようだ。

 六月の最初の土曜日から、それぞれの地域の中学校が競い合う、総合体育大会(通称:総体)が行われる。

 私たちの住む清崎市には六つの中学校があるので、まずはそこで戦う。地区大会で上位入賞すれば、県大会へ進めるのだ。

 私の通う清蘭中の野球部は、毎年この大会で優勝していて、県大会への常連校だった。

「ねえ、翔太くんと海斗くんが、もうレギュラー入りだってー」

 教室で席が近い女子二人が話している。

「えー、そうなんだ」

「うん。去年の一、二年生が少なかったから、三年生が卒業して部員が結構減ったんだって」

(なるほど・・・・・・)

 二、三年生を差し置いて、翔くんがレギュラーになるのは正直厳しいんじゃ、と思っていた。しかし彼は、来る総体にも出場するらしい。

「私たち、野球部が決勝進出したら、応援しに行くんだよね?」

 同じ吹奏楽部でクラリネットを吹いている奥田美咲が訊く。

「うん」

 清蘭中の吹奏楽部は、野球部などの試合に時々ついていき、応援することになっていた。

「楽しみだねー。海斗くんも出るみたいだし」

 美咲は、中森海斗くんと小学校が同じで、何年か前から好きらしい。

「告白しないの?」

 と一度訊いたことがあるが、

「無理無理。私にそんな勇気ないもん」

 と返された。

 私もおとなしい方だけど、美咲は少し引っ込み思案な子だった。でも部活が同じということもあり、意気投合して、今では何でも話せる親友だった。

 とはいえ、私には気になる人がいるわけでもなくて、勉強や部活、お互いの趣味など、他愛のない話をし、平穏な生活を送っていた。

 

 

 あの日までは。

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